最近は鉄骨造の住宅も多くなっていますし、木造住宅を解体してから新しく鉄骨造の建物を建てようと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
また、昔からずっと所有している古い建物の多くは木造住宅である可能性も高いです。
古くなった住宅は、いずれは解体をしなければなりませんが、解体費用が気になってなかなか工事を依頼できないという方も多いようです。
しかし、鉄骨造の建物と比べると、木造住宅は安く解体できる傾向にあるため、比較的安心して見積もりをお願いすることができるはずです。
この記事は、そんな木造住宅の解体費用の相場や、コストを少しでも下げる方法などを紹介させていただきます。
目次
木造住宅が鉄骨造よりも安く解体できる理由
木造住宅は鉄骨造よりも安く解体できるとお伝えしましたが、まずはその理由を簡単にお伝えいたします。
家の解体費用に影響するポイント
解体予定の建物の土地面積などが解体費用に最も大きな影響を与えると考えられがちですが、実は解体費用のコストにはその他にも様々な点がかかわっています。
- 家の大きさ
- 家の構造
- 残置物の有無
- 解体スタッフの数
- 解体スタッフのコスト
- 手作業の量
- 立地環境
- 産業廃棄物処理費用
代表的な部分でこの辺りになりますが、2番目の家の構造が解体工事費用を大きく左右することがあるのです。
もちろん日当1万円のスタッフが3人の場合と5人の場合とでは、1日当たり2万円の差が出るため、解体工事が10日間行われたら20万円もの違いが生じます。
しかし、敷地面積が大きくなればなるほど、木造住宅の方がお得に解体できると感じるはずです。
建物の構造と解体費用の関係
例えば、都心と郊外の解体費用を比べると、やはり人件費などの関係で一般的には都心での解体工事の方が高くなりがちです。
そのため解体工事の価格を一概にお伝えすることはできませんが、費用の相場は家の構造によって割り出すことも可能です。
家の構造 | 平均の坪単価 |
---|---|
木造住宅 | 2.5万円前後 |
鉄骨造 | 3.5万円前後 |
鉄筋コンクリート | 4.5万円前後 |
このように、家の構造によって1坪当たりの解体費用に差が出てきます。
単純に計算すると、30坪の建物を解体するとなった場合、木造住宅と鉄骨造では30万円ほどの差が出ます。
そのため、解体する建物が大きくなればなるほど、木造住宅の解体がお得に感じられるということになります。
解体工事に必要なコストの詳細
それでは続いて、
- 仮設工事
- 建物内部の工事
- 屋根の工事
- 重機での解体
- 基礎の撤去
- 廃棄物処理費用
- 重機の運搬コスト
- 人件費
- エクステリアの解体
- 諸経費
などの解体工事や人件費、重機にかかるコストを細かく見ていきましょう。
仮設工事のコスト
解体工事をする前には、工事で発生する粉塵や騒音などを防ぐ目的で養生シートで建物を覆うことになります。
その設置には1平米あたり500円~1000円程度のコストが必要になりますが、解体する建物の周囲に迷惑をかける家などがない場合はこの部分を削ることも可能です。
コスト:1平米あたり1000円弱
建物内部の解体工事のコスト
木造住宅を解体する際には、最初にその建物の内部の設備を撤去する必要があります。
窓ガラスや石膏ボード、またはトイレやお風呂などの生活の設備を取り除くのですが、ここでは重機を使用せずに手作業で行われることが多いため、内部解体のコストは意外と高くなります。
コスト:1平米あたり1万円弱
屋根の解体のコスト
内装の解体同様、屋根の解体も基本的には手作業で行われることになります。
屋根瓦を1枚1枚手で撤去していくため、使用されている広さに応じて価格が変動します。
また、撤去された瓦は廃棄物として処理されることになるため、その素材によっても費用が変わってきます。
コスト:1平米あたり2000円弱
重機での解体のコスト
内装と屋根を解体したら、後は内部が空っぽになった状態の木造住宅を重機を使用して壊していくことになります。
手作業ではないため比較的この部分は安く抑えることができますが、重機を使用するため、安全対策として人員を整備したりすると若干割高になることもあります。
コスト:1平米あたり5000円弱
基礎の撤去のコスト
重機を利用して木造住宅を解体したら、続いてその下の部分にある基礎を撤去する必要があります。
基礎を撤去するにあたってコンクリートがらなどの廃棄物が出てきますが、その廃棄物の処理費用がこの項目に含まれることもあります。
コスト:1平米あたり5000円弱
廃棄物処理費用のコスト
解体工事では、必ず大量の産業廃棄物が発生します。
それらの廃棄物は材質ごとに分けて適切に処分する必要があるのですが、この部分は業者によって見積もり価格が大幅に異なることも少なくありません。
材質ごとに分けてそれぞれの処分費用を出す業者もあれば、分別せずに混合廃棄物として処分するケースもあります。
コスト:1平米あたり5000円~2万円程度
重機の運搬のコスト
木造住宅の解体工事に重機を使用する場合は、その重機を解体現場まで運ぶためにコストがかかります。
1往復でこれくらいの価格になりますが、一般的には一度持ってきた重機はそのまま解体現場に置くことになります。
毎日のように運搬しなければならない場合は、重機をする日数分の費用が上乗せされることになります。
コスト:4万円前後
人件費の相場
ここは地域によっても差が出る部分になりますが、一般的には1つの木造住宅を解体するのに複数人のスタッフを利用する必要があります。
特にて作業が多くなる現場ではスタッフの数を増やさないと工事が長引く可能性もあるため、その分人件費がかさむことも少なくありません。
コスト:1人当たり15000円前後
エクステリアの解体のコスト
メインとなる住居の他に、その周りにあるエクステリアを解体するという場合は、それらの解体費用が追加でかかってきます。
エクステリアの種類によって価格は大きく変わってきますが、例えばブロック塀の場合は1平米あたり2000円程度になることが多いです。
しかし、エクステリアは大きさもバラバラなため、実際のものを見て判断してもらう必要があります。
コスト:種類によって変わる
諸経費のコスト
業者によって諸経費に含む項目が変わってくるため何とも言えませんが、一般的には解体工事に必要な各種申請にかかるコストなどが含まれることが多いです。
例えば車両を公道に駐車するための道路使用許可や、床面積が80平米以上の建物を解体する際に必要なリサイクル法による届け出などがそれに当たります。
コスト:数万円程度
解体工事にかかるコストの詳細の表
項目 | コスト |
---|---|
仮設工事 | 1平米あたり1000円弱 |
建物内部の工事 | 1平米あたり1万円弱 |
屋根の工事 | 1平米あたり2000円弱 |
重機での解体 | 1平米あたり5000円弱 |
基礎の撤去 | 1平米あたり5000円弱 |
廃棄物処理費用 | 1平米あたり5000円~2万円程度 |
重機の運搬コスト | 4万円前後 |
人件費 | 1人当たり15000円前後 |
エクステリアの解体 | 種類によって変わる |
諸経費 | 数万円程度 |
業者選びで費用が大きく変わる!見積もり時の3つの注意点
木造住宅を解体する際には、業者選びにも気をつける必要があります。
利用する業者によって価格が大きく変わるため、解体工事にかかる費用を減らしたいという方は、見積もりをする際に以下のことに注意していきましょう。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 有名な業者は極力避ける
- 中間マージンが少ない業者を選ぶ
相見積もりは基本中の基本
解体業者は全国にたくさんありますが、実際に解体工事をお願いするのはその中の1社のみとなります。
中には、最初に見積もりを依頼した業者にそのまま解体工事をお願いしてしまう方もいらっしゃいますが、 すぐに解体しなければならないため複数の業者に見積もりをお願いすることができないなどの事情がない限り、相見積もりをおすすめいたします。
相見積もりをすることでそれぞれの業者の解体コストを比較できるだけではなく、その木造住宅に対する解体費用の相場も明確になります。
⇒外構工事の見積書で見るべき4つポイントと相見積もりの依頼について
また、それぞれの業者の担当スタッフからその業者の雰囲気が何となくつかめるため、結果的に信頼できる業者に解体工事を依頼することができるからです。
例えば解体する建物が遠方にある場合などは相見積もりも大変だと感じるかもしれませんが、安心して工事をお願いするためには欠かせないステップです。
⇒放置は絶対ダメ!遠方にある家屋を解体工事する際に抑えるべき注意点
知名度の高い業者は解体費用も高い場合が多い
有名な業者がなぜ有名なのかと言うと、それだけ新聞広告やテレビコマーシャルなどに露出する機会が多いからです。
もちろん中には口コミだけで知名度が高くなっている業者も存在するかもしれませんが、やはりほとんどの有名企業は高額な広告費用を使うことで世間的な認知度を高めています。
その広告費用を支払うのは実際にその業者を利用する顧客ということになりますが、高額な費用を支払うには解体費用のコストを高く設定しなければなりません。
実際に、知名度が高いから安心できるという理由で高い解体費用を支払う方も少なくありません。
一方で、広告費にお金をかけていない解体業者は、その分解体工事費用を安く設定することが可能なため、一般的には広告費にお金をかけている解体業者の方が解体費用が高くなりがちなのです。
解体工事の中間マージン
解体業者は大きく
- 自社ですべて解体を請け負う業者
- 下請けの業者に解体工事を任せる業者
の2つに分けることができます。
当然ですが、後者の場合は下請けの業者に支払う費用の他に、実際にやり取りをする業者にマージンを支払わなければなりません。
解体工事における中間マージンとは、手数料のこと一般的に大手メーカーになればなるほど中間マージンは高くなる傾向にある。
もちろん見積書にマージンという項目が記載されるわけではないですが、自社で解体する業者と比べると確実に工事の費用が高くなります。
中には、下請けではなく孫請けがその解体工事を請け負うというケースもありますが、間に業者が入れば入るほど、解体工事のコストが高くなっていきます。
逆に言えば、 自社で解体工事をしてくれる業者を選ぶことができれば、マージンがかからないため、結果的に格安で解体工事をお願いすることができるのです。
解体費用を安くするためにできる2つのポイント
それでは最後に、どの業者に解体工事を依頼したとしても確実に費用を下げることのできる方法を2つ紹介させていただきます。
- 残置物を自分で処分する
- 申請手続きを自分で行う
この2つを細かく見ていきましょう。
残置物の自己処分でコスト削減
解体工事の費用には廃棄物の処理費用も含まれているため、その廃棄物の量を減らすことができれば必然的に工事費用が安くなります。
木造住宅を解体する際に発生する廃棄物はどうしようもありませんが、解体予定の家の中に残っている電化製品や家具、細々としたアイテムなどをご自身で処分すれば、その分だけ安く工事してもらえるのです。
残置物の処分と言っても、実に様々な方法があります。
- 粗大ゴミで回収してもらう
- リサイクルショップに引き取ってもらう
- ネットショップで販売してみる
- 不用品回収業者にお願いする
- 知り合いに譲る
この辺りが代表的な手段になりますが、どの方法にもメリットとデメリットがあるため、それぞれを把握してベストな方法を選びましょう。
⇒解体工事前に不用品を処分する様々な方法とそれぞれのメリット・デメリット
解体工事に必要な申請手続き
解体業者に解体工事をお願いしたら、基本的にはその工事に必要な各種申請の手続きは全てその業者が代行して行ってくれるはずです。
しかし、それらの申請を自分で行うことによって、申請にかかるコストを最小限に減らすことができます。
例えば、解体工事後には建物滅失登記の申請をすることになりますが、これを自分でやることによって数万円分の費用を浮かすことも可能です。
もちろん解体業者にまとめてやってもらった方が安心ですしスムーズに手続きが完了しますが、解体工事費用を少しでも安く済ませたいという方にはおすすめです。
⇒解体工事後に行う建物滅失登記とは?しなかった場合のデメリット。
木造住宅の解体費用を少しでも安くしよう
木造住宅の解体費用は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物の解体と比べると安くなります。
しかし、それでも大きな建物を解体するためのコストはかなりのものになりますので、少しでもそのコストを減らしたいと考える方が多いです。
今回は、解体費用の詳細の他に解体工事の費用を根本的に下げる方法をいくつか紹介させていただきました。
実際に行うことによって確実に解体工事費用が下がるものもありますので、少しでも費用を安くしたいという方は試しにやってみるとよいでしょう。
数十万円や100万円以上の解体工事に対して数万円安くなってもしょうがないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その積み重ねが工事費用を大きく下げることにつながるのです。