例えば、ネットで3000万円と記載されている一戸建てを購入するためには、3000万円では不十分です。
それは、一戸建てを購入するためには単純な物件の価格以外にも様々な諸費用が必要になってくるからです。
細かく分けるとその諸費用には様々なものがありますが、大きく分類すると
- 税金
- ローン
- 報酬
- その他
の4つに分けることができます。
もちろん項目によってその額は大きく異なりますが、いずれにしても一戸建てを買うのであれば物件の表示価格以上のお金を用意しておかなければなりません。
それでは、それぞれの諸費用は具体的にどのようなものになるのでしょうか。
この記事では、一戸建てを購入する際に必要な諸費用についてまとめてみました。
目次
一戸建てを購入するのに必要な税金
不動産を購入するにあたって、様々な税金を支払わなければなりません。
具体的には、
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 印紙税
- 消費税
が必要です。
登録免許税
不動産だけではなく、会社などの登記をする際や登録をする際には、税金が徴収されることになります。
不動産を新規で取得する場合は、その価格に応じて一定の税率をかけて税額を求めます。
具体的には、登記をするにあたって固定資産税評価額の2.0%を登録免許税として支払わなければなりません。
登録免許税は、戸建てが中古であったとしても新築のものであったとしても同じ税率が適用され、購入をする際に必ず支払わなければならない経費の1つです。
登録免許税 = 固定資産税評価額×2.0%
不動産取得税
登録免許税と同様に、不動産を中古で購入する場合、または新築で建てる場合にかかってくる税金が不動産取得税です。
マンションの場合はそのマンションの一部屋に対してかけられますが、一戸建ての場合は土地と建物のそれぞれに対してかかります。
不動産取得税の税額は、土地や建物の固定資産税評価額の3.0%をかけて計算されることになります。
こちらも登録免許税と同じく必ず支払わなければならない経費の1つですが、場合によっては軽減措置もあるため、購入時によく確認しましょう。
不動産取得税 = 固定資産税評価額×3.0%
印紙税
こちらは、一戸建てに限らず不動産を購入する際に、売買契約書や金銭消費貸借契約書などに貼って納める税金です。
税金の額は、購入する金額や住宅ローンの申し込みの有無などによって変わってきます。
例えば5000万円を超えるような物件、または1億円を超える戸建てを購入する場合には変わってきますが、基本的には1万円~2万円程度になることが多いです。
また、新築で家を建てる際には税額の軽減が受けられるケースもあります。
不動産購入の契約金額 | 本則税率 |
---|---|
500万円~1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円~5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円~1億円円以下 | 60,000円 |
消費税
最近は少しずつ消費税が上がってきていますし、消費税が上がる前に不動産を購入するという方も少なくありません。
しかし、不動産の中には消費税がかからないものも存在し、それは明確に決められています。
不動産 | 不動産の種類 |
---|---|
消費税がかかる不動産 | 新築の戸建て、マンションなどの建物部分 |
消費税がかからない不動産 | 土地、個人から購入する中古の戸建て、マンション |
例えば3,000万円で購入した一戸建ては、当然土地部分と建物部分に分類することができます。
3,000万円の内訳が
- 土地1,800万円
- 建物1,200万円
となっている場合、消費税は建物部分の1200万円に対してかかることになります。
また、この消費税が適用されるのは新築として一戸建てを購入した場合になり、個人が売主の中古戸建てに対してはかかりません。
ただし、中古物件の中には不動産会社などがリフォームをして販売するようなものもありますが、それらを購入する場合は課税されます。
消費税がかかるのは新築で購入する一戸建ての上物部分のみです。
住宅ローン関係の主な諸費用は5つ
一戸建てを一括で支払うというのであれば、ローンを組む必要がありませんので、当然ローンに関する諸費用を支払うこともありません。
しかし、一般的には住宅ローンを利用して不動産を購入される方がほとんどですので、通常はローンに関する諸費用も購入時に支払います。
主な諸費用としては、
- 住宅ローン保証料
- 住宅ローン事務手数料
- 住宅ローン代行手数料
- 団体信用生命保険料
- 火災保険料
などが挙げられます。
住宅ローン保証料
住宅ローンを組むのに必要な諸費用は複数存在しますが、その中でも最も高額となるのがこの住宅ローン保証料です。
住宅ローンを利用する方の中には、何らかの事情でローンの返済が滞ってしまい払えなくなってしまう方もいらっしゃいます。
そういった方は保証会社にローンを立て替えてもらうことになりますが、そのための費用が住宅ローン保証料なのです。
ちなみに、建て替えて支払ってもらえるとしても、購入者が残りのローンを支払う義務がなくなるというわけではありません。
それまで金融機関に支払っていたローンを、その後は保証会社に支払うことになります。
保証料は返済期間や融資額によって変わってきますが、一般的な35年ローンを組んだ場合、1,000万円の融資額につき保証料が20万円~30万円程度になります。
そのため、例えば3,000万円を借りた場合は保証料として60万円~90万円支払わなければなりません。
住宅ローン保証料 = 融資額1000万円につき20万円~30万円
住宅ローン事務手数料
住宅ローンは基本的に銀行から融資を受けることになりますが、ローンを組む際には銀行に対して住宅ローン事務手数料を支払わなければなりません。
銀行に支払う金銭になりますが、これは銀行によって価格が変わってきます。
銀行 | 手数料 |
---|---|
都市銀行 | 32,400円 |
地方銀行 | 54,000円 |
住宅ローンを組む以上は節約することのできない手数料になるため、こちらも諸費用の1つとして覚えておきましょう
住宅ローン事務手数料=32,400円~54,000円
住宅ローン代行手数料
銀行に行って住宅ローンについての相談をすれば、基本的には色々と親切に教えてくれるはずです。
しかし、その住宅ローンに必要な書類を作成したり銀行に提出するのが面倒だ、苦手だという方もいらっしゃるでしょう。
不動産会社の中には、その住宅ローンの申請を代行してやってくれるところもあります。
そして、その費用として支払うのが住宅ローン代行手数料になるのですが、実はこの手数料には上限が決められていません。
しかし、一般的には10万円+消費税と設定しているところが多いようです。
なお、不動産会社の中にはこの住宅ローン代行手数料を取っていないところもありますし、自分でやれば当然かからない経費です。
住宅ローン代行手数料=10万円前後
団体信用生命保険料
住宅ローンを利用するにあたって加入しておいたほうが良いものとして、団体信用生命保険が挙げられます。
この団体信用生命保険に加入しておくことによって、ローンを組んだ方が完済前に亡くなった場合に保険金が支払われます。
この保険に加入していない場合は、亡くなった方の遺族が引き続きローンを支払い続けなければなりませんが、加入していれば保険によってローンが完済されます
保険料は条件などによって異なりますが、一般的には
- 初年度が10万円程度
- 2年目以降は支払額が徐々に減少していく
といったシステムになっています。
義務というわけではありませんが、例えば強制加入が義務付けられていない住宅ローンであったとしても、加入しておくことをおすすめいたします。
団体信用生命保険料=10万円程度(初年度)
火災保険料
住宅ローンを組む際に、意外と大きな出費となるのが火災保険料です。
火災保険とは、購入した一戸建てや家財などが火事や落雷などによって被害を受けた場合に守ってくれるといったタイプの保険です。
正確に言うと住宅ローンと火災保険はあまり関係がありませんが、住宅ローンを組む条件として火災保険の加入が求められるのが一般的です。
火災保険にも様々なものがあり、補償内容やプランなどによって保険料が変わってきますが、一般的には年間2万円程度になります。
ただし、通常は10年分の料金を一括で納めるケースが多く、その後も10年ごとに更新していくことになります。
そのため、住宅ローンを組む際には火災保険料として即金で20万円程度を支払う必要があります。
住宅ローンに加入する際には、金融機関や不動産会社から勧められた火災保険にそのまま加入するという方もいます。
しかし選択できるのであれば、複数の火災保険を吟味して最も良いプランを選ぶのもよいでしょう。
火災保険料=20万円前後以上
第三者に報酬を支払う際に必要になる報酬
全て個人の力で不動産を購入するのであれば、第三者に報酬を支払う必要はないのかもしれません。
しかし、一般的には専門家を利用して不動産を取得することになるため、それらに相応の報酬を支払わなければなりません。
主な報酬としては、
- 仲介手数料
- 司法書士報酬
が挙げられます。
仲介手数料
新築で一戸建てを購入するのであれば、不動産会社に売買を仲介してもらうということもないため仲介手数料がかからないことが多いです。
⇒不動産を売却する際の仲介手数料の相場と知って得する6つのポイント
しかし、中古の一戸建てを購入する場合は一般的に不動産会社を間に通すケースが多いため、売買契約が成立したら仲介手数料を支払います。
仲介手数料は不動産会社によって定められている額が異なりますが、一般的には消費税を含まない売買金額の3%+6万円が上限となっています。
もちろん上限以下の手数料を設定しているところもありますが、基本的には上限いっぱいで取られるケースが多いです。
しかし、仲介手数料は話し合い次第では値引きしてくれる不動産会社もあるため、場合によっては節約可能な経費と言えます。
仲介手数料=売買価格の3%+6万円
司法書士報酬
新しく不動産を購入する場合には、登記をはじめとする様々な事務手続きが必要になってきます。
例えば登記に詳しい方であれば、ご自身でその手続きを行うことも可能ですが、一般的にはややこしいと感じる方が多いはずです。
そういった手続きを代行してやるサービスを行っているのが司法書士になり、通常はその司法書士に10万円程度の報酬を払って手続きを進めてもらいます。
例えば所有権移転登記などの不動産登記や抵当権設定登記などが代表的なものですが、基本的には全て司法書士にお願いすることが可能です。
司法書士への報酬=10万円程度
まだまだある細かいその他の諸費用
上述したのは、一戸建てを購入するにあたって必要になってくる費用の一部になり、不動産取得のためには他にも様々なコストが存在します。
その一部を紹介させていただきますが、ここで紹介するコストは数百円だったり、ご家庭によって大きく変わってくる種類の金額なので、具体的な費用は割愛します。
- 課税証明書・納税証明書取得費用
- 住民票・印鑑証明書取得費用
- 引っ越し費用
- 家具購入代金
- リフォーム費用
課税証明書・納税証明書取得費用
こちらは収入を証明するための書類です。
銀行などの金融機関に住宅ローンを申し込む場合は、その審査に使うため事前に取得しておかなければなりません。
この課税証明書や納税証明書があることによって、安定した収入を得ているということを証明することができます。
住民票・印鑑証明書取得費用
住民票などは、不動産を購入する過程の複数の場面で利用する可能性が高い書類の1つです。
例えば住宅ローンを申し込む際にも使いますし、登記を申請する際にも求められる書類になるため、複数枚用意しておく必要があります。
ただし、基本的には発行から3ヵ月以内のものしか使えないため、取得の枚数や取得のタイミングなどは、不動産会社に確認することをおすすめいたします。
数百円程度で取得可能です。
引っ越し費用
新しく一戸建てを購入するということは、当然それまで住んでいた場所から新居へ移動をするということです。
そのためには引っ越しをしなければなりませんが、荷物が多い場合は引っ越し代もそれなりの額になってしまいます。
例えば新居の購入に合わせて家具などを新調するというご家庭も多いですが、それはそれで古い家具を処分するためのコストもかかります。
古い家具や家電をリサイクルショップに売却したりネットオークションで売ってみるなど、時間に余裕がある方は少しでも引っ越し代の経費を減らすことをおすすめいたします。
家具購入代金
仮にそれまで住んでいた住居で利用していた家具をそのまま新居に持って行くとしても、新しい家具を全く買わなくても良いというケースはほとんどありません。
第一に、旧居と比べるとスペースが広くなる可能性が高いため、それにあった家具を新しく買うというご家庭が多いはずです。
また、特に新築で一戸建てを購入する場合は、建物に対して古い家具が不釣り合いだと感じることが多いため、結局購入を考えるご家庭が多いです。
いずれにしても、新しい電化製品からちょっとした家具まで、恐らく様々な家具をそろえることになるため、その費用も考慮しておきましょう。
リフォーム費用
中古で一戸建てを購入する場合は、大掛かりなリノベーションをするという方も多いですし、少なくとも部分的なリフォームをする方がほとんどです。
⇒リフォームとリノベーションの違い。それぞれのメリット・デメリット
ちょっとしたリフォームであれば安くできることも多いですが、家全体をリノベーションする場合はそれなりにコストがかかります。
当然リフォームを前提として中古の一戸建てを購入する方は、そのリフォーム費用も考えているはずです。
しかし、思ったよりもリフォーム費用が高くなってしまうというのは珍しいことではないため、慎重にプランニングするようにしましょう。
住民票などはそこまで費用はかかりませんが、引っ越し代やリフォーム代は場合によっては数十万円かかることもあるので注意しましょう。
一戸建て購入の経費は意外と高い。最終的に掛かる諸費用の相場
紹介させていただいたように、一戸建てを購入する場合は、その建物以外にも様々なコストを考えなければなりません。
それでは、建物以外にかかる費用は一体いくらくらいなのでしょうか。
諸費用の目安
一戸建てと言っても、新築物件を購入するのか中古物件を購入するのかで諸費用が変わってきます。
種類 | 諸費用の合計 |
---|---|
新築の一戸建て | 建物購入価格の5%程度 |
中古の一戸建て | 建物購入価格の8%程度 |
例えば3,000万円の物件を購入するとなった場合
- 新築物件購入に必要な諸費用‥150万円
- 中古物件購入に必要な諸費用‥240万円
ということになります。
これはあくまで目安であり、例えば高ければ中古物件を購入する際に諸費用として10%以上が必要になるケースもあります。
中古の物件の方が高いのは、やはり購入の際に必要な仲介手数料が含まれるためです。
なお、引っ越し費用や家具購入費などは含まれていないため、これよりもさらにお金がかかってくると思っておきましょう。
諸費用を減らすためには?
諸費用には、大きく削ることができるものとそうでないものが存在します。
例えば、住民票をはじめとする必要書類を取得するための経費は、微々たるものかもしれませんが削ることができません。
一方で、仲介手数料のような経費は、場合によっては大幅に削減することも可能です。
同様に、引っ越し費用や新しい家具の取得コストなども、考え方次第、やり方次第では減らすことができるはずです。
一戸建ての費用に比べるとどれも安いものかもしれませんが、経費は通常ローンではなくその場で一括で支払わなければなりません。
一度に出ていくお金が大きいとその後の生活が大変になってしまう可能性があるため、減らせるのであれば可能な限り減らすことを意識するようにしましょう。
まとめ
一戸建てを購入するにあたって、新築であろうが中古であろうが、物件の本体以外にも様々な諸費用が必要だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
住宅そのもののコストは、頭金はともかくとして、数十年にわたって分割して支払っていくことができます。
しかし購入に当たって必要な経費は、基本的に購入時にまとめて支払わなければならないモノばかりです。
諸費用の中には節約しようと思えばできるものもあるため、まとまったお金が一度に出ていかないようにできるだけ節約することをおすすめいたします。
そして、一戸建てを探す際には、諸費用が大体いくらくらいになるのかということも計算してから購入に移るようにしましょう。