田舎に住んでいる両親が他界したため、生まれ育った家が空き家になってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

空き家をしばらく放置するという方は多いですが、その空き家となった建物を何十年も放置しておくのはデメリットでしかありません。

空き家を放置する怖いリスクと空き家を活用する様々な方法について

放置している建物にも固定資産税がかかりますし、建物が老朽化すると周囲の方々に危害を加える可能性も出てきます。

将来的に利用する予定がないのであれば、建物が古くなる前に売ってしまったほうが良いのです。

しかし、田舎の建物と聞くと需要が少ないと感じる方も多いでしょうし、実際に都会や駅の近くの便利な場所と比べると、需要が少ない傾向にあります。

ただし、中にはそんな田舎の建物に住みたい、田舎で暮らしたいという方も増えてきているため、全く需要がないというわけではないのです

この記事では、そんな田舎の家を売る前に押さえておきたい知識をまとめてみました。

家を売る前に知っておきたい田舎の事情

都心の建物と比べると、田舎には田舎のメリットがありデメリットもあります。

人によってメリットの方が大きいという方もいれば、デメリットしかないという方もいらっしゃるため、まずは田舎の事情をおさえておきましょう。

田舎の家のメリット

都心に比べると土地が安い田舎ですので、やはりそのあたりが大きなメリットとなります。

代表的なメリットとして、

  • 土地が広い
  • 家が広い
  • 自然が多い

が挙げられます。

土地が広い

東京の一等地などでは、一坪数千万円というような価格がつくような土地もありますが、田舎は総じて土地の価格が安いため、中には広大な敷地を所有している方も多いです。

できるだけ広い土地がほしいという方もいるため、大きな土地を所有している方は売却時に有利になる可能性もあります。

しかし、広すぎる土地は管理も大変ですので、当然そんなに大きな土地など必要ないと考える方も少なくありません。

そんなときには、土地を分割してその一部のみを売却するというようなことも可能です。

例えば大きな敷地を持つ家の周りをブロック塀などで囲っている場合は、その一部のブロック塀などを解体してきれいにしてから売却することもできます。

ただし、解体費用がかかるため田舎の土地のみを販売することで利益が出るのかは難しいところです。

⇒解体工事で掛かる費用の相場。抑えるべきポイントとからくりについて

それに小分けにして土地を売っていると今度は広い土地がほしい方へ売却することができなくなってしまうため、土地を分ける前によく考える必要があります。

家が広い

田舎では土地が広いだけではなく、その広い土地に建てられる家も当然大きなものになります。

都心では考えられないほどの部屋数を持つ住宅もざらにありますし、1部屋1部屋が広々とした作りになっているため、広い家に住みたいという方には需要があるかもしれません。

ただし、一戸建ての有力な購入層として考えられるのは、両親と子供が1人、2人といった家族構成であることが多いです。

ひと昔前は大家族が一つ屋根の下で暮らすというのが一般的でしたが、近年は核家族化が進んでおり一家族の人数が少ないです。

一家の人数に対して家が広すぎるのは、逆に住み心地が悪くなってしまう可能性もあるため、それが原因で購入希望者が集まらないこともあります。

土地が余っている場合は分割して売却することも可能ですが、家の場合はそういうわけにはいかないため、単純にその家を気に入ってくれる方を気長に探すか、または一度解体して土地のみを販売するというのも方法の1つです。

自然が多い

田舎は基本的に自然が豊富で空気もきれいな傾向にあります。

また、都会とは異なり人も少なくゴミゴミすることがないため、のびのびと生活を送ることが可能です。

もちろん働き盛りの方が自然しかないところに引っ越してしまうと、働き口がなくて失業になってしまうというリスクもあるかもしれませんが、逆にその自然を生かしたビジネスを展開する方も少なくありません。

田舎の家の売却を考える方の中には、自らその建物に引っ越してそこで事業を起こすという方もいらっしゃるくらいです。

自然が多く環境が良いというのは大きなメリットの1つと言えますので、建物を売却する場合はそれを活かした方法で売ることができるとベストです。 

田舎のデメリット

田舎は、都会に比べて住みにくいと感じる方も多いですが、やはりそれらは家を売却する際のデメリットになりがちです。

田舎の家のデメリットとして、

  • インフラが整っていない
  • アクセスしにくい場所にあることが多い

などが挙げられます。

インフラが整っていない

都会で育った方には考えられないことかもしれませんが、田舎に行けば行くほど電気やガス、水道などのインフラが不十分になっていきます。

もちろん電機などが通っていないという家の方が少ないとは思いますが、特に購入希望者が若い方の場合はインフラが整備されていて当たり前だと考える方も多いため、田舎のインフラ事情もきちんと伝えておく必要があります。

そして、それがデメリットなって家がなかなか売却できないということにもなりかねません。

しかし田舎の中でも、電気と水道が通っていれば基本的には何とかなることが多いですし、ガスを利用する際にもプロパンガスを使うという方法があります。

売却時には、インフラ面でどのようなデメリットがあるのかを把握し、それを購入希望者に伝えておくようにしましょう

アクセスしにくい場所にあることが多い

都市部には当たり前にある電車などの交通網ですが、田舎には電車が通っていないところも少なくありません。

そういったところではバスが公共の乗り物ということになりますが、そのバスでさえも1時間に1本こればいいほうだという地域も多いです。

そのため、田舎での移動手段は基本的には車が一般的になり、逆に言うと車を持たずに田舎で生活を送るのはかなり不便だと言えます。

田舎の家の購入希望者は基本的に車を持っていることが前提で田舎に足を運ぶことになりますが、実際に最寄駅から車で数十分、最寄りのコンビニまで歩くと1時間以上かかるという立地を見て購入を見直す可能性もあります。

ただし、中には車さえあれば立地は気にしないという方も多いですし、車を持っている方を相手にするビジネスを展開している方にはメリットにもなり得ます。

メリットともデメリットとも取れる点

最後に、人によってはメリットともデメリットとも取れるポイントを見ていきましょう。

  • 近所づきあいが多い
  • 注文住宅の割合が高い

近所づきあいが多い

都会に行くほど、近所の方々とのコミュニケーションを取らない傾向にありますが、逆に田舎に行けば行くほど近所の結びつきが強くなることが多いです。

家を探す際には、単純に家や立地条件を気にするだけではなく、その周りに住む方々との人間関係も考える必要があります。

しかし、それは実際にその場所に住んでみないと何とも言えないことですし、万が一古くから住む住人の方々に受け入れられなかった場合は生活しにくくなってしまう可能性もあります。

そのため、一般的にはできるだけ人間関係を築きたくないと考える方がいる一方で、そういった昔ながらの人と人との結びつきの強い場所で生活を送ることを望む方もいらっしゃいます。

この辺りは人によって好き嫌いがはっきりと分かれる上、売り手にもどうしようもない部分になるため、例えば近所の方々の情報を持っているのであればそれを正直に伝えてあげるようにしましょう。

注文住宅の割合が高い

田舎には古くから建てられている家が残っていることも多いですが、その多くは現在有名なハウスメーカーの建売住宅とは異なり、1軒1軒が全く違った形をしている注文住宅である可能性があります。

例えばハウスメーカーの建てた家であれば、そのハウスメーカーのリフォームサービスを利用して安く改装工事ができたりすることができたり、老朽化していたとしてもある程度は安心して購入できる方も多いです。

一方の注文住宅の場合は、造りがしっかりとしていて頑丈なものもあれば、低価格で造られたためすぐに悪くなってしまいそうな家まで様々ですので、メリットになることもあればデメリットにもなり得ます。

その家を建てた施主の趣味などが反映されているケースもあるため、うまくその趣味を理解してくれる購入希望者が現れれば高値で売れる可能性もありますが、一方でなかなか売れなかったりすることもあるため判断が難しいところです。

田舎の家や土地の使い道

それでは、実際に購入した方はその家をどのように利用すればいいのか。

もちろん住むという方も多いですが、それ以外の利用方法もあります。

  • 住宅用地としての活用
  • 事業用地としての活用
  • 地元住民による活用

購入後の建物は、大きくこの3つの活用方法に分けられます。

住宅用地としての活用

例えば

  • お子様を広大な敷地でのびのびと育てたい
  • 老後を静かに暮らしたいという老夫婦

などが、購入の対象になります。

地域によっては移住サポートを導入しており、田舎に移住するにあたって補助金が出ることもあるため、このような移住者は田舎の家を売る上での大きなターゲットの1つと言えるでしょう。

ただし、田舎は都会よりも不便だとはわかりつつも、最低限のライフラインは必要になってくるでしょうし、アクセスが悪すぎるのも考え物です。

近隣の住人との人間関係も重要になってくるため、事前に情報を集めて提供できると売却時の強みとなります。

事業用地としての活用

例えば広大な敷地を持つ家であれば、購入者はそこを何らかの事業に利用する可能性もあります。

古民家をリフォームして民宿として活用したり、カフェや介護施設などにして運営を考えている方も多いです。

実際に、最近は田舎の空き家を有効活用したビジネスが盛んに行われるようになってきているため、個人だけではなく企業や団体を相手に売却することも可能です。

もちろん一口に田舎と言っても場所によって需要の高い事業が異なるため、その場所のニーズに合った事業があれば売却してしまうのではなく、ご自身でやってみるというのも方法の1つです。

地元住民による活用

田舎の家や土地の中には、売却後すぐに売れてしまうようなところもあれば、反対に全く売れずに何年も買い手を待っているというようなケースも存在します。

今後も売れる可能性が低いと考えられるのであれば

  • 近所の方に安値で買い取ってもらう
  • 譲ってしまう

という話を持って行ってみるのも良いのではないでしょうか。

特に隣の家であれば自宅の敷地が拡張される程度の話ですので、安いのであれば買い取ってもらえる可能性も高いです。

放置しておいても固定資産税がかかりますし管理も大変になるので、どうしようもないのであれば近隣の住民に売却して活用してもらったほうが良いのかもしれません。

また、それ以外の活用法についてこちらの「田舎の空き家は活用次第でお得に!放置している空き家の問題の解決法」でも解説しているので参考にしてみてください。

田舎の家を売る方法

田舎の家を売る方法

田舎の家は立地の良い家と比べると売りにくいと考える方が多いのではないでしょうか。

そのような家を売る方法は、大きく2つに分けられます。

  • 不動産会社の利用
  • 空き家バンクの利用

それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

不動産会社の利用

こちらは一般的な方法になりますが、不動産会社と媒介契約を結んで不動産会社に買い手を探してもらうという方法です。

不動産会社には様々なところがありますし、媒介契約の方法もいくつかあるため、ご自身にとって最も都合のよい方法を選ぶ必要があります。

田舎の建物の場合は不動産会社としてもなかなか買い手を見つけるのが難しいという点を考慮すると、自身でも買い手を見つけることができる一般媒介契約を結ぶのも良いでしょう。

家を売却する際に必要な媒介契約の種類とそれぞれの特徴を徹底比較!

ただし、その場合は不動産会社に任せっきりにするのではなく、ご自身でも売却活動を行う必要があります。

空き家バンクの利用

空き家がなかなか売れないという方を対象にして、空き家を登録して公開し、それを販売することのできる空き家バンクというサービスが存在します。

全国の購入希望者を対象にすることができるため、実際に最近は空き家バンクに登録して田舎の家を売却するという方も増えてきています。

いくらでもいいからとにかく購入して活用してくれる方を探したいというのであれば、一度空き家バンクの利用を考えてみましょう。

田舎の家を早く売るために大切なこと

立地条件の良い家と比べると、やはり田舎の家は売却までに時間がかかることが多いです。

それでは、そんな田舎の家を早く売るにはどのような方法を取るのが良いのでしょうか。

高値での売却はあきらめたほうがいい

例えば、よほど綺麗でオシャレな建物でもない限り、田舎の一軒家に購入希望者が殺到するということはありません

中には、どうせ売るのであれば高値で売却したいと考える方も多いですが、その売却希望の建物に何らかの大きなメリットがない限り、残念ながら田舎の家が高値で売れるということはほとんどないのです。

実際に、田舎の家を購入する最大のメリットは価格が魅力的だからだという方も多いため、やはり安い物件の方が早く売れる可能性が高くなります。

例えば将来的に絶対に使うこともないようなボロボロの家だったりする場合は、固定資産税がかかることを考えると安くても早く手放してしまった方が良いという考え方もできます。

固定資産税のことを考えると、売却価格が安くなってしまっても結果的に得をするというケースもあるため、なかなか売れないと感じた場合は売値を大幅に下げてしまうのも方法の1つです。

自分で探したほうが早い場合もある

田舎の家は高値で売れる可能性も低いため、仮に不動産会社を利用して売却できたとしても、その不動産会社が手にする手数料は少ないです。

そういったこともあり、高額な家と比べると不動産会社も積極的に売りに出してくれない可能性が高いのも事実です。

不動産会社経由で売れることも十分にあり得るため契約だけはしておくのもよいですが、早く売りたいのであれば不動産会社に任せておくだけではなく自分でもある程度は動くことも考えましょう。

もちろん全く知らない赤の他人にいきなり家を買ってほしいというのはおかしいですが、空き家バンクを積極的に利用してみたり、近隣の住民に話を持って行き誰か家を探していないか聞いてみるというのは重要です。

金額によっては案外すぐに売れてしまうこともあるため、積極的に自分で動くことによって早期の売却が可能となるはずです。

不動産売却の一括査定を活用する

これが正直1番早く田舎の家が売れる可能性が高いです。

不動産売却の一括査定を使えば、わざわざ自分で動き回って不動産会社を選ぶ必要もないですし、ネットで簡単に見積もり査定を知ることができます。

特に田舎の場合は、不動産会社を見つけることが自体が難しいですからね。

それに、不動産売却の一括査定では、複数の不動産会社が査定してくれるので、実際に比較して数百万~数千万円も高く不動産が売れたという方も多いです。

自分で探すよりは圧倒的に早いので、すぐに売りたいけどどうすればいいか悩んでいる方は利用してみてください。

田舎の中古物件を上手に活用しよう

結論を言うと、駅前の立地の良い物件と比べると、田舎の中古物件はどうしても購入希望者の数も少なくなりますし、なかなか売れない物件となってしまうこともあります。

しかし、田舎にも田舎のメリットがありますし、中にはその田舎のメリットを得るために田舎にある中古物件を購入するという方もいらっしゃいます。

実際に、そのような購入希望者が田舎の家を購入することは少なくないため、絶対に売れるはずがないと初めから決めてかかるのは良くありません。

とはいえ、やはり生活をしていく上でのデメリットも多いため、最終的には価格設定が重要なポイントの1つとなります。

少しでも高く売りたいと考える方も多いですが、値下げ交渉に応じることによってご自身には不要な建物を売り切ることが可能となります。

高く設定するとだれも見向きもしないため、特にご自身が主体となって売却活動を行う場合は、価格設定に気を付けるようにしましょう。