土地を親から相続する予定の人や相続した人は多いのではないでしょうか?
土地は先祖代々引き継がれているものも多く、相続で受け取る人が多い資産です。
- 土地を相続する予定だけどどうしたらいいかわからない・・・。
- 土地を相続したけど、どのように手続きを進めていいかわからない・・・。
そんなお悩みを抱えている方も多いと思います。
相続は知識がないまま行ってしまうと損をしてしまうことがあるので、注意が必要です。
そこで、この記事では相続の中でも土地を相続するというケースに絞って注意や対策などを紹介していきます。
土地の相続を考えていらっしゃる方の参考になれば幸いです。
【土地の相続】生前にやっておきたい対策やポイント
特に重要なのはしっかりと生前に相続対策をしておくことです。
まずここでは生前のにしておいたい方がいい対策やポイントをを2つピックアプしてみました!
どんな物件かを把握する
まずは物件を把握することが重要です。
土地と言っても場所や大きさ、形状によって利用できる用途は大きく異なります。
それぞれの見ておくべきポイントがこちらの3つです。
- 場所
- 大きさ
- 形状や道路付き
場所
土地の価値を図るために土地がある場所は非常に重要な要素です。
一般的に東京・大阪・名古屋などの大都市圏の土地は非常に価値が高まります。
また3大都市圏でも主要駅へのアクセスや住みやすさなどによって大きく価格や用途が異なります。
まずはその土地がどのような特性を持った土地であるか確認するようにしましょう。
大きさ
次に土地の活用には広さも重要です。
マンションなどの大規模な建物を建てる場合はそれなりの広さが必要となります。
大きさによって利用の用途が大きく異なることを覚えておきましょう。
形状や道路付
土地はその形状や道路付けも有効活用するうえで重要な要素です。
長方形や正方形に近い形の土地を整形地、逆にいびつな形の土地は不整形地と呼ばれています。
整形地はその土地を最大限活かせるのに対し、不整形地は建物を建てる際にどうしても有効に使うことができない部分が多く出てきてしまいます。
そのため、同じ広さであっても、不整形地は価値が下がってしまうのです。
また、どのような道路についているかも重要です。
多くの車が通るような大きな道路についた土地であればロードサイド店舗として活用することができるため、価値がグッと上がります。
逆に道路が付いていない土地は法律上建物を建てられない場合も多く、周辺の相場よりも大きく価値が下がってしまいます。
遺言を作成しておく
相続人が複数いる場合は誰がその土地を相続するかをあらかじめ決めておくことも重要です。
誰にその土地を遺すか生前に決める際は遺言を作成することが有力な選択肢の一つ。
生前に遺言を作成することで、確実に指定した相続人に土地を遺すことができます。
ただ、遺言を作成する手順や遺言書で大切な
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
という言葉を知らない人もいると思うので、ここではそれらについて少し解説していきますね。
遺言を作成する手順
遺言を作成する手順ですが、まず相続人が誰なのかを明確にしておく必要があります。
法定相続人を確定させ、自分にとって相続人が誰なのかを確認しておきましょう。
また、法定相続人以外に財産を遺したい人がいるのであれば、遺言で指定することで財産を遺すことが可能となります。
相続人が確定出来たら次に行うのは財産目録の作成。
財産目録を作成する際は、全ての財産をもれなく記入する必要があります。
財産目録を作成することができたら、財産の配分を考えます。
財産の配分を決める際は全ての財産の配分を決めておいた方がよいでしょう。
例えば、この土地は長男に、残りの資産は相続人で話し合って決めるようにと遺言を書いたとしましょう。
このような遺言では財産全体の分割に時間がかかり、相続人が分割に時間がかかってしまうことがあります。
土地や建物等の不動産だけでなく預金や株等の有価証券も含めて、財産配分を記載しておくことが遺される相続人のためになります。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とはその名の通り自分で作成する遺言です。
遺言は自分で作成することができますが、様々な形式要件があります。
不備があると遺言が有効と認められないため、注意が必要です。
また、遺言を保管している場所を相続人に伝えておかないと、遺言自体が放置されたまま相続人が遺産分割協議を行う可能性もあります。
遺言の保管場所は相続人に伝えておくようにしましょう。
公正証書遺言とは?
公正証書遺言は公証役場で作成する遺言です。
形式的な不備があれば、公証人が指摘してくれますので、不備がある遺言が作成されることはありません。
そのため、確実に有効な遺言を作成することが可能となります。
公正証書遺言は公証役場に出向く必要もあり、作成には費用が必要となるため、手間とお金がかかります。
しかし、中途半端な遺言は遺された人にとっては迷惑になる場合もあります。
作成に自信が無い方は公正証書遺言でしっかりと作成する方良いでしょう。
相続発生後に行う手続きや完了までの流れ
不動産を相続する場合、様々な手続きが必要になります。
相続発生から手続き完了までの流れを確認しておきましょう。
①必要な書類を収集する
不動産相続を相続する場合、必要となる書類は以下の通りです。
- 相続が発生した後の相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の本籍の記載がある住民票の除票
- 不動産の登記事項証明書
- 不動産を相続する相続人の住民票
- 不動産の固定資産評価証明書
不動産の相続手続きを行うためにとても多くの書類が必要となります。
費用はかかりますが司法書士に委任状を渡すことで、代わりに集めてもらうこともできますので必要に応じてお願いしても良いでしょう。
②遺産分割協議書を作成する
遺言がなかった場合は、相続人間で誰がどの財産を相続するかを決めて遺産分割協議書を作成する必要があります。
全ての財産が現金であれば分割することは比較的簡単ですが、同じものがふたつとない土地や建物などの不動産になると複雑になります。
土地や建物を安易に共有で相続してしまうと、後々売却や有効活用を行う際に意思決定が難しくなります。
しっかりと話し合って誰がどの不動産を相続するかを決めた方が良いでしょう。
特定の不動産が相続財産の大部分を占める場合は一人の相続人がその不動産を相続する代わりに他のもともと相続人が保有していた現金で支払うこともできます。
このような分割方法を代償分割といいます。
③相続登記申請を行う
登記とはその不動産が自分のものであると主張するために必要です。
もし相続登記を行わずに、被相続人の名義のままにしておくと、様々な不都合が生じます。
例えば、売却するときや土地を担保に銀行から融資を受ける場合、売却する際は必ず登記をしてからしか売却することができません。
登記をするのに時間がかかっているうちに売り時を逃す可能性もあります。
融資を受ける場合も売却と同様、登記をすませておかなければ、融資を受けることができません。
遺産分割協を作成することができたらすみやかに相続登記を行うことをオススメします。
相続登記はご自身でも行う事ができますが、司法書士にお願いすることも可能です。
費用はかかりますが、時間がかるようであれば、司法書士にお願いして速やかに行う方がよいでしょう。
④相続した土地の活用方法を検討する
相続した土地はそのまま持っていてもいいですが、できれば上手に活用するのがおすすめです。
ではどのように活用をすれば良いのか、相続した後の具体的な活用方法をここでは4つ紹介します。
売却する
不要な土地であれば売却するのも一つの手段です。
土地は所有者に毎年固定資産税がかかり、保有するだけで維持費がかかりますので、場合によってはタダ同然の値段でも手放した方がいい場合もあります。
しかし、売れない土地もあるので注意は必要です。
特に道路がついていない場合や、立地条件的に厳しい物件だと売却自体ができない可能性があります。
マンションを建てる
相続した土地が住居地として人気があり、それなりの大きさがあるのであれば、賃貸マンションを建てることも一つの選択肢となります。
賃貸マンションは通勤や通学に便利な駅近であれば需要が常にあるため、景気変動の影響を受けにくく安定した経営をすることが可能です。
ただし、リスクが全く無いわけではありません。空室が多くなってしまうリスクや自然災害で建物が被害を受ける可能性もあります。
店舗として賃貸する
大きな道路についている場合や駅に近い場合には店舗に貸し出すことも可能です。
店舗に貸し出す場合は一般的に住宅よりも利回りが高いと言われていますが、景気変動の影響を受けやすく空室リスクが高まります。
店舗として貸し出す場合は立地条件をしっかりと確認してから行うようにしましょう。
駐車場として利用する
マンション等の建物を建てると自然災害で建物に被害を受ける可能性や、空室となってしまい固定費だけがかかってしまい、赤字となってしまうリスクを0にすることができません。
そのようなリスクをとりたくないと言う方は駐車場として利用することをオススメします。
駐車場であれば、大型の設備は必要ありませんので、気軽に始めることができます。
また、将来自分がその土地を使いたい場合にも駐車場にしておけばすぐに自分で利用することもできますよ。
土地を相続する際によくある疑問
相続は人生で何度も経験するものではありません。
こんな時どうしたらいいの?と多くの疑問を皆さん抱きます。
最後に土地を相続する際に多くの人が悩むポイントについて解説します。
建物を建てた方がお得?
「建物を建てると相続税が下がる」そんなことを聞いたことはありませんか?
結論から言うと、建物を建てただけでは土地の相続税は下がりません。
建物を建てて人に貸すことで相続税が下がるのです。
建物を建てて人に貸している土地は自ら使用できる土地では無いため貸家建付地として相続財産の圧縮(=相続税の節税)につながります。
建物を建てるならどんな建物を建てるべき?
先ほどご説明した通り、建物を建てて人に貸すことで相続財産の圧縮につながります。
しかし人に貸そうと思って建てたマンションも誰も借りてくれなくては貸家建付地として評価の圧縮効果がありません。
ローンを借りた方がいいって本当?
ローンを借りたら相続財産の圧縮につながると勘違いされている方も多いですが、ローンを借りることが相続財産の圧縮になるわけではありません。
確かにローンなどの債務は財産から差し引くことができますが、あくまで1億円のローンを組んでも1億円の現金が増えてしまうと±0になりますので、相続財産の圧縮効果はありません。
ただし、土地に建物を建てることで相続税の圧縮効果がありますので、ローンをして規模が大きくなればそれだけ圧縮の規模も大きくなります。
あくまでローン自体が相続財産の圧縮につながるのではなく、ローンを利用することで建物の規模を大きくすることで相続財産の圧縮につながることを理解しておきましょう。
相続が発生する前に売却したほうが良い?
相続が発生する前に売却するべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
土地は2つとして同じものは無く、個別性の強い財産なので一概にどちらが得であると言うことはできません。
しかし、相続税のことを考えると相続してから売却した方が良いでしょう。
相続税の計算に使う「路線価」は市場での売買価格の8割程度と言われています。
そのため、相続が発生する前に売却して現金化した場合は土地での評価額よりも多くの現金を受け取ることとなり、相続財産としての評価は高くなってしまいます。
しかし、不動産として持っておくことで相続した際に様々な手続きを行う必要があります。
それぞれのメリットとデメリットがありますので、よく確認して判断した方が良いでしょう。
まとめ
土地は先祖代々引き継がれることも多く、相続で受け取ることも多い資産です。
相続する前から、土地についてしっかり考えておくことで、様々な活用方法が見つかります。
相続する予定の不動産があるのであれば、まずはその土地について現状を把握することから始めましょう。
土地の現状を把握することで、売却、マンションの経営等選択肢が広がるはずです。
しっかりと、準備をして対策を行うことで相続した土地を最大限活用することができますので、相続する予定の土地や相続した土地について行動を起こしてみてはいかがでしょうか。