木造の建物と比べると、鉄筋コンクリート造の解体は割高というイメージがあります。
コンクリートは熱に強く、鉄筋には引っ張る力に強いという特徴を持っており、その両者の良い部分を取り入れたのが鉄筋コンクリートです。
RC造というのは、英語のReinforced Concreteの略になり、日本語にすると補強されたコンクリートという意味を持ちます。
要するに、RC造とはコンクリートの弱点を鉄筋によって補った高強度の建物いうことになり、実際に鉄筋コンクリートは耐震性や耐火性、耐久性や遮音性などに優れているだけではなく、どのような形状にもなるため様々な構造物に利用できるというメリットを持ちます。
このようにメリットの大きな素材になるのですが、やはり鉄筋コンクリート造の建物は建築も解体もそれなりに割高になります。
今回は、そんな鉄筋コンクリート(RC造)の建物の解体費用の相場や解体方法などを紹介させていただきます。
目次
鉄筋コンクリート(RC造)の建物の解体費用の相場
RC造の建物を所有している方の中には、その解体費用に一体どれくらいかかるのか知りたいという方もいらっしゃるのでは?
まずは、鉄筋コンクリート造の解体にかかるコストについて見ていきましょう。
解体費用にはいろいろな項目がある
建物の大きさや状態などによって解体費用が変わるため、一概にRC造の解体費用がいくらだと言うことはできません。
しかし、まずは解体工事には実際に建物を取り壊すための費用だけではなく、それ以外にも様々な費用がかかるということを覚えておきましょう。
例えば、基本的な項目として
- 工事の期間
- 利用するスタッフの数
- 手作業の有無や多さ
- 隣接している道路の幅
などが挙げられます。
工期が長くなればそれだけスタッフの日当代もかさむことになるため、それが解体工事費用に反映されることになります。
また、
- 養生設置費用
- 市町村への各種届出費用
- 車両の駐車代金
- 外構解体費用
などなど、解体工事に必要なコストには様々なモノが存在するのです。
後ほど床面積ごとの解体費用の相場をお伝えしますが、やはりご家庭によって状況が異なるため、正確な解体費用を知りたい場合は解体業者に直接見積もりを出してもらうことをおすすめいたします。
床面積ごとの費用の相場
解体工事の価格を割り出すには、建物の造りが何であったとしても床面積から大体の相場を考えることが可能です。
やはり木造住宅と比べると鉄筋コンクリート造の解体費用は高めになり、以下の相場を参考することができます。
RC造の床面積 | 坪単価の平均 |
10坪未満の解体相場 | 7.2万円 |
10坪以上の解体相場 | 6.1万円 |
20坪以上の解体相場 | 3.8万円 |
30坪以上の解体相場 | 5.8万円 |
40坪以上の解体相場 | 4.0万円 |
50坪以上の解体相場 | 4.6万円 |
60坪以上の解体相場 | 5.5万円 |
70坪以上の解体相場 | 4.5万円 |
例えば、35坪の住宅の場合は「35×5.8₌203」となるため、解体工事には203万円くらい必要と言うことになります。
しかし、繰り返しますが建物の状況によってこの相場は大きく異なるため、203万円だと思っていた工事が300万円以上することもありますし、同じ面積でも3階建てなのか5階建てなのかで変わってくるため一概には言えません。
やはりご自身が所有する不動産の解体費用を知るためには、実際に解体業者に見積もりをしてもらう必要があります。
鉄筋コンクリート(RC造)の解体方法
鉄筋コンクリートの建築物には、小さなものもあれば大きなものも存在し、解体方法は
- 階上解体
- 地上解体
の2つに分類することができます。
階上解体とは
重機を大型のクレーンなどで最上階に引き上げ、上の階から下に向かって順番に解体していくという方法。
地上解体とは
解体する鉄筋コンクリート造の大きさにもよりますが、重機を地上に設置して圧砕していく方法。
RC造を解体するための工法は複数存在しますが、幅広く使われているものとして
- 転倒工法
- 圧砕機工法
- 大型ブレーカ工法
が挙げられます。
転倒工法
壁に柱がついている建物の解体に良く用いられる工法になり、床や梁などを解体したのちに外壁をワイヤーなどで引いて内側に転倒させ破砕させていきます。
地面に転倒させたコンクリートを運び出せるくらいの大きさに割っていくため、外部への粉塵などの飛散を少なくすることが可能です。
圧砕機工法
圧砕機を利用した解体の工法になるのですが、圧砕機を建設機械に取り付け、強い圧縮力を作り出す油圧操作によってコンクリートを破壊していきます。
この圧砕機にもいくつかの種類があり、コンクリートを砕きつつ鉄筋を同時に切断可能なものも存在します。
また、回転機能を加えることで圧砕する角度を変えたりすることもできるため、効率的に解体作業を進めることができます。
大型ブレーカ工法
大型ブレーカはジャイアントブレーカとも呼ばれ、こちらはコンプレッサからの油圧力などを利用することでブレーカを作動させ、先端のノミに繰り返し発生する衝撃力によってコンクリートを壊していく工法です。
ただし、大掛かりなものは大きな騒音が発生するため、周りに家が密集している場所での解体作業には使われないこともあります。
鉄筋コンクリート(RC造)の建物をお得に解体するための業者の選び方
それでは、鉄筋コンクリートの建物をお得に解体するための業者選びのコツを見ていきましょう。
様々な方法が考えられますが、代表的なものとして
- 解体業者に直接依頼する
- 複数社に見積もりを取る
- 見積もり現場に立ち会う
が挙げられます。
解体業者に直接依頼する
鉄筋コンクリートの建物を解体できる業者はたくさんありますが、最も安く依頼できるのが解体業者になります。
例えば解体後に新しく家を建てるような場合は解体工事もハウスメーカーにお願いしてしまいがちですが、ハウスメーカーが直接解体工事をすることはなく、大抵はその下請けの解体業者に工事を依頼することになります。
例えばハウスメーカーから解体業者に200万円支払う場合、施主からハウスメーカーへは解体工事費用として250万円や300万円が支払われることになります。
一般的には間にハウスメーカーが入る場合は中間マージンが発生するため、施主はその分を上乗せして支払わなければならないのです。
中間マージンは手数料のようなものですが詳しくはこちらの記事でも詳しく解説しております。
それであれば、解体業者に直接依頼して200万円を支払った方が確実に解体工事費用が安くなるため、中間業者が存在しない業者に依頼したほうがお得なのです。
複数社に見積もりを取る
鉄筋コンクリートの建物を解体工事をする際には最初に解体業者に見積もりを取ってもらうことになりますが、 複数の業者に相見積もりを取ることによって、よりお得な解体工事が可能となります。
複数の業者と何度も解体物件を見たり、同じことを話したりするのは面倒だと感じる方も多いかもしれません。
しかし、上述したように鉄筋コンクリートの解体には様々な解体方法があるため、その違いによって費用に差が出ることも少なくありません。
同じRC造の建物を解体してもらうのであれば、やはり費用は安いほうが良いに決まっています。
複数の業者に見積もりを依頼することで相場を知ることができるため、そこから安い業者を選ぶというのも方法の1つです。
もし、複数の業者を自分で見つけることが大変だという場合は、解体工事の見積もり一括査定などを活用するのもおすすめです。
特に時間がない方などは利用したほうがいいと思いますよ。
見積もり現場に立ち会う
おおよその見積もりであれば上記の一括見積もり査定でも出してはもらえます。
ただし、しっかりとした相見積もりをしてもらう際には、例え面倒であってもその現場に立ち会うことをおすすめいたします。
中には、時間がないからと言って勝手に業者に現場に行って見積もってもらうという方もいらっしゃるかもしれませんし、その方法が悪いというわけではありません。
しかし、見積もりにはある程度の時間がかかりますので、見積もりをしている間に業者のスタッフと色々な話をすることができます。
解体をするにあたってよくわからない部分はその時に色々聞くことができますし、その場で不安な点を解消することができるかもしれません。
相見積もりの目的は少しでも安い料金を探すことだという方も多いですが、実はこの時のコミュニケーションで業者の質を見極めるというのも大きな目的の1つです。
少なくとも、質問にめんどくさそうに答えたり、誤魔化して回答するような業者は見積もりの段階で候補から外すこともできますし、逆に親身になって色々と相談にのってくれた業者は印象が良くなるはずです。
鉄筋コンクリートの建物を解体工事では、業者のマナーなどが原因で近所トラブルになる可能性もあるため、この時から業者の質をきちんと観察すべきでしょう。
鉄筋コンクリート(RC造)の建物の解体で施主ができる解体コストの削減方法
鉄筋コンクリートの建物を解体工事のコストを下げるためには、業者の選び方に気を付けるだけではなく、施主の方でもコスト削減のために色々な対策を取ることをおすすめいたします。
代表的なものとして
- 残置物を自分で処分する
- 業者に値段交渉してみる
- 解体補助金の有無を確認する
などが挙げられます。
残置物を自分で処分する
鉄筋コンクリートの建物の解体工事では、実際に建物を取り壊すのにも多額の費用がかかってきますが、それと同時にトータルコストの数割を占めるのが産業廃棄物の処理費用です。
つまり、工事によって処理される産業廃棄物の量を減らすことができれば、結果としてそれが鉄筋コンクリートの建物の解体工事費用の価格低下につながるのです。
もちろん建物を壊す際に発生するコンクリートや鉄くずなどを自分で処分するというのはできませんが、解体工事前にその建物内に残っている家具や電化製品を自分で処分することによって、工事で発生する廃棄物の量を減らすことができます。
家具などの処分を解体業者にまとめて任せてしまうことも可能ですが、解体工事で発生した廃棄物として見なされるため、それであれば工事前にご自身で処分してしまった方が確実に安くなるのです。
面倒な場合は不用品回収業者に回収をお願いしてしまうのもよいですが、粗大ゴミなどでこまめに処分したりすれば格安で済みますし、ネットのオークションなどで売却することができれば、逆にお金が増える可能性もあります。
残置物の処分には様々な方法があるため、ご家族の状況や解体工事までの時間、残っている残置物の状態などを考えて処分方法を決めるとよいでしょう。
残置物の処分方法などについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
業者に値段交渉してみる
上述したように、鉄筋コンクリートの建物の解体工事を解体業者に直接お願いする場合は、通常は複数の業者に相見積もりを取ってもらって業者を比較することになります。
次に、それぞれの業者に値段交渉を持ちかけることによって、ある程度は解体工事費用を抑えることができるかもしれません。
しかし、例えば200万円の工事に対して100万円を値下げしてほしいというような無茶な交渉は通りませんし、業者の方もあきれてしまう可能性が高いですので、あくまでも常識の範囲で交渉を進めることになります。
また、費用ばかりを意識してしまうと悪徳業者を利用してしまうリスクもあり、廃棄物を不法投棄されたり地面に埋められるなどのトラブルが発生する可能性があります。
もちろん安いほうがいいという気持ちはわかりますが、業者のことも考えて、できる範囲で交渉をする必要があります。
例えば、解体工事の閑散期などにお願いすることができれば、業者としても安くても仕事がほしいところですので、そういったポイントは値下げ交渉の武器になります。
それぞれの業者の状況やスタッフの対応なども考慮して、最終的に利用する業者を絞っていきましょう。
解体補助金の有無を確認する
鉄筋コンクリートの建物の中には、解体する際に補助金がもらえるようなものも存在します。
具体的には、老朽化して放置しておくと倒壊の恐れがあるような建物は、自治体単位で解体費用の一部を負担するといった制度が設けられています。
例えば、きれいなRC造を解体する場合には使えないことが多いですが、ボロボロになっていて放置しておくと危ない状態の不動産を所有しているのであれば、一度補助金の対象になるかどうかを調べてみる価値はあります。
解体工事の補助金に関してはこちらでも詳しく解説しております。
なお、自治体によってその制度そのものがないというところもありますし、仮に補助金を受けられる条件がそろっていたとしても、審査などがありそれで補助金を出さないと判断されてしまうこともあるため、まずは所属する自治体の補助金制度をチェックしてみましょう。
補助金を利用する場合は申込期限などの制限もあるため、解体をするかもしれないとなったタイミングで早めに確認することをおすすめいたします。
まとめ:鉄筋コンクリート(RC造)の建物の解体は費用が少しは高くなることは頭に入れよう
鉄筋コンクリート造の建物は木造の建物と比べると、どうしても解体費用が高くなってしまいます。
しかし、利用する業者を考えることによってある程度は解体費用を安く抑えること可能ですし、解体工事前に残置物を取り除くなどすることで、さらにコストを下げることができます。
本文中にも記載したように、鉄筋コンクリート造の解体費用の相場はご自身でも簡単に計算することができますが、建物の高さや立地条件などで価格が大きく変わる可能性も少なくありません。
良い業者を見つけるためにも、複数の業者にコンタクトを取り、その中から信頼できるところを見つけましょう。
そうすることによって、安心して安くRC造を解体することができるはずです。