見た目をきれいにするためにリフォームを行うという方も多いですが、リフォームのもう1つの目的は建物の劣化を防ぐことです。
エクステリアのリフォームにも様々なものがありますが、外壁塗装は見た目をよくするのと同時に、劣化を防ぐ役割を果たします。
しかし、一口に外壁塗装といっても非常に奥が深く、利用する塗料によってその壁の質や耐久性が大きく変わります。
そのため、どの塗料を利用して壁を塗装するのかは、その後のリフォームの頻度に大きく影響してきます。
それと同時に気を付けなければならないのは、壁に利用する色です。
アプローチや門柱の色を変えるのとは違い、建物全体の色が変わるため、ちょっとした色の変化が建物全体のイメージも大きく塗り替えるのです。
この記事では、そんな外壁塗装の基本や色の選び方、費用や業者を選ぶポイントなどについて解説しているので参考にしてみてください。
目次
外壁塗装で抑えておきたい基本と目的
外壁は外側に位置する壁のこと。
一戸建て住宅の場合は、建物の周り一周が外壁ということになりますが、ここに屋根が含まれる場合と含まれない場合があります。
しかし、外壁塗装をするには壁の周りに足場を設置しなければならないため、同じく足場が必要な屋根のリフォームと一緒に行うことで費用が抑えられます。
ただし、外壁に利用する塗料と屋根に利用する塗料の質や色などを変えることも多いため、目的やデザインにあったものを使う必要があります。
そして外壁塗装をする目的はご家庭や建物の状態によって異なると思いますが、大きく2つに分類することができます。
それが下記の2つです。
外壁を美しく保つ
外壁塗装をする最大の目的が、「建物の見た目を向上させるためだ」というご家庭も多いのではないでしょうか。
実際に、10年以上放置されていた外壁にはシミをはじめとする汚れが付着しているため、醜いと感じる方もいるでしょう。
しかし、塗装をすれば外観が新品同様に生まれ変わるため、塗料の色などに関わらず見た目が大きく向上して建物全体がピカピカになります。
外壁の強度を高める
新築住宅として建てられたばかりの外壁は、見た目もきれいですしひび割れなどもありません。
しかし、古くなった建物は劣化が進み、時には外壁の一部にひび割れや剥がれなどが生じるため、そこから住まいの耐久性が下がってしまいます。
外壁塗装を行えば、そのようなひび割れや剥がれを外側から全て覆うことで、建物全体の強度を高めて寿命を延ばすことができるのです。
外壁塗料の種類
そんな外壁塗装に利用する塗料には様々な種類が存在しますが、代表的なものは大きく
- アクリル塗料
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- フッ素塗料
の4つに分類することができます。
もちろんこれら以外にもたくさんの塗料がありますし、塗料ごとに価格も異なれば性質も違ってきます。
そのため、外壁塗装をするとなったら、まずはそれぞれの塗料の特性を理解した上で利用する塗料を決める必要があります。
それぞれの塗料の詳しい説明に関してはこちらの記事「屋根や外壁工事の塗装に利用される塗料の種類とメリット・デメリット」も参考にしてみてください、
塗料のデザイン
塗料の質だけではなく、色や塗り方の違いによって建物全体のデザインが大きく異なります。
例えば、単純に真っ黒の外壁と真っ白の外壁とでは、その建物に対するイメージが変わってきますし、単色にするのか複数の色を組み合わせるかで無数のデザインが出来上がります。
塗料の色は、事前に業者と話し合うことで希望通りの物を利用することができますが、中には色選びに後悔してしまうという方もいらっしゃいます。
もちろんお金を出せばすぐに塗り替えることもできますが、通常は次の外壁塗装まではその色の状態を維持させることになるため、慎重に選びましょう。
塗料に利用する色の選び方については、詳しく後述させていただきます。
塗料に利用する色を選ぶ4つのポイント
それでは、外壁に利用する塗料の色は、どのように選ぶのが良いのでしょうか。
実際に塗り終わった外壁を見て、イメージしていた色と違っていた、または玄関のドアや周りの風景と合わないなどと後悔する方もいます。
そんな塗料の色選びで失敗しないため大切なポイントは下記の4つです。
- 見本の色だけで即決しない
- その他のエクステリアとの相性を考える
- 近隣の建物との相性も考える
- ツヤの有無で印象が大きく変わること意識する
見本の色だけで即決しない
塗料の色は、小さなサンプルカタログから様々なものを比較して、その中で最も好きなものを選ぶというのが一般的です。
しかし、そこで気を付けなければならないのは、サンプルの色のみを見て判断してしまわないということです。
カタログ越しに見る色がいくら綺麗だったとしても、その色をそのまま外壁全体に塗ったときにきれいになるとは限りません。
また、パソコンのモニターなどを利用して色を選択する場合は、そのモニターの明るさでも色合いが左右されますし、機種によっても見え方が異なります。
それでは、色はどのように選ぶのが良いのでしょうか。
ポイントとしては、
- 外壁に見本の色を当ててイメージする
- 実際の太陽の光に当てて見てみる
- 影での見え方や雨の日の見え方もチェックする
これらを実行してみることをおすすめいたします。
家の中で見本の色を眺めているだけではなく、好みの色をいくつかピックアップし、外に出て見てみることで本当の色を実感できるはずです。
その他のエクステリアとの相性を考える
外壁を塗装するわけなので、当然外壁のことを考える必要がありますが、エクステリアには外壁以外にも様々なものが存在します。
その中でも、外壁とマッチさせるべきなのが、玄関のドアや窓のサッシ、それから屋根の色などです。
屋根も一緒に塗装するのであればバランスを考えて色を決めることができますが、屋根はそのままで外壁のみを変える場合は注意が必要です。
実際に、外壁のみを見た場合は綺麗な色をしているのに、エクステリアと合わせて見てみると雰囲気がおかしくなるといった失敗は少なくありません。
他のエクステリアの色や質感などを考慮して、外壁の色を決めていきましょう。
近隣の建物との相性も考える
ここまではする必要がないと考える方もいるかもしれませんが、エクステリア同様、近隣の建物の色のことも考えたほうが良いケースがあります。
例えば、両隣の3軒の外壁が白色なのに、外壁塗装で真っ黒の外壁にしてしまうと、パッと見た時に1軒だけ目立ってしまいます。
あえて目立たせるためにまわりと違った色を使うというのも方法の1つですが、周辺の雰囲気などを考えると同調させた方が良いこともあるでしょう。
1軒の建物だけを見たらきちんとカラーバランスが取れているのに、もう少し視野を広げてみると色遣いがおかしいということも存在します。
そのため、周りの環境を確認してから家の色を決定するのも意外と重要なことなのです。
ツヤの有無で印象が大きく変わるを意識する
例えば同じグレーの外壁だったとしても、ツヤのないグレーとツヤを出すグレーとでは、見た目の印象が大きく変わってきます。
そのため、塗料にツヤを出すのか出さないのかも重要な選択肢の1つになるのですが、こちらも色を決める際に一緒に決めなければなりません。
というのも、グレーの塗料を選んだ際に、塗装当日にそのグレーの上からツヤを出すためにニスを塗るというようなことをするわけではないからです。
塗料によってツヤがあるもの、反対にツヤのないものが決まっているため、打ち合わせの段階でツヤを出すかどうかを話し合っておきましょう。
ちなみに、ツヤにも段階があるため、色を決めたらツヤの程度をしっかりと見比べる必要があります。
ツヤは太陽光に当てなければはっきりと違いがわからないモノもあるため、晴れた日に外でチェックすることをおすすめいたします。
外壁に使用するおすすめの色
色の好みは人によって完全に異なるため、一概に何色がおすすめだとお伝えするのは難しいです。
しかし、色ごとに特徴があるため、それらを確認することで利用できる色も絞られてきます。
ではどんな色がおすすめなのか。
基本的には「汚れが目立つ色と目立たない色」を基準に考えるのがおすすめです。
汚れが目立つ色と目立たない色
どうせ外壁をきれいにするのであれば、できるだけ汚れが付着しにくくメンテナンスが楽な色の方が良いと考える方も多いです。
それでは、汚れの付きやすい色とはどのような色になるのでしょうか。
結論を言うと、車の色と同じように、真っ黒や真っ白などのはっきりとした色は、付着した汚れが目立ちやすい傾向にあります。
特に大通りに面しているような建物は、真っ白にすると排気ガスなどですぐに汚れが目立ってしまうため避けたほうが良いかもしれません。
逆に、グレーやベージュなどの中間色は、汚れが付着しても極端に目立つことはないでしょう。
外壁に付着する汚れの多くは、
- 砂埃
- カビ
- コケ
をはじめとしたものが多いため、それに近い色を外壁の塗料に選ぶことによって、汚れが目立ちにくくなるのです。
しかし、目立たないだけで汚れが付着することには変わりないため、汚れたらすぐにきれいにするのであればはっきりとした色を選ぶのも方法の1つです。
変色する色に注意
淡い色は元々が薄いため、例えば経年劣化で色が少しずつ落ちていったとしてもその変色にすぐに気が付かないケースが多いです。
しかし、反対に濃い色を外壁の塗料に採用する場合は、劣化していくたびにはっきりと変色が目立つ傾向にあります。
もちろん同じ種類の塗料を塗った場合は耐用年数もほぼ同じですが、濃い色を選ぶだけで、実際の劣化具合よりも古く見られがちです。
同様に、赤っぽい色を利用する場合は、日に当たることによって部分的に色あせてしまうことも少なくありません。
全てを赤系の同じ色で塗ったはずなのに、日がよく当たる部分と影になる部分とで大きな色の差が出てしまうため注意が必要です。
外壁塗装の費用の相場と価格を抑えるポイント
外壁塗装をする上で、やはり費用が最も気になるという方が多いでしょう。
それでは、実際に外壁塗装をするにあたってどれくらいの予算を考えておけばよいのでしょうか。
続いて、外壁塗装の価格の相場や、費用を抑えるためのコツなどについて紹介していきます。
外壁塗装の相場
結論から言うと、外壁塗装は実際に塗料を塗る広さによって変わってくるため、一概に価格を出すことができません。
ただし、一般的には30坪の2階建てで80万円程度が必要だと言われています。
60坪ある家なら単純に2倍の金額の160万円程度。(あくまでも目安)
使用する塗料の料金はもちろん、塗装に必要な足場の設置代金や施工代金なども含めてこの価格ですが、意外に高いと感じた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、例えば壁が劣化していて剥がれが生じていたりした場合、その部分を剥がして下地を補修したりすることになるため、さらに割高になります。
また、利用する塗料のグレードなどによっても価格が大きく変わってくるため、80万円というのはあくまでも平均的な価格です。
実際に塗装してもらう建物をきちんと見積してもらえば、塗装リフォームの正確な価格を出してもらうことができでしょう。
そのため、まずは業者に、具体的にいくらくらいかかるかを見積もってもらうことをおすすめいたします。
大まかな塗料の違いによる料金の差や特徴はこちらの記事「屋根や外壁工事の塗装に利用される塗料の種類とメリット・デメリット」でも解説しています。
塗装の間隔が長いと費用が割高になる
グレードの高い塗料を利用すればリフォーム費用は高くなりますが、その分塗装の間隔が長くなるため、長い目で見るとそちらの方がお得です。
反対に、グレードの低い塗料を利用した場合、1回分のリフォーム代を安く抑えることが可能です。
しかし、劣化が早いこともあって頻繁に外壁塗装を依頼することになるため、数十年単位で見ると割高になる傾向にあるのです。
もちろん、1回分のリフォーム代金が安い方が助かるというご家庭も多いと思いますが、予算に余裕があるのであれば耐用年数の長い塗料がおすすめです。
安く塗装をするための間隔
利用する塗料によって耐用年数は異なりますが、できるだけ安く外壁リフォームをしたいのであれば、その塗料の劣化が進む前に新たな塗装をしましょう。
耐用年数が10年の塗料を利用した場合、10年間は絶対に大丈夫というわけではなく、その10年が来る前にひび割れなどが始まる可能性があります。
一般的に10年経ったら塗り替えが必要と言われている塗料であっても、場所によっては7年や8年で劣化してしまうケースも珍しくはありません。
そして、早い段階でひび割れが発生した場合は、そこから水が入り込んだり、場合によってはその水が凍結して建物が大きく傷んでしまうリスクがあります。
そうなってしまうと、外壁の塗装料金以外に壁を補修するための費用が余分にかかってしまうのです。
必ずそうなるというわけではありませんが、そうなる可能性があるということを考えると、早いタイミングでの外壁塗装も検討した方が安心もできるはずです。
耐用年数を信じるのではなく、実際の壁の様子を定期的にチェックし、劣化が始まったと思ったら早い段階で塗装業者に相談しておきましょう。
外壁塗装の業者を選ぶ際の4つのポイント
最後に外壁塗装をしてくれる業者を選ぶ際のポイントですが、下記の3つをしっかりと意識して決めるようにしましょう。
外壁をリフォームする目的をはっきりとさせる
最初にはっきりとさせておかなければならないのは、どのように外壁をリフォームするかという点です。
外壁塗装だけであれば問題はありません。
しかし、外壁塗装をやるついでに外壁をコンクリートからレンガに変えるなどといったリフォームも考えているなら、工事業者も変わってきます。
同様に、外壁塗装をするのと同時に屋根の塗装もお願いしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
外壁塗装をしている業者はほとんどが屋根の塗装も可能だと思いますが、中には外壁は得意だが屋根は苦手だという業者もいるのです。
そのため、
- 外壁のみを塗装したい
- 屋根とセットで塗装したい
- 塗装と同時に本格的なリフォームをしたい
のどれに当てはまるのかをはっきりとさせ、それぞれを得意とする業者を選ぶ必要があります。
信頼できる業者か確認する
リフォームの目的が決まったところで次に考えなければならないのは、お願いする業者は本当に信用できるか否かという点です。
信用の定義は人それぞれですが、例えば経験の少ない業者よりは経験豊富な業者に任せた方が安心はできますよね?
なので、まずはお願いしようと思っている外壁塗装の業者の過去の施工事例などをチェックしてみることをおすすめいたします。
実際にその業者が行った例を見ることによって、ご自身の住宅のリフォーム後のイメージが可能ですし、事例が多ければそれだけ安心です。
過去の事例を見る際には、数だけではなくリフォームのセンスなども併せてチェックしてみましょう。
料金や工程を親切に説明してくれるか
特に外壁のリフォームが初めての方には、
- リフォームにはどれくらいの日数がかかるのか
- 塗料によって異なる費用の違いやメリット・デメリット
- 具体的な施工方法
などは全くわかりません。
当然不安になる方がほとんどだと思いますが、こちらの疑問点などにしっかりと答えてくれるかどうかも評価のポイントになります。
どうせ外壁リフォームをするのであれば安心してお願いしたいはずですので、親身になって相談にのってくれる業者を探してみましょう。
なお、特に地域密着型の外壁リフォーム業者は、地元での評価が高いことも多いですし、後述するアフターケアに対応していることも多いです。
そのため、まずは近場の業者を探してみるというのも方法の1つです。
アフターサービスは充実しているか
リフォームの種類にもよりますが、やはりアフターケアが充実しているリフォーム業者には安心感があります。
アフターケアは無料で行ってもらうのが一般的ですが、なるべくケアをしなくても良いように、業者も初めからきちんと施工してくれます。
逆にアフターサービスがない業者の場合は、工事後にケアする必要がないため、中には手抜き工事をするような悪質なところも存在します。
もちろんアフターケアがないから悪質な業者だと判断するのはいけませんが、やはりないよりはあったほうが将来も安心できますよね。
外壁塗装業者のおすすめの探し方とそれぞれのメリット・デメリット
実際に外壁塗装業者を探すとなった場合、
- 近場の業者を当たってみる
- 知人に紹介してもらう
- 一括見積サイトを利用する
というのが代表的な方法です。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、どちらも見て決めるようにしましょう。
ネットで近場の業者を探すメリットとデメリット
真っ先に思いつくのは、ネットなどでご自宅の住所周辺の外壁塗装業者を探すというものでしょう。
実際に利用した方の口コミを見ることができますし、ホームページには過去の実績などが載っていることが多いため判断基準が多いです。
しかし、全ての口コミが正しいとは限りませんし、ご自身の希望するリフォームにぴったりと合った情報が見つかるとも言い切れません。
逆に、近場で信頼できそうな業者を見つけることができれば、リフォームがスピーディーに進む可能性が高いです。
知人に紹介してもらうメリットとデメリット
ネットでの口コミではなく、実際に利用した方の口から本音を聞くことができるため、より信憑性の高い情報を得ることができます。
しかし、その知人が利用した業者は1社のみなので、他社と比較することができないというのが最大のデメリットとなってしまいます。
また、紹介してもらった業者を実際に使わなかった場合、その知人との関係性が悪くなってしまう可能性もあるため一概に良いとは言い切れません。
軽い気持ちで紹介してもらうのではなく、慎重に考えてからお願いするか決めることをおすすめいたします。
一括見積サイトを利用するメリットとデメリット
一括見積サイトにも様々なものがありサイトごとに特徴が異なるため、どのサイトを通して業者を見つけるかは自分で判断しなければなりません。
また、全国の全ての外壁塗装の業者が一括見積サイトに登録しているわけではないので、登録していない業者の方がいいという可能性もあります。
しかし、上述した方法と比べると、ご自身の要望に最も合った業者を見つけられる可能性が高いです。
そのため、一括見積サイトをうまく活用するのこの中では1番おすすめです。
知人に迷惑をかける必要もないですし、様々な外壁塗装の業者から比較することができますので。
まとめ
外壁リフォームにも様々な種類がありますが、恐らくほとんどの方が外壁塗装をすることになります。
しかし、その外壁塗装にも様々な方法がありますし、使用する塗料の種類や色などで、費用や出来上がりの見た目も大きく異なります。
エクステリアの中でも最も大きな存在感を持つといっても過言ではない外壁なので、色を少し変えるだけで外構全体の雰囲気がガラリと変化します。
一度外壁を塗装してしまうと、その後の10年前後はその外壁を使い続けることになるため、なるべく失敗は避けたいものです。
特に、色やグレードなど、塗料の種類は非常に豊富ですので、信頼できる業者を見つけて色々と相談してみるのが良いでしょう。