新築戸建てを計画する上で、間取りやデザイン、使い勝手など自分の理想の形を思い浮かべているのではないでしょうか。
間取りやデザインはもちろん一番に考えるべき所ではありますが、思い描いた空間を更に引き立たせてくれるのが照明です。
意外と見落としがちで仕上がりが想像しづらいのが照明計画で、照明の位置決め、照明器具の選定を空間に合うようポイントを押さえていくことが重要です。
この記事では照明計画の考え方や効果的なポイントなど家の各スペースごとに詳しく説明していきます。
そもそも照明計画とは?主照明と補助照明について
家の各部屋やスペースの目的、雰囲気に合わせて適切な明るさや色味を調整して選定していくことです。
まずは明るさの検討からしていきます。
それぞれの部屋の利用用途によって適切な明るさは決まりますので、寛ぐ空間は少し暗めの落ち着く照明、パソコンや書き物などの事務仕事をするような空間は明るめの作業しやすい照明など、それぞれの利用用途を明確にし選定していくことが重要です。
色味については一般的に、
- 寛ぐ空間にはオレンジ色よりの照明(電球色と言われます)
- 作業などを行う空間には白色の照明(昼白色、昼光色と言われます)
が適切です。
ある程度の利用用途をイメージして、明るさ色味の検討ができたら実際に照明器具を選んでいきます。
よくある失敗例としては、デザイン優先で照明器具を選んでしまい明るさが足りなかったり、照明のサイズが把握できておらずバランスが合わないなどがあります。
照明器具はカタログやネットの画像を見て選ぶことが多く光った状態で選ぶことが難しいので、器具のデザインに目がいってしまい明るさの部分をよく分からずに選んでしまうのです。
いろいろなデザインの照明があったり、同じ様なダウンライトで種類がたくさんあったりで迷うことも多いので、具体的に照明選びのポイントについても後ほど解説していきます。
主照明と補助照明の違いは?
照明器具を選ぶ上で一部屋に一つの照明器具を設置するとは限りません。
複数の照明器具をレイアウトすることで使い分けができたり、全体的にバランスの良い明るさを確保することも可能です。
メインとなる照明を主照明、その他補助的に使っていくものを補助照明といいます。
主照明とは言葉の通り、部屋を全体的に明るくするメインとなるライトのことをいい、全体照明とも呼ばれます。
一般的なリビングの天井についているシーリングライトや天井に埋め込まれているダウンライト、大きめのペンダントライトなど、つけて全体が明るくなる照明などが該当します。
補助照明とは主照明の明るさをサポートするものや、特定の場所を照らすものをいい、部分照明とも呼ばれ、スポットライトやブラケットライト、フロアスタンドなどがあります。
これだけ抑えておけばOK!照明機器種類
照明機器もたくさんありますが、とりあえずこれから照明選びをする人はこちらの照明機器を抑えておけばほぼ大丈夫です。
- シーリングライト
- ダウンライト
- ペンダントライト
- スポットライト
- ブラケットライト
- スタンドライト
- ダクトレール
シーリングライト
天井に直接取り付けるタイプの照明器具。
高い位置から部屋全体を照らすことができ主照明として使われることが多い。
ダウンライト
天井に埋め込んでつける照明器具。
シーリングライトより小さく天井内に埋め込まれています。
天井から出っ張らない為すっきりと見せることが可能で、明るさや色温度など種類が豊富です。
ペンダントライト
天井から吊り下げる照明器具です。
コードがついており、照明器具を低い位置に設置することが可能です。
ダイニングテーブルの上などによく使います。
スポットライト
首振り型の照明器具で、照らせる範囲が狭いのが特徴です。
全体を明るくするというよりは狙った位置を明るくすることに向いている為、小物をディスプレイした場所や絵を飾っている場合などに対象に向けて使っていくと効果的です。
ブラケットライト
壁に取付ける照明器具です。天井が傾斜になっているなど取付がしにくい場合に使用したりします。
また、壁のインテリアとしてのアクセントにもなるのでポイントとして使っていきます。
配線などは直接線を電気工事業者に依頼が必要になることが多いため注意が必要です。
スタンドライト
床に置いて使う照明器具です。
コンセントから電源をとって使っていく照明器具ですので、移動が楽でレイアウト変更にも柔軟に対応できます。
また、ソファの横などに設置して手元の明るさを確保する為に利用したりもします。
ダクトレール
主に店舗などで利用することが多いシステムですが、最近では住宅でも利用率が高くなっています。
ダクトレールは電気の走ったレールのことでスポットライトやペンダントライトなどを、自由にレール上に設置していくことができます。
ダクトレールさえ設置しておけば配線工事なしに照明器具を増やしたり減らしたりできるので、家具のレイアウトに合わせてカスタマイズできるのが特徴です。
照明用語や単位について
電気屋さんの電球、蛍光灯コーナーで目にすることもあるかと思います。
単位や用語が理解できるようになると、きちんと目的に合わせた電球を選べるようになります。
せっかくならこの機会に少し覚えておくといいでしょう。
光束(LM:ルーメン)
照明器具の明るさを示す単位。
大手照明器具メーカーのカタログに載っている数値です。
明るさの目安となる数値なのでチェックをします。
明るさを示す数字としてはワットもありますが、それよりも細かく見ていくことができる為便利な数字です。
数字が高いほど器具自体も高価になってきますので必要なレベルで選択していきます。
色温度(K:ケルビン)
光の色を表す単位。
2500程度から4000程度までがよく使われる範囲です。
数値が小さいと赤みが増し、大きくなると青みが増していきます。
電球色、温白色、白色、昼白色、昼光色があります。
- 電球色:2700K 黄色、オレンジ暖色系
- 温白色:3200K 少し赤みを帯びた白
- 白色:4000K やや黄みがかった白 日の出2時間後位の日光の色
- 昼白色:5000K 白 太陽に最も近い色とされています
- 昼光色:6200K 青みがかった明るい白
昔は電球もしくは蛍光灯が使われていた為、電球色か白色が主でしたが、LED照明器具が普及され、今では段階的に色温度を選択できる様になりました。
中間的な温白色はバランスの良い色味と言えます。
消費電力(W:ワット)
その電球の消費する電力を表す単位。
- ワット数が高くなると消費電力は高くなり、明るくなる。
- 各照明器具ごとに規定のワット数がある。
電球を主に照明器具に使っていた時代は60Wや100Wなどが主流でしたが、今ではLEDになっている為実際のワット数は1/10程度になっています。
カタログなどを見ると60W相当などの書き方がされており分かりやすくする為にその様な表記をしています。
【初心者必見】各部屋ごとの照明計画のポイント
照明器具の選び方の基準となる部分を見てきました。
最後に具体的に各ゾーン(部屋)ごとの照明器具の選び方や設置する位置などおすすめの照明計画を解説します。
玄関は色温度が低い照明をおすすめ
玄関は帰宅時にまず使う場所で、靴の脱ぎ履きはもちろん、姿見を利用して服装のチェックもします。
夜間には外から帰ってきていきなり明るすぎると眩しさを感じてしまいますので、どちらかと言えば色温度の低いリラックスできる様な照明がおすすめです。
服装のチェックなどで色もしっかりと見たいということであれば、姿見の上にブラケットライトやダウンライトなどを計画して温白色などの照明器具をレイアウトするのも良いです。
また、来客時などにお互いの顔をしっかり照らせる様に天井の照明器具の位置を調整して中心に来る様に計画するなどチェックします。
オススメ照明器具:ダウンライト、壁付照明器具
リビングは主照明と補助照明を効果的に!
リビングはテレビを見ながら寛いだり家族でゲームをしたり、読書や時にはお子様の勉強など利用用途が多岐に渡りますので、主照明と補助照明を効果的に使った照明計画がおすすめです。
まずはベースとなる主照明について、明るさを充分に確保できるよう計画します。
少し暗めの落ち着いた空間を希望される場合でも、調光や補助照明だけを点灯させて暗めにする方法もある為、ベースの照明は明るくしておく方が後々応用が効きます。
ベースとなる照明は天井埋め込みのダウンライトやシーリングライトなどが良いですが、照明器具をできるだけ見せたくない場合には間接照明もおすすめです。
間接照明は明るさを確保しにくい為補助照明も含めて明るさを確保できる様に計画していきます。
ベースの照明器具を選定する場合には天井の高さもチェックが必要です。
高い位置に照明器具を設置した場合には、その分明るさが届かなくなるので光束(ルーメン)の高い器具を選ぶようにしていきます。
補助照明についてはブラケットライトやスタンドライトなどで好きなデザインの照明器具を設置。
少し印象的に見せたい壁や場所がある場合には、そこにスポットライトなどを設置して照らすことでより空間のアクセントとして見せることができます。
ベース照明を温白色、補助照明を電球色などで選定しておくとスイッチの入り切りのみで空間の照明の色味を変えることも可能になるので、リラックスするタイミングは補助照明のみをONにして使っていくなどもおすすめです。
オススメ照明器具:(主照明)ダウンライト、シーリングライト、間接照明
(補助照明)壁付ブラケットライト、テーブルランプ
ダイニングはペンダントライトの設置が一般的
ダイニングテーブルの上などにペンダントライトを設置するのが最も一般的な計画になります。
料理を美味しく見せてくれるのは電球色の方が良いとされており、色温度の低い器具を選定のがおすすめ。
ただ、設置の位置についても注意が必要です。
ダイニングテーブの上に設置する場合、ダイニングテーブルから70〜80センチの高さになる様にコードを調整して設置するのがおすすめです。
通常の照明器具の高さよりも低い位置となりますが、家具を設置した時に最もバランスがよく見えますし、より料理にも光があたり使いがっての良いダイニング空間を作ることができます。
オススメ照明器具:ペンダントライト
キッチンは色温度の高い器具を選定
主に作業をする空間となる為、明るさを充分に確保した計画とします。
色をよく見える様にした方が食品の状態を確認しやすく、また作業もしやすくなる為、色温度の高い器具を選定することがおすすめです。
ベースとなる充分な明るさの照明器具を選定し、より手元が作業しやすくなる様に手元灯なども検討します。
キッチンに吊り棚がある場合には吊り棚の下に照明器具を設置したり、壁付のブラケットライトを設置することで手元の明るさを確保することが可能です。
オススメ照明器具:ダウンライト、シーリングライト、手元灯
廊下、階段は壁付のブラケットライトがおすすめ
廊下や階段は移動がメインの場所となるので、設置の位置や電球交換などのメンテナンス性に注意をしながら選定します。
階段などは天井が斜めになっていたり段になっていたりしますので、天井に設置するよりも壁付のブラケットライトがおすすめです。
低い位置に照明器具が来ることによりもしも電球が切れた場合など交換も楽になります。
また、夜間などトイレにいくタイミングを想定して足元灯などを設置し常夜灯とするなどのことも検討していくと使いやすくなります。
オススメ照明器具:壁付けブラケットライト、ダウンライト、足元灯
ベットルームは全体的に暗くならないような照明
ベッドルームは就寝前のリラックスできる照明計画としていきます。
全体の主照明はある程度の明るさの物を選び、全体的に暗くならないような照明を選定。
調光のシステムなどを入れて寝るときの明るさをコントロールできる様にするのもおすすめです。
補助照明についてはベッドの脇にブラケット照明を配置したり、サイドボードの上にテーブルランプを設置するなど、低い位置に照明器具を持ってくることによって落ち着く空間を演出できます。
また、クローゼットなどがある場合には収納の中に照明器具を設置して使い勝手の良い収納スペースを作っていきます。
オススメ照明器具:調光付きダウンライト、シーリングライト
まとめ
マイホームを建てる際に忘れてはいけない照明計画の基本からポイントを説明させていただきました。
建て売り、マンションではできない細かいコーディネートが注文住宅なら可能です。
照明計画も住む人自身の生活スタイルを反映させていくとより住み心地の良い家になります。
まとめてみると
- 部屋の用途をしっかり把握する
- 適切な明るさを確保する
- 適切な色味を選択する
- 照明の位置や使う照明器具の種類を選択する
意外と見落としがちな部分ですが、こだわった空間をより引き立たせるための重要なポイントとなるので、是非これらを参考に素敵なマイホームを作ってください。