ずっと空き家になっている建物を解体するケースであれば、他に現在住んでいる建物があるため、仮住まいについて考える必要はないかもしれません。
しかし、解体工事をする理由が、現在住んでいる土地に新しい建物を建てるためだという方も多いのではないでしょうか。
現在住んでいる建物が老朽化したため、または将来の家族構成の変化のことなどを考えて、新築物件を建てるという方はたくさんいらっしゃいます。
そういった方は、解体工事をして新築物件が出来上がるまで、仮の住まいを借りて生活を送ることになります。
解体工事や新築の建設に多額のお金がかかりますが、それと同時に仮の生活を続けていくためのコストも考えなければなりません。
今回は、そんな仮住まいの探し方や仮住まいを選ぶポイントなどについて紹介していきます。
仮住まいの探し方
まずは、仮住まいを探す前に知っておいたほうが良い知識をまとめてみました。
仮住まいの種類
仮住まいとして利用できる場所は、
- 大きく賃貸物件
- ホテル
- マンスリーマンション
などに分けられます。
賃貸物件は最も安いが契約が長め
賃貸物件は、この3つの中では最も安く済む可能性が高いですが、通常の賃貸物件は1年契約や2年契約のところが多いため、短期契約できなければ無駄なコストがかかってしまう可能性もあります。
解体工事から新築物件の完成まで1年もかかるようなケースは珍しいですので、賃貸物件を利用する場合は数か月単位で借りられるところを探すことになります。
数か月で借りられる賃貸物件を見つけることができれば、最も低コストな仮住まいになるはずです。
ホテルは1日から住むことが可能
ホテルであれば1日単位で住むことができますし、中には1ヶ月用のお得な料金を出しているところもあるため、数か月だけ借りるのには適していると言えるでしょう。
ホテルにはジムや温泉などがあるところもあり設備も充実していますし掃除もしてくれるため、生活が落ち着かない時期の仮住まいにはもってこいです。
しかし、1ヶ月だけのコストを見てみると、賃貸物件よりもはるかに割高になってしまいます。
マンスリーマンションは基本は賃料は割高
マンスリーマンションは月単位で借りられる賃貸物件になり、基本的には家具や家電がすべてそろっていますし、電気代も賃料に含まれたりするため、こちらも仮住まいに向いているスタイルと言えます。
もちろん通常の賃貸物件と比べると1か月あたりの賃料は割高ですが、契約したその日から快適に生活を送ることができるというのはありがたいです。
ただし、マンスリーマンションの多くは単身者向けのワンルームなどの間取りになっていることが多いため、家族の人数が多い場合は複数の部屋を借りる必要が出てきます。
もちろん1部屋のみ借りる場合はホテルよりも安いですが、複数の部屋を借りる場合はホテルの方がメリットが多いこともあるため、料金や使い勝手を比較して決めるとよいでしょう。
仮住まいを探す時期
解体工事が決まったら、できるだけ早くその家を空っぽにする必要がありますので、工事が決まってから仮住まいを探し始めるのは遅いです。
できれば、引っ越しをする1か月前までには仮住まいの候補を決めておきたいですので、遅くとも2か月前くらいから探し始めることをおすすめいたします。
時期によっては良い物件がなかなか見つからなかったりすることもありますが、数か月だけの仮住まいだと割り切るのも重要です。
どうせずっと住むわけじゃないと言うつもりで探すと失敗してしまうこともありますが、できるだけ素早く決断できるように最低条件の線引きをはっきりつけ、優先順位も決めておくようにしましょう。
仮住まいを見つける方法
一般的には、不動産会社を利用して手ごろな物件を見つけることになると思いますが、その前にインターネットを利用して住もうと思っている地域の情報を集めたり、その地域の相場などを確認しておくとよいでしょう。
ネットで目ぼしい物件を見つけたら、その場で電話などで問い合わせてみるのも方法の1つですし、時間があるのであれば歩き回って良さそうな賃貸を探すのもよいと思います。
また、場合によっては解体業者や建設業者のスタッフが部屋探しをサポートしてくれることもあります。
希望条件をはっきりと伝えておくことで、理想の仮住まいを見つけてもらえるかもしれません。
仮住まいを選ぶポイント
それでは、仮住まいはどのような基準で選ぶべきなのでしょうか。
基本的な仮住まいの条件を見ていきましょう。
賃貸期間
解体工事の前から新築物件の完成までは、仮住まいで生活を送ることになります。
そのため、その期間だけ仮住まいを借りられれば良いと考える方も多いかもしれませんが、できれば余裕を持って長めに契約した方が良いでしょう。
ホテルなどであれば延長で宿泊できることが多いですが、賃貸物件の場合は初めに契約した期間までに退去しなければならないケースも多いため、賃貸期間は慎重に決めることをおすすめいたします。
例えば、新築物件ができるまでに半年かかるとわかっている場合は、余裕を持って7,8か月の契約をしておくべきです。
工事がスケジュール通りに行けば全く問題ないですが、天候などのトラブルによって解体工事、または建設工事が大幅に遅れる可能性もあります。
新しい住居がまだできていない状態で退去をしないといけないのは大変ですが、逆に長めに借りておけば新築完成後の引っ越しもゆっくりと行うことができるため、全体的に落ち着いて行動することができます。
ちなみに
- 解体工事に必要な期間が10日~2週間程度
- 新築物件の完成が3,4ヵ月程度というのが一般的
です。
しかし、分離発注する場合は解体から建設工事の着工までに期間が空くこともありますし、業者や建設立地などで大幅に変わることもあるため、まずはトータルでどれくらいの期間が必要か確認しておく必要があります。
家族構成による制限の可能性もある
例えばご家族に小さなお子様がいらっしゃる場合や犬などのペットを飼っている場合は、利用できる賃貸物件に制限がかかるため気を付けましょう。
ペット不可の賃貸物件は多いですし、中には小さな子供のいる家族は入居させてくれないようなところもあるため、該当する場合は家族構成を考えて仮住まいを探す必要があります。
しかし、短期契約できてペットも飼うこともできる賃貸物件を探すのはなかなか難しいと言われています。
仮に契約できたとしても、敷金が高くなったり退去後のクリーニング代が高額になったりする可能性があるため、契約する前にそのあたりの話をきちんと詰めておくようにしましょう。
仮住まいの広さ
大家族が引っ越す場合は、ある程度の広さの賃貸物件でなければ普通に生活を送ることができなくなってしまいます。
また、それだけではなく今まで利用していた家具や電化製品も持ち込むことになるため、そういったものがきちんと収まる仮住まいを探さなければなりません。
もちろん、利用していた家財の一部を処分するという方も多いですし、広い仮住まいを借りる余裕がない場合は、荷物の一時預かりサービスなどを利用するというのもよいかもしれません。
たかが数か月の生活だから狭くても何とかなると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に大家族が一部屋で生活を送るというのは大変なことですので、家具の量や家族構成を考慮して仮住まいの広さを決めましょう。
解体中の仮住まいにかかるコスト
解体工事をする際には解体業者に工事費用を支払うことになりますし、その後には建築業者に新築物件の建設費用を支払わなければなりません。
何かとお金がかかる時期ではありますが、仮住まいで生活を送るにもお金が必要になってきます。
大まかな費用
上述したように、仮住まいにもホテルやマンスリーマンションなどの様々なスタイルがあるため、一概に必要なコストをお伝えするのは難しいです。
また、一等地の駅前と郊外とでは地価自体が何倍も異なるため、そういったものにも大きく左右されることになります。
しかし、一般的には3,4ヵ月の生活で100万円前後というのが平均的な目安と言われているため、月々の賃料だけではなく敷金や礼金、仲介手数料と引っ越し費用等をまとめてこれくらいに収めるつもりで考えておきましょう。
もちろんホテルやマンスリーマンションの場合はもう少し高くなることが予想されますが、やはり予算を抑えたいという方は多いはずですので、少しでもお得な方法を選びましょう。
仮住まいを借りるための費用
賃貸物件を借りる際には、毎月の家賃を支払うことになりますが、それ以外にも何かと諸経費がかかってきます。
まずは初期費用として
- 敷金
- 礼金
- 鍵の交換費用
- 引っ越し費用
などが必要になってきます。
通常は2年契約の賃貸物件を短期で借りられるというようになったとしても、敷金が通常より高くなるケースがあるため、そのあたりは事前に不動産会社と話し合っておくようにしてください。
また
- 電気代
- 水道代
- インターネットの設置費用から利用料
など、快適に生活を送るための諸経費も頭に入れておく必要があります。
仮住まいでの生活を安く抑えるために
できるだけ仮住まいにお金をかけたくないという方は、なるべく敷金などの初期費用がかからない物件を選ぶとよいでしょう。
また、解体前の住宅で利用していた家具や家電を全て持ち込むのではなく、一部を持ち込んで残りを預けるというような形にすれば、狭い物件であっても快適に生活できるだけでなく、引っ越し費用も安く抑えることが可能です。
もちろんお金にある程度余裕があるのであれば深刻になることはないかもしれませんが、仮住まいでの生活は普段よりもお金がかかっているため、例えば外食を減らしたりすることでより節約をすることができるはずです。
それから、引っ越し業者を探す際には相見積もりを取って安いサービスを利用したり、少しでも安く借りられるように大家さんに交渉してみたりするのも、仮住まいでのコストを抑える方法の1つです。
仮の生活に伴う手続きについて
仮住まいに住む際には、どうしても新しい住居での新しい生活のことばかりを考えがちです。
しかし、引っ越しに伴って様々な手続きも必要になってくるため忘れないようにしましょう。
会社での住所変更手続き
特にそれまで住んでいるエリアと全然違う場所に仮住まいを設ける場合は、勤務先にその情報を伝えておく必要があります。
通勤に利用する駅が変わる場合は、交通費が大幅に変わる可能性もあるため、事前に伝えておかないと後々トラブルになって面倒なことに巻き込まれる可能性があります。
もちろん解体工事をして新居を造るという情報は上司などに報告することが多いと思いますが、それに伴う社内手続きについても聞いておくとよいでしょう。
ライフラインの契約解除
解体工事を行う際に、解体する建物に供給されている電気やガス、インターネットなどのライフラインを停止する必要があります。
このライフラインの停止を忘れてしまうと工事中に思わぬ事故が発生する危険性もあるため、それぞれの業者に連絡してストップしてもらいましょう。
しかし、水道は工事で利用する可能性もあるため、自分で判断するのではなく解体業者に確認をしてから行動に移すことをおすすめいたします。
それぞれのライフラインの撤去についてはこちらも参照ください。
⇒解体工事をする前に施主がすべき4つの行動とそれぞれの注意点
郵便物の転送
引っ越しをする際に最も忘れてはいけないのが、郵便物の転送届けになります。
元の住所に郵便物や宅配便が送られたとしても、すでに解体工事が始まっていて受け取ることができません。
引っ越しをするタイミングで転送届を提出しておくことで、郵送物が仮住まいに届くようになるはずです。
なお、何かを定期購入をして毎月のように宅配便で送ってもらっている場合も、直接その業者に住所変更処理をしてもらうなどしておかなければ商品が届かなくなってしまうため、忘れないように変更しておきましょう。
最後に
現在住んでいる土地に新築物件を建てるとなった場合は、解体工事の手続きや家財の処分、引っ越しから新築物件のデザインまで、やることが山積みで非常に忙しくなります。
新築の建設工事ばかりに気を取られてしまう方も多いですが、解体工事をしなければ新しい建物を建てることができないため、まずは解体工事の業者を探さなければなりません。
それと並行して行っておきたいのが、仮住まいの決定です。
ギリギリに探すと希望通りの部屋を見つけるのが難しいですので、例え数か月しか住まない住居だとしても、家族が快適に生活を送れるような所を探したほうが良いはずです。
解体工事と新築物件の工事に挟まれて、引っ越しや仮住まいの決定は軽視され後回しにされがちです。
しかし、数か月はその場所で生活を送ることになりますので、できるだけ時間をかけて納得できる住居を探したいものです。