建物の解体工事を考えていらっしゃる方の中には、解体後の土地を駐車場にして駐車場経営をしようと計画していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
駐車場にも様々なものが存在しますが、例えば、最も安く駐車場を造るのであれば更地を適当に貸し出すことも可能です。
しかし、 やはり砂利を敷き詰めたりコンクリート舗装した駐車場の方が高く貸すことができますし、利用希望者が集まりやすいのは事実です。
そのため、とりあえず建物を解体して、時期を見てから再度きちんとした駐車場のための工事を行うという方が多いです。
もちろんそれでもよいのですが、どうせ駐車場にすることが決まっているのであれば、解体工事と駐車場の設置をまとめてやってしまった方がお得です。
この記事では、そんな駐車場にするための解体工事の方法と駐車場経営に関する基本的な知識を解説します。
駐車場経営を見越した解体工事
建物が建てられている土地を更地にして、そこを駐車場にするというケースは少なくありません。
解体工事をする段階でその土地の使い道が決まっていない場合は、いったん解体をした後に考えるというのもよいですが、駐車場にするということが決まっているのであれば解体工事と一緒に駐車場を造ってしまいましょう。
というのは、 同時に工事を行った方が結果的にコストを大幅に削減できるからです。
解体工事と駐車場設置工事を別で行う場合、一緒に行う場合の違いを詳しく見ていきましょう。
工事を分けるケース
工事をばらばらに行う場合、施主は大きく4つのステップを踏むことになります。
- 解体工事業者を探す
- 解体工事をしてもらう
- 駐車場施工業者を探す
- 駐車場を設置する
もちろんそれぞれのステップはさらに細かく細分化できますが、大まかな流れはこのようになることが多いです。
そして、工事を分ける場合には様々なデメリットが生じます。
- 業者探しに手間取る
- 工期が延びる
- 工事費用が高くなる
業者探しにかかる時間
上記の流れの中で最も時間がかかるのは、1と3のそれぞれの業者を探すというステップになり、この場合は解体業者と施工業者の2つの業者を探す必要があるため、単純に業者選びに2倍の時間がかかるということになります。
悪徳業者を選びたくない、なるべく安い業者にお願いしたいという方がほとんどですし、一般的にこのような工事をする際には事前に相見積もりをすることになるため、たくさんの業者に会うための時間を作る必要があります。
工期が長くなる理由
それぞれの工事が独立している以上、解体業者との打ち合わせや解体工事後の手続き、それからその後の駐車場施工業者との打ち合わせや設置後の手続きなどを含めると、トータルの工期がかなり長くなります。
例えば解体工事に10日間しかかからなかったとしても、解体工事を始める前から何度も打ち合わせをしたりする必要がありますし、解体工事が完全に完了するまでにはそれなりの時間がかかります。
そして、解体工事が完全に終わってから駐車場施工業者との打ち合わせを始めるということを考えると、駐車場が完成するまでにはかなりの時間がかかることになります。
また、単純に独立した工事を2回に分けて別々に行う場合は、それぞれの工事の準備や片付け、使用した重機の運搬などを2回ずつ行うことになるため、普通に考えて2度手間ということになるのです。
工事費用が高くなる理由
解体工事の規模や設置する駐車場の種類によっても変わってきますが、例えば解体工事に利用する重機の中には、駐車場の施工にも利用できる重機が存在します。
重機を工事現場に運ぶだけでも運搬費用が数万円必要になってくるため、単純に運搬費用が2回から1回になるだけでその数万円を節約することができます。
また、解体工事から設置工事までの工事全体に携わるスタッフの数が増えますし、上述したようにトータルの工期が延びることもあり、結果的に人件費も高くなりがちです。
まとめて工事を依頼するケース
それでは続いて、1つの業者に工事を依頼する流れを見てみましょう。
- 解体と施工ができる業者を探す
- 解体工事後にそのまま駐車場を設置してもらう
業者を1つにまとめることで、わずか2ステップで工事が終わってしまうのです。
まとめて工事を依頼するメリットとしては、以下が挙げられます。
- 施主の負担が減る
- 工期が短くなる
- 工事費用が安くなる
業者探しの時間が短くなる
もちろんすべての解体業者が駐車場の設置もできるというわけではないため、考え方によっては特殊な解体業者選びということになるのかもしれません。
しかし、解体工事もできて駐車場の施工も可能な業者の中から相見積もりを取って良い業者を見つけることができれば、施主が業者探しにかけなければならない時間は単純に半分になります。
工事前の打ち合わせも1つの業者と解体工事前にまとめてやってしまうことができるため、施主の負担が大きく軽減されるのです。
工期が短くなる理由
工事を分ける場合はそれぞれの工事の前に打ち合わせを入れたり、工事後に後片付けをしたりといったステップが必要になってきます。
しかし、1つの業者がまとめて工事を行う場合は、 解体工事が終わってから駐車場工事の着工がスムーズにいくため、それだけでも工期の短縮になります。
本来ならば解体工事だけで10日間、駐車場の施工工事で7日間かかるものであったとしても、まとめてやることでトータルで15日間で終わったりするため、駐車場を早く経営できるようになるはずです。
工事費用が安くなる理由
工期が短くなるだけでも人件費を大幅に削減できますし、工事で使用する重機を何度も往復運搬させる必要がないため、まとめてやったほうが確実にコストを下げることができます。
トータルのコストを下げたいと考えていらっしゃるのであれば、まとめて工事をやってしまった方がお得なのです。
駐車場のタイプは大きく3つ
それでは、解体工事後に設置する駐車場のタイプについて見ていきましょう。
駐車場のタイプは、以下の3つに分けることができます。
- 砂利
- コンクリート
- アスファルト
コンクリートとアスファルトの違いがいまいちわからないという方もいらっしゃるかもしれませんが、費用面や工期などに違いが出てきます。
それぞれの特徴をまとめてみたので、参考にしていただければと思います。
砂利の駐車場にするメリット・デメリット
砂利の駐車場は、最も安く簡単に設置できるタイプです。
極端なことを言ってしまえば、解体工事をしてもらった土地に自分で砂利を敷き詰めてロープを張って看板を建てるだけで駐車場となってしまいます。
やはりその分、駐車場としての価格は下げざるを得ないかもしれませんが、誰でも気軽に始められるスタイルの駐車場として人気が高いです。
コンクリートの駐車場にするメリット・デメリット
コンクリートでできた駐車場は固くて丈夫だという印象があるかもしれませんが、実際にその通りでアスファルトよりも耐久性に優れています。
そのため、メンテナンスに労力をかける頻度が少なくなりますし、アスファルトと比べると真夏の表面温度が上がりにくいという点も大きなメリットになります。
しかし、完成するまでに時間がかかるためそれが工期の延長につながりますし、設置するにあたっての単価が高いため、 広い場所に駐車場を設置する場合にはかなりのコストが必要になってきます。
アスファルトの駐車場にするメリット・デメリット
場合によってはコンクリートの半額くらいで設置することができますし、表面が固まるまでの時間が短いため、施工してから数時間後には使用することできます。
必然的に工期が短くなりますし、水はけがよいため使い勝手も問題ありません。
しかし、コンクリートよりも耐久性がないということもあり、ひび割れなどが起こりやすいですし、くぼんでしまったりすることもあるため、定期的に補修する必要があります。
住宅と駐車場の固定資産税の違い
建物や土地を保有している方は、毎年1月1日にそれらの不動産に対して税金が課されます。
ここで気を付けなければならないのは、 住宅付きの土地と駐車場として利用する土地とでは、固定資産税が変わってくるという点です。
固定資産税の違い
結論から言うと、住宅付きの土地の固定資産税は、駐車場にかかる固定資産税よりも安くなります。
小規模住宅用地とは住宅用地のうち、住戸一戸あたり200m2までの部分を小規模住宅用地といいます。
賃貸住宅の場合は、200m2×住戸数の面積 になるため大幅に税額を軽減できます。小規模住宅用地の軽減措置
- 200m2以下の部分(小規模住宅用地)→ 課税標準の6分の1に軽減
固定資産税の軽減
- 200m2超の部分(一般住宅用地)→ 課税標準の3分の1に軽減
参考:土地と住まいの税金講座
土地の面積などによっても変わってきますが、小規模住宅用地では最大で6分の1になるため、土地を持っているのであれば住宅付きの方が収める税金が安くなるのです。
空き家が減らない原因の1つ
昨今は空き家の増加が問題視されていますが、
→空き家を放置する怖いリスクと空き家を活用する様々な方法について
上記のように、空き家を解体することによって固定資産税が増えてしまうというのも大きな原因の1つです。
空き家を解体せずに放置しておけば、解体して更地にして放置していくよりも支払う税金が少なくなるため、とりあえず解体せずに残しておこうと考える方が多いのです。
しかし、駐車場のように更地にした土地を有効活用できるのであれば、 固定資産税以上の収益を上げることも可能ですし、空き家のリスクをなくすこともできるためおすすめです。
→空き家の固定資産税を増やさないための方法とすぐにできる4つの対策
駐車場以外の使い道も視野に入れる
多くの方が、土地を活用するために空き家を解体して駐車場を造るという方法を選びますが、その前に駐車場経営のメリットとデメリット、それから駐車場以外の使い道を知る必要あります。
駐車場経営のメリット
- 気軽に始められる
- 収益が得られる可能性が高い
例えば空き家を壊した後にアパートを建てて家賃収入を得ることを考えると、駐車場の設置は予算に限りがある方でも気軽に始めることができます。
また、もちろん設置場所にもよりますが、 駐車場は大掛かりなメンテナンスやリフォームなどの維持コストをほとんどかけずに収益を確実に得られるという点も、人気がある理由の1つに数えられます。
駐車場経営のデメリット
- 税金が高くなる
- 高い収益性は見込めない
上述しましたが、駐車場は住宅用地には含まれないため、住宅が建てられている土地と比べると毎年の固定資産税が高くなります。
また、大きな初期投資がかからないというメリットがある反面、高額な収益を見込むのは難しいといえるでしょう。
ただし、一等地を駐車場にするのであれば、高い収益を得ることも十分にあり得ます。
駐車場以外の使い道での注意点
解体せずにその建物を活用するという方法もありますが、解体した土地をうまく活かしたい場合は、駐車場以外にも以下の活用方法が考えられます。
- トランクルーム
- 資材置き場
- 太陽光発電
- 事業用地
例えば太陽光発電は日光が当たらない場所ではほとんど意味がなくなってしまいますし、資材置き場も近くにそれを使いたいと思う業者がいなければ役に立ちません。
もちろん駐車場にする場合にも需要がなければ収益を生まないため、立地条件を考えて活用方法を臨機応変に変えていくのも重要です。
駐車場以外の活用も検討する
解体工事には多額の費用がかかりますし、駐車場の設置を業者にお願いするのにもお金が必要になってきます。
解体工事をする前の段階で、その後の土地活用方法が決まっているのであれば、駐車場に限らず、その土地活用方法に合わせた解体工事を行ってもらうようにしましょう。
一緒に工事をしてもらえれば業者を探す時間も少なくなりますし、工期が短くなることによってトータル工事費用も安くなるからです。
また、空き地や解体後の更地の活用を駐車場にする方は多いですが、駐車場にすれば必ず利用者がいるとは限りません。
その土地の周りの様子を確認し、駐車場以外の活用を考えてみるのも大切です。