予定通りに終わる解体工事も多いですが、中には何らかの原因で計画通りに工事が進まず、完了予定日を過ぎても全然解体が進んでいないといった状況になることもあります。

スムーズにいくはずだった工事が延びてしまっては、その後の計画にも差支えることがありますし、場合によっては施主が余分な費用を請求されることもあります。

天候やトラブルなどが原因で解体工事の日数が変わってくることが多いのですが、工事が延びてしまうのが致し方ないケースがある一方で、未然に防げるようなトラブルも少なくありません。

今回は、解体工事に必要な期間や工事が遅れてしまう原因、その解決方法などをまとめてみました。

解体工事のスケジュール

まずは一般的な解体工事の日程を見ていきましょう。

工事期間は10日~2週間程度になることが多いですが、家屋の規模や状態などによって前後することもあります。

工事をする前にすること

解体業者が決まったら、いきなり解体工事を始めるのではなく、まずは電気やガスなどのライフラインを停止させることになります。

基本的には施主が行うことになりますが、業者によっては作業に利用したいライフラインがあるかもしれないので、業者の方からの指示を待つようにしましょう。

それとともに、近隣の方々へ解体工事をするという挨拶回りをします。

工事中は大きな音や振動が発生する可能性が高いため、迷惑をかけることを事前に伝えておくことで後々のトラブルを防ぐことができます。

解体工事前の近所への挨拶は重要!挨拶のタイミングと方法について

それから、工事の前には足場や養生を設置を行うことになります。

建物の大きさによってかかる時間は異なりますが、足場の設置は早ければ1日、2日で終わります。

解体工事の順番

養生が設置されたら、いよいよ建物の解体に入りますが、いきなり重機で壊すのではなく、まずはガラスや瓦、内装材を人の手で撤去していきます。

解体しつつ分別もしなければならないため時間がかかりますが、大体2日程度で終わるのではないかと思います。

その後は重機を利用しての解体に移りますが、建物の大きさや建物の構造が木造なのか、または鉄骨なのかという点で所要日数が変わってきます。

建物が解体されたら、その家屋を支えていた基礎と呼ばれるコンクリートの撤去を行い、きれいに撤去されたら土地を整える整地と呼ばれる作業に入ります。

整地後は周りを清掃しつつ問題がないか確認し、解体工事が完了ということになります。

早ければ、重機の解体から完了まで4、5日で終わってしまいますが、>場合によっては数週間かかってしまうこともあります。

天候によって工期がずれる

解体工事は晴天の中行われるイメージもありますが、解体工事中の2週間がすべて晴れているということはあり得ません。

雨が降る日もあるでしょうし、場所や季節によっては雪が降ったり強風が吹いたりすることもあるでしょう。

そういった天候によって、予定通りに解体工事できないケースもあります。

雨天の解体工事

基本的には、雨が降ったとしても解体工事を行うことができます。

雨だと作業がやりにくいように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、水分で粉塵が飛び散らないのでスムーズに解体できることもあります。

しかし、連日の雨や大雨が降って足元が柔らかくなってしまうと、重機が動かせないなどの理由で工事が続けられなくなることも多いです。

そのため、一般的に梅雨をはじめとする雨の多い時期は、他の時期と比べると工期が長くなってしまう可能性があります。

その他の天候での解体工事

その他の解体工事が遅延する可能性のある天候として挙げられるのが、強風と大雪です。

風が強いと足場が崩れてしまうリスクがあり、作業員の安全が確保できないため作業が中断される可能性が高くなるのです。

同様に、雪が積もってしまうと除雪作業が必要になることもあり、除雪作業によって工事に充てられる時間が短くなってしまうため結果的に工期が延びてしまいます

台風の多い時期や強風の強い地域、または真冬の積雪地域で解体工事をお願いする場合は、他の場所と比べて工期が長くなる可能性もあるため、事前に業者のその旨を確認しておくことをおすすめいたします。

その他の遅延トラブル

仮に晴天が続いたとしても、何らかのトラブルが発生することによって工期が大幅に遅れてしまうこともあります。

もちろん工事中に何らかの予期せぬトラブルが発生するケースもありますが、未然に防ぐことができるトラブルもあるため参考にしていただければと思います。

立地条件による工期の延長

解体対象となる建物が建てられている立地によっては、工期が延びてしまうケースも存在します。

具体的には、その場所に行くための道幅が極端に狭かったり、同様に道路との高低差が大きかったりといった理由により重機が入り込むことができないような場合は、全て手作業で解体することになります。

重機があれば簡単に解体できる場所も、手作業となってしまってはかなりの時間が必要になってしまいます。

当然費用も高くなる傾向にありますが、見積もりの段階で業者にきちんと現場を見てもらっていれば予め必要な費用や大まかな日数がわかります。

解体工事で掛かる費用の相場。抑えるべきポイントとからくりについて

ご近所トラブルによる遅延

解体工事につきものなのが、大きな音や振動になります。

施主はその場にいることが少ないかもしれませんが、近隣の住民は解体工事をしている最中もその場所で生活を送ることになります。

事前に迷惑をかけるという旨を伝えておけば問題はないかもしれませんが、挨拶回りをしていない家から苦情が来て工事が一時ストップしてしまうケースもあるのです。

また、音や振動だけではなく、その振動によって隣の家の塀にひびが入ってしまったりした場合は、やむを得ず工事を中断することもあります。

工事前にご近所の方々に挨拶をするのはもちろんとして、そのようなトラブルが発生してしまった場合にもきちんと対応してくれるような業者を選ぶ必要があります。

地中埋設物による工事の中断

重機などを利用して建物を取り壊した後には、コンクリートの基礎部分を撤去する工程に入ります。

基礎は建物を支えるために地中1メートル近くまで埋まっているのですが、それを取り除く段階で埋設物が発見されることもあります。

地中埋設物とは、過去の工事後そのままになっていたコンクリートの塊や瓦、ゴミなどの廃棄物であることが多いです。

しかし中には、解体中の家屋を建てる前に建てられていた建物の基礎が発見されたり、昔使用されていた井戸が見つけられたりすることもあります。

古い基礎も整地をする際に取り除くべきですし、井戸もきちんと埋めなければ地盤沈下などのトラブルに発展するリスクがあるため、それらを処理するために余分に時間がかかってしまいます。

工事前に基礎の状態を知ることは基本的にはできないため、地中埋設物は思わぬトラブルということになりますし、時間だけではなく、それらを処理するために追加の費用が請求されるのが一般的です。

解体工事で地中埋設物が見つかった場合の追加費用や対処法について

解体工期は余裕を持って考えることが大切

解体工事をする前には、事前にきちんと予定を立てますし、その予定通りに工事が完了することを目指します。

しかし、上述したように様々な要因によって工期が遅れることがありますし、トラブルが重なってかなりの日数が必要になるケースもあります。

そのため、工期はできるだけ余裕を持って考える必要があるのです。

解体工事前の動きについて

一般的な解体工事にかかる日数は2週間程度と述べましたが、それは施主が解体工事をしようと思ってから工事が終わるまでの期間ではなく解体作業に取り掛かってから終わるまでの期間のことになります。

工事前の話をすると、解体工事業者を決める段階で時間を取られることが多いです。

例えば、以前別の建物を解体してもらった業者にお願いすることが決まっているという場合はスムーズかもしれませんが、通常はいくつもの業者に解体場所を見てもらって見積もりを出してもらう必要があります。

時間がないからさっさと決めてしまおうと考える方もいらっしゃいますが、この時に選ぶ業者がいい加減なところでは、後々大きなトラブルに発展してさらに時間がかかってしまう可能性があります。

複数の業者に見積もりを出すことでお得に解体できることも多いため、業者を選ぶ際にはなるべく時間をかけて信頼できるところを見つけることをおすすめいたします。

解体工事業者を選ぶ方法|見極めるために大事な6つのポイント

不用品の処分は時間がかかる

不用品回収業者に家財をすべて持って行ってもらうという方もいらっしゃいますが、解体費用を少しでも抑えるために家財の整理を自分たちでするという方も多いのではないかと思います。

家が広かったり家財が多かったりした場合には、その処分にもかなりの時間が必要になります。

仕事の合間にちょこちょこと整理をするような場合は1ヶ月でも足りないこともありますし、引っ越しを伴う場合は新居の整理も必要になってくるため大変です。

もちろん複数の業者に見積もりを出す合間に不用品の処分をするのもよいですが、それぞれ別々に行うのであればそれなりの余裕を持たせておいたほうが良いでしょう。

解体工事を予定通りに行うために必要なこと

特に解体工事後にその土地をどのように活用するか決まっている方などは、できるだけ早く工事を終わらせたいと考えます。

それでは、解体工事を予定通りに完了させるにはどのような対策を取るべきなのでしょうか。

工事が遅れなさそうな季節を選ぶ

タイミングによっては難しいかもしれませんが、工期が大幅に延長されそうな季節はできるだけ避けるべきです。

梅雨の時期は雨が多いと決まっていますし、台風の多い時期や雪が積もりそうな時期も大体わかります。

そういった季節を避けることで、天候が原因の遅延をなくすことができるのではないでしょうか。

工事の季節を選択できるのであれば、予定通りに完了させるためにも天候の良い時期を選ぶようにしましょう。

日々の進捗確認

解体工事の計画を立てる際には、天候などによって工事が遅れることも予想した上で少し余裕を持たせてスケジュールを組むことになります。

しかし、その余裕を持たせた計画よりもさらに工事が遅れてしまった場合は、人件費などをはじめとする経費がかかってしまうため、その分を施主が負担せざるを得ないこともあります。

業者によっては、追加料金を得るためにわざと工事をゆっくりと行ったりするところがあるのも事実です。

それを避けるために、工事中はご自身で現場を見に行ったり業者に連絡を取ったりして、工事は予定通り進んでいるのか、遅れている場合は原因が何なのかということなどを確認するようにしましょう。

もちろんほとんどの業者は問題なく工事を進めてくれるはずですが、万が一悪徳業者を選択してしまったときにも、工事の遅れで追加請求をされるというトラブルを防ぐことができます。

解体工事で追加費用がでる場合の工事と追加費用の相場やトラブルについて

どうにもならないこともある

例えば解体工事をする前にあいさつ回りをすることによって、近所トラブルを未然に防いだりといった、予め何か行動をしておくことで予防できるトラブルも多いです。

しかし、基礎の解体中に地中埋設物が見つかるなどのトラブルは工事前に防ぎようがありません。

それが原因で予定通りに工事が終わらなかったりすることもありますが、実際にふたを開けてみないとわからないような問題はどうしようもないのです。

ただし、問題が発生した時点でどんな対応をすれば良いのか、工期はどれくらい延びそうなのかということはわかるはずですので、業者と相談しながら上手に工事を進めていきましょう。

最後に

解体工事に必要な日数や、工事が遅れる原因などのイメージをつかむことができましたでしょうか。

実際にかかりそうな日数は自宅の状況によっても異なるため、まずは複数の業者に見積もりを取ってもらいましょう。

その際に、電話で家の大きさなどを伝えるだけの簡易見積もりではなく、実際に現場に足を運んでもらって解体物件を見てもらうことで、建物だけでなく立地条件も含めた正確な見積もりを出してもらうことができます。

工事にトラブルはつきものかもしれませんが、なるべく問題が発生しないように事前に対処することによって、スムーズな解体工事を実現できるはずです。