空き家を所有しているが放置している、という方は年々増え続けています。
どうしたらいいのかわからないから放置するしかないという方が多いようですが、ほったらかしの空き家はリスクしか生みません。
また、誰も住んでいなかったとしても土地や建物に対する固定資産税は毎年支払う必要があるため、全く利用していない不動産に対してお金を浪費していることになります。
どうせ空き家をお持ちなのであれば、その活用を考えてみてはいかがでしょうか。
今回は、空き家を放置するリスクと様々な活用方法について紹介していきます。
目次
日本の空き家状況について
総務省によって実施された住宅・土地統計調査の結果、最新の全国の住宅数は6063万戸になり、空き家はそのうちの820万戸を占めています。
割合にして13.5%が空き家ということになりますが、下のグラフを見ていただけばわかる通り、その数は年々増え続けているのです。
資料:大和ハウス工業株式会社
このグラフでは今後の空き家率の予想値も確認できますが、何も対策しないとグラフのようにどんどんと空き家が増えていってしまいます。
それでは、そもそも空き家の増える原因とは何なのでしょうか?
空き家はなぜ増えるのか?原因について
空き家の増加にはいくつかの原因がありますが、代表的な原因を解説していきます。
人口の減少による需要低下
空き家増加の最大の原因の1つとして、人口減少が挙げられます。
出生率の低下が叫ばれている昨今ですので、今後も人口がどんどんと少なくなっていくことはわかっています。
実際に、2016年10月には1億2693万人いた日本人が、2030年には1億2000万人を割ると言われており、さらに2050年になると1億人以下になってしまうと予想されています。
人数が減っていけば、当然一戸建ての需要も減少することになり、結果としてそれが空き家増加に拍車をかけることになります。
高齢者の家離れ
出生率の低下と同じく、現在日本で大きな問題となっているのが高齢化。
最近は、晩年を自宅で過ごすよりも老人ホームをはじめとした施設で過ごす老人が増えてきています。
本人の意思だけでなく、自宅で一人で寂しく過ごすよりも交流関係を作りやすい高齢者用の施設を利用したほうがいいと考える親族も多くなってきています。
その高齢者が自宅から高齢者用の施設に移るとなった場合、その時点でその自宅は空き家となってしまいます。
時が流れてその高齢者が亡くなった場合、既に空き家となっていた自宅は相続でその子供の手に渡りますが、子供がその家に住むケースはほとんどありません。
仕事もあるし地方に戻れないという気持ちがある一方で、思い出が詰まった家だから残しておきたいといった理由で、空き家は放置され続けることになるのです。
住宅の供給過多
人口減少や高齢化だけではなく、単純に新しい物件がどんどんと建てられ続けているという問題も空き家増加に直結しています。
現在は、住宅の総数が世帯数を大きく上回っており、ただでさえ住宅が多い状態です。
それに加えて、どうせマイホームを持つなら中古物件よりも新築がいいという考えが根強いため、中古物件を活用せず新しい住宅を建てる世帯が少なくありません。
本来であれば、古い建物を壊してその場所に新しい建物を造り直すのが一般的でしたが、最近は空き家を放置して新しい土地に新しい建物を建てるケースが多いのです。
そのため、解体されずに残った中古物件が空き家として放置され続けることになってしまいます。
空き家を活用しない場合の様々なリスク
続いて、空き家を放置することによって発生するリスクについて解説していきます。
空き家を所有している方は、自分の身にも降りかかってくる可能性があると自覚しておいてください。
建物の老朽化
誰も住んでいない建物は、人が生活する住宅と比べると劣化が激しくなります。
湿気の多い日本では、住宅内の風通しがなくなると建物内に湿気がたまり、その不動産自体が腐ってしまう可能性も出てきます。
生活していれば窓や扉の開け閉めで最低限の通気性は保てるため、住宅にとって人がいるのといないのとでは老朽化のスピードが大きく変わるのです。
また、人がいなければ雨漏りなどの異変に気付かないまま放置されることが多いため、古い空き家ほど劣化が早く進みます。
劣化した建物に地震などの自然災害が組み合わさると、倒壊のリスクも発生します。
耐久性が下がった建物では、いきなり外壁が崩れて歩行者に怪我を負わせるなどの危険も出てきますし、そういったケースはその空き家の所有者が責任を負わなければなりません。
単純に空き家を放置して不動産の価値が下がるだけでなく、空き家の老朽化は他人に危害を与える可能性があるのです。
衛生面での悪化
放置されている住宅は、外壁がボロボロになったり草木が生い茂って、一目で人が住んでいないということがわかってしまいます。
誰もいないから、という理由から様々なごみが不法投棄されたり、野良犬や野良猫などが住みやすい環境を作ることになります。
さらに、そういったゴミ、糞尿などから大量の虫が発生することもありますし、中には強烈なにおいが漂ってしまうケースもあります。
人がいない建物は、虫が住み着くだけでなく様々な虫の増殖にも適した場所ですので、その建物周辺の衛生面が極度に悪化してしまうことにつながります。
周辺の住民からも白い目で見られることになりますし、汚い家というレッテルを貼られてしまったら、いざ売却するとなったときになかなか買い手がつかないといった可能性が出てきます。
治安の悪化
空き家にも様々なタイプがありますが、一般的には家財道具などがそのまま放置されているケースが多いようです。
誰も住んでいないということがわかれば、知らず知らずのうちにホームレスが住み着いてしまったり、犯罪者が身を隠すために利用する場所になってしまう可能性もあります。
空き家を治安の面から考えると、最も迷惑をかけるのが放火です。
無人の建物は放火の標的にされることも多く、火が大きくなってしまうとその空き家だけでなく隣の家に燃え移って多大な迷惑をかけることになります。
空き家を活用する方法
このように、空き家を放置しておくと様々なリスクがあるということがお分かりいただけたのではないかと思います。
放置はデメリットしか生みませんので、活用することを考えましょう。
賃貸物件として貸し出す
最も簡単な活用法は、やはり賃貸物件として丸々貸してしまうというものでしょう。
家賃収入を得ることができるため、良い借り手が見つかれば長期的に安定した収入を期待することもできます。
田舎の空き家は賃料を安くせざるを得ないことも多いですが、放置することを考えると安くても使ってもらった方がメリットが大きいです。
知り合いに利用してもらうのもよいですし、不動産会社を通して良い借り手を見つけるのもおすすめです。
シェアハウスとして貸し出す
単身者の多い地域の場合、丸々1軒を貸し出したとしてもなかなか借り手がつかない可能性が高いです。
そんなときには、シェアハウスとして貸し出してみるのも方法の1つです。
一部屋単位で貸し出すこともできますし、全室埋めることができれば一世帯のみに貸すよりも高額の家賃を得ることができます。
入居者を何人も抱えるため管理が少々面倒になりますが、特に空き家が大きい場合はシェアハウスとして活用したほうが成功しやすいといえます。
空き家ビジネスで大きな収入を得る
単純に賃貸として利用する場合は、毎月固定の賃料を得ることになります。
安定していますが、どうせならばその空き家を使って何らかのビジネスをしてドカンと稼ぎたい、という方もいらっしゃいます。
成功すれば大きな収入源となる
例えば、空き家をカフェにしたりコワーキングスペースにして、他人に利用してもらうといった方法があります。
もちろんお客さんが来なければ大きなマイナスとなってしまいますが、繁盛すれば単純な賃料の何倍もの金額を得られる可能性があります。
立地に合わせてビジネスの種類を変えていく必要がありますし、絶対に成功するとも言えないため考えどころですが、チャンスをつかみたいという方はやってみる価値はあると思います。
空き家をそのまま使える場合は問題ないですが、ビジネスの形態に合わせてリフォームしなければならないこともあるでしょう。
リフォームして失敗してしまったら大きな損失となるため、事前にしっかりとマーケティング調査を行う必要があります。
他人にビジネスをサポートしてもらう
空き家が遠く離れた場所にあったり、近くにあったとしても本業が忙しくビジネスに時間をかけていられなかったり、という方も多いのではないでしょうか。
忙しい方はオーナーとしてその店舗を管理し、信頼できる人物にビジネスを任せてしまうのもおすすめです。
もちろん信頼できる人材を見つけるのは難しいことですが、見つけることができればビジネスがうまくいく可能性も高くなります。
中には、それまで副業として行っていた空き家ビジネスを本業にしてしまったというような方もいらっしゃいますので、将来性を感じたらこちらに専念してしまうのも方法の1つかもしれません。
土地のみを活用する方法も考える
これまでは、空き家をそのまま活用したり、リフォームして活用する方法を提案してきました。
しかし、建物の状態がボロボロになっていて解体したほうがいいというケースもあれば、家を利用するより土地を活用したビジネスのほうがうまくいきそうだというケースも存在します。
そんなときには、空き家を解体してその土地を活用してみるのもよいでしょう。
事前のマーケティングが重要
まだ空き家の状態が悪くないのに更地にして活用してみようと思っている方は、事前にその地域のニーズを確認するところから始めてみてください。
例えば田舎で人通りが少ない場所に自動販売機を設置してみたところで、いきなり人の往来が多くなることはないはずです。
また、周りにすでにたくさんの駐車場があって空車が目立つのに、その場所にさらに駐車場を作っても意味はありません。
絶対に成功するビジネスモデルを見つけるのは大変ですが、失敗する可能性が高いビジネスは事前のマーケティングをしっかりと行っておけばわかるはずです。
空き家を解体した方が良いというような状態であれば仕方がないですが、まだ建物としての利用価値がある場合は、解体すべきかどうかをじっくりと考えてみましょう。
自己判断で空地ビジネスを始めるのは危険
空地は建物のある土地とは異なり、使用用途が無限に広がります。
もちろん大きさにもよりますが、簡単なところでいくと定期借地として利用したり駐車場経営場所として活用することが可能です。
トランクルームやオフィスとして使うことも可能ですし、アパートを建てて経営したりコンビニなどの事業用の土地として活用することもできます。
放置するよりは活用したほうが良いため、なんかしらのビジネスを始めてみようと考える方も多いです。
しかし、個人が少し考えて最善の選択を出したとしてもそれが正しいとは言えませんので、専門家にきちんとマーケティングをしてもらい、どのようなビジネスが適しているのかを提案してもらうのがおすすめです。
もちろん、だからと言ってそれが絶対に成功するとは言えませんが、安心して事業を始められるのではないでしょうか。
最後に
リスクしか生まない空き家放置をするくらいなら、空き家を活用したほうが良いということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
すぐに空き家をどうこうすることはできない、という方もいらっしゃるかもしれませんが、放置期間が長ければそれだけ劣化が進んで資産価値も下がってしまいます。
資産価値が下がれば、いざその空き家や土地を使って何かをしようとしたときに、失敗する可能性も高まります。
放置しようと思えばいくらでも放置できる空き家ですが、できるだけ優先順位を上げて空き家の活用について考えることをおすすめいたします。