解体したいと思っている建物が、軽量鉄骨でできているというケースも少なくありません。
建物と言えば木造や鉄筋コンクリートだと考える方もいらっしゃいますが、鉄骨でできている家屋は意外と多いのです。
軽量鉄骨の解体費用は、その建物の大きさなどによって大きく変わってくるため一概にはお伝えできません。
しかし、今回はそんな軽量鉄骨の解体コストの相場を床面積ごとに解説しています。
また、軽量鉄骨をはじめとする建物の解体をするために必要な資格や、解体工事の費用を少しでも安くするための様々な方法を紹介させていただきます。
軽量鉄骨住宅の特徴と解体コスト
建物の構造は様々な種類に分けられますが、現代の日本で幅広く利用されているのは
- 木造
- 鉄骨
- 鉄筋コンクリート
の3種類になります。
それでは、軽量鉄骨は他の素材と比べてどのように違うのでしょうか。
また、その軽量鉄骨の解体にはいくらくらい必要になるのでしょうか。
軽量鉄骨とは厚さが6ミリ未満の鋼板を加工した素材
軽量鉄骨とは、鉄骨の中でも厚さが6ミリ未満の鋼板を加工した素材のことを指し、厚みが薄いためにその建物全体の重さを軽くすることができる素材です。
もちろん重量鉄骨で戸建てを建てるケースもありますが、その場合は建物全体が重くなるため、その重さに耐えられる基礎や地盤を造る必要があり、高コストになりがちです。
軽量鉄骨は、鉄骨でありながら重量鉄骨のデメリットを取り除いているため一般の住宅にもよく利用されていますが、やはり木造と比べると解体費用が高くなってしまいます。
木造よりも造りが頑丈なため解体に手間がかかりますし、解体に利用する重機のアタッチメントを軽量鉄骨用のものに換えるなどする必要があるため、その分で解体コストが高くなるのです。
建物の構造によって異なる解体費用の相場
解体工事は建物の大きさで大体の相場を調べることができますが、それは坪単価というものが存在するからです。
しかし、その坪単価は建物の構造によって大きく変わってきます。
建物の構造 | 坪単価 |
木造家屋 | 25000円~35000円 |
鉄骨家屋 | 35000円~45000円 |
RC家屋 | 45000円~70000円 |
これが構造ごとの大体の相場になるのですが、これはあくまで平均です。
例えば沖縄と東京都では人件費をはじめとする物価が大きく異なるため、坪単価がこれを上回ったり下回ったりすることもあります。
また、解体する建物の大きさによっても1坪当たりの単価の相場が変わってくるため、それについては下で詳しくお伝えいたします。
床面積で見る軽量鉄骨の解体相場
先ほどは、構造ごとの解体工事にかかる費用の相場を紹介しましたが、続いて軽量鉄骨住宅の解体工事の相場を床面積ごとにまとめたものをご覧いただきます。
相場を調べるためには解体する建物の床面積が必要になってくるため、予め何坪程度なのかを調べておきましょう。
軽量鉄骨住宅の床面積 | 坪単価の平均 |
10坪未満の解体相場 | 4.3万円 |
10坪以上の解体相場 | 2.9万円 |
20坪以上の解体相場 | 2.9万円 |
30坪以上の解体相場 | 3.4万円 |
40坪以上の解体相場 | 3.1万円 |
50坪以上の解体相場 | 3.7万円 |
60坪以上の解体相場 | 3.0万円 |
70坪以上の解体相場 | 4.0万円 |
解体したいと思っている軽量鉄骨の床面積が45坪の場合は「45×3.1₌約140」ということで、解体工事にかかる費用は140万円程度になる可能性が高いです。
ただし、例えば重機が利用できずに手作業での工事が必要になる場合は、重機で数日できるところを1週間かけて行う必要が出てくるため、工期が延びた分だけ人件費が余分にかかることになります。
この他にも、立地条件などによって実際の解体費用が相場と大きく異なるという可能性も当然でてきます。
解体したい建物の実際の解体費用を知るためには、やはり複数の業者に見積もりを取ってもらうことをおすすめいたします。
⇒外構工事の見積書で見るべき4つポイントと相見積もりの依頼について
軽量鉄骨の解体コストを下げるための様々な方法
木造の建物を解体することを考えると、やはり軽量鉄骨の解体は割高になりますし、実際に見積書を見て高いと感じる方もいます。
しかし、業者にもらった見積書を見直すことで、解体費用を安くすることも可能です。
具体的には、
- 見積書を見て不要な項目を削除する
- 安すぎる見積書の理由を確認する
- 値引き交渉を試みる
などをやってみると、価格が大幅に下がる可能性が高いです。
見積書を見て不要な項目を削除する
業者に見積書をもらったら、トータルの金額だけではなく「具体的にどの項目がどれくらいの価格なのか」という詳細を確認してみましょう。
項目を確認することによってそれぞれに必要な金額がわかりますし「この項目は自分でできるから業者にお金を払ってやってもらう必要がない」という部分も見つかるかもしれません。
例えば、解体予定の建物に残置物がある場合は、それらを処分するための処理費用という項目があるかもしれません。
しかし、家具や家電は自分でも処分することができますし、その方がはるかに処分費用が安くなるため、それをするだけで解体費用を大きく下げられます。
同様に、解体工事後に行う建物滅失登記をはじめとする届出や許可の提出にもお金がかかりますが、
⇒解体工事後に行う建物滅失登記とは?しなかった場合のデメリット。
それらの申請も自分でやることによってコストを削減することが可能です。
解体業者のスタッフにも、他に自分でできるところはなさそうか?
ということを聞いてみることで、さらに解体費用を抑えられるかもしれません。
値引き交渉を試みる
単純に、業者に安くしてほしいという値引き交渉を行うことで、ある程度は安くしてくれる業者も存在します。
もちろん業者によっては、ギリギリのところで見積価格を出しているため、これ以上は絶対に安くすることはできないというところも存在するはずです。
しかし、利益分を少し削ってくれたりする業者もあるため、大幅な値下げはできないとしても値引き交渉をしてみる価値はあります。
なお、この値引き交渉をした結果、解体費用が大幅に下がるような業者は、最初はぼったくりの料金を提示していたと考えることもできます。
場合によっては不法投棄をして産業廃棄物の処理費用を浮かせようとしている業者である可能性も高いです。
不自然な値引きはトラブルにつながる可能性もあるため、大幅に値下げをしてくるような業者には注意が必要です。
⇒中間マージンから考える解体費用を安く抑えるためのポイントと注意点
安すぎる見積書の理由を確認する
やはり解体工事は安く済んだ方がいいと、多くの方が少しでも見積価格が安い業者を選ぶ傾向にあります。
しかし、相場と比べてあまりにも安すぎる料金を提示してくるような業者には何か裏があると考えて、できるだけ利用を控えるべきでしょう。
ただ、なぜこんなに安くなるのかという理由をはっきりと説明できる業者であれば、本当にお得に解体工事ができる可能性もあるので利用してみるのもよいかもしれません。
そうでない業者は、上述したように不法投棄などで産業廃棄物の処理費用を浮かせようとしていたりする可能性もあるため、自分で出してきた見積書の詳細をしっかりと説明できない業者は選ぶべきではありません。
軽量鉄骨の解体ができる業者の選び方
軽量鉄骨の解体に関わらず、解体工事を事業として行う場合にはそのための資格が必要になってきます。
まずは、その解体業者が
- 解体工事業登録
- 建設業許可
を持っているかを確認しましょう。
また、
- 産業廃棄物収集運搬業
- 産業廃棄物中間処理業
を持っていると解体工事費が安くなる可能性もあります。
解体工事業登録と建設業許可の違い
解体工事業登録とは、工事をする都道府県に登録をすることによって、その都道府県内で500万円未満の解体工事を行うことが可能となります。
一般的には事務所を構える都道府県で登録することになりますが、仮に県外で工事を行う場合は、その県で新たに登録の申請をする必要があります。
一方の建設業許可は、500万円といった金額の上限もないですし、どこの都道府県であっても工事を請け負うことが可能です。
ただし、事務所が1カ所であればその事務所のある県知事に許可をもらえばよいのですが、事務所が全国の様々な場所にある場合は国土交通大臣による許可が必要になってきます。
違いは下記の表を参考にしてみてください。
資格名 | 解体事業登録 | 建設業許可 |
金額による制限 | 500万円までの解体工事のみ可能 | 金額に関わらず解体工事ができる |
場所による制限 | 登録している県のみ | 日本全国どこでも可能 |
保有していない業者は違法業者
軽量鉄骨の解体の場合は、普通であれば500万円もかかることが少ないはずですので、上記のうちの解体工事業登録しか持っていない業者であっても、安心してお願いすることができるはずです。
しかし、どちらも持っていない業者は法律に違反している業者ということになるため、そういった業者が解体業を行うことは禁じられています。
万が一どちらの資格も持たない業者に解体工事を依頼してしまった場合、誠実に対応してくれるケースは珍しくトラブルになる可能性も高いです。
解体工事を依頼する前に、役所で登録や許可があるかを調べることができるため、無駄なトラブルを避けるためにも確認しておくことをおすすめいたします。
産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物中間処理業
解体業者であれば、上述した資格のどちらかを保有しているのは当たり前のことですが、それに加えて産業廃棄物関係の資格も持っていると解体工事が安くなる可能性があります。
それぞれの資格の名前通り
- 産業廃棄物収集運搬業⇒工事で排出された廃棄物を処理場まで運搬するための許可
- 産業廃棄物中間処理業⇒その廃棄物の粉砕や焼却などを行うための許可
となります。
上記の解体工事業登録と建設業許可は、あくまでも解体業を行うことのできる資格になり、その解体業を営む上で発生する産業廃棄物に関する資格はまた異なるのです。
当然これらの資格を持っていない解体業者も多いですが、持っていない場合は産業廃棄物を運ぶことができないため、その資格を持つ別の業者に外注することになります。
外注してお願いする場合は、これらの許可を持っている業者を利用するよりも解体費用が高くなる可能性が高いため、逆に産業廃棄物関係の資格を持っている業者に軽量鉄骨の解体をお願いできれば、工事費用がその分安くなることもあるのです。
まとめ:軽量鉄骨の解体費用をまずは知ろう
解体する建物の床面積を調べて坪単価を見ることで、軽量鉄骨の大体の解体費用を知ることが可能です。
しかし相場はあくまでも相場ですので、解体する建物の立地条件などによって実際の解体費用が安くなることもあれば、逆に割高になってしまうこともあります。
そのため、きちんとした解体工事のコストを知るためには、解体業者に連絡を入れて見積もりをしてもらう必要があります。
その際には、 より正確な相場を調べるためにも複数の業者に相見積もりを取ってもらうことをおすすめいたします。
思っていたよりも見積価格が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、解体コストを下げる方法は複数存在するため、信頼できる業者を見つけ、その業者と相談しながら工事費用を安くしていきましょう。