不動産を売却にかかる期間は、その不動産やどのように売却活動を行ったかによって変わってきます。
例えば、相場が2000万円の物件を4000万円で売ろうとしても買い手が現れる可能性は低いため、その分売却期間が延びてしまうことになります。
一方で、同じ物件を1500万円で売り出した場合はすぐに決まってしまうこともあるため、その場合は売却期間が短くて済みます。
売り出し価格を安く設定すればするほど需要が増えるため、それは売却期間の短縮につながりますが、少しでも高く売りたいと考える方が多いということもあり、どうしても不動産の売却には時間がかかると考えられがちです。
しかし、 人気のある物件は相場よりも高い価格で売り出してもすぐに売れてしまうことがあるため、一概に安ければそれでいいというわけではありません。
市場の需要は日々変わっていくため、それに合わせて価格を設定する必要があるのです。
この記事では、不動産の査定から売却が完了するまでにかかる目安の期間や、早く不動産を売却するための方法などを紹介しています。
スムーズな不動産売却の流れと期間
まずは、一般的な売却活動の流れとその期間を見ていきましょう。
売却活動の流れ | 目安とする期間 |
不動産の査定 | 1週間程度 |
不動産業者の決定 | 1週間程度 |
売り出しから購入申し込みまで | 1~3ヵ月 |
売買契約 | 1週間程度 |
不動産の引き渡し | 1か月以内 |
スムーズであれば、上記の表のとおりに売却活動が進むため、早ければ3ヵ月以内、普通に売却しても半年程度を見ておくことになります。
それでは、それぞれの流れを簡単に紹介しますね。
不動産の査定
本当にスムーズにいけば、数日でご自身の不動産の価値がわかってしまいます。
例えば簡易査定などを利用すれば依頼したその日のうちに大体の金額がわかりますが、正確な不動産価格を出したい場合は正式に不動産会社に訪問を申し込み、査定日を決めてから査定をしてもらうことになります。
不動産会社のスタッフが、実際に査定のためにその不動産に滞在する時間はその家の規模などにもよりますが、通常はその不動産の情報を持ち帰り、後日査定結果が伝えられます。
不動産会社の都合などがあるため正確な日数を出すことはできませんが、1週間ほど見ておけば査定は完了するはずです。
不動産会社の決定
次に、どの不動産会社を利用してご自身の不動産を売却するのかを決めることになります。
媒介契約の方法はいくつかありますが、一社しか選べない方法を選択すると、どの不動産会社が良いのか見比べるのに時間がかかってしまうかもしれません。
しかし、一般的にその契約の期間は90日になるため、それで売却できなければ他の不動産会社を選ぶことが可能になります。
媒介契約については「家を売却する際に必要な媒介契約の種類とそれぞれの特徴を徹底比較!」を参照ください。
売り出しから購入の申し込みまで
売却活動で最も時間がかかるのがこの部分です。
人気物件であれば売却開始と同時に売れてしまうこともありますが、やはり初めは高めの料金設定を出す方が多いため、購入希望者が全く集まらない可能性もあります。
不動産業者には、ネットをはじめとする様々な媒体でその不動産の紹介をしてもらい、購入希望者が現れたら内見をしてもらいます。
売り出しから内覧までがスムーズに進めば、90日もかからないうちに売却が決まってしまいます。
売買契約
購入するという方が現れたら、その方と売買契約を結ぶことになります。
単純に契約を結ぶだけであればすぐに済んでしまいますが、お互いに都合のよい日時を決めて契約書を作成して、という期間を考えると1週間ほど見ておいたほうが良いでしょう。
なお、中には買い手の都合によりその契約をキャンセルされるケースもあるため、契約の際には売却する不動産の価格の10%の手付金をもらうことが多いです。
10%を最初にもらっておけば、急な契約解除があったとしても納得はできるはずです。
不動産の引き渡し
契約が済んだらすぐに引き渡しができると考える方も多いですが、買い手は住宅ローンを利用するのが一般的です。
住宅ローンを使う際には契約後にローン審査を行うことになり、この審査には早くても2週間前後かかります。
審査に通れば引き渡しが可能になりますが、ローン審査に1ヶ月弱かかることもあるため、引き渡しまでには1ヶ月ほど見ておくとよいでしょう。
不動産の売却期間に影響する項目
それでは、続いて不動産の売却期間を左右するポイントを紹介していきます。
- 不動産の売り出し価格
- 不動産の人気
- 利用する不動産会社
- 内覧希望者との話し合い
- 競合物件
- 不動産を売り出す時期
既に軽く触れている項目もありますが、それぞれを簡単に見ていきましょう。
1.不動産の売り出し価格
売り手としては高く売りたいため、高い料金を設定すると購入希望者が集まりにくくなります。
反対に、安くすればするほど関心を持つ人が増えるため、必然的に売却期間の短縮につながります。
2.不動産の人気
人気の高い地域もあれば、反対にあまり人気のない地域も存在します。
例えば人気のないエリアの場合、売り出し価格を安く設定してもなかなか購入希望者があらわれないことがあります。
一方で人気エリアであれば、それだけそのあたりに関心を持つ人がいるということになるため、多少高めでもまずは物件を見たいという方がいるかもしれません。
3.利用する不動産会社
一口に不動産会社と言っても、賃貸の仲介が得意なところもあれば、マンションの売却が得意なところもあります。
例えば一軒家を売りに出したい場合は、一戸建ての売却実績があるところを選ぶことによって、売れ行きが変わってくる可能性もあります。
4.内覧希望者との話し合い
適正な価格で不動産を売り出していれば、そのうち内覧希望者が現れるはずです。
その内覧希望者が良い印象を持つような話し方や接し方、または買ってもいいと思わせるような情報などを伝えることによって、すぐに売れてしまうこともあります。
5.競合物件
同じエリアに似たような物件が多い場合は、購入希望者にとってはそれだけ選択肢が多くなるということになるため、売れにくくなることがあります。
しかし、その中でも売り出し価格が安かったりすると、すんなり決まってしまう可能性も高いです。
6.不動産を売り出す時期
1年のうちに家が売りやすい時期と売りにくい時期が存在します。
やはり、一般的に引っ越しや転居などが多い年度末などは購入希望者が増える傾向にあります。
家を早く売る方法
上述したように、様々な要因が絡まって不動産が売れにくくなったり、逆にすぐに売れてしまったりすることになります。
それでは、実際に売り出しを開始する前に、家を早く売るためのコツを紹介させていただきます。
- 相場を知る
- 売却の最低ラインを決める
この2つを徹底すれば、予定通りに家が売れる可能性が高まります。
相場を知る
査定などによって大体の家の価値が出るはずですが、やはり少しでも高く売りたいと考える方は売り出し価格をそれよりも高めに設定しがちです。
時間がかかってもいいから高く売りたいのであれば問題ないのですが、少しでも早く売りたいのであれば、まずは相場を知り、その相場に近い金額で売り出す必要があります。
もちろん極端に安くする必要はありませんが、相場相当の売り出し価格であれば、購入希望者もとりあえず家を見たいと申し出る可能性があるため、早く売るためにもあまり高い金額を設定しないようにしましょう。
売却の最低ラインを決める
不動産の相場は日々変動するため、例えば不動産会社に2000万円と査定された家が必ず2000万円で売れるとは限りません。
査定額が2000万円だから2200万円くらいを売り出し価格に設定しようと考える方もいらっしゃいますが、
- 値下げ交渉をして2000万円で売れればよいのか?
- 絶対に2200万円で売りたいのか?
- 最悪1800万円になってもいいのか?
を売り出す前に決めておくことをおすすめいたします。
2200万円にした場合はいつまでたっても売れないかもしれませんし、反対に1800万円であればすぐに売れてしまうこともありますが、やはり査定額である2000万円前後に落ち着く可能性も高いです。
しかし、高く売りたいと考える方は2200万円から一切値下げに応じようとしないため、結局ズルズルと売却活動を続ける羽目になります。
そして、そのうち値下げをせざるを得なくなり、2000万円にしたとたんに購入希望者が増えてすぐに売却が完了するというケースもあるのです。
初めから2000万円に設定しておけばすぐに売却が終わったにもかかわらず、高く売りたいと考えると当然売却期間が長くなります。
査定額を確認したうえで、 最低の売却金額を決めることによって、少しでも早く売却活動を終わらせることができるはずです。
売却に時間がかかっているときの2つの対処法
最後に、予定通り不動産を売却できなかった時にどうすべきかをお伝えさせていただきます。
その方法はずばり、
- 値下げする
- 不動産会社を変える
のどちらかになりますので、これらを詳しく見ていきましょう。
値下げする
最初に複数の不動産会社に査定をしてもらうことになりますが、やはり少しでも高い額で売りたいという気持ちが働き、その不動産会社の中で最も高い査定額を提示したところと契約を結ぶ方も多いです。
しかし、他の不動産会社の査定額がそこよりも全て低いということは、市場の相場としてはやはりその査定額よりも低い可能性が高いのです。
つまり、相場よりも高い売り出し額でずっと売り出していたということになるため、なかなか売れない場合は値下げを余儀なくされます。
例えば超人気物件であれば、複数の購入希望者が集まり、オークションのような形態で値段がつりあがることもあります。
しかし、一般的な建物でそんなことはあり得ないため、やはり最終的には最初に提示された査定額よりも安い額で売却となるケースが多いのです。
最初から安めに出しておけばすぐに売れてしまうかもしれませんが、初めに高い金額を設定していた方は、少し料金を下げてみてはいかがでしょうか。
不動産会社を変える
例え不動産の売却に特化している不動産会社だとしても、媒介契約の期間である3ヵ月以内に必ず不動産を売ってくれるわけではありません。
媒介契約の期間が終わりそうになったら、不動産会社もその契約を更新するという形にもっていこうとしますが、当然必ず更新しないといけないことはないのです。
結果が全く出ないようであれば、別の不動産会社と専任媒介契約を結ぶか、もしくは様々な不動産会社で取り扱ってもらうために一般媒介契約を結ぶとよいでしょう。
⇒家を売却する際に必要な媒介契約の種類とそれぞれの特徴を徹底比較!
利用する業者を変えるだけで、すぐに結果が出ることもあるからです。
早く不動産を売却したいなら価格設定をしっかりとしよう
中には、不動産会社に査定を依頼してから、2ヶ月ほどで売却活動が終わってしまうようなケースも存在しますが、一方で何年たっても買い手がつかずにダラダラと購入希望者を待つという方も少なくありません。
もちろん売却活動のスタンスは人によって異なりますし、少しでも高く売りたいと考えるのであれば、高値で買ってくれる方を気長に待つのもよいかもしれません。
しかし、何年も経つと当然建物も劣化していきますし、そうなると査定額にも影響が出てしまうことも考えられるため、結局高値で売ることができなくなってしまいます。
売却活動を始める前に「最低でもいくら以上であれば売却する」という落としどころを作ることによって、長引く売却活動をすぐに終わらせることができるかもしれません。
また、できるだけ早く不動産を売却したいと考えるのであれば、査定額と比較してそれ相応の売り出し価格を設定するのが大切だといえるでしょう。