解体工事をする際には「トータルでどれくらいの時間が必要になるのか」ということは普段から忙しい方にとってはとても気になりますよね。
ただ、解体をしたいからと言って、今日業者に電話をして明日から工事をしてもらうというようなことはできません。
信頼できる業者を探しつつ残置品などの処分を行い、引っ越しが必要な場合は工事までに引っ越しもしなければなりません。
業者を探すための現地見積もりだけでも時間がかかるため、いつ何をすべきなのかを計画段階ではっきりとさせておくことで、工事完了までがスムーズに進みます。
しかし
解体工事をしたいけど見積もりはいつまでにとればいいのか
工事自体に何日かかるのか
を把握していない方も少なくありません。
今回は、解体工事までにしなければならないことや、解体工事に必要な日数などを紹介させていただきます。
解体工事までに必要な期間・日数
解体工事自体の期間や工期に関してはこちらの
「解体工事に必要な期間の目安と工期が遅れてしまうよくあるトラブルとは」
「解体工事の工期の基本|工期の平均値と遅れてしまう原因と対処法」
でも解説していますが。
解体工事前にかかるトータルの日数や期間の結論から言うと、 解体工事の計画は遅くても工事完了の2か月前までに立てておくことをおすすめいたします。
- 解体業者選び
- 残置物の整理
- 仮住まいの手配
- ライフラインの撤去
- 工事着工前の手続き
- 解体工事
具体的には、解体工事の着工までに上記の1~5の全てを終わらせなければなりません。
それぞれを同時進行で進めていくことも可能ですが、やはり余裕を持つためにも早めに行動するに越したことはありませんので。
解体工事前にやること | 見ておきたい期間 |
解体業者選び | 1ヶ月程度 |
残置物の整理 | 2週間程度 |
仮住まいの手配 | 1ヶ月程度 |
ライフラインの撤去 | 2週間程度 |
工事着工前の手続き | 1週間程度 |
それでは、具体的にそれぞれの項目を見ていきましょう。
解体業者選びは1ヶ月はかかる
解体工事を依頼する際に、最も時間をかけたいのがこの部分です。
解体業者にも様々なところがありますので、やはり失敗したくないなら 複数の業者に見積もりを取ってもらってどの業者が良いのか選ぶというのは重要です。
複数の業者に見積もりの重要性については解体工事の一括見積もりサービスの記事でも紹介しております。
見積もりには
- データに基づいて計算される簡易見積もり
- 実際の解体予定の建物を見てもらって判断する現地見積もり
が存在します。
実際に解体工事を行うのであれば、初めから現地見積もりを選んで解体対象の建物を確認してもらいましょう。
→解体工事で立ち合い見積もりをする前に知っておくべき5つのポイント
複数の業者に依頼する際には、その業者の予定によって現地見積もりの日取りがバラバラになってしまうことが多い上、見積もり結果もすぐにもらえるわけではありません。
そのため、
- 依頼する業者を決めるのに1週間
- 複数の業者に現地見積もりをしてもらうのに1週間
- 見積もり結果が出そろうのに1週間
- その中から信頼できる業者を選んで依頼を出すまでに1週間
という感じでスケジュールを立てると、やはり業者の選定には1ヶ月くらいほしいところです。
残置物の整理は余裕をみて2週間
残置物の整理というのは、具体的には解体する建物に残っている家財の処分のことになります。
一口に家財処分と言っても実に様々なものがあるため、早いものであれば1日で終わってしまいますが、場合によっては時間がかかります。
2週間あればなんとかご自身でも処分ができるかと思いますが、ギリギリの時間だと思っておきましょう。
残置物の処分に関しては後程解説させていただきます。
仮住まいの手配は1ヶ月
今住んでいる家を解体して新しく住居用の建物を建てるという場合は、解体工事前に引っ越しをする必要があります。
そして、引っ越しをする前には仮住まいを探しておかなければなりません。
数か月しか住まない建物かもしれませんが、しっかりと選びたいという方も少なくないはずです。
うまく条件に合った物件があればすんなり決まりますが、そうとは限らないためできるだけ物件探しにも時間を見ておくべきです。
仮住まいについても、詳しく後述させていただきます。
ライフラインの撤去は2週間
ライフラインとは、生活をするのに必要な
- 電気
- ガス
- 電話
- インターネット
といったものになります。
電話一本で取り外してもらえるものもあれば、施主が立ち会わなければならないようなものも存在します。
混んでいる時期などは、電話をしてもすぐに取り外してもらえないことも多く、時間がかかるケースも珍しくはありません。
ライフラインは、工事が始まる前までにきちんと取り除いておかなければいけません。
そのため、余裕を持って着工の2週間前までにはそれぞれに撤去依頼を出しておくことをおすすめいたします。
ライフラインの撤去に関しては「解体工事前にしておくべき電話線の撤去方法と発生してしまうトラブル」も参照ください。
工事着工前の手続きで1週間
工事着工前の手続きには、
- 解体工事にあたって必要な許可などの申請
- 近隣の住民への挨拶
などが当たります。
解体工事にあたって必要な許可などの申請
解体する建物やその周辺環境によって、必要な許可などは異なります。
例えば、80平米以上の建物を解体する場合には建設リサイクル法の届出が必要になり、この届出は工事の1週間前までに行わなければなりません。
つまり、届出の申請をしたら、その後1週間は工事に着工することができないということです。
建物の面積が狭い場合はこの届出は不要ですが、大きい建物を解体するのであれば、できるだけ早く工事に取り掛かれるように早めの申請が必要です。
なお、通常は解体業者が代行して申請してくれるはずですので、施主が建設リサイクル法の届出に対して何かをしなければならないということはないはずです。
しかし、念のため知識として持っておいたほうが良い項目になります。
⇒解体工事前に施主も知っておいて損はない建設リサイクル法の基礎知識。
近隣の住民への挨拶
近所への挨拶で明日から工事をするということを工事の前日に伝えるのが悪いというわけではありません。
しかし、解体工事前の挨拶は、できれば顔を合わせて直接報告しておきたいものです。
留守の家があることを考えると、やはりできるだけ早い段階で解体工事の連絡をするに越したことはありません。
早めに挨拶に行き、留守の場合はまた後日出直すことによって、確実に近隣の住民への挨拶を終わらせることができるはずです。
なお、こちらも解体業者のスタッフがやってくれることが多いですが、施主も一緒に挨拶をすることで、解体工事のトラブルを最小限に減らすことができます。
⇒解体工事前の近所への挨拶は重要!挨拶のタイミングと方法について
解体工事は平均で10日
着工から完全に工事が終わるまでは、大体10日ほど見ておいたほうが良いでしょう。
しかし、規模の小さな建物であれば1週間程度で終わってしまうこともありますし、逆に大きな建物の場合はより時間がかかります。
平均すると10日以内で終わる工事も多いのですが、工期が延びてしまうことも考えなければいけません。
天候をはじめ、様々な要因によって解体工事自体の日程が延びてしまうと、当然工事の完了日が遅れてしまうことになります。
工事の延長に関しては「解体工事に必要な期間の目安と工期が遅れてしまうよくあるトラブルとは」もご覧ください。
残置物の処分は意外と時間がかかる
残置物の処分方法には、
- 不用品回収業者
- 粗大ゴミ
- リサイクルショップ
- ネットオークション
などが挙げられます。
不用品回収業者はすぐに対応してくれる
すぐに処分したいという方は、不用品回収業者を利用することになります。
最短で、電話をしたその日に不用品を引き取りに来てくれる業者も存在するため、時間がない方はそれで対応してみるのもよいでしょう。
しかし、解体業者同様、不用品回収業者もできれば複数に見積もりを取って良い業者を選ぶに越したことはありません。
その場合は、業者が決まって残置物を持って行ってくれるまでに1週間くらいは見ておいたほうが良いです。
ネットオークションは時間がかかるが最も安い?
自分では使わなくなったものであっても、全国のどこかにそれを欲しいと思っている人がいるかもしれません。
捨てたり処分したりするのではなく、ネットで引き取り手を探すというのも方法の1つです。
うまくいけばお金を払って引き取ってもらおうと思っていたものが高値で売れる可能性もあるため、思わぬ収入につながることもあります。
しかし、ネットオークションなどの最大のデメリットは、購入希望者が現れる保証がないという点です。
購入者が現れなければいつまでたってもその残置物は残ったままということになるため、急いで工事をしたい方には向いていません。
その他の残置物の処理については「解体工事の残置物を処分するおすすめの方法と処分に掛かるコストについて」こちらも参照ください。
仮住まいは早めに見つければ安心
現在住んでいる家の解体工事をすると決心したら、解体工事業者を探すのと同時に仮住まいのチェックもしたほうが良いでしょう。
引っ越し自体はすぐに終わってしまうかもしれませんが、条件に合う家が見つからない場合は探すまでに時間がかかってしまうからです。
完全にタイミングや運なども関係してくる部分ですが、運が悪ければ仮住まいが全然決まらず工事が始められないということにもなりかねません。
仮住まいの注意点
短期間しか借りないということになるため、通常はそれだけでも選択できる物件の範囲が狭まります。
仮住まいを探すには、
- 短期で借りられる物件
- ペットなどの家族校正の条件を満たす物件
- 家族が快適に住める広さの物件
などを考える必要があります。
また、
- 住所変更手続き
- 郵送物の転送手続き
なども忘れないようにしましょう。
仮住まいの探し方
あまり時間をかけずに探したいという場合は、まずは条件をはっきりとさせて不動産会社を当たってみましょう。
ただ、上述したように短期間しか借りないなどの条件があるため、目ぼしい物件にすぐに出会えるとは限りません。
短期間だからと言って妥協をしすぎると、数か月の仮住まいに疲れてしまいますので、やはりある程度は時間をかけて探すことをおすすめいたします。
安い方が良いと考える方も多いですが、安くても敷地面積が狭すぎるとまともに生活を送れなくなってしまいます。
仮住まいを探す際には複数の条件を挙げ、優先順位を決めて一番マシだと思えるところを借りるという方法もよいでしょう。
詳しくは「建て替え・リフォーム中の仮住まいの探し方と選ぶポイントについて」こちらも参照ください。
解体工事は最短でも1ヶ月は見ておいた方がいい
解体工事を最短でやろうと思ったら、条件次第ですが2週間で業者探しから工事完了までを終わらせることも可能です。
しかし、どれだけ短くても1ヶ月は見ておいたほうが良いでしょう。
2週間で終わらせるケース
- 業者探し(1~3日)
- 工事着工前の手続き(1日)
- 解体工事(1週間~10日)
まず、業者を1日で決めてしまうというのはあまりおすすめできないため、何かよほど事情がない限りは複数社に見積もりを取り慎重に決める必要があります。
現場見積もりは数時間で終わりますが、通常はその結果が出るのに数日かかるため、仮に料金がすぐに出たとしても後々トラブルになる可能性が高くなります。
しかし、業者を1日で選ぶことができ、さらにその業者のスケジュールがうまく空いていれば、すぐに工事に取り掛かってもらうことができます。
ただし、上述したように解体する建物の面積が80平米以上ある場合は、建設リサイクル法の届出が必要になってきます。
この届出は、工事着工の1週間前までに提出しなければならないため、大きな建物を解体する場合はここで時間のロスが生じます。
80平米以下の建物であれば届出は不要なため、その他の申請もしなくてよい場合は近隣の住民に挨拶をしてすぐに工事に取り掛かることが可能です。
建物の規模にもよりますが、養生の設置から解体工事、整地までを合わせると1週間ほどで終わることもあるため、これが最短の解体工事と言えるでしょう。
1ヶ月で終わらせるケース
- 業者探し(1週間~10日)
- 家の片づけ、各種申請など(1週間)
- 解体工事(1週間~10日)
安心して解体工事ができるのは、どれだけ短くても1ヶ月以上の期間を見越しての場合です。
特に業者選びをしっかりと行うことによって、解体工事の相場を認識し、信頼できる業者に工事を依頼することができます。
そのためには、複数の業者に現場見積もりをしてもらうのが重要ですが、業者の都合もあるため最低でも1週間は見ておいたほうが良いでしょう。
業者を探している最中にも、同時並行して家の中の残置物を片付けていきます。
自分でやる場合は時間がかかるため、時間がない場合は不用品回収業者を利用するのも方法の1つです。
家を空っぽにしつつ、業者には建設リサイクル法の届出などをしてもらい、万全の体勢を作ったら、後は急いで工事をしてもらいましょう。
スケジュールを組み合わせて効率的に工事を終わらせよう
例えば、業者選びに1か月かかったとしても、その業者を選び終わるまでに同時に残置物の処理をしてしまえば、その処分にかかる時間を削減することができます。
同様に、業者選びと同時に仮住まいを探し始めれば、業者を選ぶよりも先に新しい引っ越し先が決まるかもしれません。
解体工事自体は何かと同時並行でやるということができませんが、解体工事前の様々な手続きは同時に進めることで早く終わらせることが可能です。
それでも余裕を持って2ヶ月は見ておきたいものですが、あまり時間がないという方も全ての手続きを一緒に始めれば時間を短縮することができます。
1つ1つのステップを着実にこなしていき、効率的な解体工事を目指しましょう。
まとめ
解体工事自体は、平均して1週間から2週間で完了させることができます。
しかし、その工事の前には業者を選んだり建物の中の残置物を処分したりと、何かとやることが多いため、そこに時間を取られるケースも少なくありません。
例えば本当に時間がなく、条件もそろっている場合は、解体業者を探し出すところから工事の終了まで2週間で終わらせてしまう例もあります。
ただし、解体業者をしっかりと吟味できない、残置物の処理にお金がかかるなどの様々なリスクが出てくるため、あまりおすすめはできません。
確かに、効率よく複数の業務を同時進行でこなしていけば、1ヶ月もあれば解体工事が終わってしまうかもしれません。
しかし、やはり信頼できる業者を選んで安心して解体工事を終わらせるためにも、2か月前くらいから計画を始めることをおすすめいたします。