ずっと放置してある実家を解体したいという方もいれば、家を建て直すために今の建物を解体したいという方もいらっしゃるでしょう。

家を建てるのにお金がかかるのはわかりますが、実は建物を解体する際の解体工事にも多額の費用が必要になってきます。

実際に家屋を解体せざるを得ない状況になり、解体工事がこんなに高いなんて知らなかったと嘆く方は少なくありません。

年々増え続けている空き家ですが、いつかはその持ち主が責任を持って解体する必要があります。

しかし、建物を解体するのにそんなにお金を使いたくないと思われる方が多いのではないでしょうか。

今回は、解体工事を安く済ませるための補助金について紹介していきます。

解体工事に必要なコスト

どうせ解体工事をするのであれば、少しでも安い方が嬉しいと考えるのは当たり前です。

しかし、基本的な工事の相場は決まっていますし、その相場をはるかに下回る場合は逆にその業者を疑うべきです。

ここでは、解体工事にかかる費用の内訳や相場などについてみていきます。

工事の費用の内訳について

解体工事には、どのような費用が必要になってくるのでしょうか。

まずは、解体工事にかかる費用の内訳を見ていきましょう。

解体スタッフの人件費

解体工事に携わる人員に支払う費用のことになり、解体工事費用の3,4割を占めると言われています。

もちろんスタッフの数が増えれば増えるほど、この部分が高くつきますし、解体工事期間が長いほど割高になります。

どのような形態の解体工事であっても、この人件費の部分を削るのは難しいです。

工事に必要な諸経費

ここには様々なものが含まれますが、例えば解体作業をする前に設置する養生足場のレンタル費用や、工事に使用する重機類のガソリン代などが挙げられます。

その他にも、業者が役所に様々な申請許可を取る際にかかる手数料や、近隣の住民に挨拶回りをする際に渡す手土産の代金などといった細々したものも含まれています。

1つ1つは大した額にならないと思われた方も多いのではないかと思いますが、それらを合算するとかなりの額になります。

産業廃棄物の処理費用

解体工事で発生した大量のゴミは、廃棄物として中間処理場できちんと処分しなければなりません。

何トンもの廃棄物が発生することになりますが、解体業者がそれを処理場に運んで、さらに処理場に処分してもらうために支払う代金がここに含まれています。

一般の家庭ごみとは異なり処分が大変ですので、この処理費用も割高になりがちです。

業者の取り分

当たり前のことですが、上記の費用にプラスして業者の利益が上乗せされることになります。

解体業者がどれだけのお金を得るかによって、この部分が左右されることになります。

普通に解体業者を利用して価格の値引き交渉をする場合はこの部分も削られることになりますが、最近はギリギリの経営を行っている業者も少なくないため大幅な値下げは難しいはずです。

解体工事の相場は出しにくい

とりあえず自分の家を解体する際にいくらくらい必要か知りたい、という方が多いのではないでしょうか。

確かに、木造でこの大きさならばこれくらいの価格だ、というような費用を割りだそうと思えばできないこともありません。

しかし、簡易見積もりが実際の工事費用と大きくかけ離れるのは珍しい話ではありません。

というのも、解体工事の費用は単純に解体する建物の広さや使われている建材だけではなく、その他の様々な要素が絡まり合って計算されるからです。

大きさや構造に加えて、その建物の立地やアスベスト、地中埋設物の有無、さらに解体作業を行う時期などによってかかる費用が変わります。

費用が割高になるケース

例えば、解体工事を積雪の多い季節に行う場合、除雪作業によって時間がかかるため工事期間が長くなり、その分工事費用が高くなります。

同様に、その建物までの道が細く重機が通れないような場合は、手を使って解体作業を進めなければならないことになり、その結果工事期間が延びたりスタッフが多くなったりすることで割高になってしまいます

そのため、ご自身の解体対象となる建物の作業費用が知りたいのであれば、実際に業者に足を運んでもらってしっかりとした見積もりを出してもらう他ないのです。

その際には、複数の業者に見積もりを出してもらうことによって、より正確なその建物の解体費用の相場を知ることができます。

相場を知った上で、そこからできるだけ安い業者を選んだり、工事を安くする方法を考えていきましょう。

補助金制度で解体工事が安くなるかもしれない

業者と値引き交渉をするのもよいですが、それよりも圧倒的に解体工事が安くなる方法があります。

それが補助金制度の利用ですが、どのように調べればよいのでしょうか。

気軽にネットで調べよう

解体工事の補助金は、自治体によって支給されることになります。

そのため、それぞれの自治体のホームページを見れば、解体工事に補助金が支給されるかどうかがわかります。

しかし、自治体の中にはホームページがわかりにくくなっているところもありますし、そもそも補助金があるのかどうかもわからないため、見つけられないという方も少なくありません。

最も簡単なのは、「市町村名 解体工事 補助金」という感じで検索をかけることです。

補助金が出る自治体であれば、検索の1ページ目に出てくることが多いですので、自治体のサイトから調べるよりは楽だと思います。

役所で聞くのが確実な方法

ネットで見つけられない場合は、地域の役所に出向いて聞いてみるのもよいでしょう。

直接行かなくても電話で解決することもあるため、お近くの事務所に電話してみるのもよいと思います。

また、すでに解体工事の見積もりを業者に出しているのであれば、その業者が知っている可能性も高いです。

特に地元の解体業者などであれば周辺の自治体の補助金制度事情に明るいはずですので、業者を頼るのも方法の1つです。

詳しい業者であれば、どのように手続きをすれば良いのかということまで知っていることがあるため便利です。

補助金の出る可能性がある建物について

解体をする際には、必ず補助金が出るというわけではありませんし、自治体によっては補助金制度自体がないところも存在します。

自治体によって補助金の条件は異なりますが、ある程度は類似しているのでそれを紹介していきます。

倒壊の可能性がある空き家

補助金が出るのは、要するにその自治体がお金を払ってでも解体してほしいという建物であるからです。 

そして真っ先にそのターゲットになりやすいのが、年々増え続けている空き家の中でもボロボロになって今にも倒れそうな建物です。

また、見た目が汚く不衛生で周りの住民に迷惑をかけているような空き家なども、その対象になりやすいです。

自治体によってそのレベルは異なりますし、もっと細かいところで言うと、担当のスタッフの調査によって補助金の対象にするかどうかが変わってきます。

しかし、人に迷惑をかけたり景観を損ねているような無人の家屋を所持している場合は、その解体作業をする際に補助金が出る可能性があるため、自治体に尋ねてみることをおすすめいたします。

申請者の所得と納税

自治体によっては、前年度の年収によって補助金を出すかどうか決めているところもあります。

仮に地域の景観を損ねる物件を解体するとなったとしても、その所有者の前年度の年収が5000万円もあるのであれば、補助金を出さずとも余裕があるとみなされます。

年収額の規定は自治体によって異なるため一概には言えませんが、所得以外にも財産や貯金額を考慮して決められるケースもあるため、例え所得が低くても資産がある場合は補助金が出ないこともあるのです。

同様に、税金を滞納しているような場合も補助金を受けて解体工事をすることができません。

補助金とは、解体工事をしたいけどお金に余裕がない方のために国民の税金を使って負担されるお金のことになりますので、お金に余裕がある方や、そもそも税金を支払っていない方が補助金を受け取れないのは仕方のないことといえるでしょう。

補助金を利用する際の注意点

解体工事をする際には、他にも様々な方法で工事費用を削減することが可能です。

しかし、それらの様々な方法を合わせた削減額と比べても、補助金の額の方が大きいため、利用できるのであればやらない手はありません。

ただし補助金を使うにあたっていくつか注意点があるのて、最後にそれを紹介しておきます。

補助金を使うなら早めに申請

自治体によって変わってくることですが、解体工事のための補助金のトータル額というのは、年度ごとに予算が組まれて決まっています。

要するに、仮に取り壊し予定の家屋が補助金の対象になるとしても、その予算を使いきってしまっている場合は支給されません。

もちろん来年まで待つというのも方法の1つかと思いますが、その間も固定資産税などはかかってきます。

なるべく費用を抑えるためにも、今年の補助金の申請はいつから受け付けてもらえるのかということを把握し、できるだけ早い段階で申請する必要があります。

補助金はあとから支払われる

解体工事をする際には、最初に見積もりを出してその額に納得したら作業を始めてもらい、解体が完了したら代金を業者に渡すことになります。

気を付けなければならないのは、補助金は解体工事費用を業者に収めてその領収書などをもらってから振り込まれることになるという点です。

つまり、まずは施主から業者に工事費用をいったんすべて支払わなければならないということになります。

解体工事の見積もり費用に基づいて先に補助金が支給されると勘違いされる方もいらっしゃいますが、見積もりはあくまで見積もりですので額が確定しているわけではありません。

支払いの事実に基づいて補助金が支給されることになるため、それを覚えておきましょう。

最後に

補助金が支給されれば、通常は多額の費用がかかる解体工事を格安で行うことが可能になります。

例え補助金が出る可能性が低い建物であったとしても、役所に聞いてみるだけ聞いてみるのは無料ですので、一度ご自身が所有する家屋は対象になるかどうかを尋ねてみるとよいでしょう。

自治体によっては、そもそも解体工事の補助金制度自体がないところもありますが、空き家の増加とともに対策を取るところも増えてきていますし、地域の景観を保つために補助金支給の条件が変わることもあります。

解体作業を少しでも安く終わらせるために、使える制度はうまく活用するようにするとよいでしょう。