様々なエクステリアの中でも、アプローチはその住宅の顔ともいえるパーツになります。

そのためアプローチをきれいに作ることによって、その建物全体のイメージをよくすることができます。

逆に言えば、どれだけ門構えの立派なお宅であっても、アプローチ部分をいい加減に設置すると建物の見栄えが悪くなってしまいます。

もちろん見た目だけではなく、アプローチには様々な役割や目的が存在します。

アプローチに役割をしっかりと果たしてもらうためにも、今回はアプローチについて細かく紹介していきます。

アプローチの役割

門扉から玄関までの距離が長ければ長いほど、アプローチはしっかりと設置するべきです。

アプローチのデザインなどによって、見た目だけではなく様々なメリットを得ることができます。

プライバシーの保護

玄関の扉を開けた時に、家の中が外部から丸見えではあまり落ち着かないのではないでしょうか。

アプローチをうまく作ることができれば、扉を開けても外から見えないような作りにすることも可能ですし、それだけで家族のプライバシーを守ることができます。

リフォームできるのであれば門扉の位置から設計し直すことによって、建物の外観全体が美しく生まれ変わりますし、人目を気にする必要のない形に作り替えることができます。

玄関と門扉を最短距離の直線で結ぶのではなくカーブを描くようなアプローチを設置することによって、玄関を開けても門扉からは家の中が見えなくなるなど、ちょっとした工夫でプライバシーを保護することが可能です。

防犯対策

プライバシーを保護するために、外部から全く見えなくなるような植え込みを使用したりする家も少なくありません。

しかし、外から全く見えないということは、外部から誰かが侵入したとしてもそれが外から認識できないということでもあります。

門扉から玄関までの間に変質者や犯罪者が隠れられるような死角が存在する場合は、防犯面においてあまりよいとは言えません。

プライバシーを保護しつつも死角は作らないようにするのがベストなのですが、プライバシーを重視したいという方は、アプローチに人感センサーライトなどを設置して、光で侵入を防ぐことも可能です。

雨の日対策

例えば門扉から玄関までが泥土の場合、雨の日にはところどころに水が溜まってしまったり、歩くだけで靴がドロドロになってしまったりすることもあります。

仮に泥土でなかったとしても、水はけが悪ければ玄関から門扉に行くまでに靴が濡れてしまう可能性もあるはずです。

アプローチを作る際には、大雨にも対応できるように、人間が歩く場所を少し高く設計しておくだけで雨の日でも足元が濡れにくくなります。

水はけがよい素材や滑りにくい素材にするだけで、激しい雨の日であっても安心して歩くことができるようになります。

アプローチの素材について

エクステリアの中でも、アプローチは基本的に足元に設置されるものですので、スチールやアルミなどの鉄系の素材を使うことは少ないです。

ここでは、代表的なアプローチの素材とその特徴をまとめました。

コンクリート

最も簡単なものが、コンクリートをそのまま固めてしまうという方法になるのではないでしょうか。

固めるだけですので安く済ませることもできますし、基本的にはどのようなタイプの建物にも合うのでデザインも楽です。

しかし、コンクリートの中には表面が滑りやすいものもありますし、初めは滑らなかったとしても長年使用していると表面がつるつるになってしまうものもあるため、なるべく滑りにくい素材にする必要があります。

石材

ここで言う石材とは、主に天然石のことになります。

大きな天然石を加工して正方形や長方形にすることもできますが、様々な形の石を組み合わせて美しいアプローチを作り上げることも可能です。

アプローチは基本的に雨に濡れる場所に設置するため、大理石などの滑りやすい石材ではなく、石英岩をはじめとするアプローチに向いた素材が使われます。

タイル

タイルと聞くと、お風呂場に使用するつるつるのものをイメージされる方も多いですが、アプローチ用には滑りにくい素材を利用することになります。

正方形や長方形のタイルを敷き詰めるのが一般的ですが、形や大きさ、色などは建物のイメージに合わせて自由に変えられるため人気が高いです。

しかし、使用しているとどうしても汚れる場所になるので、グレーやベージュなどのタイルが使われることが多いようです。

レンガ

建物や塀などにレンガを使用しているご家庭では、アプローチにもレンガを用いることで全体の調和を取ることができます。

レンガにも様々な色がありますが、やはり人気が高いものは定番の茶系のレンガになります。

最近は和風の家屋にレンガを使ったアプローチを、ワンポイントとして使用する方もいらっしゃいます。

洗い出し

コンクリートなどが完全に固まってしまう前に水で洗い流すことで、表面の砂利が露出します。

表面が砂利で固まるため、雨の日であっても滑りにくいですし、使用する砂利によって洗い出し全体のイメージが大きく変わります。

そのため、コンクリートで固めるだけのアプローチと比べると高い技術が求められます。

木材

特にDIYでアプローチを設置する場合は、枕木が使われることも多いです。

単純に木材を並べるだけでも見た目はオシャレになりますが、レンガをはじめとする他の素材と組み合わせて利用することにより、より見た目がオシャレになります。

素材が安いためアプローチ全体を低価格で仕上げることができますし、誰でも気軽に使用することができるため高い人気を誇っています。

アプローチを設計する上での注意点

業者を利用してアプローチを設置するのであれば、特に問題が出てくることはないかもしれません。

しかし、ご自身で作る場合は設計にあたっていくつか注意するべきポイントがあります。

デザイン性と機能性をうまく融合させる

アプローチの良し悪しが建物全体のイメージを変えると述べましたが、それを意識しすぎてデザインにこだわりすぎる方も少なくありません。

確かにデザインも重要かもしれませんが、それ以上に重要なのは快適にそのアプローチを利用できるかどうかです。

ご家族が毎日のように利用する場所になりますので、安心して使えることを前提として設計する必要があります。

アプローチをイメージすると、どうしても天気の良い明るく晴れた日を想像する方が多いです。

しかし、暗い時間帯に帰宅することもあるでしょうし、雨や雪の日もあります。

さらに、足を骨折して松葉づえをつく日もあるかもしれませんし、車いすの方が来られるかもしれません。

そういったあらゆる可能性を考えて、機能的なアプローチを設計したうえでデザインにこだわるようにするとよいでしょう。

滑りにくい素材は大前提

地域によって差はありますが、降水日数の平均は1年間で120日程度になります。

もちろん1日中降り続けるのは珍しいですが、それでも3日に1日はアプローチが雨でぬれている可能性があるのです。

晴れている日に滑るのはもってのほかですが、雨でぬれた際に滑りやすくなる素材はたくさんあります。

つるつるした素材は晴れの日には美しく見えるかもしれませんが、雨が降ると落ち着いて歩行することができません

表面に凹凸のある素材であれば基本的にどんな靴でも滑りにくいはずですので、安全性を考えてそのような素材を選ぶことをおすすめいたします。

アプローチの価格について

アプローチを設置するとなった場合、一体いくらくらい必要になってくるのでしょうか。

美しいデザインや高機能のアプローチも気になりますが、やはりそのコストを知りたいという方が多いのではないかと思います。

アプローチの相場とは?

これまでお話してきたように、アプローチに使用する素材は実に幅広いですし、当然アプローチの大きさによっても価格は変わってきます。

しかし、一般的には1平米あたり1万円~3万円程度で作成することができるのではないかと思われます。

もちろん木材をご自身で用意して並べたりするだけであれば、コストを大幅に削減することも可能です。

逆に、高価な天然石をふんだんに利用するようなアプローチの場合は、相場と比べてもかなり割高になるはずです。

まずはアプローチに充てる面積を確認し、素材ごとにデザインをしてみた上で、大体いくらくらいになるのかという見積もりを出してもらうとよいでしょう。

業者によって価格が異なる

業者にアプローチの設置をお願いする場合、最初に複数に見積もりを出すことをおすすめいたします。

優良業者も多いですが、中には高額な費用で工事を請け負ったり、逆に手抜き工事をして安価でアプローチを設置するような悪徳業者も存在するからです。

複数の業者に見積もりを出し、極端に単価の高い業者や安い業者はなるべく避けるようにしましょう。

ほとんどの業者は似たような価格を提示すると思いますので、それがご自宅にアプローチを設置する際の相場のコストということになります。

その中で、親身になって相談に乗ってくれる業者を見つけることができれば、思い通りのアプローチを設置することができるのではないでしょうか。

DIYでアプローチを設置する

業者にすべてお願いしたほうが確実ですし、美しいアプローチを設置することができるでしょう。

しかし、自分で作ることで設置価格を大きく下げることが可能ですし、DIYが好きな方は楽しく作業することができるはずです。

将来的に崩れるリスクのある塀を作るわけではないので、アプローチはエクステリアの中でも安心してDIYできるのではないでしょうか。

基本はレンガか木材

DIYでアプローチを作る際によく使われる素材は、設置がしやすく原材料の安いレンガや木材になります。

基本的には土などを使って敷き詰めるだけですし、デザイン次第では美しいアプローチを完成させることができます。

もちろんコンクリートや天然石を利用することもできますが、大掛かりな工事になったり運搬の面で労力が必要になったりするため、ホームセンターなどで気軽に入手できる素材の人気が高いようです。

しかし、例えばレンガを使う場合はレンガのみを購入すればそれでできるというわけではありません。

レンガの下に敷き詰める砂や土、それから水平器やシャベルなどの工具も必要になってくるので、工事をするにあたって必要なものを予めまとめて購入しておくとよいでしょう。

アプローチのDIYにあたって

何となくレンガを使いたい、木材を使いたいというイメージがあるという方がほとんどだと思いますが、まずはそれを実際に図に書いてみましょう。

面積を計測して同じ割合で図を作ることができれば、実際に必要な材料の量がわかりますし、新しいアイディアが出てくるかもしれません。

理想のイメージ図が完成したら、あとはそれを叶えるために必要な材料は何なのか、その材料を効率的に使用するにはどのような道具を集めればよいのかが明らかになると思います。

中には、とりあえずレンガを使うからと言ってレンガを大量購入したりする方もいらっしゃいますが、予め計画して設置するのと行き当たりばったりで作るのとでは最終的な出来やかかるコストも変わってきます

作業よりも計画に時間をかけるくらいのつもりで、しっかりと図をイメージしてみることをおすすめいたします。

最後に

アプローチはエクステリアのほんの一部ですが、そのアプローチ次第で自宅の雰囲気が変わるため、重要な場所といえるでしょう。

今回はそんなアプローチの役割やDIYについて紹介してきましたが、お役に立てましたでしょうか。

業者に任せてしまうのも簡単ですが、ゆっくりとご自身で作成するのも面白いのではないかと思います。

様々な素材がありますし、アイディア次第で誰もがうらやむアプローチを低コストで完成させることができるので、数あるエクステリアの中でも奥の深い場所です。

当ページをご覧いただき、理想通りのアプローチの設計に役立てていただければ幸いです。