購入者の目線から見ると、どうせ家を購入するのであればできるだけ新しくてきれいなほうが良いですよね?

そのため、古い家の売却を考えていらっしゃる方からすると、自分の所有している家はなかなか売れないのではないかと思われる方も少なくありません。

やはり一般的に見ると、古くてボロボロの家よりも築年数が浅く室内も外観もきれいな方が早く売れる傾向にありますが、だからと言って古い家が絶対に売れないというわけではありません。

もちろん価格によっても売れ行きが変わってきますが、古い家の中には建物の価値が全くないモノも存在するため、そういった住宅を売却する場合は単純に家を売るのではなく、土地とセットで売ることも視野に入れることができます。

この記事では、そんななかなか売れなさそうな古い家を所有している方が、早く家を売却するための方法を紹介しています。

古い家を売る方法

家を売る方法は、大きく3つに分けることができます。

  1. 中古物件として売却する
  2. 解体して土地だけを売却する
  3. 古家付の土地として売却する

築年数が浅い物件の場合は、2つ目の解体して売るという方法を取ることができないため、これは古い家を売却する上での強みです。

それでは、それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

1.中古物件として売却する

こちらは、一般的な家の売却と同じステップを取る方法です。

通常は、不動産会社と媒介契約を結んで、その不動産会社が探してきた買い手に家を売却することになります。

しかし、家の状態や立地条件などによって全く売れない家が存在するのも事実ですので、まずはこの方法を利用してみて売れ行きが怪しいと感じたら別の方法を試してみるとよいでしょう。

また、購入希望者があらわれない理由が単純に値段が高いというだけの可能性もあるため、思い切って売却価格を下げてみるのも方法の1つです。

2.解体して土地だけを売却する

ボロボロの家がついた土地を購入するよりは、土地のみを購入してその上に新しい建物を立てたほうがいいと考える方も多いです。

そのため、古い家がなかなか売れない場合は家を解体して更地にしてみるという方法もあります。

立地条件が良い場合は、土地にした瞬間にすぐに売れてしまうというケースもありますし、購入希望者の解体費用がかからない分、土地のみの方が高く売れてしまう可能性もあります。

ただし、解体する場合には、費用だけではなく近隣の住民への挨拶回りや

解体工事前の近所への挨拶は重要!挨拶のタイミングと方法について

業者探しなどの手間がかかります。

解体工事業者を選ぶ方法|見極めるために大事な6つのポイント

また、解体して売りに出す場合は次のことに注意しましょう。

  • 固定資産税
  • 市街化調整区域

更地は固定資産税が高くなる

建物が残っている土地は、最大で土地の固定資産税が6分の1に軽減されますが、居住用の建物がない土地は軽減措置が受けられないため固定資産税が高くなります。

更地にしてすぐに買い手が見つかるのであれば、固定資産税を心配する必要はないでしょう。

しかし、なかなか見つからない場合は高くなった固定資産税を支払い続けることになるため気を付ける必要があります。

⇒固定資産税とは?おトクに減税する方法と知っておきたい評価額の基準

市街化調整区域には家が建てられない

現在建物の建てられているエリアが市街化調整区域だった場合、新しく建物を建築できるのは、その土地にそれまで住んでいた家族のみに限定されたりすることがあります。

その他にも様々な理由によって、それまで家が建てられていた場所の建物を解体して、その場所に新たな建物を建てるのが認められないケースなどもあるのです。

そうなった場合、更地にしてしまってもその上に建物が建てられないため購入希望者がますます減ってしまうことになります。

自分の住んでいたところが該当するわけがないと考えるのではなく、まずは再建築できる場所かを調べてから解体することをおすすめいたします。

3.古家付の土地として売却する

1つ目の中古物件として販売するケースと似ていますが、上に建物が建っているだけの土地として売りに出すという方法になります。

中古物件として売ることができない場所で、建物が邪魔な土地など売れるはずがないと考える方も多いですが、実は更地よりも早く売れる可能性もあるのです。

詳しくは後述しますが、買い手と売り手の双方にメリットがあるため、土地のみでは購入できない方でも建物がつくことによって購入してくれることがあります。

しかし、もちろんデメリットも存在するため買い手とよく話し合う必要があります。

古い家と土地をセットで売るメリットとデメリット

古い家の付いた土地を購入する方の多くは、その古い家を解体してその場所に新しい家を建てることになります。

そう考えると、どうしてもデメリットが大きい感じもしますが、実は買い手にもメリットがあるため更地と同じように購入希望者はいるのです。

それでは、具体的なメリットとデメリットを見ていきましょう。

建物付き土地のメリット(売り手)

売り手としてのメリットとして、

  • 瑕疵担保責任がなくなる
  • 固定資産税が安くなる

この2つが主なメリットです。

瑕疵担保責任がなくなる

中古物件として売却する場合は、売却完了後にその物件に何らかの欠点が見つかった際に、売り手は瑕疵担保責任を負う必要があります。

家を売りたいと思ってから売却完了までの主な流れと注意したいポイント

例えば欠陥部分を修理するための費用を補償したりといったことが考えられますが、責任を負う以上は何らかの金銭的な負担が強いられる可能性が高いです。

しかし、建物がついた土地を売るということは、あくまで売却するのは土地で建物はそのおまけのようなものになるため、その建物に対する瑕疵担保責任を負う必要がなくなります。

固定資産税が安くなる

先ほども記載しましたが、更地にして売却を試みた場合、なかなかその土地が売れなかったら固定資産税が6倍になってしまいます。

それまでは固定資産税が3万円で済んでいたところが、更地にすることで18万円も支払う羽目になるため、売り手としても売れる可能性が高くないのであれば何も考えずに更地にしてしまうのはおすすめできません。

建物付き土地として売るのであれば、住宅用の土地ということで固定資産税が据え置きですので、安心して長期的な売却活動を考えることも可能です。

建物付き土地のメリット(買い手)

買い手のメリットとして、

  • 住宅ローンが受けられる
  • 新築を建てた際のイメージがしやすい

などが挙げられます。

住宅ローンが受けられる

購入者が土地を購入する際には融資を受けるのが難しいと言われていますが、住宅を購入する場合は住宅ローンを受けることが可能になります。

建物付きの土地を購入する場合は、実際に支払う料金は土地の代金だけかもしれませんが、セットで家もついてくるため住宅を購入するという考え方です。

つまり、更地を購入する際には受けられなかった住宅ローンが適用になるため、購入のハードルが下がるのです。

新築を建てた際のイメージがしやすい

更地のみを購入する場合は、きれいに整地された土地をその目で見るだけですので、実際に建物を建てたらどのようになるのかをイメージするのがなかなか難しいです。

しかし、2階建ての新築物件を建てようと思っている土地にすでに2階建ての土地が建てられている場合は、建物の2階部分からの見晴らしなどを見て窓の位置を考えたり、エクステリアの配置などを決めやすくなります。

土地に建物があるだけで新しい建物のイメージが作りやすくなるため、買い手にとってもこれは大きなメリットの1つです。

建物付き土地のデメリット

それでは、反対にデメリットも見てみましょう。

  • 解体費用がこちら負担になりがち
  • 埋設物があるかわからない

このあたりが大きなデメリットです。

解体費用がこちら負担になりがち

原則として、購入後の建物の解体費用はその買い手が負担することになりますが、そもそものその土地を購入する条件として解体費用の値引きを要求されることが多いです。

もちろんその値引きに応じるか応じないかは売り手の自由ですが、その分の割引きに応じて交渉が成立するというケースも少なくありません。

そのため、売り手としては最初にその値引き分を考えて売却価格を設定する必要があります。

埋設物があるかわからない

土地を売却する場合は、瑕疵担保責任として埋設物の処理が挙げられますが、

解体工事で地中埋設物が見つかった場合の追加費用や対処法について

土地のみを売却する際に地中に埋設物が埋まっているというケースは少ないため、安心して売却することができます。

しかし、建物がついている場合はその土地の下の埋設物を売却前に確認することができないため、仮に埋設物が埋まっていた場合はその除去費用を売り手が負担しなければなりません。

これは中古物件を売却する際の欠陥が見つかった場合と同じですので、考え方によっては仕方がないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、このような建物付き土地の売却にはこのようなデメリットもあるということを覚えておきましょう。

解体して売るメリットとデメリット

中古物件を売却する際には、建物を解体して更地を売るという選択肢を取る方も少なくありません。

特に、売ろうとしている中古物件が古くてボロボロの場合は、買い手も結局解体工事をする必要があるため、それであれば初めから解体しておいたほうが売り手がつきやすいこともあります。

しかし、当然解体して売る場合にもデメリットがあるため、それも考えてから解体するかを決断する必要があります。

解体するメリット

解体してから売却する際には、

  • 瑕疵担保責任がなくなる
  • 空き家の管理をしなくてもよい

この辺りが代表的なメリットと言えるでしょう。

瑕疵担保責任がなくなる

先程もできてた瑕疵担保責任ですが、中古物件を売却する際には、家の中に何らかの欠陥が見つかった場合、瑕疵担保責任により売り手がその保証をしなければなりません。

一方の、建物付きの土地を売却した場合も、買い手がその建物を解体した後に発覚した埋設物の除去の費用を支払う必要が出てきます。

しかし、こちらで建物を解体して地中埋設物まで取り除いてしまえば、売却後に瑕疵担保責任に関するトラブルに巻き込まれることがなくなります。

空き家の管理をしなくてもよい

解体前の建物がボロボロになっている空き家の場合は、売り手も付きにくいだけではなく、その空き家の管理もしなければなりません。

例えば老朽化したブロック塀が倒壊して第三者に怪我を負わせたりする可能性もあるため、空き家を放置しておくわけにはいかないのです。

空き家を放置する怖いリスクと空き家を活用する様々な方法について

一旦解体してしまえば神経質になって管理する必要もないため、気軽に購入希望者を待つことが可能になります。

解体するデメリット

解体するデメリットとしては、

  • 固定資産税が高くなる
  • 解体工事の手続き等が面倒

この辺りが挙げられます。

固定資産税は住宅があったほうが安い

既に上述しましたが、居住用の建物が建てられている土地とただの更地とでは、固定資産税が6倍も変わってきます。

建物が建てられている土地は通常の固定資産税が6分の1になるという措置が取られるため、同じ土地を所有するとしても支払う税金が高くなってしまうのです。

更地にしても長期的に売れない場合は毎年6倍の固定資産税を支払い続けることになるため、その点も考慮して解体を決断する必要があります。

解体工事の手続き等が面倒

解体してから売却するということは、売却前に解体業者を探したり近所に挨拶をしたりする必要があるということです。

解体業者を探すのに時間がかかって結果的に売却活動が遅れてしまうというようなケースもありますが、悪徳業者の存在もあるため解体業者は慎重に探す必要があります。

⇒解体工事の悪徳業者を見抜く方法とトラブルが起きたときの対処法

また、解体工事の費用は売却価格に上乗せすればよいと考える方も多いですが、解体してから売却という流れになるため、まずはその費用を負担しなければなりません。

解体工事に入る前に確認しておけば安心なおすすめチェックリスト集!

その古家が大きければ大きいほど解体費用がかさむことになるため、その費用を事前に用意しておく必要があります。

古い家をうまく売るために重要なポイント

主に、古い家を解体してから売却する方法と、建物付きの土地として売る方法を紹介してきました。

最後に、古い家を早く売るためのコツを紹介させていただきます。

解体工事は状況に合わせて考える

一般的には、やはり古い家がついている土地よりも更地の方が需要が高い傾向にありますが、解体してしまった建物を元通りに戻すことはできないため、「解体前に本当に解体したほうが良いのか」を考える時間を設けましょう。

実際に、更地でなければほしくないという方が多い一方で、「土地が同じ価格で手に入るのであれば古い家がついていた方がメリットがある」と考える方がいらっしゃるのも事実です。

安易に解体してしまうと、古い家があったほうが良いという購入層を取りこぼすことになります。

解体工事はその気になればいつでもできるため、まずは様子を見てからどの方法で売却すればよいかを考えていくようにしましょう。

解体費用を上乗せした料金設定はリスクもある

解体した後の更地を売却する場合、施主としては相場に解体工事の費用を上乗せするのが当たり前だと考える方も多いです。

確かにその考え方は間違ってはいませんし、実際に解体費用を上乗せして売却する方も少なくありません。

しかし、例えばすぐ隣でそのあたりの相場通りの価格で土地が売り出されている場合は、購入者は当然安い方の隣の土地を選ぶ可能性が高くなります

実際に、相場よりも高い土地は売れ残る可能性も高くなるため、例えば

  • 建物付きの土地を少し高めに売りに出し解体費用の分を値下げする
  • 解体費用を折半する

という方が早く売れてしまうかもしれません。

古家売却の際の価格設定は難しいところですが、こちらも様子を見て料金を変えていく必要があります。

古い家のメリットを生かして活用しよう

中には、家が古いと売れないから不動産会社に解体工事をすすめられたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

解体工事を行うことで購入希望者が増えたというケースも確かにあるのですが、 解体しなければ絶対に売れないということもありませんし、解体することによって減ってしまう購買層がいるのも事実です

また、解体工事はいつでもできますが、一度解体してしまった古家を元通りにすることはできません。

解体してスムーズに売るというのも古い家を売却する方法の1つですが、まずはその古い家のメリットを生かし、建物付きの土地として売却してみてはいかがでしょうか。

結果的にそちらの方が高額で売却できる可能性もあるため、様子を見ながら売却活動を続け、必要に応じて解体工事を行うことをおすすめします。