不動産を売却する前に、その家やマンションに何らかのリフォームを加えるべきかで悩む方はたくさんいらっしゃいます。
確かに、リフォームすれば建物もきれいになるので、そちらの方が売れやすくなると考える方は多いですが、中古不動産の売買に関してはそれが完全に当てはまるとは限りません。
例えば、見た目がいかにもボロボロで倒壊寸前というような中古物件を売却する場合は、最低限人の住める状態に改善する必要はあるでしょう。
しかし、一般的な中古物件のように、見た目も特に問題なくすぐに人が住めそうな状態のものであれば、基本的にはリフォームしなくてもよいという考え方もあります。
もちろん家やマンションの状態によって、または買い手の希望なども考慮してリフォームすべきかどうかを決断する必要があります。
この記事では、そんな不動産を売却する前のリフォームのメリット・デメリットについて紹介しております。
目次
不動産売却前にリフォームをするメリット
売却をする前に、売り手が不動産に何らかの手を加えることによって、具体的に
- 見た目が良くなる
- 大きなアピールポイントになる
のようなメリットが生まれます。
見た目が良くなる
同じ物件を購入するにしても、見た目の良し悪しというのは非常に重要な比較ポイントの1つとなります。
例えば、見た目の悪い物件の外壁塗装を行ったりすることで、外見の見た目を新品同様によみがえらせることも可能です。
そして、それが売却活動において大きなメリットになることもあります。
実際に、購入希望者は初めにネットなどの写真を元に、購入したい家、住みたい家を決めることになります。
もちろん価格や立地などのその他に条件となる部分も多いですが、写真での見た目は大きな選考基準の1つのため、住宅の見た目をよくするためのリフォームはおすすめです。
ただし、あまりやりすぎると逆効果になってしまう可能性がありますし、リフォーム費用もかさみます。
後述しますが、リフォームのし過ぎは逆にデメリットになってしまうリスクもあるため、リフォームをするにしてもほどほどにしておいたほうが良いかもしれません。
大きなアピールポイントになる
リフォームにも様々なものがありますし、買い手にも色々な人間がいるため、一概に売却前にリフォームすべきかどうかを述べることはできません。
しかし、買い手が購入した物件にすぐに住みたいというような場合は、リフォームをしておいたほうが良いと判断されることもあります。
例えば、「買い手が中古住宅を購入して自分の思い通りにリフォームしたい」というような場合は、売却前のリフォームが大きなデメリットとなるでしょう。
一方で、「購入後にリフォームする気はないから、どうせ買うならリフォーム後の見た目の良い物件の方が良い」と考える方もいるのです。
売却活動でうまくそういった方を見つけることができれば、リフォームしているということを前面に押し出して物件を紹介することができるでしょう。
しかし、当然こちらの考えるリフォームと相手側が考えているリフォームが全く別物であった場合は、せっかくお金をかけたとしてもあまり意味がありません。
購入側も、新築ではなく中古の不動産を購入するということはわかっているため、リフォームをするのであれば具体的に「どこをどのように改善したのか?」をアピールするとよいでしょう。
不動産売却前にリフォームをするデメリット
それでは反対に、家やマンションを売却する前にリフォームするとどのようなデメリットが生じるのでしょうか。
様々なデメリットが考えられますが、代表的なものは
- リフォーム費用を上乗せできるわけではない
- 自分でリフォームしたい買い手も多い
この2つです。
リフォーム費用を上乗せできるわけではない
例えば、リフォーム前の売り出し価格が2,000万円の物件でリフォーム代が500万円かかった場合、当然売り出し価格は2,500万円にするべきだと考える方も多いです。
確かに、元々2,000万円の価値の物件に500万円の価値があるリフォームを加えたのだから、合計するとその価値は2,500万円ということになるのかもしれません。
しかし、一般的にはリフォームでかかった費用をそのまま丸々売り出し価格に上乗せするようなケースは珍しいのです。
もちろん、リフォームをした分だけ資産価値が上がることもあるため、それによって売り出し価格が変わることはあります。
しかし、一般的に見ると、リフォーム後の査定額がリフォーム前と比べて、リフォーム代金分上がるということはほとんどありません。
家やマンションの査定では様々な部分を見ることになるため、もちろんリフォームが考慮に入れられることもありますが、それは微々たるものであるケースが多いのです。
それであれば、高いお金を払ってリフォームした物件を売却するより、現状のまま少し価格を下げて売ったほうがお得といえるのではないでしょうか。
自分でリフォームしたい買い手も多い
家やマンションを売却する前に忘れてはならないのが、購入希望者の中には中古の不動産を買って自分の手で好きなようにリフォームしたい方も多いということです。
例えば、既にフルリフォームをしている建物を購入すれば、リフォームをせずにすぐに住めるというメリットはあります。
しかし、万が一そのリフォームが購入希望者の気に入らないモノであった場合、その物件は魅力的に映らず購入に至ることはないでしょう。
それであれば、ボロボロでも安い中古住宅を購入し、お金をかけて自分の好みに合うように、家族のスタイルに合うようにリフォームしたいと考える方は少なくありません。
つまり、早く売れると思って行ったリフォームが、逆に購入希望者を減らすことにつながる可能性もあるのです。
もちろん、先ほどもお伝えしたように、自分でリフォームしたい方もいれば、既にリフォームしてある物件にすぐに住みたいという方もいます。
しかし、一般的には前者の方が多いため、売却前にリフォームをすることが良いことであるとは一概に言えないのです。
不動産売却前のリフォームに関する3つの注意点
売却前にリフォームをする場合は、以下の点に気を付けるようにしましょう。
- 査定のポイントは築年数
- リフォームと修繕は全く別物
- リフォームしすぎると売れなくなることも
査定のポイントは築年数
建物を売却する前には、不動産会社に査定をしてもらい、その査定額を基準にして売り出し価格を決めることになります。
ここで重要なのが、リフォームをしたからと言って査定額が大きく上昇することはないという点です。
先ほども、不動産の価値には様々な要素が加味されていると述べましたが、その中で大きな要素となるのが築年数です。
当然リフォームをすることで築年数が下がるわけではありませんし、その不動産の根本的な老朽化には関係ありません。
そのため、売却活動をする前にリフォームをすれば、物件の価値が大きく高まるはずだと思っている方は注意が必要です。
リフォームと修繕は全く別物
リフォームをすることによって、家やマンションの見た目は大きく向上しますし、住宅の質を高めることにつながります。
リフォームにも様々なものがありますが、見た目をよくするためのリフォームと住宅の質を高めるリフォームは全く別物です。
例えば、雨漏りが発生する住宅の屋根をリフォームすることで雨漏りを改善することができますが、これは売却には不可欠なリフォームと言えます。
一方で、「バスルームが古い在来工法で造られているから、最新のユニットバスを導入するためにリフォームをする」というのは売却には必要ありません。
もちろん、そのユニットバスに惹かれて物件を見に来るという方が増える可能性があるかもしれません。
しかし、高いお金をかけてリフォームをしても売却価格が大して変わらないのであれば、本当にそのリフォームに価値があるのかは判断に困るところです。
見た目をよくしたり売却に当たって必要な場所をリフォームしたりすることを簡易リフォームなどと呼びますが、簡易リフォームについては後程記載させていただきます。
リフォームしすぎると売れなくなることも
売却するにあたって必要なリフォームも存在しますが、不要なリフォームをしすぎると、逆に売却活動に支障が出てしまうこともあります。
先ほども言ったように、住まいに関しては人によって好みがわかれるところですので、例え高いお金をかけてリフォームを行ったとしても、それを気に入ってくれる人がいるとは限りません。
逆に、高いリフォーム代金を回収するために、売り出し価格を少し高めに設定するという方が多いですが、高くなった分買い手がつきにくくなる可能性もあります。
例えば、フルリフォームを行ったとしても、そのリフォーム代金を上乗せせずに売りだせば購入者が現れる可能性は高いでしょう。
しかし当然リフォーム代を全く考慮せずに売り出すという方は少数派のため、リフォーム代が高くなればその分売り出し価格も高くなるのが一般的です。
そうなると、その物件のハードルがますます高くなり、購入希望者が現れにくくなってしまうのです。
不動産売却前の対策は簡易リフォームとクリーニングがおすすめ
それでは、売却をするにあたってどのような対策を取るのが良いのでしょうか。
具体的には、
- 簡易リフォーム
- クリーニング
はしておくことをおすすめいたします。
簡易リフォームのメリット
大掛かりなリフォームは必要ないケースが多いですが、簡易リフォームをしておくことで見た目が向上し、購入希望者の購入意欲を高めることができます。
例えば、
- 壁紙・フローリングのリフォーム
- 水回りのリフォーム
などをすることで売却できる可能性が大幅にアップするはずです。
壁紙・フローリングのリフォーム
売却予定の建物の室内の壁がボロボロになっている、黄ばんでいるというような場合は、それだけで部屋が古臭く見えますし印象もよくありません。
逆に安い壁紙を利用して壁全体を新しくすれば、それだけで部屋全体が明るくなるため、内覧者に与えるイメージもよくなります。
同様に、床材が古くなっている場合はそれを変更するだけで、部屋が新品になったような印象を与えることができます。
フローリングや壁のクロスなどには高額なものもありますが、安く取り換えられるものも少なくありません。
新品のクロスや床材のパッと見の印象は高い素材でも安い素材でも変わらないため、安いリフォームで不動産のイメージを大幅に向上させることができるのです。
どうせリフォームするのであれば、そういった部分に手を加えることをおすすめいたします。
水回りのリフォーム
例えば、バスルームのフルリフォームやキッチンにシステムキッチンを導入するといったリフォームは、お金がかかる上に好みがわかれるためおすすめできません。
ただし、水回りは家の中で最も汚れやすい場所になるのと同時に、その水回りの汚れ具合で住宅に対するイメージが大きく変わってきます。
例えば
- 蛇口に水垢がついて取れない
- 洗面ボウルにひびが入っていて使い物にならない
- お風呂に黒ずみがある
というような場合は、それらを取り除くためのリフォームをしましょう。
リフォーム前は不潔な印象を与えていた水回りが、清潔なイメージを持たせる存在に生まれ変わりますし、部分的なリフォームであれば安価で可能です。
特に女性はキッチンやバスルーム、トイレなどの水回りに敏感ですので、簡易リフォームで良い印象を持ってもらえるようにするとよいでしょう。
クリーニングのメリット
簡易リフォームをする前に、まずはご自宅をクリーニングすることをおすすめいたします。
築20年というような物件に新しさを要求する購入希望者はいないですが、それでも不潔な物件よりは清潔な物件のほうが良いですよね?
専門のハウスクリーニング業者を利用すれば、建物をすみずみまできれいにしてくれるため、それを利用するだけで不動産全体がきれいになります。
バスルームやキッチンなどの水回りをクリーニングしてもらえば、簡易リフォームが必要だと思っていた黒ずみや水垢がピカピカになるかもしれません。
クリーニングはリフォームと比べるとはるかに低価格で利用することができるため、掲載用の写真を撮影する前にお願いしておくとよいでしょう。
まとめ:家やマンションを売却する前に大掛かりなリフォームは必要ない
結論を申し上げると、家やマンションを売却する前に大掛かりなリフォームは必要ありません。
もちろん雨漏りの屋根を直す、割れている窓ガラスを取り換えるといったリフォームは必要かもしれませんが、基本的には安いリフォームのみで問題ありません。
逆に、たいそうなリフォームを施すことで売り出し価格が高くなってしまい、それによって購入希望者が減ってしまうリスクの方が高くなります。
どうせリフォームをするのであれば、購入希望者に良い印象を持ってもらうためにも、できるだけ安くできる見た目をよくするためのリフォームを行いましょう。
同様に、事前にハウスクリーニングを入れて建物内をきれいにしてもらうことで、物件の魅力をより高めることが可能になるはずです。