最近は、田舎の一軒家を相続したというような話をよく聞きますが、その一戸建ては築何年ほどたっているものになりますでしょうか。

ご両親がお年を召してから建てられた住居であれば、そこそこ新しい建物かもしれませんが、中には先祖代々受け継がれているような古い住宅も存在します。

そういった古い建物を相続しても使い道などないと考える方は多いため、真っ先に思い浮かぶのはやはり解体工事です。

持っているだけで固定資産税がかかりますし、空き家を放置すると様々なトラブルに発展する可能性もあるため、やはり解体して売ってしまった方が良いと考える方は少なくありません。

しかし、そのような古家や古民家の解体はいくらくらいかかるのでしょうか。

今回は、古くなった住宅解体工事について、活用について紹介していきます。

古民家って何?主な特徴と違い

人間が住む建物のことを住宅などと言ったりしますが、古くなった建物は古家や古民家などと言われることもあります。

全てが一般的に家と呼ばれている建物を指す言葉になりますが、一体その違いは何なのでしょうか。

住宅とは人が住むことのできる建物

住宅と聞いて意味がわからないという方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、一般的には人が住むことのできる建物のことを指します。

現在進行形で人が住んでいる建物に対して住宅という言葉が使われますが、空き家であったとしても比較的築年数の浅い建物は住宅に含まれます。

古家とは住宅の中でも古くなった建物

住宅の中でも、古くなった建物のことを古家といいます。

人が住んでいなかったとしても、比較的新しくまだまだ住宅としての機能を持っている建物や資産価値がある建物は古家とは言いません。

逆に、一般的に問題視されている空き家は資産価値がないモノも多いですし、人が住むうえでの役割を十分に果たせないものも多いため、古家に含まれます

古民家とは伝統的な日本の建築方法によって建てられているもの

古家と古民家の区別がなかなかつきにくいという方も多いと思いますが、古民家として一般的に扱われている建物は、伝統的な日本の建築方法によって建てられているものが多いです。

例えば現在は建材同士を固定するために釘が使われることが多いですが、昔ながらの日本の住宅では釘をほとんど使わずに建てられていることもあります。

こう言った建物の中で、築年数がある程度いっているもののことを古民家と呼んでいます。

古民家解体のコスト(費用)

それでは、古民家の解体にはどれくらいの費用が必要なのでしょうか。

最近建てられた住宅とは大きく異なるため、費用が気になるという方も多いはずです。

古民家解体の費用の相場

昔ながらの日本の住宅は木造で作られていることが多いと思いますが、木造家屋を解体するとなったら一坪当たり3万円前後~になる可能性が高いです。

もちろん地域によって坪単価の相場は変わってくるため一概に言うことはできませんが、単純に計算するとしたら30坪の古民家を解体する費用は90万円程度になるということになります。

古民家の解体相場は現代で言う木造家屋の解体相場とほぼ同じと考えて問題ないですが、古民家には現代では手に入らないような貴重な古材が使われていることも少なくありません。

そのような古材は買い取ってもらうことも可能ですが、解体時にはそれを傷つけないようにしなければならないため、解体費用が割高になることもあります。

古材の買取については下で詳しく紹介させていただきます。

立地条件でコストが変わる

古民家は広大な敷地に建てられているところが多いため、基本的には重機が入り込むことのできない立地のせいで解体費用が高くなってしまうというようなことは少ないはずです。

しかし、道路に対して高い場所に建てられているような古民家の場合は、重機が入り込めなかったり、廃棄物を運搬する車両を解体現場付近に駐車できないなどの問題で、解体費用が割高になってしまいます。

人の手を使っての解体はどうしても時間がかかりますので、それだけ工期が延び、その分費用が高くなってしまうのです。

作業人数によってコストが変わる

解体工事の費用の内訳は様々ですが、中には人件費がかさんでしまうケースもあります。

他を削減できたとしても、やはり人件費を安くすることは難しいですし、工事に関わるスタッフの数が増えれば増えるほど人件費は膨れ上がります。

古くからある古民家は大きな作りになっていることも多いですので、やはり人を増やしたほうが短時間で作業を終わらせることができます

もちろん人手が少なければ工期が延びてその分費用も掛かることになるのですが、早く工事を終わらせるには作業人数を増やす必要があります。

隣家との距離によってコストがかわる

古民家が建てられている地域の中には、近所まで歩いていくことができないというような家密度のところもあります。

通常の解体工事は、近所の家や通行人に騒音や振動、粉塵などの迷惑がかからないように、養生シートを設置したりする必要があります

養生シートの中には防音対策に優れたようなものもあり、そういったシートを利用すると追加で費用がかかることもあります。

しかし、その迷惑をかける対象となる人々が周りにいなかったり、通行人もいないような場合は、養生シートの費用を安くすることができるかもしれません。

建材をリサイクルに回すこともある

古民家の中には、現代では価値の高い木材などが利用されているようなケースも存在します。

そういった木材は、きれいに解体することによって買い取ってもらえる可能性もあります。

古材の買取

古民家を解体したいと考える方が多い一方で、その古民家を再生させて活用しようという動きも高まってきています。

そして、古民家を再生させたいと考えている方や古材を活かして何かを造りたいと考えている方などにとっては、古民家から出る古い木材は貴重なものになります。

古民家を解体する際には、ひょっとしたら需要の高い木材が使われている可能性もあります。

そういった木材があるのであれば、買い取り業者に相談してみるのもよいでしょう。

ひょっとしたら、解体工事の費用を大きく下げることができるかもしれません

価値のある木材とは?

古民家を解体する際に出る古材を買い取ってもらうためには、当然その古材に何らかの価値がなければいけません。

現代の住宅に使われている木材は、基本的にはきちんと加工されたものが多いですし、釘を利用してしっかりと固定されています。

そういった木材には価値がありませんが、一方で戦前の木材工法である釘なしでくみ上げられた日本の伝統的な工法を利用された建物に使われている木材には価値がある可能性があります。

現在の木造住宅に使われている木材とは比較にならないほどの太い素材を利用している住宅もあるため、気になる方は一度専門家に見てもらうとよいでしょう。

一般的には、築80年以上経過している古民家には、そういった木材が使われている可能性が高くなります。

古材を保護した解体工事について

例えば、価値のある木材があったためそれを売るとなった場合は、その木材を傷つけないように慎重に解体工事を進めていかなければなりません。

現代で当たり前のように行われている重機での解体が難しいことも多く、結果的に手作業で解体工事をしなければならないケースも少なくありません。

⇒解体工事で重機が使えない場合の手壊し解体にかかる時間と費用について

そうなると、工事にかかる日数が増えることになりますし、作業員の数も通常より多くなる可能性が高いです。

きれいに外された古材には高い価値がつくかもしれませんが、その古材を取り出すための解体工事の方が高くなるといったケースもあるため、一概にどちらがいいとは言えません。

解体工事前に比較しよう

解体工事を行う前には、複数の業者に見積もりをお願いすることになることが多いです。

その際に、古材の買取金額を事前に調べ

  • 通常の解体工事をした方が結果的に安くなるのか
  • 古材を売るための解体工事をした方が得なのか

を比較するようにしましょう。

ただし、時間がなくて解体工事に長い日数を割くことができないというようなケースは、通常の解体工事を行うことをおすすめいたします。

古民家を慎重に解体すると思ったよりも時間がかかることも多いですので、時間がない方には向いていません。 

古民家を活かしたおすすめのビジネス

古民家を相続した場合などは、どうしても解体に目が行きがちですが、余裕があるのであればその古民家を活かしてビジネスをしてみるのも方法の1つです。

ビジネスといっても様々な使い方があるため、最後にその一例を紹介させていただきます。

賃貸なら安定した収入

古民家は人気の高いジャンルの住宅になりますので、賃貸として募集をかけてみると意外に入居希望者が集まる可能性もあります。

もちろん田舎の空き家などは、家賃を安くしなければならないことも多いかもしれませんが、例え安かったとしても毎月のように安定した収入を得られるのは大きなメリットとなります。

また、解体もせず放置してしまうと、人に迷惑をかける可能性が出てきますし、ただ固定資産税を払うだけの無駄なものになってしまいます。

それを考えると、安くても誰かに住んでもらった方が良いのではないでしょうか。

民泊は海外のお客さんには人気

古民家を持っている方の中には、建物内をリフォームして民泊として利用するという方もいらっしゃいます。

日本の昔ながらの住宅は、日本人だけではなく海外からのお客さんにも人気が高いため、うまく経営することができれば大きな収入を得ることができるかもしれません。

もちろん宿泊施設として利用する場合は、様々な人が利用することになるため、それなりのリスクが生じる可能性もあります。

また、賃貸とは違い利用者が日々入れ替わるため、そこを管理するための人を置かなければならないなどの問題も出てきます。

借主負担のDIYでの貸し出し

通常は家を貸すとなった場合、その建物のオーナーがきれいに掃除をしたりリフォームをした状態で、借り手を見つけるというのが一般的です。

しかし、古民家を持つ方の中には、そのままの状態で借主に引き渡し、借主が好き勝手にリフォームしてそこに住むといったモデルを取っているケースもあります。

一般的な賃貸住宅は借主が自分の自由にリフォームしたりすることができませんが、好きなように修繕できるというのは借主にとって大きなメリットになります。

また、自己修繕が条件になるため、原状回復で返さなければならないといったこともありませんし、自分が修繕した住宅になるため長期的に住んでもらえる可能性が高いため、貸主にもメリットがあります。

どうせ解体するつもりの古民家なのであれば、このような活用法もありますし、実際に空き家が増え続ける現代ではこのモデルの人気が高まってきています

管理が面倒、ビジネスに活かすための修繕をする費用や時間がもったいないと感じていらっしゃる方は、借主負担のDIY住宅として貸してみてはいかがでしょうか。

解体後の土地ビジネスも視野にいれる

中には、古家や古民家を解体して土地をきれいにした状態で何らかのビジネスに活かすという方もいらっしゃいます。

やはり駐車場などが土地ビジネスとして真っ先に思い浮かびますが、田舎なのであれば資材置き場として貸し出してみたり、トランクルームとして利用するのもよいのではないでしょうか。

土地の使い道についてはその土地や周辺の状況によって大きく異なるため、解体する前にどのように活かすことができるのかを考えてから行動に移すとよいでしょう。

最後に

古家や古民家は、うまく利用することができれば大きな価値を生む可能性もあります。

しかし、やはり管理が大変だというような理由で解体工事に回すという方も少なくありません。

貴重な木材が使われている場合は、それを買い取ってもらうことによって通常の木造住宅の解体よりも費用を安くできる可能性があります。

しかし、その貴重な木材を慎重に取り出すためには解体工事にも手間がかかりますので、結果的に高くついてしまうといったケースも少なくありません。

古民家を解体する際には、様々な業者に見積もりを依頼し、価格を比較してから契約するようにしましょう。