ご両親の管理していた、または昔住んでいた住宅が、遺産相続などによってにご自身のものになったという方は多いのではないでしょうか。

その住宅の近隣にお住まいなのであれば、自分で管理することもできますし、または賃貸などで活用したりすることも可能です。

しかし、既にその土地に住んでいないという方や、遠方で仕事をしているから管理などできないという方も少なくありません。

結果的にその物件は空き家として存在し続けることになりますが、それをいつまでも放置しておくわけにはいきません。

絶対に使わないのであれば早めに解体するに越したことはありませんが、遠くに住んでいると解体の依頼も大変だと思われる方が多いのではないでしょうか。

今回は、遠方にある住宅の解体工事について紹介していきます。

遠いからと言って放置はできない

昨今騒がれている空き家に関する問題は多岐にわたります。

それでは、空き家は早めに解体したほうが良いという理由は何なのでしょうか。

管理にお金や手間がかかる

空き家を放置すると、様々な悪影響が発生する可能性があります。

詳しくは後述しますが、放置することによって近隣の住民に被害が及んだり、場合によっては空き家が原因で人に傷害を加えたりすることもあるのです。

そうならないためには定期的にその住宅を見に行かなければなりませんが、遠くに住んでいる場合はその交通費がかかりますし、空き家を安全に保つためにも修繕費などが必要になってきます。

また、空き家も資産の一部になりますので、毎年の固定資産税を支払わなければなりません。

固定資産税とは?おトクに減税する方法と知っておきたい評価額の基準

建物の劣化による被害がある

定期的にメンテナンスをするのであれば心配はないかもしれませんが、遠方にある空き家は放置されがちですので、その分劣化が早くなります。

例えば屋根瓦が古くなって飛んで行ってしまったり、ブロック塀がボロボロになって崩れてしまったりすると、その周辺を歩いている人に当たってけがを負わせてしまう可能性が出てきます。

万が一怪我をしてしまうと、当然その家の持ち主が責任を取らされることになりますし、場合によっては取り返しのつかない事故に発展することもあるため、空き家の放置を甘く見てはいけないのです。

不法侵入の被害がある

人がいないとわかっている建物には、不審者や犯罪者などが入り込んで住み着いてしまう危険性もあります。

不審者が住み着くことで必ず実質的な被害が発生するとは限りませんが、当然その建物の周りの治安が悪くなる可能性が高いですし、様々な生活リスクに侵されることになります。

誰も戻ってこない他人の家という認識で住み着かれることが多いですので、少なくともその建物内の家財が荒らされたり盗まれたりといった被害は避けられません。

不法投棄の被害がある

空き家には、様々なごみが投げ捨てられるリスクがあります。

小さなゴミから大型の粗大ごみまで、あらゆるゴミが不法投棄で持ち込まれるケースは少なくありません。

不法投棄されたごみが多ければ、その分、建物を活用しようと思った際に大変な思いをすることになります。

また、生ごみなどが捨てられた場合は、悪臭が発生したりすることも多いため、近隣の住民から被害が来る可能性もあります。

害虫発生による被害がある

人が住んでいる住宅であっても、ゴキブリをはじめとする害虫が住み着いているはずですが、空き家は人間に駆除されるリスクがないため、様々な種類の害虫が集まります。

ゴキブリはその建物を拠点に周りの家に侵入することもありますし、雨水から大量のボウフラが発生することによって蚊が増えたり、蜂が軒下に巣を作って周囲の住民に迷惑をかけることも少なくありません。

駆除されることがないため、放置すればするほど害虫が増え続けて、周りに迷惑をかけるリスクが高くなります。

火災被害の可能性

上述した不法侵入によって火災が起こったり、意図的な放火により火事が発生する可能性もあります。

誰も使わない空き家だからということで、不審者の火の不始末によって建物が燃えてしまうこともあるでしょうし、空き家は放火魔に狙われやすいため普通の住宅よりも火事になるリスクが高くなるのです。

もちろん火災は隣や周辺の住宅に燃え移ることもありますので、場合によっては大きな迷惑をかけることになります。

そのほかにも空き家にすることでのデメリットもたくさんありますので、気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。

空き家を放置する怖いリスクと空き家を活用する様々な方法について

見積もりを取る方法

遠方の空き家であっても、放置することで様々なリスクに侵されるということがご理解いただけたのではないでしょうか。

早速空き家を解体しようと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、一体遠方にある建物の見積もりはどのように取ればよいのでしょうか。

まずは現地の相場を確認する

都心と田舎とでは、そもそもの金銭感覚や人件費をはじめとする工事にかかる費用が変わってくるケースが多いです。

例えば東京では150万円かかる解体工事が、その田舎では100万円でできてしまうかもしれません

解体工事の依頼をする前に、まずはその場所での解体工事の相場を知ることから始めましょう。

具体的には、複数の業者に見積もりを取ってもらうことによって、解体予定の建物を取り壊す際の料金の相場を確認することができます。

解体工事の悪徳業者を見抜く方法とトラブルが起きたときの対処法

正確な見積もりを取るために

住んでいる場所から遠いから、とりあえず電話で見積もりを取ってもらおうと考える方も多いかもしれません。

しかし、できるだけ正確な見積もりを取りたいのであれば、やはり現地に行って一緒に現場を確認するのがおすすめです。

現地に行くことで、何年も放置していた建物の内部に残された家具や家電などの家財の量や、劣化具合などを自分の目で確認することができます。

例えば、工事前に家財を処分するだけでも解体工事費用を安くすることができますし、業者も直接建物の状態を見ることによって、より正確な見積もりを出すことができます。

お金がどれだけかかってもいいのであれば、直接見に行く必要はないかもしれませんが、解体工事費用を少しでも安くしたいと考えるのであれば見積もりをしっかり行いましょう。

見積もり自体は30分~1時間程度で済みますので、時間をずらして複数の業者に見積もりを取ってもらうことができるのであれば、1日しか時間がなくても相見積もりは十分に可能です。

立ち合いが難しい場合は?

中には、どうしても見積もりに立ち会うことができないという方もいらっしゃるかもしれません。

業者に勝手に見てもらって勝手に見積もりを取ってもらうという方法も可能なケースはありますが、やはり少しでも工事費用を安くするには極力立ち会うのが望ましいと言えます。

例えば、解体する予定の建物の近くに親族などが住んでいる場合は、代わりに立ち会ってもらうのもよいと思いますし、そういった人間がいない場合は見積もり中の業者のスタッフに電話をしてその場でやり取りをするというのもよいと思います。

業者に勝手にやってもらうという方法を取ると、やはり工事費用が高くなりがちですしトラブルも起こりやすいですので、できれば見積もりに立ち会うことをおすすめいたします。

解体工事で立ち合い見積もりをする前に知っておくべき5つのポイント

遠方の工事を確認する方法

見積もりにかかる時間は1日だけなので、何とか時間を見つけて立ち会うことができるという方も多いはずです。

しかし解体作業自体には時間がかかるため、ずっと見ているのは実質不可能です。

それでは、遠方の解体作業を確認するにはどのような方法を取るのが良いのでしょうか。

業者の選び方に注意

遠方の建物を解体する場合は、施主が近くに住んでいないということを理解して、それに協力してくれる業者を選ぶ必要があります。

遠くに住んでいる分、普通の解体工事よりも施主とのやり取りが困難になりますし、工事中に何かを確認する際にも写真を送付したりといった手間がかかります。

見積もりの段階で遠方に住んでいるということを伝え、それを考慮して工事をしてくれる業者を選ぶようにしましょう。

もし、自分で選ぶのが苦手な場合は、専門の方にお願いするのも1つの方法です。

例えば、解体工事の匠というサービスでは解体工事の専門のプロが厳選して解体工事の業者を複数選んでくれます。

解体工事の匠の特徴と口コミ・評判は?おすすめできる理由をまとめてみた

3社くらいから見積もりも取ってもらえるので、その中で自分にあった業者を選べば問題ありません。

親族に確認してもらう

解体する建物の近くに親族が住んでいる場合は、見積もりの段階からその方のお世話になるというのも方法の1つです。

定期的に工事現場をチェックしてもらうことによって、現在の工事の様子をしっかりと確認することができますし、何かトラブルが発生した場合も素早く対処してもらうことが可能です。

特に近所トラブルなどの問題は、早めの対応をすることで早期解決につながるため、解体する建物の近所に頼れる方がいらっしゃるのであれば聞いてみてはいかがでしょうか。

写真を送ってもらう

工事中に現場の様子を良く知るためには、やはり現場の写真をいくつか送ってもらうのが最も手っ取り早いです。

例えば毎日の昼間と夕方に、工事の進捗状況を写真で送ってもらうという約束をしたり、何かトラブルがあったら写真を送ってもらったうえで連絡をもらうという契約をしておけば、安心して工事を任せられます。

もちろん実際に工事現場を見ることを考えると、断片的な情報しか得られないというデメリットはありますが、全く情報がないまま工事が続けられるよりは、少しでも情報を得られた方が安心です。

カメラを設置する

中には、ウェブカメラを設置して解体工事現場を確認するという方もいらっしゃいます。

カメラを設置することができれば、24時間体制で現場の様子を確認できるため、好きな時にいつでも工事の状況を見ることが可能になります。

ただし、解体作業の現場にカメラを設置するのは邪魔になる可能性もあるため、例えば隣人の建物の一部に付けさせてもらうなどの交渉も必要になってきます。

立ち合いをしないことによるトラブル

解体予定の建物が遠方にあったとしても、うまくやればスムーズに解体作業を完了させることができます。

しかし、中には立ち合い見積もりしなかったり業者にすべて丸投げしたことによって、大きなトラブルが発生するケースもあります。

最後に、代表的なトラブルを紹介させていただきます。

話が通じていなかった

遠方の解体工事でよくあるトラブルとして挙げられるのは、こちらの話と向こうの理解がうまくかみ合わないという問題です。

立ち合い見積もりで一緒のものを見ているのであれば、お互いに誤解が生じるということはほとんどありませんが、全て口頭で説明するとなると非常に大変ですし、理解の不一致が生じてもおかしくはありません。

例えば、ブロック塀の一部を残したかったのに他の部分が残されていて残したかった部分は一緒に解体されてしまったりといったケースは少なくないのです。

どうしても立ち会うことができない場合は、やはり代理の方をたてたりするなどの対策を取ることをおすすめいたします。

別の建物が解体された

見積もりの立ち合いにも行けない場合は、解体業者に住所を教えて勝手に現場を見てもらい、その後解体作業を行ってもらうことになります。

しかし、例えば伝えた住所の中に複数の建物が存在している場合は、他の建物を解体してしまう可能性もゼロではありません

同様に、地図のずれによって解体してほしい建物の位置に他の建物が建てられていることもあるのです。

もちろん、どちらも頻繁に起こるようなケースではありませんが、これらは業者に工事を丸投げすることで発生し得るトラブルです。

せめて見積もり時だけでも立ち会うことができれば発生することのないトラブルですので、やはり極力見積もりに立ち会うというのは重要だといえるでしょう。

最後に

解体したいと思っている建物の近くに住んでいない場合は、やはりその建物の解体工事が先送りになってしまうというケースも多いのではないでしょうか。

しかし、建物を放置しておくと近隣の住民をはじめとする様々な方の迷惑になる可能性があるため、できるだけ早く解体するに越したことはありません。

解体工事の見積もりから工事完了までを全て業者に丸投げしてしまうと、様々なトラブルが発生する可能性があります。

やはり、面倒だと感じたり時間があまり取れない場合であっても、見積もりに立ち会うというのは非常に重要です。

解体前の建物を実際に自分の目で確認しておくことによって、解体工事を業者に安心して任せることができるのではないでしょうか。