自宅でペットを飼っているというご家庭も多いのではないかと思いますが、大きく家の中で一緒に暮らす派と庭で飼う派に分けられます。
ワンちゃんがかわいそうだから、家族の一員だから、と言った理由で家の中で飼うという方も少なくありません。
しかし大型犬となると、家の大きさにもよりますが屋内で飼うには難しいところがあります。
最近は、愛するワンちゃんのためにエクステリアをリフォームする方も増えてきています。
しかし、犬のためのエクステリアというのは、果たしてどのようなものになるのでしょうか。
今回は、ワンちゃんと暮らす方のための外構を紹介していきます。
愛犬を庭で飼うメリット
まずは、犬を屋外で飼うメリットについて紹介していきます。
また、少なからずデメリットもあるため、一緒にお伝えいたします。
住居内が汚れない
ワンちゃんを屋内で飼う方の多くは、リビングなどの一階部分に放し飼いにしているのではないでしょうか。
しかし、放し飼いにしておくと様々な家具が汚れたり傷がついたり、または壊されたりといったトラブルに悩まされることも少なくないはずです。
購入したばかりの棚を噛まれてボロボロになったり、大切にしていたクッションをおもちゃにされたため中から綿が出てきたりと、犬に関するトラブルは後を絶ちません。
もちろんきちんと躾けることができればこのようなトラブルはありませんが、少なからず、しっかりと躾けられるまでは住居内が汚れるリスクが高いです。
一方で、家の庭で犬を飼うのであれば、家具を壊されたりといった心配は無用です。
もちろんエクステリアの管理も重要になってきますが、屋内ほど神経質になる必要はなくなるのではないでしょうか。
トイレトレーニングが不要
トイレの場所をきちんと覚えているワンちゃんであれば問題はないですが、トイレトレーニングが不十分な場合はいたるところにおしっこをしてしまいます。
特にオスはマーキングが大好きですので、テーブルの足やタンスの角、そこらじゅうの壁など、いたるところがトイレとなってしまいます。
犬は元来、外にいるのが好きな動物ですので、散歩を怠っていると、絨毯やトイレマット、バスマットなどを草むらと勘違いして尿を足す犬も少なくありません。
大便の場合はティッシュでつまんで取り除くだけですのでまだましですが、おしっこを絨毯などにされてしまうといちいち洗わなければなりません。
屋外で飼うのであれば、例え放し飼いであったとしてもトイレの心配はありません。
仮に尿を放置しておいたとしても、自然に還り雨などで綺麗になるため気にする必要はないでしょう。
番犬になる
犬ははるか昔から、番犬としての役割を果たすことで人間とうまく共存してきたとも言われています。
現代においては、不審者が接近する際に吠えたり威嚇することにより、侵入を防いだり近隣の住民に異常を知らせるサインを送る番犬として、重要な役割を果たします。
もちろん、しっかりと躾をしないと郵便の配達員や来客者を威嚇したりしてしまうこともありますし、反対に誰が近寄っても警戒しない犬になってしまうこともあります。
番犬としての役割は犬を屋外で飼う大きなメリットの1つになりますが、飼い主との信頼関係やきちんとした躾が必要になってきます。
犬を外で飼うデメリット
メリットも大きいですが、もちろん犬を屋外で飼うデメリットも存在します。
犬はもともと集団行動を好む動物ですが、家族が家の中にいるのに自分だけ外にいるという寂しさを感じやすくなります。
また屋内犬と比べると、圧倒的に人間と触れ合う機会が減少するため、家族との信頼関係を築くのに時間がかかったり、飼い主が犬の体調の異常に気付きにくいというデメリットも挙げられます。
屋外で犬を飼う方の中には常につなぎっぱなしというケースも少なくないようですが、慢性的なストレスにもつながります。
しかし、犬のためのエクステリアを設置することによって、これらのデメリットを最小限に抑えることができます。
犬のためのフェンス
屋外で犬を飼う場合は、できるだけ放し飼いにしてあげることでストレスをなくすことができます。
しかし、敷地の外に出ていってしまったりしないためにも、周囲をフェンスなどでしっかりと囲んであげる必要があります。
フェンスの高さは登れないようにする
常に庭で放し飼いにするのであれば、絶対に登れない高さのフェンスを設置するようにしましょう。
例えばチワワなどの小型犬であれば高さに注意して設置しなければならないということはないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、小型犬でもジャンプ力の高い個体は高い壁を飛び越えることもあります。
絶対に飛び越えられないような高いフェンスを設置するというのも方法の1つですが、フェンスが高すぎると今度はエクステリア全体の景観を損ねてしまう可能性も出てきます。
中型犬までであれば、1.5メートルほどのフェンスを取り付けることで安心して生活ができるかと思いますが、運動能力の高い個体もいるため絶対大丈夫とは言い切れません。
心配な場合は、庭全体を動き回れるようなリードを付けるのもおすすめです。
フェンスの幅や隙間にも注意
全く隙間のないブロック塀などを設置するのであれば問題はないかもしれませんが、見通しの良いフェンスを取り付けるのであれば隙間にも注意が必要です。
小型犬はちょっとした隙間に入りたがりますし、身体をねじらせてうまく敷地外に抜けてしまうこともあるからです。
同様に、場合によってはフェンスの穴に足をかけてよじ登ってしまうケースもあるため、なるべく隙間は細かく設置するべきです。
既に大きめの隙間を持つフェンスを設置してしまっているという場合は、そのフェンスに沿って細かい網などを置いておくと安心です。
犬のための地面
ワンちゃんが元気に走り回るためには、足元のエクステリアもきれいに設置してあげることをおすすめいたします。
それでは、犬が喜ぶエクステリアとはどのようなものなのでしょうか。
芝生は足元の汚れを抑えることができる
芝生は、犬が走り回るのに最も適したエクステリアの1つと言えるでしょう。
もちろん土のままでも問題はありませんが、足がダイレクトに汚れたり、雨の日などは泥だらけになったりしてしまいます。
しかし芝生を敷くことによって、足元の汚れを最小限に抑えることができます。
ただし、ワンちゃんの中には芝生の下の土を掘り起こすのが好きな個体もいるため、場合によってはせっかくのエクステリアを台無しにされてしまいます。
人工芝であればそのような心配もないため、掘り起こす癖を持つワンちゃんの場合は人工芝の設置をおすすめいたします。
⇒エクステリアに芝生を入れたい!天然芝と人工芝のメリット・デメリット
ウッドチップはシロアリが発生する恐れあり
犬が元気に走り回るのにおすすめのエクステリアとしてウッドチップも挙げられますが、使用できる環境が限られてきます。
ウッドチップを敷き詰めることでフィラリア等の原因になる蚊が少なくなると言われていますし、雨をしっかりと吸収するためワンちゃんの足が汚れにくくなります。
また、そのうち腐敗して土に戻るため犬にとっては優れたエクステリアなのですが、シロアリが発生しやすくなる可能性があるため必ずしもおすすめの素材とは言い難いです。
中にはシロアリが寄ってこないヒノキのウッドチップなどもありますが、単価が高くなるため現実的ではないかもしれません。
ウッドデッキ
犬が好むエクステリアの1つとして、ウッドデッキが挙げられます。
ウッドデッキの上で遊ぶ分には足が土で汚れる心配がないですし、実際にウッドデッキ上でくつろぐワンちゃんも多いです。
ただし、夏場は直射日光によって表面の温度がかなり高くなるため、遮熱効果を持つ屋根を設置してあげるか、日陰の場所を確保してあげなければなりません。
ウッドデッキの上に犬小屋を設置したりするのも方法の1つです。
犬に向いていないグラウンド
コンクリートや砂利などの硬いエクステリアは、ワンちゃんが走り回るのには向いていません。
夏場はかなり熱を持つことになるため動き回ることができなくなってしまいますし、砂利は肉球に刺さったり足の間に入り込んでしまったりすることもあるため動きが制限されてしまいます。
また、庭を美しいタイル張りにしたいと考える方も多いと思いますが、タイルは滑りやすく、特に雨の日などはスリップして大怪我につながることもあります。
もちろんワンちゃんがいないのであれば、これらのエクステリアもそれぞれ優れたものとなりますので、どうしても設置したいという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし愛犬を屋外で飼うのであればエクステリア全体に設置してしまうのではなく、コンクリートはカーポートの下のみ、砂利は裏口の周りのみといった具合に、必要最低限の場所にとどめておくことをおすすめいたします。
犬と共存するエクステリア
犬を屋外で放し飼いにする場合は、その他のエクステリアの設置にも配慮する必要があります。
中には、犬に悪影響を及ぼすようなものもあるため気を付けましょう。
ガーデニング
庭で植物を栽培したり家庭菜園などを行う場合は、その周りをフェンスで囲って犬が入れないようにすることをおすすめいたします。
もちろんワンちゃんがそれらを荒らしてしまうという心配もありますが、最大の理由は犬にとって害のある植物から愛犬を遠ざけるためです。
人間にとっては全く問題のない野菜や植物の中には、犬がそれを口にすることによって嘔吐や下痢の原因になったり、場合によっては命を落としてしまうようなものも存在します。
犬にも全く害のない植物しか育てないというのであれば話は別ですが、ワンちゃんが安心して過ごせる環境を作ってあげるのが良いのではないでしょうか。
水たまり
庭に水がたまりができやすい場合は、水がたまらないようなエクステリアを設置したりその場所を埋めてあげるとよいでしょう。
雨が降ってもしばらくすれば乾燥してしまうような場合は問題ないですが、常に水が溜まっているような場所にはボウフラが繁殖するため、犬にとっても人間にとっても不衛生になってしまいます。
蚊は人間が鬱陶しいと感じるだけでなく、犬にもフィラリアと呼ばれる重大な病気をもたらすリスクがあります。
愛犬が健康でいるためにも、エクステリアをきれいに整えてあげるようにしましょう。
物置
庭に物置や離れ、倉などがある場合は、その周辺にガーデニングに使う機具などを置いておくという方もいらっしゃいます。
犬がいなければ全く問題ないのですが、ワンちゃんがそれらの機具に近づくことで思わぬ怪我をしてしまったりすることがあります。
同様に、除草剤などを放置しておくと犬が誤飲して大変なことになる可能性もあります。
愛犬のためにも、ガーデニングなどで使用した道具は必ず物置の中に片付け、犬の手の届かないところに保管しておくべきです。
犬小屋も設置しよう
ワンちゃんのためのエクステリアを設置するのであれば、欠かせないのが犬小屋です。
エクステリアを犬仕様にすれば犬小屋など不要なのではないかと考える方もいらっしゃいますが、犬小屋は特に屋外犬にとっては、なくてはならない存在です。
犬小屋の役割
犬は元々、外敵から身を守るために、または落ち着いてリラックスするために、洞窟などの小さな穴をベースに生活をしていました。
現代の犬にとっては犬小屋がそれに該当し、ワンちゃんにとってちょうどよい大きさの犬小屋はどんな時でもくつろぐことのできる重要な場所を作り出します。
特に屋外で暮らす犬は、犬小屋があることによって風雨からも身を守ることができますし、時には日よけのために身を隠します。
ワンちゃんが自らの体調を管理するためにも大切なアイテムになるため、犬小屋の設置は不可欠と言えるでしょう。
設置場所
屋外に犬小屋を設置する場合は、その場所がうまく決められないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人間目線で言うと、他のエクステリアとうまく調和する場所がベストなわけですが、それが必ずしも犬にとって最善の場所とは言えません。
ワンちゃんが好む犬小屋の場所は、第一に直射日光が当たらず湿気の少ない風通しの良い場所です。
また、できるだけ道路から遠く家屋に近い場所に設置してあげることをおすすめいたします。
道路に近いと通行人や車の往来で常に落ち着きませんし、建物の近くに設置することで常に家族がそこにいるということを感じ取ることができるからです。
家族とは違い外で生活を送りますが、家族は常に一緒という気持ちにさせてあげることで、精神的にも健康に生活することができるのです。
犬小屋のメンテナンス
フェンスをはじめとしたエクステリアを頻繁に掃除しないという方がほとんどではないかと思いますが、犬小屋は定期的にきれいにしてあげる必要があります。
犬小屋を放置しておくと臭いの原因になって、それがご近所トラブルに発展する可能性もあります。
また、特に夏場などはダニやノミなどが発生してワンちゃんに付着し、それが元になって重大な病気を患ってしまうこともあるからです。
特に尿や糞が付着している場合は、たわしを使って念入りにこすった後に乾燥させ、最後に殺菌消毒を行います。
そうすることで犬小屋がきれいになるだけでなく、しばらくの間はダニやノミなどが発生しにくくなります。
しかし、消毒は犬にとっても害があったり臭いがきつかったりすることがあるため、きちんと乾燥させて臭いが取れてからワンちゃんを戻してあげるようにしてください。
最後に
人間と同じ家族であるワンちゃんを屋外で飼うためのエクステリアは、このように豊富に存在します。
例えば犬小屋一つとっても、最近はどのようなタイプのエクステリアにも合わせられるようなオシャレなものも多いですので、犬も人間も気に入る庭を作ることができるはずです。
どうしても飼い主が気に入るエクステリアを設置してしまったり、人間にとって便利な外構を取り入れてしまう傾向が強いですが、ワンちゃんを外で飼う以上は犬目線のエクステリアを使ってあげることをおすすめいたします。
犬が気にいるエクステリアを設置することによって、飼い主との間により強い絆が生まれるのではないでしょうか。