一戸建ての建物にも寿命があるのと同様に、マンションにも寿命が存在します。

そして、その寿命に近づくにつれてマンションの解体を視野に入れておく必要があります。

マンションの解体は、一般の住居の解体と比べると高額になりがちですし、解体期間も長くなりがちです。

また、解体予定のマンションに住んでいるのは一世帯だけではなく、たくさんの人々がそこで生活送っているはずです。

そのため解体を考える際には、「複数の居住者の方と話をして解体をする必要が本当にあるのか」ということを話し合わなければなりません。

一般の一戸建ての建て直しとはわけが違うため、この記事ではマンションの解体や建て直しについて解説しております。

マンションの寿命について

一般的な家であれば、どこかの不具合などによって寿命を判断して、建て替えを検討する方も多いです。

それでは、マンションの寿命はどれくらいになるのでしょうか。

マンション寿命の算出は難しい

一般的には、マンションの寿命は50年以上だと言われていますが、管理状態によって寿命が大きく変わってきます。

例えば、管理状態が良好なマンションであれば、建てられてから60年~80年くらいはもつと言われています。

しかし、きちんと管理がなされていないマンションの中には、寿命が50年ももたないようなものも存在します。

また、古いマンションは耐震基準が低いころに造られたものになるため、それだけ寿命も短くなってしまいます。

反対に、マンションの質はどんどんと向上しているため、新しく建てられたものほど寿命が長くなると考えて間違いはありません。

マンションの建て替え実績

一戸建てや長屋などの家は、はるか昔から存在するスタイルの住宅です。

しかし、マンションが積極的に建てられだしたのは1970年ころの話になり、現在もその古くなったマンションに住んでいるという人もいらっしゃいます。

実際に、2013年までに建て替えを行ったマンションは日本中で300戸に満たないため、これもマンションの寿命を決めにくい原因の1つ。

しかし、この300戸足らずの建て替えマンションは、築40年弱のものが多かったため、マンションの寿命は30年~40年くらいだと判断する方もいます。

マンションの寿命は平均で30年~40年くらい

30年~40年くらいで建て替えるマンションが多いということは、マンションの寿命は40年弱なんだと思われる方も多いです。

しかし、その建て替える前のマンションが建てられたのは、30年~40年前ということになり、今とは法律や建築技術が大きく異なります

高度経済成長期には日本中にたくさんのマンションが建てられましたが、それらのマンションがもう寿命だから住めないということにもなりません。

実際に、立地条件などによっては資産価値が高いものも多く、売却が成功している例も数多く存在します。

そのため、一概にマンションの寿命を定義づけることは難しく、1戸1戸の状態を見て判断する必要があるということになります。

マンションの解体費用の相場

マンションのオーナーの中には、大きな建築物の解体費用は高額になるから、あまり考えたくないという方もいるかもしれません。

それでは、実際に解体をする際の費用はどれくらいになるのでしょうか。

マンション解体費用は構造によって異なる

一戸建ての解体と同じように、マンションもその構造によって坪単価が変わってきます。

ただし、利用する業者や階数などによって実際の費用が大きく異なるため、坪単価はあくまでも目安にしかなりません。

構造 坪単価
鉄骨造(S造) 35,000円
鉄筋コンクリート造(RC造) 45,000円
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 60,000円

大まかな坪単価がこちらになりますが、実際にしっかりとした相場が知りたい方は、現地調査をした後にきちんとした見積もりを出してもらうことをおすすめいたします。

そのマンションの立っている場所や道路の幅などによって費用が変動するため、解体したいと思っている建物の価格を出すには実際に見積もりをするしかありません。

信頼できそうな業者を見つけて、複数に見積もりを取ってもらうようにしましょう。

RC造とSRC造は見積もりも出しにくい

木造のアパートなどであれば、ある程度は現場の見積もりで解体費用を出すことが可能です。

しかし、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、現場見積もりできちんと見てもらったとしても、正確な見積もりを出せないケースがあります。

その理由として、地中に入っている杭の長さや本数、基礎の部分が目に見えないというポイントがあるからです。

現地見積もりは視界に入る場所のみを見て価格を判断することになりますが、地中部分は実際に掘ってみないと、きれいにするのにどれくらいの時間が必要なのかがわかりません。

工期が予想できないだけではなく、地中杭が大量にあった場合はその処理費用も高くつくことになります。

そういった地中のことを考えて見積もりを出すので、一般の建物と比べると見積価格が高くなってしまう可能性が高いのです。

安く見積もりをして後から地中の杭の処分費用などを話してもクレームになる可能性もありますから。

初めから赤字にならない見積もりを出す業者が多いです。

マンションの解体費用を安くする3つのポイント

それでは、マンションの解体費用を安くするにはどうすればよいのでしょうか。

  • 内部の立ち合い調査を依頼する
  • 図面を利用する
  • 相見積もりを取る

この3つのポイントがすぐに使える効果的な方法と言えます。

内部の立ち合い調査を依頼する

通常の現場調査の中には、単純にマンションの外観のみを見て見積価格を出すケースもあります。

当然内部の様子が見えないとその部分は憶測で予算を立てることになるため、結果的に見積価格が高くなってしまう可能性があります。

どうせ見積もりをしてもらうのであれば、内部まできちんと見てもらうことによって、より正確な見積もりを出すことができます。

もちろんそれでも基礎の部分などを見ることはできませんが、現地調査に立ち会うことで見積もり価格が安くなるかもしれません。

図面を利用する

もしマンションの図面が残っているのであれば、その図面を提出することによって明確な見積もり価格を出すことができるかもしれません。

解体業者がその図面を見ることによって、実際に見るだけではわからない部分までどのような工事をしているのかがわかります。

解体業者としても予測で見積価格を出すよりも、より自信を持って価格を出すことができるため、必然的に見積もりが安くなる可能性が高いです。

そんなに古い書類など残っていないという方もいらっしゃるかもしれませんが、そのマンションを建てた業者がわかるのであれば問い合わせてみましょう。

その業者がマンションの図面を残していれば、それを解体業者に提出することができます。

相見積もりを取る

こちらは解体工事をする上での基本ですが、 複数の業者に見積もりを取ることによって、解体工事をより安くすることができます

特に大きなマンションになると、業者の経験や知識、またその業者が持っている機材や重機などによって工事内容が大きく変わる可能性があります。

そして、それに伴って工期が長くなる業者もいれば、たくさんのスタッフを配置しなければならない業者も出てきます。

大きな建物を解体する時ほど経験も重要になってくるため、複数の業者に連絡をして価格を出してもらうようにしましょう。

複数業者の見積もりの重要性に関してはこちらの解体工事の一括見積もりサービスの記事でも解説しております。

解体工事で一括見積りサイトを利用するメリット・デメリットまとめ。

マンションを建て替える流れ

一家族が生活をする一戸建てとは異なり、マンションにはたくさんの世帯が生活をしています。

そのため、マンションの建て替えを考える場合は何年も前から解体と建設の準備をする必要があります。

大まかなマンション建て替えの流れは、

  1. 建て替えの準備
  2. 建て替えの検討
  3. 建て替えの計画
  4. 建て替えの実地

という4つのステップに分けることができます。

建て替えの準備

管理組合として、その対象となるマンションの再生を正式に決定するステップです。

この段階では、まだ具体的に何かをするというわけではありません。

しかし、建て替えの検討を始めるという意思をはっきりとさせる段階になります。

建て替えの検討

マンションの具体的な再生方法を決めるステップです。

  • そもそも建て替えが本当に必要なのか
  • リノベーションをすれば済むのではないか、

ということを話し合ったりすることになります。

また、同時に専門家の意見を聞いたり、アンケート調査を実地して区分所有者の考えをまとめます。

そして、最終的にそのマンションの管理組合全員と話をし、建て替えをしたほうが良いということになったら、正式に建て替えの計画をすることになります。

建て替えの計画

マンションの再生方法として建て替えが良いと判断された場合は、続いて関係者が建て替えの計画を進めていきます。

建て替えをするにあたって、デベロッパーの候補を探したり、具体的な建て替えの費用などをはっきりとさせる必要があります。

そして、様々な条件をクリアしたうえで、そのマンションに住んでいる住人に賛成をしてもらうことによって計画が現実化します。

基本的には、そのマンションの住人の5分の4以上の賛成を得ることによって、正式に建て替えが認められます。

建て替えの実地

マンション住民の理解を得るところまで来たら、後は建て替えに向けてマンション建て替え組合を設立します。

また、マンションの建て替えに際して、抵当権や貸借権をはじめとする様々な権利を新しいマンションに移行する許可が必要です。

それが済んだらマンションの居住者は仮住まいに引っ越して、引っ越しが完了したら解体工事が開始。

解体工事、新しいマンションの建設が終わったら、仮住まいの住民は新しいマンションに戻り、新しいマンションでの生活をスタートすることになります。

まとめ

まだ住人がたくさん住んでいるマンションの建て替えは、普通の一戸建ての建て替えと比べると非常に労力がかかります。

もちろん大きな建築物を解体して、そこにさらに最新の設備を搭載したマンションを建てるわけですから、建て替えに際して多額の費用も必要です。

マンションは一戸建ての解体とは異なり、解体したいからとと言ってすぐに解体できるものではありません。

木造住宅を解体する時の料金相場と解体工事費用を安くするポイント

まずは実際に解体する必要があるのかということを話し合い、その後住人の理解を経て、ようやく解体工事や建て替えの準備に取り掛かることができるのです。

多くの協力が必要になりますし、建て替えまでには時間も要するため、きちんと計画を立てて1つずつ着実にこなしていくようにしましょう。