天井のリフォームの中には、今まで利用していた天井の素材とは別の素材を利用し、部屋の雰囲気をガラリと変えるタイプのリフォームも存在します。

天井リフォームの機会に、素材を変えてみようと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

天井に利用できる素材にも様々なものがあるため、何を利用するかによって部屋の見た目が大きく変わりますし、リフォーム費用も素材に左右されます。

また単純に見た目だけではなく、その素材ではないと出せない持ち味などがあったりしますし、それぞれの素材にはメリットやデメリットなども存在します。

具体的には、天井リフォームの素材は大きく

  • 塗料
  • クロス
  • 板張り

の3つに分類することができます。

この記事では、そんな天井に使われる様々な素材の種類やその特徴などについて紹介していきます。

塗料の種類と特徴

塗装とは、天井の下地となる石膏ボードなどにそのまま塗料を塗って仕上げるタイプのものになります。

もちろん下地ではなく、クロスの上から塗装を施すことも可能ですが、その場合は天井が若干低くなるため、どのように塗装するかは業者と話し合ってみましょう。

単純に塗るだけであればご自身でもできそうだと感じる方も多いと思いますが、仕上がりが違うためプロのリフォーム業者に任せたいという方も少なくありません。

塗装に利用する塗料にも複数の種類がありますが、代表的なものは

  • ペンキ
  • 漆喰
  • 珪藻土

などになります。

ペンキの特徴

ペンキは塗料の中でも最も安く手に入れることができるものの1つで、単純に塗るだけですので簡単に施工することが可能です。

例えば、一般的なビニールクロスの天井を使っている場合は、ご自身でそのままペンキを塗ることもできるため、DIYの敷居が低くご自身でやる方も多いです。

ペンキにも複数のタイプがありますが、大きく油性のものと水性のものとに分類することができます。

この中でも水性のペンキであれば比較的においも少ないですし、健康的な影響も少ないため、ご自身で行うのであれば水性のペンキをおすすめいたします。

漆喰の特徴

漆喰とは、日本に昔からある伝統的な塗料の素材で、一般的には消石灰に砂をはじめとする様々な素材を混ぜ合わせてつくられる塗料になります。

漆喰と聞くと漆喰の塀などを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、塀や外壁などのエクステリアだけではなく、室内の塗装の際にも利用することが可能です。

なお、ペンキとは異なりビニールクロスに対してそのまま漆喰を塗ることはできないため、DIYで行う場合はビニールクロスを剥がす必要があります。

漆喰を塗ることのできる天井の素材として、

  • コンクリート
  • モルタル
  • 水性ペンキ
  • 合板
  • 石膏ボード

が挙げられます。

原則としてそれ以外の素材には漆喰は塗れないと考えていただいたほうが良いでしょう。

珪藻土の特徴

珪藻土(けいそうど)は漆喰と同様に天然素材として重宝される素材になりますが、一般的に珪藻土とは植物プランクトンが化石になったもののことを指します。

耐火性や消臭性に優れており、また調湿効果もあるため、建物の様々な場所に利用することができますし、当然天井の素材として使うことも可能です。

珪藻土はシミになりやすいため、例えば壁などに利用すると液体などが付着してシミになってしまうことがありますが、天井に使用する場合は原則としてそのような心配はないはずです。

湿度を調節しにおいを吸い取る効果もあるため、トイレなどの天井に利用すると大きな効果を発揮します。

塗料のメリットとデメリット

それぞれの塗料のメリットとデメリットについてまとめてみます。

塗料の種類 メリット デメリット
ペンキ ・安い
・DIYも可能
・天然素材ではない
・模様を付けることができない
漆喰 ・汚れた場所だけ削って対処できる
・防火性、抗菌性、防汚性に優れる
・調湿効果が高い
・ひびが入る可能性がある
・施工に時間がかかる
珪藻土 ・耐火性に優れる
・脱臭効果と調湿効果が高い
・粉が落ちてくることがある
・ひびが入ることがある
・施工に時間がかかる

ペンキはご自身で行うこともできますし、業者に任せたとしても安く施工してもらうことが可能です。

漆喰と珪藻土は、ペンキと比べると難易度が高いためリフォーム業者に依頼するという方が多いですが、頑張ればご自身でできないこともありません。

しかし、模様などを付ける場合は仕上がりに大きな差が出るため、まずはリフォーム業者に見積もりを取ってもらうとよいでしょう。

クロスの種類と特徴

一般的なご家庭では、クロスを利用しているというところが多いのではないでしょうか。

施工もメンテナンスも簡単ですし、基本的には低価格なものが多いため、気軽にリフォームできるはずです。

天井に使用される代表的なクロスとして

  • 紙クロス
  • 織物クロス
  • ビニールクロス

が挙げられます。

それぞれのクロスに豊富な柄や色がそろっているため、基本的にはどのようなスタイルの部屋にも併せることができるでしょう。

それでは、それぞれのクロスの特徴を紹介させていただきます。

紙クロスの特徴

紙と言っても、当然普通の紙を張り付けるわけではなく、パルプを原料とした紙を使ったクロスを使用することになります。

他のクロスと比べると、表面をデコボコにしてみたりと言った豊富なデザインを楽しむことができるため、オシャレな天井をつくる際には便利な素材です。

紙クロスには様々な柄や色が存在しますし、紙から自然を感じることができるため、一度デザインの豊富さをその目で確認してみることをおすすめいたします。

織物クロスの特徴

織物クロスは布クロスと呼ばれることもありますが、様々な種類のものがあり、例えば

  • 平織
  • 朱子織
  • 綾織

などが代表的な織り方になります。

当然素材によっても特徴は異なりますが、基本的には伸縮するため破れにくく丈夫で、頻繁に張り替えを必要としません。

また、天井の面積が広ければ広いほど厚手の織物クロスは高級感や重厚感を出すことができるため、リビングなどの広い部屋の天井にはもってこいの素材です。

ビニールクロスの特徴

ビニールクロスは、現在の天井の素材の中で最も普及している素材になり、低価格なのにもかかわらずデザインが豊富なため、必ずお気に入りのものを見つけることができるはずです。

また、他のクロスと比べると施工も簡単なため、比較的リフォーム費用も安く抑えることができるでしょう。

さらに、最近は通常のビニールクロスの他に、防火性の高いものやカビに強いタイプなど、様々な機能を持たせたクロスも誕生しています。

高機能なクロスを選べば、それだけで快適に生活が送れるようになるため、デザインだけではなく機能も確認してみるとよいでしょう。

クロスのメリットとデメリット

続いて、それぞれのクロスのメリットとデメリットです。

クロスの種類 メリット デメリット
紙クロス ・化学物質を使用しない天然素材
・デザインが多い
・傷や汚れに弱い
・施工に時間がかかりがち
織物クロス ・化学物質を使用しない天然素材
・伸縮するため破れにくい
・高級感がある
・耐火性に劣る
・ビニールクロスよりも高い 
ビニールクロス ・安く施工が簡単
・手入れが楽
・機能やデザインが豊富

・化学物質が含まれる
・傷がついたら張り替えが必要  

安くデザインも多いビニールクロスは、クロスだけではなくその他の天井素材と比較しても最も利用される素材と言えます。

破れたり傷がついた場合は補修ができないため張り替える必要がありますが、基本的には安価なものが多いため安心です。

素材にこだわりたいという方やオシャレな天井を造りたいという方は、紙クロスや織物クロスを利用してみるのがおすすめです。

板張りの種類と特徴

板張りとは、その名の通り天然の木材を張り合わせてつくられる天井。

木材はそれぞれが独自の表情を持っているため、例え同じように張り付けたとしても全く同じ模様になることはありません。

天井に立体感を出したり、木の良さを感じたいという場合は、板張りの天井を利用してみるのも方法の1つです。

板張りにも様々な種類がありますが、代表的なのは

  • 天然木化粧板
  • 無垢材
  • プリント合板

などになります。

このうちのプリント合板は、正確に言うと天然の木材を利用しているわけではありませんが、木目調の天井を造ることができるため一緒に紹介させていただきます。

天然木化粧板の特徴

天然木化粧板は、一体になった木材を使用するのではなく、木目がきれいな天然の木を合板に張り付けて設置するタイプの板張りです。

下に向けられて設置される天井の表面は天然の木材になりますが、その中身は合板になるため、無垢材と比べると安く設置することができます。

また、天然の木を使用すると割れたりゆがんだりすることもありますが、合板と一体化していることもあり、そういった心配なく使用することができるというのが大きなメリットです。

無垢材の特徴

無垢材は、天然の一枚板を組み合わせて設置するタイプの板張りです。

天然の木材を利用しているため、木の調湿効果をそのまま感じることができますし、そのおかげで天井が結露しにくくなっています。

また、無垢材を利用している部屋に入った瞬間、天然の木の香りをかぐことができるため、その部屋にいるだけでリラックスすることもできるはずです。

プリント合板の特徴

プリント合板とは、合板の表面に美しい木目をプリントしたシートを張り付けた素材のことを指します。

天然の無垢材は高いと感じる方も多いですが、プリント合板であれば低価格で木材の見た目をそのまま再現することができるためおすすめです。

ひと昔前のプリント合板は、よく見れば偽物の木材だとわかってしまうほど安っぽい造りのものも多かったようです。

しかし、最近は本物そっくりのプリント合板も多いため、一度本物の木材との違いを見比べてみるとよいでしょう。

板張りのメリットとデメリット

それでは、それぞれの板張りのメリットとデメリットを見てみましょう。

板張りの種類 メリット デメリット
天然木化粧板 ・無垢材よりも歪みなどに強い
・表面は天然の木なのにリーズナブル
・表面が剥がれることがある
・表面が傷つきやすい
無垢材 ・調湿効果、断熱効果に優れる
・天然の木を楽しむことができる
・気温や湿度の変化で曲がる可能性がある
・他の素材に比べると傷つきやすい
プリント合板 ・安く簡単に施工できる
・お手入れが簡単
・プリントによってはすぐに偽物だとわかる

やはり和室などは木材を利用することによって、よりオシャレで和の雰囲気をそのままイメージすることができます。

しかし、無垢材をはじめとする天然の木をそのまま利用した場合はリフォーム費用も割高になりがちなため、コストを抑えたい場合は他の方法も考えてみましょう。

天井の素材を選ぶポイント

天井の素材を選ぶ際には、天井だけを見るだけではなく、リフォームする部屋の壁や床、その他の全体の状況を考慮して適したデザイン、色などを利用しなければなりません。

続いて、素材を選ぶポイントについて見ていきましょう。

天井の色を変えるだけで部屋の印象が変わる

まずは天井の色ですが、例えば同じ作りの部屋であったとしても、天井の色が真っ黒な場合と真っ白な場合とでは雰囲気が全く違います

わかりやすく両極端の色を紹介しましたが、素材だけではなく色も無数に存在するため、リフォームをする際には第一に、現在の部屋に合う色を選択するべきでしょう。

カラーバリエーションや色遣いの種類は多数存在しますが、壁と天井との色の関係性として、

  • 天井が壁よりも明るい
  • 天井が壁よりも暗い

この2つに分類することができます。

天井が壁よりも明るい

壁に対して天井の色の方が淡い場合は、部屋全体が明るい印象を持つことになります。

また、床を暗く、壁を少し明るく、天井を最も明るくすることによって、天井を高く見せることができるため、部屋が広くなった感じがするはずです。

例えばお客さんが来る可能性のあるリビングなどは、天井を明るくして空間を広く見せることが多いです。

天井が壁よりも暗い

天井が壁に対して暗い色を持つ部屋は、天井を実際よりも低いと錯覚しがちですが、それによって高級感やリラックス感を出すことができます。

実際に、落ち着いた雰囲気を出すことができるため、ゆっくりと過ごしたい寝室などに使われがちな色遣いと言えます。

壁と天井の素材は違っても問題ない

天井をリフォームする際には、一緒に壁紙をリフォームするというご家庭も多いですが、その際には壁と天井の素材を合わせたほうが無難だと感じる方も多いです。

しかし無理に素材や色を合わせる必要はなく、例えば昔ながらの和室は、板張りの天井に対して壁は砂壁、床は畳といった具合に、全ての素材が違うにもかかわらず一体感があります。

もちろん組み合わせも重要ですが、壁をビニールクロスにしたからと言って天井もビニールクロスにしなければならないというようなことはないのです。

例えば、壁は近くで見ることがあっても天井は近くで凝視するということがないため、同じ素材であったとしても天井の素材にはグレードを落としたものを使うという方も少なくありません。

色遣いや素材の組み合わせはそれぞれのセンスによって異なりますが、やはり経験豊富なリフォーム業者にアドバイスをもらって、オシャレな空間を造ることをおすすめいたします。

素材ごとに異なる天井リフォームの費用

それでは最後に、天井のリフォームに必要な費用を素材ごとに見ていきましょう。

塗料を利用した場合の価格

もちろんどの塗料を利用するかによってリフォーム価格は大きく変わってきます。

ここでは、上述した中で漆喰と珪藻土について紹介します。

漆喰のリフォーム費用

漆喰は1平米あたり5000円~12000円くらいが相場となります。

価格に差があるのは、漆喰の中にも様々なグレードがあり、どのグレードを使うかによって費用が大きく変わってくるからです。

そのため、まずは様々な種類の漆喰を確認し、お気に入りの塗料を見つけてその価格を業者に確認することになります。

珪藻土のリフォーム費用

珪藻土も同様にグレードによって価格に差がありますが、一般的には1平米あたり4000円~15000円程度になることが多いです。

高級素材は非常に割高ですが、廉価素材を利用すれば安く抑えることも可能なため、こちらも一度業者に相談してみるとよいでしょう。

クロスを利用した場合の価格

こちらもどの種類のクロスを利用するかによって価格が大きく変わりますし、例えば織物クロスの中でもグレードによって価格に差が出てきます。

ビニールクロスのリフォーム

クロスの定番であるビニールクロスは、安いものであれば1平米あたり500円程度からありますが、中級のグレードになると1平米あたり1000円程度になり、一般的には後者を利用することが多いです。

また、機能性のあるクロスも存在すると記載しましたが、機能クロスの中には1平米あたり2000円くらいするものもあります。

織物クロスのリフォーム

こちらも、織物の種類によって値段が大きく変わります。

例えば一般的な不織布は1平米あたり2500円程度ですが、シルクなどを利用した場合は1万円を超えることも珍しくはありません。

紙クロスのリフォーム

紙クロスも織物クロス同様、グレードによって費用の相場が変わってきます。

安いものであれば1平米あたり1500円程度の天然和紙などが挙げられますが、楮和紙(こうぞわし)を利用したクロスは1平米あたり15000円以上することもあります。

板張りを利用した場合の価格

天然の木材を利用するため、特に無垢材を選択する場合は利用する期の種類によって価格が変動します。

天然木化粧板は無垢材と比べると安いですが、それでもビニールクロスなどと比較すると割高な印象があります。

天然木化粧板のリフォーム

最も安いグレードのものであれば1平米あたり3000円弱でも施工可能ですが、表面を塗装で仕上げたりする場合は10000円以上かかるケースもあります。

天然木化粧板にも天然の木が一部使われますが、よく使われるのはスギをはじめとする比較的安い部類の木材であることが多いです。

無垢材のリフォーム

木材と言ってもピンキリですので、安いものもあればびっくりするほど高い木も存在します。

例えばスギなどは比較的安く、1平米あたり6000円ほどから設置できるケースもありますが、木曽ヒノキなどの高級な木は1平米で10万円を超すことも珍しくはありません。

もちろん同じ種類の木材の中にもグレードがあるため、無垢材の板張りを利用する場合は使う木材を慎重に選びましょう。

天井リフォームの費用まとめ

上述した費用をまとめると、以下のようになります。

素材 1平米あたりの価格
塗料 4000円~15000円程度
クロス 500円~15000円以上
板張り 6000円~10万円以上

もちろん天井の張り替えのみのリフォームをするご家庭も多いですが、やはり一緒に壁のクロスを変えるというところも少なくありません。

なお、天井は床のリフォームとは異なり必ず足場を設置する必要があるため、そこにも費用がかかります。

リフォームする面積が大きくなればなるほどリフォーム費用も高くなるため、予算と相談して上手に取り換えていきましょう。

まとめ

今回は代表的な天井の素材を紹介させていただきましたが、もちろんここで紹介した以外にも様々な素材が存在します。

天井のリフォームをする際には、実際に業者に相談をする中で色んな素材を見てその中から1つに絞ることになるため、思っているよりも選択に時間がかかるかもしれません。

しかし、何のための部屋なのか、部屋をどのように見せたいのかといった目的が決まっているのであれば、ある程度の色遣いを絞ることができます

やはりオシャレな部屋を造りたいと考える方が多いですが、もちろん予算にも注意して素材やグレードを選ばなければなりません。

少しでも天井のリフォームを安くするために、見積もりは必ず複数の業者に取ってもらい、よいリフォーム業者を見つけましょう。