優良な解体業者を利用すれば、何の問題もなく解体工事を終わらせることができるでしょう。
しかし、解体業者の中には悪徳業者と呼ばれるところも存在するため、そういった業者を選んでしまうとトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。
悪徳業者は様々な手口で犯罪行為を行うことがありますし、単純に不法な料金を請求してくるようなところもあります。
また、周囲の住民を巻き込んでのトラブルに発展するケースもあるため、そうなってしまうと金銭以上に大きなダメージを受けることになります。
今回はそんな悪徳業者が引き起こすトラブルや手口、業者とトラブルになってしまった際の対処法、悪徳業者の特徴などを紹介していきます。
悪徳業者が引き起こすトラブル
悪徳業者の中には、表面上は特に大きなトラブルを起こさない業者も多いです。
しかし、中にはたくさんの人々に迷惑をかけるような行為を繰り返すところもあるため注意が必要です。
近隣住民とのトラブル
解体工事を行っているのであれば、多少の騒音や振動などは仕方がないといえるのかもしれません。
しかしそれは、工事前に周りの住民にきちんと挨拶をしている場合に限ることであり、特に告知もなく、いきなり大きな音をたてられたりした場合は、大量のクレームが来ても仕方がないといえるでしょう。
また、事前に挨拶する際には、騒音などが出る作業をする時間帯なども一緒に知らせることになります。
中には、その時間帯とは異なる、早朝や深夜などに解体作業をする悪徳業者もおり、それが大きな問題へとつながるケースもあります。
実際にその問題を引き起こしているのは解体業者だから施主は関係ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その業者を選んだのは施主ですし、実際に施主にクレームが来ることも珍しくはありません。
逆に、事前に挨拶をきちんとして、少しでも騒音や粉塵などの被害が広がらないような対策をしている業者であれば、トラブルにもなりにくいといえるでしょう。
業者の態度に関するトラブル
見積もりをする段階や契約前の段階で、業者のスタッフと直接話をしたりする機会は多々あるのではないでしょうか。
その時の担当者の態度が悪かったり、不誠実な対応を取られたりした場合は、工事をお願いしても何らかのトラブルに発展する可能性が高くなります。
例えば、約束している日時に遅れたり、約束をすっぽかすような業者は、工事中の態度も悪い傾向にあります。
だらしない業者ということになるため、決められた場所以外に車両を駐車したり、最初に決めた時間以外に解体作業をしたりする可能性があります。
また、作業中、作業時間外に大声で話して周囲の人々に迷惑をかけたり、缶コーヒーやタバコをポイ捨てして景観を損ねたりする従業員がいるかもしれませんし、クレームが来ても無対応ということも考えられます。
もちろん担当者の対応一つでそこまで決めつけてしまうのはやりすぎかもしれませんが、優良業者と比べると上記のようなトラブルを引き起こす可能性が高くなるのは間違いありません。
解体業者は、工事を依頼する前の対応からきちんと見極めるようにしましょう。
地中埋設物の処理を無断で行うトラブル
意外と多いのが、地中埋設物を勝手に除去して追加請求をするといったトラブルです。
住宅の地下には、何らかの原因によって過去の廃棄物等をはじめとした様々なごみが埋もれていることがあります。
それを除去するために追加の費用がかかるのは仕方のないことなのですが、問題なのは勝手にそれを処理してしまい、後から追加請求をしてくる点です。
施主からすると、本当にあったのかもわからない埋設物の除去に多額の費用を支払うことになるため、契約の段階できちんと取り決めをしておく必要があります。
地中埋設物が出てきた場合は取り除く前に連絡をもらう、または写真に収めて送ってもらうという契約を交わしておけば、納得して追加料金を支払うことができるはずです。
悪徳業者の手口
悪徳業者には様々な種類がありますが、大きく施主に迷惑をかける業者と施主に関係ないところで犯罪を起こす業者の2つに分けられます。
また、双方の手口を使用する業者も存在するため、気を付けて業者を選ばなければなりません。
それでは、具体的に悪徳業者の手口にはどのようなものがあるのでしょうか。
不法投棄
解体工事は、建物を解体するだけではなく、解体で排出された産業廃棄物をきちんと処理するところまでを言います。
産業廃棄物の処分費用は年々高騰していると言われていますが、当然その費用も解体工事の費用として施主が業者に支払うことになります。
業者の中には、産業廃棄物をきちんとした工程で処分せず、不法投棄をして処分費用を浮かせるような行為を行うところもあります。
廃棄物の処分費用は解体費用の数割を占めるため、不法投棄をすることによって多額の利益を得られるわけです。
しかし、不法投棄は当然立派な犯罪ですし、見つかった場合は厳しく罰せられることになります。
廃棄物を処分する費用が浮くわけですので、そういった業者は見積もりで相場よりもかなり安い料金を提示してくる可能性があります。
あまりにも料金が安い場合は、怪しいと判断して利用を控えるべきでしょう。
廃棄物の埋蔵
解体工事では大量の産業廃棄物が出ますが、その廃棄物の処分費用を少しでも安くするために、解体現場に埋めて隠してしまうような業者も存在します。
例えば解体工事をした後の土地の活用法が決まっていない場合は、その土地をしばらく放置しておくことになります。
そういった場合、廃棄物を地中に埋めたとしても長期間気づかれませんので、発覚までにかなりの時間がかかります。
解体後の土地を売却した場合は、購入者が住宅を建てる際に埋められた廃棄物に気付くことになります。
そうなった場合、訴訟の対象となるのはその土地を売却した施主ということになってしまうため気を付ける必要があります。
許可・申請を取らない工事
解体工事を行う際には、いくつかの許可を申請しなければなりませんが、悪徳業者の中にはそれらの申請を怠る業者も存在しいます。
例えば、通常の解体工事には道路使用の許可や建設リサイクル法の届け出などをする必要がありますし、アスベストを含む住宅の解体をする場合はその他にもいくつかの届け出を出さなければなりません。
当然行わなければならない申請ですが、その申請を無視していきなり工事を始めてしまう業者がいるため注意が必要です。
また、そもそも解体工事を事業として行うためには、建設業許可もしくは解体工事業登録が必要になってきますが、それさえも持たない悪徳業者も存在します。
そのような許可の提示を求めれば通常はすぐに見せてくれるはずですが、出し渋るような業者や何かと理由を付けて見せようとしない業者の利用は見送ったほうが良いでしょう。
追加費用の請求
悪徳業者の中には、解体工事を終えてから追加で高額の費用を請求してくるようなところもあります。
元々の金額よりも追加費用の方が高いといったケースもあれば、これくらいの追加費用なら仕方がないというくらいの微妙な金額を上乗せしてくるような業者も存在します。
もちろん見積もりで算出された額と違うと反論する方が多いですが、様々な理由を並べられて結局は追加費用を支払うようなケースも少なくありません。
見積もりから契約をする段階で、追加費用は掛からないというような文言を付け加えてもらうなどすることで、大きなトラブルを避けることができるはずです。
⇒解体工事の追加料金がかかる項目と追加請求されないためにするべきこと
工期の遅延や放棄
解体業者の中には、わざと工事の工程を遅らせるところや、工事を途中で放棄してしまうところなども存在します。
業者の事情、または業者が招いたトラブルによって工事をストップせざるを得ないようなケースであっても、工事が延びてたことによってかかる人件費を施主に要求してくるような場合があります。
また、工事代金を事前に回収しているような場合は、工事を途中で投げ出してしまうような業者もあります。
何らかの事情があって工事が一時中断してしまうのは珍しいことではないかもしれませんが、中には意図的に工事をストップさせたり途中で逃げてしまうような業者もいるため気を付けなければなりません。
例えば、契約書に遅延した場合は損害金を頂くというような文言を付け加えたり、全額を事前に支払わないようにするなどの対処をすることによって、このようなトラブルにあう可能性を減らすことができるはずです。
トラブルが発生してしまったら
どれだけ気を付けて解体業者を選んだとしても、中には運悪く悪質な業者にあたってしまう方がいるのも事実です。
また、故意でなかったとしても何らかのトラブルに巻き込まれて余分なコストがかかってしまうケースもあります。
悪徳業者に高額請求をされた場合は、どのように対処すべきなのでしょうか。
業者との直接やり取りは避ける
相手が悪徳業者の場合は、過去に様々な依頼者と色んな種類の問題を起こしている可能性が高いです。
要するに、依頼者がどのような話をしてくるか、どんな風に文句を言ってくるかというパターンを熟知していることが多いですし、うまく対応して結局言い負かされてしまうケースが多いのです。
実際に、解体業者とケンカをしてもいいことはありませんし、言い争ったとしても問題の解決にはつながりません。
悪徳業者に直接文句を言いたい気持ちはわからないでもないですが、重要なのはトラブルをうまく解決してこちらの損失を防ぐことです。
問題の解決を最優先に考えるのであれば、第三者に間に入ってもらうのが最も良い方法と言えるでしょう。
相談先は様々
一体どこに相談したらよいのかわからないという方もいらっしゃるかもしれませんが、解体業者とのトラブルに関してはいくつかの相談先が存在します。
弁護士を利用する
相談料として弁護士への支払いが生じますが、建築業界のトラブルに詳しい弁護士もいるため、そういったところに相談することで問題を早期解決できる可能性があります。
解体費用で法外な代金を支払うのであれば、弁護士に数万円支払った方がこちらの出費も少なくて済みますし、悪徳業者を懲らしめることもできるはずです。
消費者センターを利用する
消費者センターとは、それぞれの地方公共団体が設置する機関になり、消費者が生活の中でトラブルに巻き込まれた際に問い合わせることのできる場所です。
弁護士とは異なり相談料は原則無料ですが、結局弁護士を紹介されることもあります。
ただし、消費者センターで片づけられる問題も多いですので、まずはこちらに問い合わせてみるのもよいでしょう。
トラブルを起こしやすい業者とは
それでは、最後にトラブルを起こしやすい解体業者の特徴を紹介していきます。
以下の業者を避ければ絶対に大丈夫な業者と断定することはできませんが、少なくともトラブルに巻き込まれる可能性が減るはずです。
見積もり価格が極端に安い
どうせ同じ解体作業をするのであれば、少しでも安いところに頼みたいと考える方が多いのではないでしょうか。
例えば100万円単位の解体費用に対して、他社よりも数万円安い程度であれば適正価格内だと判断できるかもしれませんが、他社よりも数十万円安いような業者は怪しいです。
契約前に解体費用を値切ることは可能ですが、こちらも数十万単位で価格を落とすような業者には注意が必要です。
不法投棄をすることで業者の必要経費がかなり浮きますので、そういった可能性があるということも考慮に入れて契約を結ぶべきです。
また、最初に安く見積もっておいて追加請求をする業者もいるため、単純に価格で判断するのは危険だといえるでしょう。
資格等の提示を拒む
前述したように、解体作業でお金をいただく場合には、それ相応の資格が必要になってきます。
また、解体工事の規模や建物の状態によって、さらに必要な許可等もあります。
もちろん、資格や許可等を持っている業者がほとんどですが、中にはそういった許可等を取得せずに解体工事を無理やり行う違法業者も存在します。
解体作業中に万が一それが発覚した場合には、当然工事はストップしてしまうことになりますし、再度他の業者に依頼をする必要が出てきます。
念のために、解体工事に必要な許可を取得しているかどうかを確認し、それらを証明する書類等の提示ができないような業者は避けるべきでしょう。
具体的な許可、資格等に関しては下記を参照してください。
⇒解体工事業者を選ぶ方法|見極めるために大事な6つのポイント
最後に
恐らく、日本に存在する解体業者の多くは、優良と呼ばれるサービスを提供する業者だといえるのではないかと思います。
しかし、そんな優良業者の陰に隠れて、悪徳業者が消費者を食い物にしています。
まさか自分の選択する解体業者が悪徳業者であるわけがないと考える方も多いのですが、実際にそのような考えの方が悪徳業者に悩まされることも多いです。
もちろん、初めから全ての業者を悪質だと疑ってかかるのもよくないかもしれませんが、ご自身の身を守るためにも業者選びは慎重に行うようにしましょう。