解体工事は、基本的には解体業者が全て行ってくれるはずです。
しかし、その解体工事を始める前の様々な準備は、家屋の持ち主である施主が行わなければなりません。
もちろん解体作業をする業者選びも施主の重要な仕事の1つですし、その他にもいくつかやっておかなければならないタスクが生じます。
中には、きちんとやっておかなかったがために、大きなトラブルに発展したり解体工事がストップしてしまうような事態に発展するものも存在します。
今回は、解体工事をするにあたって施主がしなければならない行動をまとめました。
業者選び
恐らく施主が最も時間をかけて行うべきタスクが、解体工事をしてもらう業者の選択です。
良い業者も多いのですが、その業者の陰にたくさんの悪徳業者が存在するのも事実です。
しっかりとした業者を見分けることができれば工事もスムーズに行くことが多い反面、悪徳業者を利用してしまうと様々なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
業者の何を見ればよいのか
パッとわかるのが、その業者と実際に接してみて感じる業者の態度やマナーなどの対応です。
電話で話したり直接会って相談などをする際に、嫌な雰囲気を感じたらその業者はできるだけ避けたほうが良いでしょう。
例えば、騒音などで近所の方ともめた時には、基本的にはその業者のスタッフが対応することになります。
その時の対応次第でクレームを収めることもできれば、逆に悪化してしまうこともありますが、対応したスタッフの態度が悪ければ悪化してしまう可能性もあるのです。
依頼主が感じたように、クレームを訴えた方もその業者に対して嫌悪感を抱いてしまった場合は、クレームが悪化するリスクが高まるため、少なくとも業者のマナーや態度には注意してください。
その他にも業者を見極める様々なポイントがありますが、詳しくはこちらを参照ください。
⇒解体工事業者を選ぶ方法|見極めるために大事な6つのポイント
悪徳業者の被害について
解体工事を毎年のように行っているのであれば、ある程度は工事の流れや相場についての知識があるのではないかと思いますが、一生のうちに解体作業を何度も経験する方は少数派です。
解体工事についての知識がない素人を騙して不当な利益を得るような悪徳業者も少なくありません。
不法投棄をする業者
解体作業をする際には複数の業者に見積もりを出すことになりますが、やはり少しでも価格が安い方が良いと感じる方がほとんどです。
不法投棄を行う業者は、そんな利用者の心理を突いて見積もりを安くだし、受注を目指します。
工事で損をしたとしても、産業廃棄物の処理にお金をかけずに不法投棄するため、結果的に業者は得をすることになります。
見つかればもちろん業者が悪いのですが、施主にも5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金という前科がついてしまうため、このような業者は絶対に避けなければなりません。
後から追加請求する業者
見積もりは安かったとしても、工事をしていく中でどんどんと費用を高くしていく業者も存在します。
実際に必要になる経費があるのも事実ですが、対した説明もなく費用がかさみ、結局他の見積もりよりも高くなってしまうケースが多いです。
もちろん施主としてはそのような請求はのめないと拒否することになりますが、中には脅しに近い請求をしてくる業者もあるため支払ってしまう方もいらっしゃいます。
明らかに相場よりも安い見積もりは悪徳業者の可能性もあるため、気を付けて対応する必要があります。
ライフラインの撤去
ライフラインとは、具体的には電気、水道、ガスなどの生活に欠かせない設備のことになります。
その他にも、電話線やインターネットなどが挙げられますが、解体作業をする前にはこれらを撤去する必要があります。
電線の撤去
管轄の電力会社に連絡をして、撤去する場所の情報や契約者名、メーター番号などを伝えます。
また、撤去の理由が解体工事をするためだということを伝えておけば、その後の対応もスムーズにいくはずです。
連絡から撤去まで日数がかかることも多いため、できるだけ早めに連絡をしておくようにしましょう。
ガスの撤去
ガスには、大きく都市ガスとプロパンガスがあります。
都市ガスの場合は管轄のガス会社に連絡を、プロパンガスの場合はボンベに記載してある設置会社やメーカーに連絡を入れます。
こちらも電線同様、解体工事のための撤去だということを伝えておくとスムーズです。
水道の手続きについて
ライフラインの中でも、水は解体工事中に利用することになるため事前に撤去することはできません。
解体作業に入るまでに、撤去ではなく水道料金の精算をするために水道局に連絡をします。
解体工事で使用した水道料金を施主が払うのか解体業者払うのかはケースバイケースですが、業者が負担することが多いようです。
電話線・光ケーブルなどの撤去
電話の撤去は、基本的にはNTTに連絡を入れ、光ケーブルやインターネットの撤去も契約している会社にその旨を伝えることになります。
最近は携帯電話の普及により固定電話を利用していないご家庭もありますが、電話線を利用している場合は撤去に時間がかかるためできるだけ早い段階で伝えておく必要があります。
不用品の処分
解体工事をするにあたって、その建物の中にある家具や電化製品などの不用品を処分する必要があります。
どうせ解体して全て捨てるのだからそのままでいいんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、解体業者も解体前に内部を処分することになります。
不用品の処分代として追加で料金が請求されることもあるので、家屋の中にある不用品は自分たちで片づけておくことをおすすめいたしますs。
大型家具の処分方法
最も簡単な方法として挙げられるのが、不用品回収業者の利用です。
基本的にはどのようなものでも持って行ってもらえますし、自宅まで回収しに来てくれるため、時間的な融通もききやすく無駄な労力を使うことがありません。
ただし、やはり普通に処分する方法と比べるとかなり割高になるケースもありますし、不用品回収業者の中にも悪徳業者が紛れ込んでいることがあるため、出費が大きくなる可能性があります。
大きな家具や家電は自分で処分するのが大変ですが、粗大ごみなどに分けて出すことでかなりの出費を抑えることが可能ですし、リサイクルショップを利用すれば思わぬ収入が手に入ることもあります。
自分で不用品を処分する
お近くにリサイクルショップなどがある場合は、持ち込めるアイテムをそのリサイクルショップに持って行ってみるのもよいでしょう。
アイテムの状態によっては高く買い取ってもらえることもありますし、無料で引き取りという物も存在します。
ある程度大きな家具や家電の場合は、処分するのにもお金がかかりますし、処分が面倒なものもあるため、無料以上で引き取ってもらえるのであればお得だと思っておいたほうが良いでしょう。
なお、大きな家具や電化製品が多い場合は、リサイクルショップによっては訪問での買取や引き取りをやっているところもあるため、そういったサービスを利用するのも方法の1つです。
家電の処分方法
家電リサイクル法の対象となっている冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンの4品目は、購入した店舗に引き取り依頼を出すことになります。
店舗によって引き取り方法は異なるため店舗に確認する必要がありますし、その家電を購入したのが遠方だったり、すでに店舗がなくなっているような場合は、地域の自治体に相談するのが一般的です。
物によっては処分料金が数千円かかるようなものもありますが、製造メーカーなどによって料金が変わってくるため事前にチェックしておく必要があります。
また、上記の4品目に加えて、パソコンも資源有効利用促進法に基づいたリサイクルが必要になってきます。
デスクトップパソコンの本体だけでなくディスプレイもリサイクルの対象となりますが、パソコンにリサイクルマークがついているタイプであれば各メーカーが無償で回収してくれます。
近所への挨拶
解体工事をする際には、近所の方への挨拶を必ず行っておくことをおすすめいたします。
挨拶をしないと罰せられるというようなことはありませんが、挨拶しなかったことによって後々に大きなトラブルが発生することがあるからです。
挨拶の役割
解体工事は、必ず大きな音を出したり周りに粉塵をまき散らしたりといった作業を伴うことになります。
特に家が隣接しているような場合は、その騒音や粉塵が隣に影響を与えることが多いですし、それに伴って周りの方々は不自由な思いをすることになるからです。
仮に挨拶をせずにいきなり解体工事を始めたとしたら、周りの方々はびっくりことになりますし、騒音や粉塵によって発生する被害の矛先はその解体工事を依頼した施主に向くことになります。
夜勤の方が騒音で眠れなかった、洗濯物を干していたら粉塵でダメになったなど、解体工事を巡るトラブルは後を絶ちません。
それを緩和する役割を果たすのが事前の挨拶回りになるのです。
挨拶をしたからといって周りへの影響がなくなるわけではありませんが、迷惑をかけるということを事前に伝えておくことで周りの方々もそれに対して準備ができますし、仕方のないことだからと我慢してもらえます。
トラブルを避けるためには、必要だと思うご家庭へあいさつ回りをしておくことをおすすめいたします。
挨拶の方法
いきなり挨拶回りと言っても、一体どのようにすれば良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
既にちゃんとした業者と契約を結んでいるのであれば、その業者があいさつ回りをしてくれるのではないかと思います。
挨拶の際には、工事の日程などを記載した挨拶状を渡すのが一般的ですが、業者と一緒に施主も挨拶して回ることによって、こちらの誠意がより伝わります。
もちろんタイミングが合わなければスタッフと別で回るのも問題ありませんので、そのあたりは業者と相談して決めるとよいでしょう。
⇒解体工事前の近所への挨拶は重要!挨拶のタイミングと方法について
最後に
解体工事は業者にすべて任せたいと思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、このように、施主にもやらなければならないことがいくつかあるのです。
もちろん、お金さえ払えばすべてセットで行ってくれるような解体業者もいるかもしれませんが、やはり少しでも安く解体したいと思われる方が多いのではないでしょうか。
解体作業の前には、不用品の回収など、自力ではとても無理だという部分だけ業者に任せるなど、自分たちでやる部分と業者にやってもらう部分をはっきりと区別させるのも重要です。
業者選びと近所への挨拶回りさえしっかりとできれば大きなトラブルになることはなく、スムーズな解体工事が進められるでしょう。