自宅のすぐ前に道路がある場合、どこからどこまでが自分の敷地なのかわからなくなることもありますし、他人が敷地内に足を踏み入れるリスクが高まります。

また、玄関扉の前に目隠しがないと、扉を開けた際に家の内部が丸見えになり、プライバシーが全くない状態になってしまいます。

そういった問題をすべて解決してくれるエクステリアがフェンスになります。

塀と比べても設置しやすく、オシャレなものも登場してきたので、様々なエクステリアの中でも最近はフェンスの人気が高まってきています。

今回は、そんなフェンスの種類や設置する際のコストなどをまとめて紹介しています。

フェンスを設置するメリット

エクステリアの中には、住宅を彩る飾りの役割を果たすものもありますが、フェンスの設置には確固たる目的があり、取り付けることで様々なメリットが生じます。

そのメリット中でも、代表的な3つを見ていきましょう。

プライバシーについて

フェンスを取り付ける最大の目的が、敷地内の目隠しだという方も少なくないのではないでしょうか。

玄関扉を開けた際にたまたま通行人がいた場合、その通行人の多くは反射的に家の中をのぞくことが多いです。

フェンスがない状態では玄関の中まで丸見えになってしまいますし、玄関だけでなくその他の窓から家の中が見えてしまいます。

特に人通りの多い道に面した建物になると、たくさんの人に生活の様子を見られてしまうことになりますので、落ち着いて生活を送ることができません。

目隠し用にフェンスを設置するだけで、建物内でのプライバシーはしっかりと保護されることになります。

防犯について

フェンスがないと、自宅が道路と直接面していることになるため、不審者に侵入される可能性が高くなってしまいます。

塀やフェンスがある家と比べると明らかに侵入しやすいですので、それだけで犯罪にあうリスクが高まるのです。

空き巣など被害だけではなく、例えば自宅の前に止めておいた自転車が盗まれたりすることもあるかもしれません。

フェンスを付ければこれらの被害を100%防ぐことができるというわけではありませんが、トラブルに巻き込まれる可能性が減るはずです。

境界線について

フェンスがないということは、家の前の道路から玄関扉までの空間がはっきりとしていないということでもあります。

もちろんその建物に住んでいる家族はどこからどこまでがご自身の敷地なのかということを把握しているのかもしれませんが、境界線が曖昧でどこからが私有地化よくわからないようなケースも少なくありません。

侵入しようと計画を立てて入り込むような犯罪者は少ないとしても、知らず知らずのうちに他人がご自身の敷地に入り込んでしまうことはあるでしょう。

境界線にフェンスがなかったがために、散歩中の犬が私有地に用を足していくことが多いということもあるのではないでしょうか。

フェンスを設置すれば境界線の分かれ目が明確になるため、敷地内に侵入されるというトラブルが解消されます。

代表的なフェンスの種類

一口にフェンスと言っても、実に様々な種類が存在します。

それぞれの素材によって特徴が異なりますので、ここでは素材別にフェンスを見ていきましょう。

木材のフェンス

DIYでも気軽に利用できるのが、木を利用したフェンスになります。

地面が土の場合は、木を埋め込むだけで簡易的なフェンスが出来上がりますが、風などで簡単に吹き飛ばされてしまう可能性もあるため、やはりしっかりと固定するための対策を取る必要があります。

天然の素材を利用することでエクステリアに温かみが出ますし、ガーデニングなどにも良くマッチするので、それだけで庭がオシャレで明るくなります。

しかし、木材は雨や風で腐食していくことが多いため、防腐処理などを定期的に行い、傷んでいる場所があれば早めにメンテナンスしなければならないといった手間もかかります。

樹脂のフェンス

樹脂製のフェンスは、木材と比べると耐久性に優れていますしメンテナンスもかなり楽です。

木のような質感を出すこともできますが、天然の木材ではないため様々な色の中から選択することができますし、木材特有のささくれなどで怪我をすることがないといった点もメリットといえるでしょう。

天然のぬくもりを感じるといった点ではナチュラル素材の木材に敵いませんが、遠目から見れば木材のような温かみがあります。

木材と比べると、やはり加工しづらく値段も割高ですが、長持ちすることを考慮するとこちらもメリットが大きいです。

スチールのフェンス

スチールとは鉄のことになり、要するに鉄でできたフェンスということになります。

価格が安く高い強度を誇りますので、フェンスを設置する際には人気の素材といえるでしょう。

ただし、鉄は錆びやすいですので、予め錆びにくいような加工をする必要があります。

メンテナンスをせずに放置し続けると、スチール部分が赤さびでボロボロになったり折れてしまったりすることも多いため、耐久性の面で見ると若干不安が残ります。

しかし強度は間違いないため、定期的にリフォームするのであればおすすめできる素材です。

アルミのフェンス

アルミは耐久性に優れており、スチールとは違い錆びに強いため長持ちさせることができます

また、素材自体が軽いため建物の周囲をアルミフェンスで囲ったとしても圧迫感がありませんし、フェンスの素材としては最も普及しているものになるため様々なデザインの中から好みのものを選ぶことが可能です。

しかし、フェンスの強度の面から見ると、やはりスチールよりも頼りないという印象を持ちます。

強い衝撃を受けると壊れてしまうことが多いですし、極端な話、少し蹴ったりボールが当たったりするだけでへこんでしまう可能性もあります。

強度を重視したいという方はスチールを好む傾向にありますが、耐久性を選ぶのであればアルミ素材がおすすめです。

フェンスのデザインについて

フェンスを設置する際には、使い勝手だけでなくデザイン性も重視することによって、その後も愛着を持って使い続けることができます。

それでは、具体的にどのような点を見ていけばよいのでしょうか。

デザインの考え方

いきなりデザインを考えろと言われても、一から思いつかないという方も多いはずです。

まずは、フェンスメーカーが提供する様々なタイプのフェンスを見て、どういったものが自宅に適しているかを考えてみるのがおすすめです。

建物のデザインによって合う・合わないがあると思いますし、ひょっとしたらフェンスでなく塀のほうがデザイン的に合っているというような意見が出るかもしれません。

最も避けたいのは、家との調和が全く取れず、建物から浮いて見えるようなフェンスを設置してしまうことです。

建物によって、それから近隣の建物や風景などによって良いと思えるデザインは変わってくるはずですので、まずは様々なフェンスに目を通してみましょう。

フェンスの高さについて

フェンスを設置する際には、どれくらいの高さにするのか迷う方がたくさんいらっしゃるようです。

例えばプライバシーの保護が目的でフェンスを建てるとしても、いざ背の高いものを設置してしまうと圧迫感が出て窮屈な思いをするかもしれません。

さらに、フェンスのタイプによっては外側から内側が全く見えないようなものもありますので、逆に不審者が一旦内部に侵入してしまうと、外からは中の様子が全くわからなくなってしまうというデメリットも出てきます。

かといって低すぎるとフェンスとしての意味をなさなくなってしまうこともあるため、こちらも住宅の場所や置かれた状況を考えつつ高さを考慮する必要があります。

門扉と玄関の位置関係

フェンスを設置する際には、同時にそのフェンスの入り口となる門扉を付けることになります。

門扉と玄関扉の間にアプローチを設けることになりますが、それらの位置関係を変えるだけで感覚的な広さが変わりますし、プライバシーも保護されるようになります。

例えば門扉から玄関までを一直線に結ぶと、門扉のところから玄関が見えてしまう可能性もありますし、アプローチが狭いため窮屈な感じがします。

しかし、玄関に対して門扉を斜めに設置すればアプローチが長くなるため、同じ大きさでも空間的に広いと感じることができますし、門扉から玄関の奥が見えなくなるためプライバシー保護の観点から見てもおすすめです。

フェンス設置の費用の相場

やはり、フェンスがいくらくらいで設置できるのかが気になるという方が多いようです。

フェンス設置にかかるコストは、状況によって大きく変わってきます。

まずは設置位置を確認

単純に、使うフェンスや必要な工事量が多ければ多いほど設置費用も高くなるということになります。

合計で10メートルのフェンスを設置する場合と50メートルのフェンスを設置する場合とでは、明らかに後者のほうが割高になるはずです。

そのため、まずは家のどの部分にフェンスを設置するかを決めるようにしましょう。

境界線ギリギリに設置する方も多いですが、将来的にカーポートや自転車置き場を作るために余裕を持たせて建てる方もいらっしゃいます。

もちろんあとからリフォームは可能ですが、その分余分な費用がかかってしまうので、事前に計画しておいたほうが良いでしょう。

フェンスの素材によって価格が異なる

当たり前のことですが、使用するフェンスの素材によって原料費そのもののコストが変わってきます。

木材を利用すれば安く済むかもしれませんが、同じ範囲でアルミのフェンスを設置するとなった場合はかなり高額になることもあります。

また、フェンスそのものだけでなく、そのフェンスの基礎となるコンクリートのブロックの段数やそのブロックのデザインなどによっても価格が変わってきます。

要するに、ちょっとした変化で価格が変わる可能性が高いため、それぞれのケースを業者に確認するのが最も早いということになります。

業者を利用する際の注意点

業者の中には責任を持ってしっかりと工事をしてくれるところもあれば、安く請け負って手抜き工事をしたり、反対に高額な費用を請求したりするようなところもあります。

基本はいくつもの業者に見積もりを取ってもらってご自身の希望のフェンスの相場を確認し、その相場の価格に近い業者の中から、うまく話ができそうなところを選ぶことになります。

安いからという理由だけで業者を選んでしまうと、せっかく建てたフェンスがすぐに傾いてしまったりする可能性もあります。

業者を選ぶ際には、今までの業績やネット上の口コミなどを参考にして、信頼できるか確認してから依頼することをおすすめいたします。

フェンスを設置する前にすること

とりあえずフェンスがほしいからさっさと作ってしまう、という方もいらっしゃるようです。

しかし、フェンスを設置する際には、きちんと計画を立ててその計画に沿って工事を進めていくのが良いでしょう。

フェンス設置の目的とは?

初めはプライバシーを保護する目的だったフェンス設置が、話を進めていくとガーデニングに適したデザインが良いという方向に傾いていってしまうことがあります。

しかし、ガーデニングとの調和を最優先すると、プライバシーが十分に保護されていないフェンスが出来上がってしまう可能性があります。

完成してから、こんなはずじゃなかったと後悔してしまわないように、最初からフェンスを設置する目的を一貫して持っておく必要がありますし、その前提の上で変えられる部分を変更していくことをおすすめいたします。

目的がぶれてしまうと、どっちつかずの中途半端なフェンスになってしまうこともあるため、コンセプトを確認しつつ話を進めていきましょう。

隣人トラブルを未然に回避

完全に私有地の内側にあるアプローチ部分のリフォームなどとは違い、フェンスを設置する際には境界の部分で工事をすることになります。

境界の向こう側がすべて道路だという場合は問題ないかもしれませんが、すぐ横に家がある場合はその家の住人に迷惑をかけてしまうかもしれません。

工事中は大きな音が発生することもあるでしょうし、フェンスを設置する際に相手の敷地内に足を踏み入れてしまう可能性もあります。

もちろん業者が事前に迷惑をかけるという旨を伝える挨拶回りをするかと思いますが、こちらからも近所の方に話を通しておくと、無駄なトラブルに発展するリスクを減らすことができます。

最後に

今からフェンスを設置しようとしている方は、まずはどのようなフェンスをどこに設置したいかを決め、その上で信頼できる業者を探すことになります。

業者が決まってしまえばあとは基本的にお任せでフェンスが完成しますが、業者を選ぶまでは全てご自身の判断で動くことになります。

今までフェンスを取り付けたことがないという方がほとんどだと思いますので、どのようなものが良いのかわからないという方も少なくないはずです。

しかし、様々なデザインのフェンスを見たり作りの似た住宅のフェンスを観察したりすることで、ご自身の自宅にあったフェンスを見つけることができると思いますので、最初の段階に時間をかけて理想のフェンスを探していきましょう。