ご自宅でピアノをはじめとする楽器を演奏する方にとっては、音への対策は非常に重要なものになります。
また、マンションなどの共同住宅では、下の階から足音などがうるさいと言われてトラブルになるケースも珍しくはありません。
特に小さなお子様がいるご家庭では、子供が走り回ることによって下の階の迷惑になるため、落ち着いて生活できないというようなところもあるはずです。
音が気になる方の中には、家を防音にすることを考えたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、防音にするには多額の費用が必要だというイメージもあるため、値段も調べずに諦めてしまう方も少なくありません。
それでは、一般的に防音リフォームはいくらくらいするのでしょうか。
この記事では自宅の防音設備について詳しく解説していきます。
目次
防音リフォームの基本
まずは、具体的な防音リフォームについて紹介させていただきます。
防音リフォームとは?
防音リフォームの基本は、室内で発生する音を外部に漏らさないためのもの、または反対に外の音を防ぐためのものになります。
例えば部屋全体に対して防音リフォームを施すことによって、完全に音を漏らさない空間を造ることが可能です。
または、マンションなどの床が気になるというご家庭では、床のみに対して防音加工を施すこともできます。
すべてを防音にするとそれなりの料金になってしまいますが、部分的な防音リフォームであれば意外と安くできるケースも少なくありません。
防音リフォームの種類
防音リフォームは、大きく
- 壁の防音
- 床の防音
- 窓の防音
- 防音部屋
の4つに分類することができます。
壁の防音
壁に対する防音リフォームにはいくつかの方法がありますが、一般的には壁の中に遮音シートを入れるものが主流となっています。
壁前面に遮音シートや遮音材を設置することによって、外からの音を遮断しますし、内側から発生する音も外に漏れません。
しかし、壁に対しての防音リフォームであり、窓の防音とはまた異なるため、完全に音を消すには窓の防音対策も併せて行う必要があります。
床の防音
一般的には、一戸建てよりもマンションなどの共同住宅で人気の高い防音リフォームが床に対するものです。
壁同様、床にも防音効果の高い床材を導入することによって、ある程度の音を防ぐことが可能です。
例えば、フローリングと比べるとコルクやカーペットなどは防音効果が高いため、それだけでも騒音を大幅に減らすことができます。
しかし、それでも不十分な場合は床材の下に遮音マットを敷き詰めたりすることにより、下の階への音をなくすことができるでしょう。
窓の防音
窓は、壁や床のように遮音シートなどを利用することができないため、普通の窓を防音効果の高い窓に変えることで音を防ぎます。
また、内窓を付けることによって、より音の伝達を防ぐことができるため、音漏れや外部からの音をシャットアウトすることが可能になります。
例えば、ちょっとした音が気になるという程度であれば、窓に遮音カーテンを設置するだけである程度はましになるでしょう。
しかし、本格的に音を防ぐのであれば、防音ガラスと内窓の二重対策を取ることで、たいていの音を防ぐことができるはずです。
防音部屋
外部からの音を完全に消し去りたい、もしくは室内で大きな音を出すため、その音を完全に外に出ないようにしたいという方もいます。
そんなときには、1つの部屋を丸々防音にする防音室を造ってしまうのも方法の1つです。
既存の部屋にきちんとした防音加工を施すことで防音部屋を造ることができますが、高額なため一般的にはあまり行われません。
その他、部屋の中に1畳~5畳くらいの防音ボックスを設置してしまうという方法もあります。
防音リフォームをする理由
ご家庭によってご自宅を防音仕様にしたい理由は異なりますが、
- 安心して子育てするため
- 静かに過ごすため
- 趣味を楽しむため
の3つが代表的な理由として上げることができます。
安心して子育てするため
子供は元気でうるさいくらいが可愛いですが、そのうるささは近所に迷惑になることがあります。
例えばマンションの部屋の中で走り回ると、下の階に音が漏れてしまったりするかもしれません。
大声で泣き叫ぶと、近隣の住宅にその鳴き声が響き渡るかもしれません。
特に夜間はできるだけ静かにして欲しいと感じる方も多いはずですが、防音リフォームをすれば音が外に漏れないため子供を監視する必要がなくなります。
静かに過ごすため
大通りに面しているようなご家庭では、夜中でも車やバイクの走る音が気になって寝られないというケースもあるのではないでしょうか。
同様に、近所に幼稚園や小学校などの子供の多い施設がある、繁華街に近いというご家庭でも、外部からの騒音に悩まされがちです。
家を防音にしてしまえば、外側から内側に侵入してくる音もカットできるため、室内ではゆっくりと静かにくつろぐことができます。
趣味を楽しむため
人によって趣味は様々ですが、中には大きな音を伴う趣味をお持ちの方もいるはずです。
例えばピアノやギターなどの練習をしたいという方もいれば、大きな音を出してカラオケをしたいという方もいるでしょう。
また、大音量のスピーカーを利用しての音楽鑑賞や映画鑑賞が好きだという方も少なくありません。
しかし、音が気になると100%趣味を楽しむことができないため、気兼ねなく楽しむにはやはり防音リフォームがおすすめです。
壁の防音リフォームの方法
壁を防音にするためには、もちろん壁そのものを防音仕様にする必要があります。
しかし、通気口のある部屋ではそこから音が漏れてしまうため、一緒に通気口を防音にする対策を取ることも多いです。
壁への対策
壁から入ってくる音を防ぐ、または壁をつたって外に出る音を防ぐには、遮音と吸音の2つの方法があります。
遮音の方法とは?
一般的な防音リフォームに使われるのは、壁一面に遮音パネル、もしくは遮音シートを設置するというものです。
一戸建てであれば近隣の住宅から聞こえてくる生活音、道路を走る車やトラックの騒音を取り除くことが可能です。
また、マンションなどでも同じ階の隣の部屋などから聞こえてくる音を最小限に抑えます。
遮音パネルは、遮音シートと比べると厚みがあり密度高くなっているため遮音シートよりも防音効果が高い素材です。
吸音の方法とは?
遮音が音をシャットアウトするのに対して、吸音は発生した音を吸収します。
遮音効果を持つ素材としては、ロックウールやグラスウールなどが有名ですが、上述した遮音材の間に設置することによって、より高い防音効果を得られます。
また、これらの素材は防音効果だけではなく、耐火性、断熱性にも優れているため、より快適に生活を送るために利用するご家庭も少なくありません。
通気口への対策
通気口は室内と外部をつなぐ空気の通り道になるため、元々が壁のように物理的に外部との空間を隔てているわけではありません。
しかし、通気口を完全にふさいでしまうと室内が完全に密閉されてしまうため、通常は一般の通気口を防音効果の高い通気口に取り換えます。
例えば、気軽にできるものとしては、建物の外側のキャップを防音仕様に変えるだけでも防音効果が高まります。
また、屋外と室内をつなぐダクトの内部に防音パイプと呼ばれる音を吸収する素材を取り付けたりすることも可能です。
床の防音リフォームの方法
床に対する防音対策は、壁と比べると様々な方法の中から選択することが可能です。
具体的には、
- 防音カーペットを利用する
- 遮音性の高い床材を利用する
- 床材の下に遮音マットを敷き詰める
このような選択肢があります。
どれか1つを利用することもできますが、それぞれを組み合わせることでより高い防音効果を得ることができます。
防音カーペットを利用する
最も簡単で誰でもできる防音対策が、防音効果の高いマットを床一意面に敷き詰めるといったものでしょう。
一般的にクッション性が高いと言われている素材は同時に防音効果も高いため、そういったものを購入して床に敷くだけです。
例えば、
- コルク素材
- カーペット素材
- 低反発素材
などが挙げられます。
その中でも、カーペットには様々なデザインや大きさがありますので、防音効果を高めるのと同時にインテリアとしても利用できます。
例えばお子様が走り回る場所にだけカーペットなどを敷くことで、高い防音効果を発揮するはずです。
遮音性の高い床材を利用する
部分的な防音ではなく、部屋の床一面を防音仕様にしたい場合は、床材自体を変えてしまうというのも方法の1つです。
有名どころで行くと、やはり
- コルク
- カーペット
などが遮音性の高い床材ということになりますが、それぞれにメリットがありデメリットがあります。
また、部屋のその他のインテリアなどと、これらの床材が合わないといういご家庭もあるかもしれません。
床材には様々なものがあるため、それぞれの特徴については「床をリフォームする際の費用相場と種類別で抑えておきたいポイント」を参照ください。
床材の下に遮音マットを敷き詰める
より本格的な防音仕様にしたいという場合には、床材の下に遮音効果のあるマットや防音機能を持つ素材を設置することも可能です。
例えば、先ほども紹介したグラスウールを床の一番下に敷くことで、発生する音がしっかりと吸収されます。
断熱材としてもよく利用される素材ですので、グラスウールを利用すれば防音性と断熱性を一気に高めることが可能です。
また、フローリングなどの真下に遮音マットや遮音マットを敷くことで、衝撃音を大きくカットすることができます。
吸音性のある素材と遮音性のある素材を両方利用し、さらにクッション性の高い床材を利用すれば、床の防音対策はばっちりだと言えます。
窓の防音リフォームの方法
窓に対する防音リフォームとしては、
- 遮音カーテンの設置
- 内窓を設置
- 防音機能を持つ窓への取り換え
の3つが挙げられます。
こちらも床同様に、複数の防音対策を組み合わせることで、より高い防音効果が期待できます。
遮音カーテンの設置
最も気軽でどこのご家庭にもすぐに導入できる窓の防音対策として、遮音カーテンの利用が挙げられます。
現在利用しているカーテンを遮音性の高いものに取り換えるだけで、気軽に外部からの音を防ぐことができるはずです。
しかし、やはりカーテンで全ての音を防ぐというのは難しく、例えば人の話し声などはカットできますが、工事音や電車の音には効果がありません。
さらに、カーテンをしっかりと閉めていないと音が漏れるため、窓が開いていて風によってカーテンが揺れるような場合は効果が薄くなります。
内窓を設置
元々設置してある窓の内側に、新たにもう1つの窓を付けることによって窓が二重構造になります。
窓ガラスが2枚使われることになりますが、そのガラスとガラスの間には空気の層ができるため、そこである程度の音を吸収することが可能です。
さらに、建物内部の気密性も高くなることで、音がより通りにくくなり遮音効果が高くなります。
内窓の設置は防音効果だけではなく防犯効果も高いため、内窓を設置するだけでより快適な暮らしができるようになるはずです。
防音機能を持つ窓への取り換え
窓ガラスの中には、防音機能の付いたものも存在するため、普通のガラスをそのような機能を持つものに取り換えるというのも方法の1つです。
基本的な防音ガラスは、厚さの異なる2枚のガラスを組み合わせた複層ガラスになっていることが多いです。
さらに、その間に防音機能のある特殊な素材を取り入れることで、防音効果がさらに高まります。
二重窓にするのが煩わしいという方は、1枚で高い防音効果を持つ複層ガラスに変えてしまうというのもよいでしょう。
しかし、この複層ガラスを用いた内窓を設置すると、さらに高い防音効果を期待できるはずです。
窓ガラスに関するリフォームは「窓のリフォームを行う前に知るべき人気の窓ガラスの種類と価格相場」こちらもご覧ください。
防音リフォームの価格
ここまで、壁、床、窓の防音リフォームについて紹介させていただきました。
それでは、それぞれのリフォームにはどれくらいの費用が必要なのでしょうか。
最後に、防音仕様にするために必要な費用の相場を見ていきましょう。
壁の防音リフォームに必要なコスト
リフォーム内容 | 費用 |
遮音材、吸音材を設置 | 20万円~40万円 |
通気口を防音仕様にする | 3万円~6万円 |
通気口を防音仕様にするだけであれば、意外と安く済ませることができますが、やはり壁全体を防音にするにはそれなりにお金がかかります。
なお、これは20平米程度の壁に対しての価格になるため、部屋が広かったり天井が高かったりした場合は、さらに高額になります。
一般的には部屋の外部に面している部分のみを防音仕様にしますが、四方の壁に遮音シートなどを設置する場合は単純に価格も4倍になります。
床の防音リフォームに必要なコスト
リフォーム内容 | 費用 |
クッション性の高いマットを敷く | 1万円~5万円 |
床材を張り替える | 20万円~40万円 |
遮音マットを設置する | 30万円~60万円 |
吸音材を設置する | 40万円~80万円 |
やはり最もお手軽なのは、個人でクッション性の高い素材を購入して床に敷くといったものですが、本格的に防音仕様にするにはお金がかかります。
こちらは6畳当たりの価格になるため、リビングなどの広い部屋を防音仕様にするにはこれ以上の価格になる可能性が高いです。
例えば、吸音材と遮音マット、床材の取り換えを同時に行う場合は、単純にそれぞれの工事の合計額が総額ということにはなりません。
どの工事にも床材を剥がして再度取り付けるという工程が必要ですが、一度剥がしてしまえば後は吸音材やマットを一緒に敷き詰めることができます。
床材を剥がして再度設置してという工程が1回で済む分、別々でやるよりも安くなるため、しっかりと防音したい場合は一度にやってしまいましょう。
窓の防音リフォームに必要なコスト
リフォーム内容 | 費用 |
遮音カーテンの設置 | 1万円~3万円 |
内窓の設置 | 7万円~20万円 |
防音機能付きガラスの設置 | 5万円~15万円 |
こちらも、やはり個人レベルで何とかなりそうな遮音カーテンの設置は、比較的安く行うことができます。
しかし、業者にきちんと寸法を測ってもらって取り付けなければ高い防音効果を得られないことも多いため、できればDIYではなく専門家にお願いしましょう。
窓は大きさによって価格が大きく異なりますし、同時に枠組みを取り換えたり窓自体の大きさを変えたりする場合も高額になります。
防音加工をするついでに窓のリフォームも行いたいという場合は、一度リフォーム業者と話し合ってみるとよいでしょう。
まとめ:防音リフォームは案外リーズナブル!
室内を防音にするためのリフォームは高すぎて手が出ないと思っていた方もいるかもしれませんが、案外リーズナブルだと感じた方もいるはずです。
もちろん床、壁、窓の全てを防音加工にする場合は、それなりのお金が必要になってきますが、小さな部屋であればできないこともありません。
また、一般的には床のみの防音リフォーム、壁のみの防音リフォームなど、部分的に防音加工を施すという方も多いです。
更に、リーズナブルに遮音カーテンを利用したりカーペットを買ってきて敷き詰めたりといった対策を取る方も少なくありません。
本格的に防音リフォームをしなくても、個人で対策を取ることができる方法もあるため、まずはそれを試してみましょう。
それでも防音効果が足りないと感じたら、そこでプロのリフォーム業者に工事を依頼することをおすすめいたします。