工場にも様々なジャンルのものがありますが、一般的には床面積の大きなものが多いため、当然解体費用も高くなると考えがちです。

しかし、内部が簡易的な造りの工場も多いため、実際に見積もりを取ってもらったら思っていたよりも安かったということも少なくありません。

ただ、内装が充実している工場やプラントなどの危険が伴う建物の解体作業は、やはり高額になるケースも多いです。

例えば建売住宅の解体であれば、同じような住宅がたくさんあるため、その建物を解体する際の相場を把握しやすいです。

木造住宅を解体する時の料金相場と解体工事費用を安くするポイント

一方で、工場は1棟1棟が違った形状をしていたり、立地条件も特殊であることが多いため、実際に業者に見積もりを取ってもらわない限りは解体費用を知ることができません。

この記事では、そんな工場の解体費用のコストの相場や、プラントの解体、工場などの解体に使われる特殊な解体技術について紹介しております。

工場を解体するコストと工期

通常の建物を解体することを考えると、工場の解体費用はイメージがつきにくいという方も多いはずです。

同様に、大きな建物を取り壊すのにはそれなりの時間が必要だと感じていらっしゃるのではないでしょうか。

それでは、工場の解体コストや時間はどのように考えればよいのか。

まずは下記の2つを参考にしてみてください。

坪単価で目安を考えてみる

一般的な居住用の建物の場合は、鉄筋コンクリートやコンクリート造の他に、木造でできているものも少なくありません。

解体したいと思っている建物の構造を調べ、それに坪単価をかけることによって大体の解体費用の目安を確認することができます。

工場の場合は、一般的には鉄筋造や鉄筋コンクリート造のものが多いはずなので、同じようにそれを坪単価で考えてみることは可能です。

構造 坪単価
鉄骨造 35000円~45000円
鉄筋コンクリート造 45000円~50000円

例えば単純に計算して、鉄筋コンクリート造の100坪の工場の解体費用は450万円~500万円

しかし、形がいびつであったり、工事をするにあたっての準備に時間がかかったり、またはアスベストなどの処理にお金がかかったりなど、

アスベストの基礎知識。アスベスト含む住宅を解体する際の注意点

工事費用はバラバラになりがちです。

まずは坪単価から大体の工事の目安を考えてみるのもよいのですが、解体業者に見積もりを取ってみると全く違った金額が返ってくるケースも少なくありません。

解体工事業者を選ぶ方法|見極めるために大事な6つのポイント

工場を解体する工期の目安

一般の住居用の建物の解体であれば、純粋に解体工事をする期間だけを見ても1週間~2週間程度で終わってしまいます。

しかし、通常は解体工事前に業者を探したり様々な手続きをする時間が必要になるため、解体工事を考えてから工事完了までは2ヶ月~3ヶ月くらいかかることが多いです。

解体工事における業者選び~完了までに必要な期間・日数と5つの手順

一方の工場は、住居用の建物と比べると規模も大きいものがほとんどのため、準備にかかる時間も実際に工事をする時間も多くなることが考えられます。

特に特殊な工事を解体する場合は、その解体作業ができる業者を探すのにも時間がかかりますし、着工までにもそれなりの時間を見ておく必要があります。

解体工事自体の期間は、実際に取り壊す工場の床面積や高さなどの大きさによって大きく左右されがちです。

しかし、場所によっては1日の解体工事時間を長くとることのできるエリアもあるため、作業時間が長くなればそれだけ工期を短くすることも可能です。

このように、工期に関してもケースバイケースになるため、まずは工場の解体の経験を持つ業者に見積もりを出してもらうのが良いでしょう。

工場の解体に使われる特殊な解体技術

工場やプラントなどの大型の建物には、一般の一戸建ての解体では使わないような特殊な解体技術が使われることもあります。

今回はその中でも、

  • ジェットバーナー工法
  • ワイヤーソー工法
  • マイクロ波工法
  • レーザー工法

を紹介させていただきます。

ジェットバーナー工法

この技術はサーモドリル工法とも呼ばれており、灯油と酸素の混合ガスの炎を超音速で噴射することによってコンクリートや鉄筋を溶接します。

その時の温度は3000度以上にもなり、バーナーを使うため騒音や振動などの発生が全くないにもかかわらず鉄筋コンクリートなどを切断できるという特徴があります。

実際に、工場の狭い部屋の中でも安心して作業ができますし、鉄筋や鉄骨、鉄板などをはじめ、どのようなものでも切断することができるというメリットを持っているため重宝されています。

ワイヤーソー工法

非常に硬いダイヤモンドの砥粒をビーズに埋め込み、それを等間隔で装着させたダイヤモンドのワイヤーを利用した工法です。

ダイヤモンドのワイヤーを高速で回転させることによって、切断対象物をきれいに切ることが可能です。

こちらもジェットバーナー工法同様に、振動が発生しませんし、高速回転の音しか出ないため、どこでも安心して利用することができます。

実際に、複雑な鉄筋コンクリートの形状物の他に、高い場所や狭い場所など、場所を選ばず利用できるというのが大きなメリットです。

マイクロ波工法

マイクロ波にはコンクリートなどを透過するものも多いため、その性質を利用して内部を加熱しコンクリートを粉砕する技術です。

照射させる対象物との距離が近ければ近いほど、コンクリートの温度が急激に上昇するため破壊しやすく、外部と照射ポイントの温度差によって破砕が生じます。

こちらも従来の解体方法と比べると騒音や振動が少ないというメリットがありますが、マイクロ波が人に当たると危険なため、作業には保護装置が必要になってきます。

レーザー工法

パワー密度の高い高温のレーザーを利用することによって、鉄やステンレス、コンクリートなどの材料に関係なく溶解切断が可能です。

例えばチェーンソーで木材を切る際には、チェーンソーと体が密着しているため、時には反動で危険な目に遭うこともあります。

しかし、レーザーであれば非接触切断が可能ですし、基本的には完全に無振動で利用することができるため、幅広い場所で活用することができます。

さらに、コンピューターを利用しての遠隔操作での利用も簡単にできるため、注目を集めている技術の1つと言えるでしょう。

プラント設備を解体する上での業者の選び方

工場の解体に伴って、プラント設備を解体する必要が出てくるケースも少なくないはずです。

一般的な工場とは異なり、プラントの解体にはそれなりのスキルが求められることが多いです。

そのため、プラント解体に際して気を付けるべき業者の選び方を紹介させていただきます。

経験値の高い業者に任せるべき

普通の工場の解体であれば、何となく構造が理解できるという業者が多いですが、プラントは一般の建物とは異なり複雑な構造をしているものも多いです。

もちろん図面を見て解体の計画を立てることが多いはずですが、業者の経験値によってその構造を読み取る力が大きく変わってきます。

プラントにも似たような構造のものもあれば、特殊な構造をしているものも存在します。

そのため、逆に工事前にプラントの構造を何となく理解することができなければ、当然適切な見積もり費用を出すこともできませんし、作業に時間がかかったりします。

プラントを解体するのであれば、プラント解体の実績がある経験豊富な業者を選ぶことをおすすめいたします。

大型重機を持っている業者の方が安心

もちろん小さなプラントもありますが、大きなプラントを取り壊す際にはそれなりの大型重機も必要になってきます。

解体工事をお願いする際には、それらの大型重機を持っている業者を探して見積もりの依頼をするとよいでしょう。

例えば、大型重機のない業者であっても外から重機をレンタルし、それを使って工事をするということは可能です。

しかし、普段使い慣れていない大型重機を用いた解体作業では、工事が思うように進まなかったり、操作を誤って事故が発生したりする可能性も否めません。

当然解体業者としても細心の注意を払って解体工事を進めていくことになりますが、やはり普段から大型重機を使い慣れている業者の方がスムーズに工事が進みやすいです。

そのため、どうせプラントの解体工事を頼むのであれば、自社で大型の重機を保有しているところを見つけるようにしてください。

有害物質の除去は不可欠

解体予定のプラントが何のプラントだったのか、またはいつ建てられたのかによって、使用されている有害物質は異なります。

代表的なものだと、プラントにアスベスト含有建材が使用されている可能性も高いため、撤去にはきちんとした知識が必要になってきます。

同様に、ダイオキシンをはじめとする有害物質がプラントの一部に付着しているような可能性もあるため、それらを適切に除去する技術が求められます。

例えば今まで一戸建ての解体しかやったことがないような解体業者に頼んでしまうと、そういった知識がないことも考えられます。

そして、知識のない業者が解体作業を行うと、スタッフが有害物質でまみれてしまったり、周りにそれらの物質をまき散らすことになるのです。

そのような特殊なプラントを取り扱う場合は、専門の業者と協力してうまく解体をしてくれる業者を探す必要があります。

工場の解体費用を安くするための4つのポイント

何かとお金がかかりそうな工場の解体ですが、施主側が気を付けることで確実にその料金を下げられる方法も存在します。

最後に、その中でも代表的な、

  • ベテランの解体業者を見つける
  • 自分たちで処分できるものはやってしまう
  • 時期をずらすことで料金を下げる

を紹介していきます。

ベテランの解体業者を見つける

上述したように、規模の大きな解体工事は、基材や重機をどれだけうまく扱えるかによって工期が大きく変わってくる可能性があります。

同様に、ダイオキシンなどの有害物質を取り除くことのできる業者とのコネクションがあるかどうかでも、解体費用が異なります。

もちろん、工場の解体のみを専門に行っているというような解体業者は少ないかもしれませんし、工場の解体自体がそんなに多く行われるものでもありません

しかし、今までに工場の解体をやったことがある業者とやったことがない業者とでは、やはり前者の方が手際よく作業を進めてくれるはずです。

そのため、まずは工場の解体に対する知識を持った経験豊富なベテラン業者を探すことをおすすめいたします。

自分たちで処分できるものはやってしまう

一般の住宅の解体にも同じことが言えますが、解体工事で発生する廃材は全て産業廃棄物となるため、処分に多額の費用が必要になってきます。

解体工事で発生する産業廃棄物の処理費用と処分コストを下げるための工夫

もちろん工場で発生する廃材も同様に産業廃棄物ということになりますが、中には自分たちで処分することによって普通に捨てられるようなものがあるかもしれません。

処分に際して危険が伴うようなものに関しては業者にお願いしたほうが良いですが、自分たちでもできそうなものであれば自分たちでやってしまいましょう。

工場が広い場合は残置物の処分にもかなりの時間がかかりますし、面倒だと感じるかもしれません。

しかし、ちょっとしたことで解体費用を安くすることができるかもしれませんので、できることは自分たちでやってしまいましょう。

時期をずらすことで料金を下げる

例えば一般の住宅を解体する際には、取り壊した後に新しい家を建てるという計画を持つ方も少なくありません。

その場合は、できるだけ自分たちの都合で解体時期を決めて、なるべく早く工事をして欲しいと考える方も多いはずです。

しかし、工場などの場合は、解体した工場の後にすぐに何かを造る予定があるというケースばかりではないため、場合によっては工事時期をずらすことも可能なのではないでしょうか。

見つけた業者のスケジュールの都合などにもよりますが、解体工事が多く入っている時期とそうでない時期とでは、後者の方が安く工事してもらえることが多いです。

そのため、工事をあえてその業者の閑散期にしてもらうことによって、ある程度の解体費用の値引きが可能になる可能性があるのです。

特に急ぎで工場を解体しなければならないというものでないのであれば、業者のスケジュールに合わせて安くやってもらうというのも方法の1つです。

解体工事の一括見積もりサービスで複数の見積もりを取る

戸建てやマンションの解体工事であればもしかしたら知り合いなどの解体業者がいるという方もいるかもしれません。

しかし、工場のような大きな規模の解体工事になるとできる業者が限りなく決まってきてしまいます。

そうなるとイチから自分で探すということになり、解体工事をするまで時間も余計にかかることも多いです。

そんな時は、解体工事の一括見積もりサービスを使い複数の見積もりを取り、その中からプロの業者を紹介してもらうのも1つの方法です。

解体工事で一括見積りサイトを利用するメリット・デメリットまとめ。

このようなサービスを使えば自分でイチから解体業者を探すということもなくなりますし、中間に担当者が入ってくれるのでいろいろな相談にのってもらうことも可能です。

例えば、「解体工事の匠」さんなら優良業者を3社も紹介してくれる上に、担当者もすべてプロの方です。

くらそうね(くらそうね解体)の特徴と口コミ・評判は?おすすめできる理由

自分で業者を探すのもいいですが、時間や手間をあまりかけたくない方はこのようなサービスも活用してみてください。

まとめ

工場には様々な大きさや形状があるため、一般の住居用建物やビルなどと比べると相場を出すのが難しいです。

そのため、具体的な解体工事にかかる費用や工期などを知りたい場合は、実際に解体業者に見積もりを出してもらうことをおすすめいたします。

その際には、工場の解体経験を持つ業者とそうでない業者とでは、見積もりの価格に大きな差が出ることがあるため、できれば前者を選ぶようにしましょう。

経験が豊富な業者であれば工場解体の方法も心得ているため、工期がより短くなりやすいですし、解体費用も安くなりがちです。

また、自分たちでできることは自分たちで処理してしまうことによって、例え少額であったとしても解体費用の総額を安くすることも可能です。

大きな建物は解体費用が高くなりやすいため、色々工夫して少しでも安い方法を見つけてみましょう。