解体工事をする前には、複数の業者に見積もりを取ってもらって解体費用がいくらくらいになるのか調べる方が多いのではないでしょうか。
相見積もりは安心して解体工事を行うのに欠かせないステップですが、その見積もりの際には解体物件を直接見てもらう必要があります。
一般的には、業者だけがその解体現場を見るわけではなく、施主や代理の方が立ち会って一緒に物件を見ること普通です。
見積もりだけなら無料だという業者が多いため安心して利用できますが、事前に建物の情報などを用意しておくと立ち合い見積もりが非常にスムーズに進みます。
また、立ち合い見積もりで実際に業者のスタッフと顔を合わせることによって、その業者のことも何となくわかったりします。
今回は、そんな解体工事に必要な立ち合い見積もりについて紹介していきます。
立ち合い見積もりと契約は全く別物
最初に、立ち合い見積もりのことについて見ていきましょう。
見積もりをしてもらったから契約をしなければならないと感じる方もいらっしゃいますが、そんな事はありません。
相見積もりは当たり前
ひと昔前であれば、見積もりを依頼した業者にそのまま解体工事をお願いするというのが普通だったかもしれません。
しかし解体業者が多数存在する現在においては、複数の業者に見積もりを取ってもらって最も条件の良い業者や安心できそうな業者を選ぶというのはいたって当たり前の行動です。
少なくても3社程度の解体業者を比較することで、良い業者に出会えることもあれば避けたほうが良いと感じる業者に出会うこともあるでしょう。
中には、せっかく現地に赴いて見積もりを出してくれた業者だから、と心を痛めるような方もいらっしゃるかもしれませんが、施主自身がメリットを感じない業者にお願いする必要はありません。
きっぱりと断っても基本的には問題ありませんので、相見積もりだという旨を伝えておきましょう。
上手な断り方
遠方から来てもらった業者さんに悪いからという理由から、最初に見積もりに来た業者と契約を結んでしまう方もいらっしゃるようです。
しかし、3社以上に相見積もりを取る方が増えているため、実際に利用される1社よりも、見積もりをしたのに断られる会社の方が多いということになります。
つまり、どの解体業者も見積もりをすれば絶対に契約が結べるとは考えていませんし、予め他の業者も比較するということを伝えていれば、実際に使わないとなった際には気軽に断りを入れることができるはずです。
ただし、中には見積もりのみの場合はお金がかかるという業者なども存在するため、念のため見積もりだけを無料でやってくれるか確認しておくことをおすすめいたします。
強引な業者
業者の中には、せっかく見積もりをしたんだからそのまま契約をしてくれるのが当たり前です、というスタンスで施主に話を持ちかけてくるようなところもあります。
また、見積もりを行ったスタッフの人件費や交通費、見積書の作成費などの実費がかかっているなどといった話をするような業者も存在します。
もちろん業者としては見積もりをしてそのまま制約に結び付けたいと考えているため、見積書を出したら、このまま話を進めたいと提案してくることが多いです。
しかし、初めに複数の業者を比較したいと話を通しているわけですし、最終的には全ての業者を総合判断して施主が決断することですので、一業者の一スタッフに決められる必要はありません。
もちろん業者にも業者の事情があるのかもしれませんが、相見積もりでは施主が主導権を握って複数の業者と話を進めていくのが大切です。
立ち合いに来る業者の人間とは?
解体工事の現場見積もりをする際には、基本的には施主が立ち会う必要があります。
それでは、解体業者からはどのような人が何人くらい来るのが普通なのでしょうか。
業者のスタッフ
解体業者にも様々なタイプのところがありますが、規模によって見積もりに来るスタッフが変わってきます。
例えば大手の解体業者であれば、社内にはたくさんの職種が存在しているはずですので、その中の営業担当が見積もり現場に現れることになります。
しかし、数人で会社を回しているような場合は、その会社の代表である社長が営業をこなすことも少なくないですので、社長が見積もりに来ることもあります。
見積もりに来たのが社長であれば、値下げ交渉などをはじめとする話が進むのが早いですが、営業担当の場合は社内で話し合いなどが必要になるケースもあるため、時間がかかることも多いです。
見積もりに来るスタッフの数
一般的な住宅を解体する場合は、見積もりで現場の写真を取ったり寸法を測ったりすることになります。
これらの作業は基本的には1人いれば十分ですので、業者によっても異なりますが、見積もりに1人で来るというところも少なくありません。
しかし、解体予定の建物の規模が大きい場合は1人で回ると時間がかかってしまうため、複数人で一緒に来ることもあります。
基本的には1人ないし2人が来ることになると思いますが、場合によってはそれ以上の人数が見積もりに立ち会うこともあります。
見積もりスタッフが多くなるケース
建物を解体してほしいという顧客に対する見積もりの場合は、1人や2人で十分に事足ります。
しかし、単純な解体作業ではなく内装のみの解体であったり、解体工事とは別に補修工事などが必要な場合などは、それぞれの分野のプロが同行することもあります。
例えば内装を解体する場合は電気配線などの切り離し工事が必要になるケースも多いため、電気屋が一緒に来ることも多いです。
そうすることによって、より細かい見積書を作ることができます。
見積もりに要する時間
現場見積もりをして欲しいけど、あまり時間を空けることができないという多忙な方も多いはずです。
それでは、一体見積もりにはどれくらいの時間が必要なのでしょうか。
一般的な作業と所要時間
もちろん建物の規模によっても所要時間は変わってきますが、現場の見積もりでスタッフがやることは大体決まっています。
例えば、寸法を測定して作業スペースが確保できるかの確認や廃棄物の搬出経路があるかどうか、車両が入れるかどうかなどのチェック、近隣の建物の確認などを行います。
基本的には1人のスタッフが写真を取ったりメモを取りながら建物を回ることになるのですが、通常は30分程度ですべて終わってしまいます。
時間がないという方は、事前に30分くらいしか開けられないという旨を伝えておくことで、スタッフが素早く建物をチェックしてくれるはずです。
時間がかかることもある
普通はそんなに時間がかかることのない現場見積もりですが、場合によっては1時間以上かかってしまうようなケースもあります。
例えば、1つの敷地に2つの建物が建てられておりそれを2つとも解体するような場合は調べるのに時間がかかりますし、単純に大きな建造物の見積もりにも時間が必要です。
また、ブロック塀やカーポートをはじめとするエクステリアもチェックすることになるのですが、そういった付帯建造物がたくさんある場合も、1つ1つ確認するのに時間が必要になってきます。
さらに、アスベストが使われている建物の場合は、具体的にどこにどれくらいの量のアスベストが使用されているかも確認する必要があるため、長時間の見積もりになる可能性があります。
他にも、建物を部分的に切り離して解体する場合や、残置物の量が多くその処理も業者にお願いする場合などの特殊なケースは、普通よりも時間がかかることが多いです。
立ち合い時に用意しておいたほうが良い物
解体業者に見積もりの依頼を出す際には、解体業者から事前に用意しておいてほしい情報などを伝えられるかもしれません。
実際に建物の情報があれば見積もりがスムーズに完了しますので、用意できるものは事前に用意しておきましょう。
建物の図面
解体予定の建物の図面があるのであれば、工事の計画が立てやすかったりするので業者のスタッフに見せるとよいでしょう。
コピーを用意してスタッフに渡してしまうというのも方法の1つですが、コピーがなくてもその図面を写真に収めたりすることができるため問題ありません。
なお、建物の図面なんてないという方もいらっしゃるかもしれませんが、なかったとしても見積もりができないわけではないためご安心ください。
境界について
解体工事を行う上で、隣の家などとの境界をはっきりさせておくというのは非常に重要なことになります。
例えばブロック塀などが境界のどちら側にあるかで所有者が変わってきますし、それによって解体すべきものなのかどうかも変わってきます。
共有物というケースもあるため、見積もりのスタッフが来るまでに隣人と境界について話をしておいたほうが良いかもしれません。
解体予定物を決める
メインの建物を解体するという方の中には、その建物とは別のところに建っている倉やガレージは残しておきたいというような方もいらっしゃいます。
また、建物の全てを解体するのではなく一部のみを切り離して解体したいという方もいらっしゃるはずです。
解体する場所や解体範囲などによって、工期が変わってきたり解体費用が大きく変わる可能性もあるため、どこからどこまでを解体してどこを解体しないのかということを事前に決めておく必要があります。
なお、例えばガレージを壊すか壊さないか迷っているというようなケースもあると思いますが、その場合は業者に解体した場合と解体しない場合の両方の見積もりを出してもらうことで判断しやすくなるはずです。
残置物の処分について
解体予定の建物に残された家財は、解体業者に一緒に処分してもらうこともできますし、自分で処分することもできます。
もちろん自分で処分したほうが安いのですが、面倒なのでまとめて業者にやってもらうという方も少なくありません。
残置物を一緒に処分する場合は、その廃棄物の処分費用も見積もりに上乗せされることになりますので、まずはいくらくらいになるのか見積もりを見るのもよいかもしれません。
別で不用品回収業者などに見積もりを出してもらい、お得な方を使うというのも方法の1つです。
解体希望日時
実際に建物を解体するとなった場合に、どの時期に工事をしてもらいたいかという希望を決めておく必要があります。
業者によっては希望の時期にスケジュールが開けられないというようなケースもあるため、そうなってしまっては見積もりの意味がなくなってしまいます。
また、業者の空き状況によって解体費用が若干上下することもあるため、大体の希望日を伝えておきましょう。
時期をはっきりさせることができれば、いつまでに契約を結ばなければならないかということもわかりますので、その後の予定が立てやすくなります。
立ち合い時のポイント
せっかく業者に立ち会ってもらうのですから、こちらの要望をしっかりと伝えたり業者の人間を観察するのは重要です。
最後に、立ち合い時のポイントを紹介させていただきます。
業者の確認
担当のスタッフがどのような役職であったとしても、その解体業者のスタッフであることには間違いありません。
もちろん個人の性格などによっても印象は変わってくるかと思いますが、そのスタッフとのやり取りによってどのような業者なのかを想像することはできるでしょう。
例えば、スタッフのマナーが悪ければあまりいい業者とは言えませんし、逆に誠実な態度を取られれば業者に対する印象もよくなるはずです。
複数の業者を比べるわけですから、料金などだけではなく、その担当者から感じ取れるものも比較対象にしてみましょう。
要望を伝える
先ほども少し述べましたが、解体工事の時期をはじめとするこちらの要望を見積もり時にきちんと伝えておくようにするのは重要です。
もちろん、解体するつもりのなかったガレージを解体することになるなど、後々状況が変わってくることもあるかもしれませんが、まずは見積もり時点でのこちらの要望を全て伝えるのが大切です。
要望が細かければ細かいほど正確な見積もりを出すことができますが、逆に要望が後付けになってしまうと見積もりの金額と実際の金額の差が大きくなってしまったりすることもあります。
正確な見積もりを取るためにも、業者が来るまでにこちらの要望をまとめておく必要があります。
不明点はすべて聞く
解体工事をするにあたって、不安な点やわからない点などはたくさんあるのではないかと思います。
状況によって質問内容は変わってくると思いますが、不安な部分を残したまま見積もりを出してもらい、そのまま工事に入ってしまうと聞くタイミングがなくなってしまいます。
また、質問内容によって見積もりの金額が変わってくることもありますので、できれば見積もり結果が出る前にすべてスタッフに質問して不安点を解消してしまいましょう。
そうすれば見積もりがより正確になりますし、すっきりした気分で解体工事をお願いすることができるはずです。
担当者からの質問にも答えるべき
現地で見積もりをしている際には、担当者から建物に関することを色々質問されることがあるかもしれません。
その回答内容によって見積もりの価格が変わることも多いため、わかる範囲でよいのでできるだけ正確な情報を伝えるようにしましょう。
もちろんその情報がなくても見積もりを出すことができるかと思いますが、実際に請求される金額と変わってくる可能性もあります。
最後に
立ち合い見積もりは、解体工事をするにあたって非常に重要な役割を果たします。
複数の業者に見積もりをお願いすることによって、単純に値段を比較することができますし、スタッフの対応でどのような業者かを判断することも可能です。
事前に建物の情報をしっかりと集めておくことによって、見積もりの時間を短縮することができますし、見積金額を正確に出してもらうことができます。
しかし、反対に建物の情報がないと現場での調査を細かく行う必要があるため時間がかかってしまいます。
特にあまり時間がないという方は、立ち会うまでにできるだけたくさんの情報を集めておくことによって、スムーズに見積もりを出してもらうことができるはずです。