不動産を売却したら、一時的に大きな収入を得ることになりますが、こんな悩みはありませんか?
- 初めて不動産を売却するから税金のことが全くわからない
- どれくらい税金がかかる知りたい
- 節税することは可能?
など、特に初めて不動産売却をして収入を得た人は税金に関してはある程度勉強しておいた方がいいでしょう。
そこでこの記事では、不動産売却で必要な税金の種類や注意点、税金を節税するポイントなどについて紹介していきます。
最後には実際にシュミレーションをする事例も紹介しているので、是非参考にしてみてください。
目次
不動産売却で必要な税金の種類は?覚えておきたい5つの税金
3000万円の一戸建てを無事に売ることができれば、手元には3000万円が入ってくるので、臨時収入としては非常に大きいです。
しかし、所得に対して税金がかかってくるため、不動産を売却する際にも様々な税金を支払わなければなりません。
そこでまずは、不動産を売却して発生する税金の基礎知識をつけていきましょう。
ちょっとその前に…不動産の種類と必要な税金の関係について
一口に不動産といっても、マンションの一室からアパート一棟、または土地など、様々な種類のものが存在します。
いずれの場合も不動産の売却という点は変わらないため、売却をして所得があった場合は、それに対しての納税義務が発生します。
しかし、売却する不動産の種類によって、諸経費の大きさが変わってきたり、適用される特別控除の種類も変わってくるケースもあるのです。
そして、それによって最終的に納める税金に大きな差が出ることも。
例えば、土地を売却する際には、マンション売却では不要な測量費や造成費などを経費にすることができます。
税金対策や節税については詳しく後述しますが、売却する不動産の種類と、特別控除の有無を事前にきちんと理解しておくようにしましょう。
では、それをふまえうえで不動産売却に対しての税金を紹介していきますね。
不動産売却では、大きく5種類の税金がかかってきます。
その税金がこちらです。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
売買契約書に必要は「印紙税」
不動産売買においては、売り手と買い手の間で売買契約を交わすことになりますが、その際に作られるのが売買契約書です。
例えば自身のパソコンのワードなどで売買契約書を作ろうと思えば、形だけはできてしまいます。
ただ、不正を防ぐためにも、金銭が絡んだ課税文書を作成する際には、通常はその書類に印紙を貼り付けなければなりません。
印紙とは、その作成された文書が日本国の法律にのっとって作られた安心できる書類であるという証明になります。
そして、その際に購入する印紙が印紙税という形で国に納められるのです。
印紙税の具体的な金額などについては、以下も参照ください。
住所変更登記などに対しての「登録免許税」
不動産売却では、単純な金銭のやり取りをするだけではなく、今まで所有していた家や土地が、新しく購入した買い手の渡ることになります。
そして、その所有権を売り手から買い手に移転させたり、抵当権の設定を行う際には、新しく登記をし直さなければなりません。
この時に発生するのが登録免許税です。
簡単に説明すると、不動産の売却時には
- 抵当権抹消登記
- 住所変更登記
に対して登録免許税がかかってきます。
それぞれの登記の詳しい説明などはこちらで詳しく紹介しているので参考にしてください。
不動産における利益は「譲渡所得税」
不動産売却して利益が出た際には、その利益に対して譲渡所得税を支払わなければなりません。
勘違いしがちなのが、例えば2000万円の物件を売却したら、手元に2000万円の現金が入るので、利益が2000万円と考えてしまいます。
しかし、実際にはそのままの利益に税金がかかるのではなく、売却にかかった経費も利益から差し引くことができるのです。
例えば、2000万円で売却した不動産を昔1800万円で購入し、不動産会社への仲介手数料などを含む売却のためにかかった費用が200万円の場合、
売却価格2000万円 - (購入価格1800万円 + 経費200万円)= 0円
と計算ができるのでこの場合は利益、つまり譲渡所得は0円となり税金はかかりません。
あくまでもそのまま売った金額ではなく諸費用や購入金額も含めて税金は支払うとおぼえておきましょう。
譲渡所得の詳しい計算方法などについては、下記の記事で詳しく説明しているので気になる人はチェックしてみてください。
また、経費になるものなどについては詳しく後述していきます。
課税所得の約10%支払う「住民税」
不動産売却をして所得があった場合、その翌年の確定申告の時期に収入や所得の申告が必要になってきます。
その時に決まるが住民税です。
住民税は、その額に基づいて翌年6月から支払いが開始されますが、おおよそ「課税所得の10%」くらいを住民税として収めなくてはいけません。
5月頃に住民税納付書が自宅に郵送されてくるので、その納付書の必要事項に記入をし、税金を納めるようにしましょう。
なお、そもそも課税譲渡所得金額がプラスにならなければ、所得税もないですし、同時に住民税が増えるということもありません。
2.1%の「復興特別所得税」
こちらも住民税と同じで、課税譲渡所得金額がプラスにならない限りは支払う必要のない税金です。
逆に、課税譲渡所得がプラスになった場合は、その人の基準所得税額を求め、その額に2.1%をかけた額が復興特別所得税となります。
この復興特別所得税の最大の特徴は、売却する不動産の保有年数によって税率が変わる所得税や住民税とは異なり、税率が一律2.1%だという点です。
しかし、基準所得税額がよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで簡単に下記では例を上げて基準所得税額を紹介しますね。
基準所得税額の求め方
基準所得税額は、譲渡所得に所得税の税率を乗じた額になります。
そのため、まずは譲渡所得税額を割り出さなければ、基準所得税額を出すことはできません。
例えば、3000万円で購入した物件を5000万円で売却し、売却時に合計で経費として500万円使ったとしましょう。
譲渡所得 = 5000万円 - (3000万円 + 500万円) = 1500万円
この場合は、1500万円が譲渡所得で、この値に所得税率をかけたものが基準所得税額です。
5年以上所有し建物件に対する所得税率は15%になるので、ここでは15%で計算を行います。
基準所得税額 = 1500万円 × 15% = 225万円
これで基準所得税額を割り出すことができました。
最後に、この値に一律税率である2.1%をかければ、復興特別所得税がわかります。
復興特別所得税 = 225万円 × 2.1% = 47,250円
つまり、このケースの復興特別所得税は47,250円です。
結局は譲渡所得税額が高ければ高いほど復興特別所得税の支払い支払い額も大きくなる!とおぼえておけば問題ありません!
以上が不動産売却をして利益が出た際に必ずかかる税金の種類でした。
税金を支払うのが嫌で確定申告などをしない人がいますが、絶対に辞めましょう。それは脱税を意味するので、税務調査でバレれば重加算税でより高額は費用を支払うことになります。必ず利益がでたら申告することをおすすめします。
それぞれの税金の支払い時期はいつまで?タイミングは?
不動産売却で出た利益に対しての税金の種類がわかったら、次はその税金を支払う時期について知る必要があります。
ここではそれぞれの税金はどのタイミングで納めることになるかまとめてみました!
税金 | 時期 |
---|---|
印紙税 | すぐに支払う |
登録免許税 | すぐに支払う |
住民税 | 納付書が届いた時 |
譲渡所得税 | 確定申告の時 |
復興特別所得税 | 確定申告の時 |
印紙税と登録税はすぐに納める
例えば、上述した中の最初の2つ、印紙税と登録免許税は、売買契約書を作成して登記をし直してしまえば、いつの間にか納めている税金です。
不動産の売却に必ずかかってくる、経費に近い存在の税金なので、この2つに関しては支払い時期を考える必要はないでしょう。
確定申告で納める税金
一方で、譲渡所得税と復興特別所得税は、所得をはっきりとさせる確定申告を行ってから納税することになります。
また、住民税は自治体から納付書が届いたタイミングで納める税金です。
- 譲渡所得税
- 復興特別所得税
- 住民税
の3つに関しては、所得が発生しなければ納める必要のない税金ですが、逆に所得が出た場合は必ず納めなければなりません。
申告漏れをしてしまうと、通常よりも多くの税金を支払うことになるので、必ず確定申告を行うようにしましょう。
不動産売却後の確定申告については下記の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
不動産売却の税金対策と節税のポイント
不動産を売ることで所得を得た以上は、それに伴う納税を避けることができません。
しかし、節税対策をとることによって、税金を最小限に抑えたり、場合によっては税金自体をかからなくすることも可能です。
続いて、不動産売却で支払う税金の節税ポイントを紹介していきます。
主な税金対策や節税ポイントは下記の3つです。
- 控除施策を上手に活用する
- 経費の書類をしっかりと保管する
- 経費が証明できるものを残しておく
控除施策を上手に活用する
条件を満たしさえすれば、特例や特別控除と呼ばれる、節税に大きく関係する制度を利用することが可能です。
特例については、後程1つずつ詳しく紹介していきますが、控除制度を活用することで税金を減らせる可能性は高くなります。
ただ、注意点として、特別控除を受けるためには、特定の条件に当てはまっている必要があるという点は覚えておきましょう。
一番もったいないのは、条件を満たしているのに特別控除を使わないケースです。
特別控除で税率が変わったり、単純に納税額を減少させたりすることができるので、きちんとした知識をつけてお得に税金を抑えましょう。
経費の書類をしっかりと保管する
サラリーマンの中にも、会社のお金を使って何かを購入したことがあるという経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
会社が事業に必要な支出は、その会社の経費として計上することができますが、同様に個人が不動産を売却する際に必要となった支出は経費計上が可能です。
しかし、中にはどのようなものが経費に含まれ、またどれが経費計上できないのかがわからないという人もいるでしょう。
そこで、不動産売却に伴って経費となる代表的な項目を紹介していきます。
不動産会社に支払う「仲介手数料」
どのような不動産を売却するにしても、不動産会社を通して買い手を見つけるというケースが大半です。
不動産会社を利用した場合は、売却が終わった際に、報酬として売買金額の数%を支払うのが普通で、これを仲介手数料と呼びます。
仲介手数料の額は売却価格によって変わってきますが、400万円を超える不動産の場合はその売却額の3%に6万円を足した値となります。
例えば、2000万円の売却が成立したら、報酬として支払う仲介手数料は、
となるのが一般的です。
仲介手数料は当然、不動産の売却に必要な費用になるので、そのまま経費として利用することができますよ。
仲介手数料については下記の記事でも詳しく解説しております。
土地売却時の「測量費」
土地の売却には、測量が必要なケースもありますが、この測量にかかった費用も経費として計上することが可能です。
境界確定の測量はやらなかったとしても、売却時に現況測量をすることは珍しくはありませんからね。
その場合は、もちろんその測量費用も売却のために使ったお金だとみなされるので、もちろん経費に含むことができます。
ただ、例えば土地を購入した際に、既に境界の測量をしていて、その際にお金を支払ったというような場合は、売却には関係ないため経費にはならないので注意しましょう。
住人に対しての「立ち退き料」
不動産売却というと持ち家や土地などを売却することを想像する人が多いですが、当然アパートなどを売却する人もいます。
所有のアパートなどを売却する場合、その際にそこに住んでいた住人に引っ越しをしてもらって空にしてから売るというケースも少なくありません。
その際に、住人に対して立ち退き料を支払った場合、その立ち退き料をそのまま経費として計上することが可能です。
しかし、立ち退き料で経費に計上できるのは売却に伴うもののみが対象となり、売却以前に行った立ち退きに対しては関係ありません。
なお、居住用のスペースではなく営業店舗などに立ち退いてもらう場合は、通常の立ち退き料に加えて営業保証料が必要なケースもあります。
その場合は、その事業の規模によっても変わってきますが、中には数千万円や数億円という保証料がかかるケースもあるので、それをそのまま経費として利用できます。
大きな経費計上できる「解体費用」
古い戸建てが残った土地の売却を考える場合、そのまま売却するよりも、上の建物を壊してから土地のみを売却したほうが高く売れるケースがあります。
その場合は解体工事をしてから売却活動をすることになりますが、この時に発生する解体工事費用も不動産売却の経費に含めることが可能です。
解体費用は、取り壊す建物の面積や使われている素材、また立地条件などで大きく変わってきますが、少なくとも数十万円から数百万円がかかります。
それをそのまま経費として計上できるため、なかなか大きな経費と言えるでしょう。
なお、こちらも売却を前提に行った解体工事が対象となるだけであり、解体してしばらく土地を所有してから売却をした場合は経費に認められないことも多いです。
印紙を購入する際の「印紙税」
上でも登場しましたが、印紙税は印紙を購入する際に支払う税金です。
売買契約書に貼り付けて割印することで納税したということになるので、当然これも経費に含まれます。
経費が証明できるものを残しておく
例えば、「不動産会社に100万円を支払ったがその支払ったことを証明する書類がない」というようなケースでは、その100万円は経費として計上できません。
仮に、証拠がないものを経費として挙げられるような場合、色々な費用を経費にできてしまいますからね。
逆に言えば、税金を最小限に抑えられる経費の証拠を残すことは、非常に重要なことなのです。
売却活動に関係すると思われる領収書や契約書などの書類は、基本的には全て捨てずに残しておくようにしましょう。
あとから、これは経費として使えないと言われる可能性もあるかもしれませんが、確実に経費になる領収書がなくなってしまうよりはマシです。
不動産売却で使える!税金を安くするための3つの特別控除
それでは、先程紹介した税金を安くするための特別控除についてここでは紹介していきます。
これらの特別控除の条件に当てはまれば、税金を大幅にカットできたり、または税金がかからなくなるため、ご自身に当てはめてチェックしてみてください。
チェックする特別控除は下記の3つです。
- 買い替えの特例
- 3000万円の特別控除
- 10年以上所有した際の軽減税率の特例
買い替えの特例
マイホームを売却し、その代わりとなる居住用の不動産を新たに購入した場合、買い替えの特例が適用されることがあります。
基本的な考え方は非常に単純で、買い替えた不動産の取得価格が売却する不動産の譲渡価格を上回った場合に適用されます。
例えば、3000万円で古い家を売却したのに対し、新しく購入したマイホームの価格が 4000万円だった場合は、譲渡所得が発生したとしても課税はされません。
反対に、3000万円の売却に対して新しく購入した家が2500万円だった場合は、この特例は利用できず普通に課税されることになります。
譲渡所得と購入価格を比べるのではなく、あくまでも売却価格と購入価格を比較するという点に注意が必要です。
なお、この買い替えの特例は後述する3000万円の特別控除や10年以上所有した際の軽減税率の特例との併用はできません。
買い替えの特例:売却する不動産の条件
マイホームとして使用していた不動産であれば、どのようなものでも利用できるというわけではありません。
この買い替えの特例を利用するには、対象の不動産が以下の条件を満たす必要があります。
- 売却価格が1億円以下であること
- 譲渡する年の1月1日時点での、その不動産の所有期間が10年を超えていること
- 売り手がその不動産に10年以上居住していたこと
1億円以上のものは対象外となりますが、同様に10年以上所有していないもの、居住していないものに関しても、この特例が利用できません。
買い替えの特例:購入する不動産の条件
同様に、新規で購入する不動産に関しても以下のような条件が設けられています。
- 家屋の敷地全体の面積が500平米以下であること、また家屋の居住用部分が50平米以上であること
- 譲渡年の前年の1月1日から、譲渡年の12月31日の間に取得したものであること
- 譲渡年の翌年の12月31日までに居住する、もしくは居住見込みであること
- 中古の住宅を購入する場合は、新築後25年以内のもの、もしくは新耐震基準に適合している、または既存住宅売買瑕疵担保保険に加入している物件であること
あくまでも買い替えたという事実が必要になるため、売却をして数年後に不動産を購入したとしても、この特例は使えないので注意しましょう。
3000万円の特別控除
不動産を売却した際に、一定の条件を満たすことによって最大で3000万円の特別控除の特例を受けることが可能です。
例えば3000万円で買った家が5000万円で売却できたケースでまずは事例を紹介します。
譲渡所得は「譲渡所得 = 売却金額 -(購入金額+経費)」で計算できるので、上記のケースなら、
となるので、2000万円が税金の対象になります。
しかし、この特別控除が使えれば、この2000万円からさらに3000万円を差し引くことができるため、マイナスとなり譲渡所得がかかりません。
3000万円の特別控除の条件
3000万円の特別控除を受けるための条件は以下の通りです。
- 現在持ち主として居住している自宅を売却すること
- 転居した場合、または災害などで家屋が滅失した場合、対象の日から3年が経つ日の年の12月31日までに売却すること
- 転居をした後に家屋を解体した場合は、上記の条件と、解体してから1年以内のいずれかの早い日までに売却すること
- 転勤などの理由で単身赴任中に、配偶者などが居住している家屋を売却する際にも適用
下3つの条件は少し特殊なケースですが、簡単に言ってしまえば、住んでいる家を売却することでこの特例が適用されます。
居住住宅の建て替えの際には、この特例が適用されることも多いので、税金がかかるケースは少なくなるでしょう。
なお、この特例は買い替えの特例とは併用できませんが、後述する10年以上所有した際の軽減税率の特例との併用は可です。
10年以上所有した際の軽減税率の特例
こちらの特例では基本的な条件は、上述した3000万円の特別控除の特例と同じです。
ただ、その条件にプラスで
- 10年以上所有している
- 譲渡所得が6000万円以下
という条件を満たせばこの特例を使うことができます。ちなみにこれらに当てはまれば所得税や住民税あわせて税率が6%も軽減させることができます。
簡単に言えば、譲渡した年の1月1日の時点で、その対象となる不動産の所有期間が10年を超えていて譲渡所得が6,000以下なら、税率が下があるということです。
10年以上所有した際の軽減税率の考え方
実際に支払う所得税は、不動産売却で実際に利益となる課税譲渡所得に税率を乗じることで割り出すことができます。
そして、10年以上所有した際の軽減税率というのは、10年以上所有した不動産を売却する際の税率を下げられる特例に当たるのです。
この特例を適用になった場合の税金は下記のようになります。
不動産の所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
10年以上(譲渡所得が6000万円以下) | 10.21% | 4% |
10年以上(譲渡所得が6000万円超) | 15.315% | 5% |
譲渡所得は、「譲渡所得 = 売却金額-(購入金額+経費)」で割り出すことができますが、3000万円の特別控除を使用する場合は、ここから3000万を引いた値が譲渡所得です。
この値が6000万円で収まる場合、または6000万円以下の場合は表の上の税率が使われます。
6000万円を超えた場合、その超えた部分に対して下の税率が使われることになるので注意しましょう。
不動産売却の税金で注意する3つのポイント
不動産売却おける税金の種類や節税につかえる特別控除などを紹介してきましたが、次は不動産売却の税金で注意しておきたいポイントを3つ紹介します。
売却によって一時的に大金を手に入れられたとしても、こちらで紹介するポイントを抑えておかないと大きく損をしてしまう可能性もあるので是非チェックしてみてください。
5年以内には売却しない
まず最初に注意しなければならないのは、売却は少なくとも5年が経過してから行うという点です。
というのは、5年以内に売却してしまうと高額な税金を支払わなければならないからです。
不動産売却の所得税と住民税
それでは、具体的に所有年数で税率はどれくらい変わってくるのでしょうか。
5年以内と5年以降で売却した際の税率が下記の表です。
不動産の所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
5年以内(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% |
5年超(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% |
ご覧のとおり、5年以上所有するかしないかによって、支払わなければならない所得税と住民税は約20%も変わってきます。
例えば、あと1年所有していれば税金が300万円で済んだのに、すぐに売ってしまったことで600万円の税金を支払うことになる可能性もあるのです。
所有期間が1年のものを今年売ろうか来年売ろうか悩むのであれば変わりませんが、4年ほど所有しているのであれば後1年売却を待った方がいいかもしれません。
所得税と住民税が時期がずれる
先程紹介しましたが、不動産売却においての税金の支払い時期はそれぞれ異なります。
その中でも、特に所得税と住民税の支払い時期ははっきりと理解しておきましょう。
税金 | 支払時期 |
---|---|
所得税 | 確定申告時(3月15日まで) |
住民税 | 6月頃 |
確定申告をした際に所得税を支払いますが、注意しなければならないのは、ここで所得税と住民税を一緒に払うことはないという点です。
3月の時点で必要な税金は全て払い終わったと思い込んでしまうと、住民税の時期に資金がなくて困ってしまう可能性もあります。
譲渡所得が発生して所得税を支払うことになった場合は、後から住民税の支払いもあるということを覚えておきましょう。
ふるさと納税の上限アップに注意
ふるさと納税とは、自身が所属する自治体に税金を納める代わりに、他の自治体に寄付をすることで、そのお礼として返礼品を得られるという制度です。
このふるさと納税の上限額は、個人個人の所得によってそれぞれ異なりますが、不動産売却で利益を得た場合、その上限が上がることがあります。
上限が上がるのは、上述した特例を利用したとしても、なお譲渡所得が発生、所得税を納めなければならないケースです。
そのため、逆に言えば所得税がない場合はふるさと納税の上限が上がることもありません。
所得が発生してしまう場合は、自身がお住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。
不動産売却で利益がでたら当てはめよう!税金シミュレーション
様々な特例などがあるため、イマイチ税金が結局どれくらいかかるのか、そもそも発生するのかが曖昧になりがちです。
最後に、不動産売却における税金のシミュレーションをしてみました!
数値を置き換えるだけでできますので。是非活用してみてください。
Step1:譲渡所得を割り出す
まずは、対象となる物件を「いくらで取得(購入)したか」「いくらで譲渡(売却)したか」そして「それに伴う経費はいくらか」をはっきりとさせます。
例えば、1つ事例をあげると下記のようにう書き出すことができます。
- 購入価格:5000万円
- 売却価格:6500万円
- 購入時にかかった経費:250万円
- 売却時にかかった経費:300万円
この額がはっきりと割り出せるのであれば、譲渡所得を計算するのは非常に簡単です。
譲渡所得を出すには、売却価格から購入価格とそれぞれにかかった経費を引くことで出すことができます。
先程の金額を当てはめてみると、譲渡所得は下記のようになります。
6500万円-(5000万円+250万円+300万円)= 950万円
つまり、この場合の譲渡所得は950万円です。
Step2:譲渡所得税の計算
譲渡所得がでたら、次は譲渡所得にかかる税金の計算です。
物件を所有していた年数によって税率が変わってくるので、上記の条件に所有年数に応じた税率をかけることで譲渡所得の税金を出すことができます。
今回は所有年数を「3年」「5年」「15年」で計算してみました。
先程の950万円でそれぞれ計算したものがこちらです。
所有年数 | 税率 | 譲渡所得税 |
---|---|---|
3年 | 39.63% | 376万4850円 |
7年 | 20.315% | 192万9925円 |
15年 | 14.21% | 134万9950円 |
3年所有した場合、7年所有した場合、それから15年所有した場合を例に出しましたが、これは所有期間が
- 5年以下
- 5年超
- 10年超
の3つに分類されるという意味で比較しました。
先程も紹介しましたが、5年以下で売却をしてしまうと、5年以上所有してから売却するよりも約20%くらいの税金がかかってきます。
逆に言えば、10年以上所有している場合は10年以上所有した際の軽減税率の特例が適用されるため、税率がさらに下がります。
譲渡所得税だけで考えれば所有年数が長い方が支払いが少なくて済むのがわかりますよね。
意外に譲渡所得の税金が高いと感じたかもしれませんが、これば所得が1000万円近くあるケースです。(950万円のケース)
不動産の売却で1000万円の利益が出るというのは、なかなか難しい話ですので、おそらく通常はもっと譲渡所得税は低くなるでしょう。
Step3:3000万円の特別控除を利用した場合
ここで忘れてはならないのが、今回の不動産売却では3000万円の特別控除が使えるかどうかを把握しておくことです。
投資用の物件を売却する際などには適用されませんが、マイホームを売却するのであればこの特例が使えます。
そして、この特例を利用した場合は、税率をかける前の譲渡所得から3000万円を引くことができるのです。
今回のケースでは、
となり、マイナスのものにいくら税率をかけても、割りだされる値はマイナスになるため、譲渡所得税は0円で税金を支払う必要はありません。
これは、この特例を利用する以前の譲渡所得が3000万円以上にならなければ、税金が発生しないということを意味します。
例えば、5000万円で購入した物件が、9000万円で売れて、経費も500万円で済んだというような場合は、譲渡所得が3500万円で、3000万円の特別控除を利用しても最終的な所得が500万円残ります。
この場合は、その500万円に対して税率がかけられるため、税金を支払わなければなりません。
もちろん税金を支払ったとしてもトータルの所得は増えますが、めんどくさいのであれば売却額を下げて税金がかからないようにするのも方法の1つです。
不動産売却で避けては通れないのが納税
今まで税金の計算などを自分でやったことがない人であっても、です。不動産を売却する際には避けては通れないのが納税
しかし、不動産を売った人すべてが必ず税金を支払わなければならないということではありません。
また、特例をしっかりと活用すれば多くのケースで所得税が発生しなくなるのです。
1つ1つ分解して考えてみると、譲渡所得の計算もそこまで複雑なものではないので、自身のケースに当てはめてシミュレーションしてみましょう。