最近は、家具をはじめとした日用品をDIYで自分で作ってしまう方も多いですし、日曜大工が趣味だという方も少なくありません。

自分で作ることによってアイテムに愛着がわきますし、何より自分の思い通りのものが安く手に入りますので、DIYが楽しいと感じる方も多いようです。

ちょっとした日用品であれば自分で作ることもできそうですが、一軒家の解体は果たしてDIYでできるのでしょうか。

技術的には可能であったとしても、そもそも解体工事のための免許が必要な印象もあります。

今回は、そんなDIYでの解体工事事情について紹介していきます。

実はDIY可能な解体工事

結論から言うと、業者に頼まず自分たちで家屋を解体することは可能です。

もちろん安全面や許可申請の煩わしさなどを考えると業者に頼んだ方が良いとの意見も多いでしょうが、法律上問題はありません。

解体事業を行う際には資格が必要

一般的には、解体作業を解体業者にお願いすることが多いのではないでしょうか。

解体業者は、その解体作業によってお金を得るという事業を行っていることになりますが、工事でお金を受け取るような事業の場合は専門的な資格が必要になってきます。

具体的には、解体工事業登録もしくは、建設業許可などがそれに相当します。

しかし、個人でご自身の持ち物である建物を解体する分には必要な資格や免許などがないため、DIYで解体工事をやろうと思えばできるのです。

工事にはしっかりとした計画が必要

解体工事のプロである業者が複数の人材を使っても2週間程度はかかる解体工事ですので、今までそんな工事をしたことのない素人がいざ解体作業に入ったとするとかなりの時間が必要なことがわかります。

まずは解体の手順を良く調べて、自分たちでやるとなった場合には大体どれくらいの期間が必要なのかを把握し、しっかりと計画を立てたうえで問題ないと感じたら取り掛かるようにすることをおすすめいたします。

途中までは自分たちで解体作業をしてみたけど、途中で無理になって結局業者にお願いするという方も少なくありませんが、そうなるのであれば最初から素直に業者を利用しておいた方が、時間も労力も費用もお得なはずです。

そのため、解体工事を始める前に、本当に自分たちでできるものなのかどうかをチェックするために綿密な計画を立てましょう。

一人で行うのは不可能

日曜大工が得意な方は、一人でフェンスを取り付けてみたりアプローチをリフォームしてみたりすることもあるのではないでしょうか。

しかし家屋の解体は、犬小屋を解体するのとは規模違い隣人や通行人にも影響を及ぼすことですので、それなりの作業員となる人を集める必要があります。

例えば私有地を出て道路で作業をせざるを得ない場合は、通行人の安全を確保するために警備をする人を設置しなければなりません。

また、解体工事には粉塵がつきものですが、その被害を最小限に抑えるために解体中に水を撒く人員も必要になってきます。

最初から最後まで一人でやってやろうと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、このように、解体工事には複数人が必要になってきます。

不可欠な許可の取得

解体作業を自分たちで行うことは可能ですが、勝手に初めて勝手に終わらせるようなことはできません。

解体工事をするにあたって申請しなければならない、いくつかの許可があるのです。

道路の使用許可

例えば広大な私有地の一部の建物を解体するのであれば、解体作業に利用する重機や車両などを同じ私有地に駐車しておくことができるため、道路の使用許可を取る必要はありません。

しかし、通常の場合は車両を駐車するためのスペースが必要になってきますし、共有の道路に車両を止めざるを得ないケースがほとんどです。

その車両を道路に駐車するためには、道路の使用許可を取得しなければならないのです。

しかし、そんなに面倒なことはなく、その土地の所轄の警察署に申請用紙と駐車方法がわかる図面を提出することで取ることができます。

 建設リサイクル法

解体する建物の床面積が80平米以上の場合は、建設リサイクル法の許可を取得しなければなりません。

建設リサイクル法とは、解体工事で発生する建築資材のリサイクルを目的とする法律になり、解体作業をする7日前までに許可を取得する必要があります。

申請方法や必要な書類などは自治体によって異なることがありますので、ご自身がお住まいの地域の役所などに問い合わせてみるとよいでしょう。

ただし、基本的には届出書の他に、工程表や建物の写真、周辺の見取り図などが必要になってきます。

建物滅失登記

解体工事が終わって建物がなくなった際に行う必要がある申請が、建物滅失登記になります。

例えば、解体工事を終えてその上に新しく建物を建てようと思っても、書類上はまだその土地に建物が建てられているということになってしまいます。

つまり取り壊した時点で、物理的にも登記上にも建物がありません、と証明をするための申請ということになります。

解体後にご自身で法務省に申請することも可能ですが、通常は土地家屋調査士などに代理申請を依頼することが多いです。

トラブルを回避するために

解体業者に作業を依頼する場合は、基本的にはプロの方々が様々なトラブルを片付けてくれます。

しかし自分たちで作業をする場合には、すべてのトラブルを自分たちで解決する必要があります。

それでは、解体作業にはどのようなトラブルが発生するのでしょうか。

ご近所トラブル

解体作業で最も起こりやすいトラブルの1つとして挙げられるのが、作業現場の近くに住む人たちからの苦情です。

工事中には大きな音を発生させることになりますし、粉塵が飛び散ったり大きな振動が出ることになります。

プロに任せれば2週間程度で終わりますが、自分たちでやるとなった場合はその倍以上の期間が必要なこともありますし、長くなればなるほど周囲の住人は工事の音や振動に耐え続けなければなりません。

ご近所トラブルを避けるには、必ず事前のあいさつ回りが必要になってきます。

工事時間や工事期間などの具体的な内容を伝え、それと同時に迷惑をかけるという旨をいうことによって、周りの人たちもその工事のための対策を取ることができます。

逆に言えば、挨拶もせず勝手に工事を始めてしまうとトラブルになる可能性が高いため、挨拶回りは不可欠といえるでしょう。

解体工事前の近所への挨拶は重要!挨拶のタイミングと方法について

アスベストの処理

解体する家屋が比較的新しいものであれば心配はないですが、建物が古ければ古いほどアスベストが含まれている可能性が高まります。

アスベストは外壁や内装材、屋根などに利用されている発がん性のある危険物質であり、人体に重大な影響が出ることもあることから適切な処理が義務付けられています。

建物にアスベストが含まれているかもしれない場合は、事前に専門家に成分分析をしてもらう必要があり、万が一アスベストの含有が認められた場合は資格保有者による処理が必要になってきますので、そういった知り合いを探すか、DIYをあきらめるしかなくなります。

もちろん工事をしている方にも影響が出てきますが、周りの住人にも悪影響を与える可能性があるため、自分たちで行う場合は細心の注意を払う必要があります。

危険が伴うのは当たり前

解体作業は、小さな家具を作ったり壊したりするのとはわけが違い、一歩間違えれば大怪我や大事故につながることになります。

実際に、プロの作業員であっても怪我をしたりすることは少なくないため、不慣れな方が作業を行うとその危険度はさらに高まります。

工事中の事故

例えば建物の解体中に、高いところから何かが落下してそれが工事中の作業員や通行人にあたってしまう可能性が全くないというわけではありません。

軽い物質であれば人体に影響がないことも考えられますが、大きなものや硬いものが他人の頭に落下することを考えるとゾッとします。

仮に当たって怪我を負わせてしまった場合は、もちろん工事は一時中断になりますし、無駄なお金が発生してしまいます。

お金で済めばまだましですが、中には取り返しのつかないような被害を与えてしまうケースもあります。

解体工事を自分たちでやると決めた以上、そのようなリスクはあって当たり前だということを肝に銘じて、細心の注意を払って工事を続行する必要があります。

危険を避けるために

トラブルや危険を避けるためには、やはり業者にお願いしてしまうのが最善の策と言わざるを得ないですが、それでもご自身で解体作業がしたいという方は一つ一つの作業を確実に終わらせるようにしましょう。

例えば養生シートを設置する際にも、きちんとしたものを利用していれば防げたのに、安価で簡単に手に入る他のシートで代用したことがトラブルの元になるというようなことも考えられます。

また、手伝ってもらう作業員は全員が素人ではなく、元々解体工事のプロとして働いていた方や詳しい方を含むのが望ましいといえるでしょう。

ノウハウがわかっていますし、トラブルが起きそうな状況、実際にトラブルが起きてしまった際の対処なども心得ていることが多いため力強いです。

解体工事が終わったらすること

解体作業は、きっちりと建てられている建物をただ取り壊すだけではなく、解体後に発生する様々な資材を処分するところまでを言います。

建物に使われていた屋根や柱、外壁、窓といった素材は、取り壊された後はゴミへと変わります。

家一軒分のゴミとなると相当な量になりますが、当然適切な処分をしなければなりません。

解体で発生した廃棄物の処理方法

解体工事をした際に出る大量の廃棄物は、基本的には産業廃棄物とみなされることが多いため、自分たちでその処理場に持って行く必要があります。

しかし、あまりに量が多いため、ここだけは業者に任せようとする方も少なくありません。

その際に気を付けなければならないのが、きちんとした許可を持っている業者を探して責任を持って処分してもらうということです。

許可のない業者がその廃棄物を不法投棄するなどした場合、その業者が責任を問われるのはもちろん、その廃棄物の持ち主である施主に懲役刑や罰金刑が課される可能性もあります。

そのため、ご自身で解体工事をやるのであれば最後まで責任を持って行うか、産業廃棄物収集運搬許可を持つ信頼できる業者にお願いするようにしましょう。

ご近所への挨拶も忘れずに

解体工事の期間が長ければ長いほど、周辺の住民は音や振動などによって生活に支障をきたす期間が長くなります。

工事の日程表はもらったけど、できるだけ早く終わってほしいと思っている方が大半なのではないでしょうか。

解体作業が終わったら、その嬉しい報告をするために再び挨拶回りすることをおすすめいたします。

今まで迷惑をかけて申し訳ないという旨を伝えることによって、その後のご近所づきあいもうまくいくようになりますし、住民の方々も明日からは快適に暮らせると報告されることで安心します。

解体工事前の挨拶と比べると、必ずしなければならないというようなものではありませんが、できるのであればしておいたほうが良いでしょう。

最後に

このように、解体工事を自分でやろうと思えば、できないことはありません。

しかし、何度も言うように素人が解体工事を行うのには大きな危険が伴います。

日ごろDIYでいろいろなものを作っている方であったとしても、大きなものを解体するのは簡単なことではありません。

解体のプロである業者にお願いするのが望ましいと考えますが、自信があるのであればやってみるのもよいかもしれません。

ただし、その際にはきちんと計画を立てて、できる限りの安全を確保した上で行うようにしましょう。