土地や一戸建ての売却活動を行う際には、まず初めにその土地に隣接する土地の所有者に話を持って行ってみるというのも方法の1つです。
例えばネットを利用して募集をかけた方が、より多くの方にその土地や一戸建ての存在を知ってもらうことができるため、その場合もメリットは大きいと言えます。
しかし、対象が広がったからと言ってすぐに売却活動が終わるという保証はありませんし、売却活動に時間がかかるケースも少なくありません。
一方で、隣人に購入を依頼した場合は、場合によってはその場ですぐに売却活動が終わってしまう可能性があります。
それは、隣人にとって真隣の土地を購入することには大きなメリットがあるからなのです。
この記事では、そんな土地や一戸建てを売却するに当たって、最初に隣人をターゲットにすべき理由について紹介しております。
隣人に買い取ってもらう買い手のメリット
隣の土地の所有者に話を持って行くことで買い手が得られるメリットとして挙げられるのは、
- 最も高く売れる可能性がある
- 売却活動がすぐに終わる可能性がある
この2つです。
最も高く売れる可能性がある
詳しく後述しますが、隣人はすぐ横の土地を購入することによって、様々なメリットを得ることができます。
また、昔から不動産の売買において
- 隣の土地は借金をしてでも買ったほうが良い
- 高くても買ったほうが良い
というような格言があります。
それはそのまま、隣の土地を購入することでいかにメリットがあるかということを意味しており、実際に隣人が購入することで大きなメリットを得られる可能性が高いです。
そういったこともあり、例えば「相場よりも高く売却することができた」というようなケースも多いですし、逆に「隣に土地を売却して損をした」というケースは珍しいです。
やはり誰もが少しでも高く売却したいと考えているはずですので、それであれば最初に隣人に売却の話を持って行くのは買い手にとっても大きなメリットなのです。
売却活動がすぐに終わる可能性がある
一般的な売却活動では、不動産会社に査定をしてもらった後、写真を撮ってウェブ広告をはじめとする様々な広告を打ってもらい、気長に購入希望者を待つことになります。
例えばその土地や一戸建てが超人気エリアのものであれば、売却活動が長引くようなこともないかもしれませんし、すぐに売れてしまう可能性もあるでしょう。
しかし、人気のない場所や需要の低い場所であればあるほど購入希望者は現れにくいですし、その分売却活動も長引いてしまいます。
そんな場所であったとしても、隣人に売却の話を持ち出せばあっさりと売却活動が終わってしまう可能性があります。
先ほどもお伝えしたように、隣人にとってその土地は、多少高くても購入したほうが良いと言われるほどの優良物件なのです。
例え一般的には大したことのない場所であったとしても、その土地の隣の土地の所有者にとっては一等地になるため、即答で売却が決まるかもしれません。
できるだけ早く売却活動を終えたいのであれば、最初に隣の土地の所有者に買ってもらえないか聞いてみることをおすすめいたします。
隣地を買うことで隣人が得られる4つのメリット
それでは、なぜ隣の土地にはそのように高く評価されるのでしょうか。
隣人が隣地を購入するメリットには様々なものが考えられますが、代表的なものとして
- 変な隣人が住む可能性がなくなる
- 隣の土地を活用できる
- 土地の価値が上がることも
- 物件の環境が良くなる
などが挙げられます。
変な隣人が住む可能性がなくなる
どこに住んでいたとしても、一戸建て、マンションに限らず隣人の存在は気になるものです。
ひと昔と比べると近所づきあいがなくなったという方が多いと思いますが、それでも隣に住んでいる以上、隣人は全くの他人というわけにはいきません。
例えば、隣に住む人が変な人であった場合、それまで快適に生活していた場所での暮らしが脅かされるリスクもありますし、気持ちよく生活を送ることができません。
中には、隣人と揉めることによって引っ越しを余儀なくされるようなケースもあるため、やはり隣人とのトラブルは避けたいところです。
すぐ隣の土地が売りに出されると、当然誰が購入するのかわかりませんし、全く知らない人が住み始める可能性の方が高いです。
そして、その知らない人が変な人であった場合、近所トラブルが多発したりこともあるかもしれません。
または、投資家が購入した場合はコンビニを造って治安が悪くなったり、駐車場の経営をはじめて夜間までうるさくなったりするリスクもあります。
一方で、その土地を自分が押さえてしまえばそういったリスクを全て取り除くことができるため、それだけでも大きなメリットとなるのです。
隣の土地を活用できる
もちろん隣の土地である必要はないかもしれませんが、自宅のすぐ横に土地があれば、その土地を何らかのアクティビティに活用することができます。
例えば家庭菜園が好きな方は、ご自宅のすぐ横に広めの畑を造ることができますし、場合によっては小さなアパートを建ててそこで入居者を募集することも可能です。
何かあったとしても、すぐ隣で自分が住んでいるわけですから、トラブルやメンテナンスなどへの対応も非常にスムーズです。
上述したように、よくわからない人がその土地を買って活用されるよりは、自分自身で活用したほうがメリットが大きいのです。
土地の価値が上がることも
隣人が持っている土地の大きさによっては、隣の土地を購入することによって、ひとつなぎの土地としての価値が高まる可能性もあります。
例えば、一戸建てを建てるにしてもアパートやマンションを建てるにしても、ある程度の広さの土地は必要になってきます。
アパートを建てるとなった際に
- 現在自分が所有している土地の中で建てるのか?
- 隣の土地を買い取って余裕のあるスペースで建てるのか}
では話が大きく変わってきます。
同様に
- 現在自分が所有している15坪の土地を売却するのか?
- 隣の15坪を買い取って30坪として売却するのか?
とでは、単純に倍以上の価値で売れる可能性が高いです。
もちろん何に使うかによって土地の価値は変わってきますが、狭い土地よりも広い土地の方が使い勝手が良いはずです。
逆に言えば、土地が狭いことによって相場よりも売却価格が下がるケースもあるため、隣人の所有する土地が狭ければ、それだけ購入によって得られるメリットも大きくなります。
このように、隣の土地を購入することで、現在の土地と購入した土地の双方の資産価値が上がる可能性もあるため、隣の土地は高くても買っておいた方が良いのです。
物件の環境が良くなる
隣の土地を購入して何に利用するかは、その土地を購入した隣人によって異なりますが、中には何もせずにとりあえず購入するだけという方もいるかもしれません。
例えそうであったとしても、隣の土地を手に入れることで現在の住まいの環境が良くなることには変わりありません。
例えば南側にある土地を購入した場合、そこに建てられている物件を解体することで家全体に日が差し込むようになる可能性があります。
同様に、その建物があることで通らなかった風が、建物をなくすことで通るようになり、夏場も快適に過ごせるようになるかもしれません。
もちろん解体費用は掛かるかもしれませんが、
購入した一戸建てを取り壊して庭として活用することで、現在の住宅の価値をさらに高めることができるのです。
そのため、例え購入した土地を何かに使わなかったとしても、購入するだけでメリットが得られると断言することができます。
売り手が注意しなければならない3つのポイント
隣地を購入することで「買い手となる隣人が大きなメリットを得ることができる」ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
売り手としても相場よりも高値で売却できたり、売却活動が早く終わる可能性があるというメリットがあるため、双方が得をする売買契約になるはずです。
しかし、隣人に売却する際には買い手として気を付けなければならない点があります。
具体的には、
- 早く売りたいという雰囲気を出さない
- 売却価格の話をしない
- メリットの話をしすぎない
ということに注意するようにしましょう。
早く売りたいという雰囲気を出さない
売却活動を始めたら、誰しもが早く売ってしまいたいと考えるようになりますが、隣人に対しては早く売りたいというオーラを出さないように気を付けましょう。
できるだけ早く売りたいという気持ちを前面に出してしまうと、それが買い手にも伝わって足元を見られ、安い価格を提示される可能性があるからです。
こちらのスタンスとしては、近々土地を売却しようと思っているが、もし興味があれば、という形で持って行くのが最も良いと言えます。
本心としては隣人に高く早く売りたいと思っていたとしても
- 他にも買い手がいるかもしれない
- 他で高く売れるかもしれない
といった余裕を見せる必要があります。
他にも買い手がいるかもしれないということを匂わせれば、「少し高くても変な人の手に渡るより自分で所有しておきたい」という気持ちが働くため、逆にすぐに売れる可能性があるのです。
売却価格の話をしない
隣人に土地の売却の話を持って行く際には、その場では売却価格などの話をするのは控えたほうが良いでしょう。
土地を買ってくれと言えば、当然いくらで売るんだという話になるはずですが、最初から売り出し価格の話をするとその額が基準となって話が進んでいきます。
最初に言ったように、隣人には相場よりも高く売れる可能性があるのですが、売り出し価格を伝えてしまうと当然それ以下の価格にしかなりません。
もちろんその価格で問題ないというような場合は素直に話を進めるのもよいのですが、少しでも高く売りたいのであれば初めは金額のことを伏せておきましょう。
信頼できる不動産会社を見つけ、その不動産会社にすべて任せてあるというようなことを言えば、金額の話は一旦濁すことができるはずです。
しかし、当然信頼できる不動産会社を見つけるのも重要ですので、より高く売ってくれそうな経験豊富な不動産会社を探しましょう。
メリットの話をしすぎない
隣の土地の購入にはメリットがあるということは、上述した通り一目瞭然なのですが、中にはそういったメリットを知らない方や興味のない方も存在します。
知らない方に対しては、隣の土地を購入することでこういったメリットが得られるため、最初に話を持ってきたというプレゼンをしてみるのもよいいかもしれません。
しかし、そういったメリットがあるということを知っているにもかかわらず興味を示さない方の場合、一生懸命それを説明しても逆効果になる可能性があります。
実際にメリットが大きいため、それをわかってほしいという気持ちはよくわかるのですが、あまりにもしつこいとこれまで築き上げた関係性が悪化してしまうかもしれません。
不動産会社としても、高く売れる可能性が最も高い隣人に話を持って行ったりすることがあるため、そのような場合は不動産会社に任せてしまうのが良いでしょう。
まとめ
もちろん、隣人の経済状況や家庭の状態によっては、メリットがあるとわかっていたとしても売買契約に至らないケースも少なくありません。
例えば、すぐに引っ越す予定があるような場合はその物件が魅力的に映らないかもしれませんし、隣に変な人が住んできても短期間であれば気になりません。
隣人に売却の話を持って行く際には、メリットばかりを伝えず、相手の状況も考慮したうえで話を進めていく必要があります。
当たり前のことですが、売れないケースも珍しくはないため、その場合は一般的な売却活動を続けていくことになります。
早く売れる、高く売れると思っていた後の売却活動には身が入らないかもしれませんが、良い不動産会社を見つけてできるだけ早く売ってしまいましょう。