最近はフローリングを床に設置するご家庭も多いですが、かつての日本では畳が当たり前でした。
そのため、現代では和室を造る際には畳を利用し、それ以外の部屋にはフローリングを利用するという家庭も少なくありません。
しかし、床材にも様々なものがあるため、リフォームをするタイミングでそのほかの素材を利用するという家庭も存在します。
ただし、その家族のライフスタイルによって利用すべき床材が変わってきたりしますし、それぞれの床材にはメリットもあればデメリットも存在します。
それでは、一体どの床材がご自身のご家庭にあっているのでしょうか。
この記事では、そんな床をフローリングする際に知っておきたい床材の種類や特徴などをまとめました。
家やマンションで使われる床材の種類と特徴
それでは、床材にはどのようなものがあるのでしょうか。
- フローリング
- 畳
- クッションフロア
- カーペット
- フロアタイル
- コルク
などが代表的な床材になります。
まずは、それぞれの特徴をまとめてみたのでこちらをご覧ください。
無垢フローリング | 複合フローリング | 畳 | クッションフロア | カーペット | フロアタイル | コルク | |
価格 | 高い | 普通 | 普通 | 安い | 普通 | 普通 | 高い |
耐久性 | 普通 | 普通 | 低い | 普通 | 普通 | 高い | 普通 |
防音性 | 普通 | 普通 | 普通 | 高い | 高い | 低い | 高い |
触り心地 | 良い | 悪い | 良い | 普通 | 普通 | 悪い | 普通 |
汚れやすさ | 汚れやすい | 普通 | 汚れやすい | 普通 | 汚れやすい | 汚れにくい | 汚れやすい |
メンテナンス | しにくい | 普通 | しにくい | しやすい | 普通 | しやすい | 普通 |
バリエーション | 普通 | 普通 | 普通 | 普通 | 多い | 多い | 少ない |
それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
フローリングの床の種類
フローリングは、大きく
- 無垢フローリング
- 複合フローリング
に分けられます。
無垢フローリングの特徴
無垢フローリングとは、天然の木を利用した一枚板の床材のことを指します。
天然の木を利用しているということもあり、複合フローリングと比べても質感や肌触りが心地よいというのが大きな特徴です。
しかし、使われているのが天然の木ということは、その分デメリットもあるということができます。
無垢フローリングのメリット
最大のメリットは、なんといっても天然の木から得られる見た目や香りが良いという点。
天然の木は真冬であっても断熱性が高いため、足元が冷たくなってしまうということがありませんし、湿度を調整する効果もあるため室内が良い湿度で保たれます。
また、天然の木は常に変化を繰り返すため、経年によるフローリングの変わりざまを楽しむことも可能です。
無垢フローリングのデメリット
無垢フローリングのデメリットしては木になるため、時がたつにつれて劣化が発生し、割れたり反りが起こる可能性があります。
また、人工的な床材と比べると簡単に傷がつきやすいため、定期的にメンテナンスをしてあげる必要があります。
複合フローリングの特徴
一般的なご家庭で幅広く利用されているフローリングは、こちらの複合フローリングであることが多いです。
通常は、ベニヤ板を接着剤などで複数枚張り合わせ、その上に木目がデザインされた表面材を張り付けたフローリングになります。
複合フローリングのメリット
無垢フローリングとは異なり、木材に発生しやすい割れなどが起こりにくいですし、簡単に凹んだり傷ついたりすることがありません。
また、基本的には防水性が高いため、例えば何かをこぼしたとしても汚れが染みついたりすることがありませんし、幅広いご家庭で利用することができます。
また、よく利用されている素材になるため、例えば防音タイプなどをはじめとする様々な機能がついたものもあり、ご家庭にあった機能を選ぶことも可能です。
複合フローリングのデメリット
無垢のフローリングと比べると、人工的なフローリングだとすぐにわかってしまうようなものも少なくありません。
もちろん、中には本物そっくりなものや高級感が漂う複合フローリングも存在します。
しかし、当然その逆も存在し、きれいに設置したとしてもどことなく造りが安っぽく見えるものなどがあるため、部屋のデザインと一緒にどのようなものを設置すべきか考える必要があります。
畳の床の特徴
最近はフローリングの床も人気ですが、やはり日本人として和室を作りたいと考える方も少なくありません。
そして、そんな和室に利用される床材が畳なのです。
もちろん1部屋を丸々和室にするご家庭もありますし、洋室の一角に畳でくつろぐことのできるスペースを設置するご家庭も少なくありません。
畳のメリット
畳も無垢フローリングと同様に天然の素材になるため、肌触りが良いですし調湿作用に優れています。
例えば湿気の多い夏の時期にはその湿気を吸収してくれますし、反対に冬場などの乾燥する季節には湿気を出す効果があるため、室内の湿度をある程度一定に保つことが可能です。
また、老朽化した畳には当てはまりませんが、新しいものほど良い香りを放つため、畳の上で寝転んでくつろいだりすることでリラックスすることができるはずです。
畳のデメリット
畳の最大のデメリットとして挙げられるのは、耐久性が高くなく、老朽化しやすいという点になります。
また、例えば畳の上に液体物をこぼしてしまうとその液体がすぐに染みていってしまうため、その部分だけ色が変わってしまったり、日光に当たっている部分とそうでない部分で色が変わったりします。
さらに、メンテナンスをしなければホコリやダニがたまってしまうことも少なくないため、定期的にお手入れをしたり交換をする必要があります。
クッションフロアの床の特徴
例えば、リビングのフロア一面をクッションフロアにするというご家庭は少ないかもしれません。
しかし、水に強いという特徴を持っているため、キッチンや水回りの床にクッションフロアを利用するというご家庭は多いのではないでしょうか。
クッションフロアのメリット
クッションフロアの最大のメリットは、やはり水に強く耐久性に強いということや、汚れが付きにくいという点になるでしょう。
また、仮に汚れたとしても水ぶきをすることができるため、お手入れも非常に楽です。
更に、普段のメンテナンスだけではなく、設置価格が安く張り替えるのも簡単なため、気軽にリフォームすることが可能です。
それから、クッションという名がついているだけあり、床自体が柔らかいです。
例えば食器などを落としても、フローリングなどと比べると割れにくいという特徴を持っています。
クッションフロアのデメリット
例えばフローリングの一部が破損した場合は、その部分のみを剥がして取り換えることが可能です。
しかしクッションフロアの場合は基本的に一部のみの交換が難しいため、リフォームをするとなったら全体の張り替えになる可能性が高いです。
そのため、リビングなどの広範囲に利用するのではなく、トイレや脱衣所などの濡れやすく狭い場所に利用されることが多いです。
また、重たいものを置くと凹みやすいため、基本的にクッションフロアでは軽い家具を設置することになります。
カーペットの床の特徴
ホテルなどでカーペットの床が利用されているところも多いですが、ご自宅の床材にカーペットを取り入れるご家庭も存在します。
お手入れなどが大変な印象もあるかもしれませんが、メリットも多いため導入を考えてみるのもよいでしょう。
カーペットのメリット
断熱性が高いため、冬場でも足元が冷たくなりにくいですし、基本的には柔らかいものになるため、例えば転んでも大怪我をするという可能性が低いです。
また、遮音性に優れており音を吸収する効果を持っているため、走り回ったりしても音が響かないといったメリットも存在します。
カーペットのデメリット
カーペットには多くのメリットがあるのですが、例えばタバコをはじめとするにおいが付着しやすいですし、色のついた飲み物はすぐに吸収されるためシミになりやすいといったデメリットがあります。
また、カーペットの奥深くにほこりやダニなどがたまりやすいため、定期的にメンテナンスをしたり掃除機をかけたりしなければなりません。
ただし、最近は防ダニ、防臭などの様々な機能の付いたカーペットも存在するため、そういったものを利用すれば様々なデメリットを軽減することが可能です。
フロアタイルの床の特徴
タイルと聞いてお風呂場などで利用されるタイルを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、フロアタイルは塩化ビニール素材のタイル床材になります。
クッションフロア同様に水に強いという特徴がありますが、一般的なフロアタイルはクッションフロアよりも厚く硬く造られているため、より高級感を出すことが可能です。
フロアタイルのメリット
クッションフロア同様、水に強く汚れても水拭きできるという点が大きなメリットと言えるでしょう。
また、クッションフロアよりも硬いため、重い家具を置いたとしても潰れにくいという特徴を持っています。
さらに、クッションフロアは部分的な交換ができないのに対して、フロアタイルは部分ごとの交換が可能なため、メンテナンス面も楽だと言えます。
フロアタイルのデメリット
先ほどのカーペットの反対で、フロアタイルは音を吸収する効果が少ないため、足音などが響きやすいですし、硬い分足腰に負担がかかりやすいというデメリットを持っています。
また、クッションフロアとは異なり傷ついたり汚れたりした部分のみを交換できるというメリットがある反面、つなぎ目から水分が入り込んだりするリスクも持っています。
それから、冬場に裸足でいるとヒヤリとする素材になるため、夏場は心地が良いかもしれませんが、寒い時期には絨毯を敷くなどといった対策が必要です。
コルクの床の特徴
床材を変えると考えた時には、コルクを取り入れてみようとする方はまだまだ少ないようです。
しかし、コルク素材には数多くのメリットがありますので、注目が高まっている素材の1つと言えるでしょう。
コルクのメリット
コルクはカーペット同様に柔らかい素材のため、転んでも怪我をしにくいですし、断熱性が高いため冬場でも冷たいと感じることは少ないはずです。
また、カーペットのデメリットとして挙げられるホコリやダニなどの発生ですが、コルク素材はハウスダストが発生しにくいというメリットがあるため安心して利用できます。
さらに、遮音性にも優れているため、例えば走り回っても音を吸収して騒音になったりすることもありません。
コルクのデメリット
床の素材としてはまだまだ新しいものになるため、導入するにあたって値段が高くなりやすいという点が最大のメリットと言えるでしょう。
また、フロアタイルやカーペットなどと比べると、デザインや色などの種類も少ないため、コルクを導入する場合はどの部屋も似たような感じになってしまうという点も挙げられます。
家族の生活と床材の選び方
様々な種類の床材を上述しましたが、それでは実際に床を張り替えるとなった場合にどのような床材が適しているのでしょうか。
実は、家族構成やライフスタイルなどによっておすすめできる床材が異なります。
今回は、
- 生活の騒音を抑えたいご家庭
- バリアフリー化を考えるご家庭
- ペットのいるご家庭
- 日々の掃除を楽にしたいご家庭
に的を絞っておすすめの床材を紹介していきます。
生活の騒音を抑えたいご家庭
例えば、元気なお子様がいて家の中を走り回ったりする可能性が高い場合は、防音性の高い床材を利用すると家の中が静かになります。
防音性の高い床材の多くは、同時に転んでも安心できるものであることが多いため、家の中で転んでも安心できる素材を使うとよいでしょう。
具体的には、
- クッションフロア
- カーペット
- コルク
が適しています。
バリアフリー化を考えるご家庭
ご家庭に足腰が不自由な方や高齢者の方などがいらっしゃる場合は、リフォームをするにあたってバリアフリーを考える必要があります。
バリアフリーを考えた床材としてのポイントは、滑りにくく、仮に転んだとしても怪我をしにくい素材です。
具体的には、
- カーペット
- クッションフロア
などです。
ただし、将来的に車椅子を利用する可能性がある場合は、カーペットの素材によっては車輪に絡まったり車椅子の操作が困難になったりすることもあります。
ご家族の状況や将来的にどうなるのかということも考えて、適切な床材を選ぶようにしましょう。
ペットのいるご家庭
家の中でペットと暮らすというご家族も増えてきていますが、ペットが家の中で気軽に走り回れるような床材を導入することで、より快適な暮らしができるようになります。
例えば、家の中で生活を送る犬に多い脱臼や骨折などは、床材を変えることによって避けることも可能です。
実際に、人間とは異なり足の裏にも毛が生えている犬にとって、複合フローリングやタイルなどは滑りやすく関節にも負担がかかりやすいのです。
- 無垢フローリング
- コルク
- カーペット
そのため、滑りにくく足腰にも負担がかかりにくいこれらの床材は犬にも適していると考えられます。
ただし、カーペットなどはおしっこをされてしまうとお手入れが大変ですので、ご自宅のペットのしつけも併せて考えていなかければなりません。
日々の掃除を楽にしたいご家庭
床材を変える目的が、毎日の掃除を楽にしたいからだというご家庭もあるのではないでしょうか。
実際に、メンテナンスしやすい床材もあれば、逆に掃除やお手入れに非常に時間がかかったり、きれいに汚れが取れないような床材も存在します。
掃除のしやすさで考えると、
- 複合フローリング
- フロアタイル
辺りが良い床材と言えるでしょう。
その中でも、フロアタイルは汚れても水拭きすることができるというのが大きなメリットになるため、硬い床でも問題ないというご家庭にはおすすめです。
床リフォームの種類
それでは、実際に床のリフォームはどのように行われるのでしょうか。
床を新しくするには、大きく
- 張り替え
- 重ね張り
の2つの方法があります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
張り替えとは?
張り替えと言うのは、現在利用している床材を全て剥がしてから新しい床材を張っていくという方法になります。
例えばフローリングからコルクにする場合、フローリングを全て剥がしてしまい、その代わりにコルクを詰めていきます。
重ね張りとは?
現在利用している床材をそのまま残し、その上から新しい床材を重ねて張っていきます。
例えばフローリングからコルクにする場合は、フローリングをそのまま残し、そのフローリングの上にコルクを張っていくことになります。
それぞれのメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
張り替え |
・床下の状態をチェックできるため適した工事が可能 |
・他の部分の工事が必要になることもある ・古い床材が廃材になるためコストがかさむ |
重ね張り | ・工事が早く簡単に終わりコストも安くなりがち ・床部分が厚くなることで耐久性や防音性が増す |
・リフォームに伴い床の下を確認できない ・床全体が高くなるため不都合が出ることもある |
張り替えのメリットとデメリット
張り替えでは全て床材を剥がすことになるため、その床材を剥がした後の床下の状態を確認することが可能です。
例えば湿気により腐食していたりカビたりしている部分があればそこを修理してから新しい床材を張ることができるため、同時に床下のメンテナンスをすることができるのです。
しかし、その工事のせいですぐに終わると思っていた床のリフォームに時間がかかったり、今まで使っていた床材を処分しなければならないため、その分の費用が高くなってしまいます。
重ね張りのメリットとデメリット
重ね張りは張り替えとは異なりほとんど廃材が出ないため、廃棄物の処理費用をほぼゼロに抑えることが可能です。
また、現在の床材の上に新しい床材を取り付けるため、単純に床の厚みが増えてその分耐久性が増しますし、下の階などへの振動も少なくなります。
ただし、床が厚くなることで、今まで普通に利用できていたドアが床に引っかかったりするなどの不具合が出る場合は、張り替えをするかドアを変えるかしなければなりません。
また、床の下の状態を確認できないというのは大きなデメリットの1つになるため、予算に余裕があるのであれば住宅のチェックも兼ねた張り替えの方が良いでしょう。
床リフォームの価格相場
それでは、最後に床のリフォーム価格について見てみましょう。
床のリフォームのコストは設置する素材や設置方法、また設備などによって大きく変わってきます。
床リフォームの価格の目安
次の表は、それぞれの素材の6帖当たりのリフォームの目安です。
無垢フローリング | 総合フローリング | 畳 | クッションフロア | カーペット | フロアタイル | コルク | |
張り替え | 15万円~ | 10万円~ | 80000円~(新調) | 45000円~ | 55000円~ | 55000円~ | 12万円~ |
重ね張り | 13万円~ | 9万円~ | 45000円~(表替え) | 40000円~ | 50000円~ | 50000円~ | 10万円~ |
やはり張り替えの方が高いですが、思っていたよりも安いと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、これは単純な素材の価格と設置費用のみになるため、張り替える場合は元の素材の処分費用が含まれていません。
その処分費用は、元の素材が何かによっても変わってくるため一概にリフォームの全体代金を出すのが難しいのです。
なお、上述したのは6帖のリフォーム代金ですが、一般的には面積が大きくなればなるほど1帖当たりの単価が下がる傾向にあるため、きちんとサイズを計っての見積もりをしてもらいましょう。
床暖房を設置する場合の費用の相場
床をリフォームするついでに、床暖房を導入したいと考える方もいるのではないでしょうか。
床暖房を取り入れる場合は、床の素材を新しくするだけではなく、その下に専用のパネルなどを設置しなければならないため、やはりその分コストが割高になります。
種類 | 価格 |
重ね張り | 5万円~8万円 |
張り替え | 7万円~10万円 |
こちらは、床暖房を設置する際の1帖当たりの費用の相場になります。
なお、床暖房にも種類があり、場合によってはこれよりも大幅に高くなる可能性があります。
しかし、それぞれの種類にメリットがあるため、床暖房を導入する際にはリフォーム業者とよく話し合って最善のものを選択することをおすすめいたします。
床暖房の細かい情報やリフォームの相場などについては「床暖房のリフォームに掛かる費用の相場と設置する際の4つのポイント」をご覧ください。
まとめ
床のリフォームをしようと思っている方の中には、今までと同じフローリングを安く張ってもらおうと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、単純に床材の新調と言っても、様々な種類がありますしリフォームの工法も複数存在するため、その中から適切なものを選択しなければなりません。
やはりフローリングからフローリングへのリフォームも多いですが、リフォームを機に新しい床材を試してみたいというご家庭も少なくありません。
実際に、家族構成やご家族の状態によって適した床材もあればその逆も考えられます。
どの床材が適しているのか、どの床材であれば安心して生活できるのかを家族で話し合い、満足できる床リフォームをしていきましょう。