不動産を早く売却したいのに、なかなか売れなくて悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。
もちろん物件自体に魅力がなければ簡単に売れないということもあり得ますが、中には契約した不動産会社に問題があって売れないというケースも存在します。
そんなときには、別の不動産会社を利用したいと考える方もいらっしゃるはずです。
しかし、いったん契約をしてしまっている以上は、その契約期間が終わるまで契約を続けなければならないと諦める方も少なくありません。
確かに契約は重要ですが、契約の種類や解約理由によってはスムーズに不動産会社を変更できるかもしれません。
もちろん条件によって変わってくるため、まずはご自身の売却活動がどのように進められているのかを確認してみましょう。
この記事では、仲介してもらう不動産会社を変える方法やデメリットなどについて紹介させていただきます。
不動産売却の仲介業者の変更を考えたほうが良いケース
それでは、売却活動を続ける中でどのような状況になったら、不動産会社の変更を考えるべきなのでしょうか。
やはり売却活動の結果が出ていないというのが最も大きな理由になりますが、その中でも
- 内覧希望者がほとんど現れない
- 担当者が仕事をしない
- 3ヵ月以上たっているのに売れる気配がない
このような状態の場合は変更も考えましょう。
内覧希望者がほとんど現れない
通常であれば、担当してもらう不動産会社がきちんとした宣伝をすることによって、内覧を希望する方が出てくるはずです。
しかし、不動産会社と契約をしてしばらくたっているのに内覧希望者が現れないということは、
- 売り出し価格が相場よりも高い
- 不動産会社が不動産の情報を公開していない
のどちらかが考えられます。
このうちの①に該当する場合は、ご自身で周りの物件の売り出し価格などと比較して相場を確認することができるでしょう。
そして確認した結果、特に高すぎるということはないということが判明した場合、②を疑うことになります。
不動産会社の囲い込みとは?
囲い込みとは、不動産会社が売り手と買い手の双方から仲介手数料を受け取るために、売り手側の物件の情報を他の会社に公開しない方法のことを指します。
不動産会社はたくさんあるため、一般的には他社を利用している買い手がその物件情報を見て、売り手が契約している不動産会社を通して覧をすることが多いです。
しかし、他社にその物件の情報を提供していない場合は、他社を利用する買い手が現れるという可能性がゼロになるため、買い手は全て同じ不動産会社を仲介することになります。
そうなると、不動産会社は売り手と買い手の両方から仲介手数料を受け取ることができるため、1つの不動産の売買契約で大きな利益を得ることができるのです。
しかし売り手からすると、不動産情報の公開範囲が極めて狭いため、内覧希望者が訪れる確率も大きく低下しますし、売却期間が長くなる可能性が高くなります。
囲い込みを見抜くには?
不動産会社が囲い込みを行っている場合は、内覧に訪れた購入希望者の全員が同じ不動産会社を利用して物件を探していることになります。
つまり、自社が抱える購入希望者しか連れてこないような不動産会社は、この囲い込みを行っている可能性が高いと言えるのです。
ただし、中には売り手にわからないように囲い込みを行う業者も多いため、実際に囲い込みをしているとはっきり断定するのが難しいケースも少なくありません。
そのため、囲い込みを立証できなかったとしても、その可能性が高いと感じたら不動産会社の変更を考えるのもよいでしょう。
担当者が仕事をしない
売却期間が長くなればなるほど、売り手と不動産会社の相性は非常に重要になってきます。
例えば担当者が新人の場合は多少は大目に見てあげる必要もあるかもしれません。
しかし、こちらのことを全く考えずに自分の都合で行動する担当者も存在するため注意が必要です。
気を付けるべき担当者の特徴
それでは、どのような担当者になったときに気を付ければよいのでしょうか。
先ほども記載したように、売り手との相性も大きく関わってきますが、例えば
- 不動産や業界に対する知識がない
- こちらの疑問点などに対してまともに回答をしてくれない
- 難しい専門用語を多用し話がよくわからない
というような人物が担当者になった場合は、売却活動が長引く恐れもあります。
逆に、例え経験が少なくとも、親身になってこちらの意見を聞いてくれたり、不安な点を一生懸命解決してくれたりする担当者であれば好感が持てます。
そういった担当者が当たれば、売却活動も熱心に行ってくれる可能性が高いため、それだけ物件を売りやすくなるはずです。
担当者を変えるだけでは解決しないことも
担当者が気に入らないのであれば「同じ不動産会社の中で担当者だけを変えてもらえばよい」と考える方もいるでしょう。
しかし、例えば買い手の質問にちゃんと答えられない場合は難しい専門用語を使って回答を濁す、というようなマニュアルが社内でできている場合は、担当者を変えても同じ結果になります。
また、何らかの用事でその不動産会社を訪れなければならない時、前任の担当者がいたら気まずいと感じる方もいるはずです。
もちろん最初の担当者に原因があるということも考えられますが、そうでない場合もあるため、気持ちよく売却活動を行うために不動産会社ごと変えるというのも良いでしょう。
3ヵ月以上たっているのに売れる気配がない
一般的には、不動産の売却の平均期間は3ヵ月と言われており、実際に媒介契約の期間も3ヵ月で満了となります。
例えば媒介契約をしてから1ヶ月後に不動産会社を変えるとなると問題になることもありますが、契約が満了となる3ヵ月後であれば堂々と不動産会社の変更が行えます。
そのため、これを機に仲介している会社を変えてしまうというのも方法の1つです。
家を早く売るために知っておくべき不動産の査定から売却完了までの流れ
まずは不動産会社の話を聞いてみる
例えば、購入希望者が現れてもおかしくないマンションがなかなか売れない原因が、同じ建物で似たような部屋が大量に売りに出されているような場合は、
タイミングが悪かったと諦めもつくかもしれません。
しかし、売れない原因が駅から遠いから購入希望者が現れないなど、あたかも物件が悪いというような言い訳をするような業者は、今後もあまり期待できないでしょう。
営業力のなさを棚に上げて、売れない理由を物件のせいにしようとする業者は、例え契約を更新したとしても同じように売れない可能性があるため、3ヵ月を良い機会ととらえて変更をおすすめいたします。
不動産会社の変更方法
それでは、実際に不動産会社を変更したいとなった場合には、具体的にどのように変更すればよいのでしょうか。
不動産会社とは媒介契約を結ぶことになりますが、大きく
- 専任媒介契約と専属専任媒介契約のケース
- 一般媒介契約のケース
で方法が変わってきます。
また、場合によっては契約の満了を迎えずに不動産会社を変更するための
- 途中解約
を行うことも可能です。
なお、媒介契約の種類や特徴についての詳細は、「家を売却する際に必要な媒介契約の種類とそれぞれの特徴を徹底比較!」をご覧ください。
専任媒介契約と専属専任媒介契約のケース
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1つの不動産会社と契約をして売却活動を行う方法ですが、自動更新されるわけではなく、売り手の意思で更新するかどうかが決められます。
もちろん不動産会社から更新を促されることになりますが、その時点で更新したくないと思っているのであれば更新する必要はありません。
自動的に更新することは法律で禁じられているため、
- 不動産会社が更新について触れてこない
- こちらから更新について何も言わない
の場合は自動的に契約が終了することになります。
そのため、契約期間が終わったら新しく媒介契約を結ぶ不動産会社を探すことが可能です。
一般媒介契約のケース
一般媒介契約は、上述した専任媒介契約や専属専任媒介契約とは異なり、特約として契約の自動更新が可能になるケースがあります。
不動産会社から更新について触れられない場合であっても、こちらが更新しないと伝えない限り、自動的に契約が更新される可能性もあるため注意しなければなりません。
ただし、一般媒介契約は上記の2つの媒介契約とは異なり、複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことが可能な契約方法です。
つまり、1つの不動産会社との契約を止めて新しいところを探すというよりは、今の不動産会社に加えて新しい不動産会社と追加で契約するという考え方のほうが良いかもしれません。
しかし、一般媒介契約で現在利用している不動産会社と合わないというような場合は、契約更新の時期にこちらから更新をしないという旨を伝えておくべきでしょう。
途中解約の方法
不動産会社を変更する上で最も厄介なのが、3ヵ月の契約の終了を待たずに途中で解約するケースです。
一般的に見れば3ヵ月と言うのは契約期間の中ではそんなに長いものではないため、通常は3ヵ月を待って契約を終わらせる方が多いです。
ただし、どうしても途中で変更したいというような場合は途中解約できないこともありません。
しかし、
- 不動産会社に非がある場合
- 不動産会社に非がない場合
のどちらかで話が大きく変わってきます。
不動産会社に非がある場合
契約を結んだ不動産会社の対応が悪いということで、解約をして新しい不動産会社を探したいという方もいるかもしれません。
ただし、その悪い対応の基準という表現が非常に曖昧ということもあり、途中解約をするとトラブルに発展する可能性があります。
それでは、ひどい対応にはどのようなものが含まれるのでしょうか。
例えば、
- きちんと物件の広告が出されていない
- 義務になっているはずなのに売却活動の報告をしてこない
- 囲い込みをしている
などが挙げられます。
しかし、売却活動の報告をしてこないからと言ってすぐに契約を解除するというのは普通に考えてやりすぎなので、まずはその不動産会社と話をする場を設ける必要があります。
単純に忘れていただけというケースも多いため、話し合いをすることによってお互いの誤解を解消できることも多いはずです。
しかし、明らかに不動産会社の職務怠慢が続いたり非があるということがわかっている場合は、弁護士や行政機関に相談をしてみるというのも方法の1つです。
不動産会社に非がない場合
客観的に見ても不動産会社は普通の営業活動をしていたり、全く非がないとわかっているのにもかかわらず解約したいとなった場合は、売り手の自己都合での途中解約という扱いになります。
もちろん絶対に解約ができないというわけではありませんが、その不動産会社も広告や営業、売却活動に必要な書類の取得などに多額の費用をかけている可能性もあります。
そのため、それらに費やした費用を売り手側が負担しなければならなくなるケースも珍しくはありません。
しかし、その売却活動にどれくらいの費用を費やしたかをはっきりと確かめるのは難しいため、思いがけず多額の出費になってしまうことも考えられます。
費用の問題だけではなく、業者に非がない場合の途中解約には様々なリスクも付きまといますので、やはりできれば契約期間が終わるのを待つという対応をおすすめいたします。
不動産会社のを変更するデメリット
それでは、不動産会社を途中で変更する際に生じるリスクを見ていきましょう。
先ほどもお伝えした契約違反による費用の発生も大きなリスクの1つになりますが、その他にも
- 売却が遅れる
- 変な噂が流れる可能性がある
というものが挙げられます。
売却が遅れる
当たり前のことかもしれませんが、不動産会社を変えるということは、その売却活動をまた一からやり直すということでもあります。
例えば、そのまま同じ不動産会社を利用し続ければ物件の情報もそのまま残っているため、手間をかけずに売却活動をし続けることが可能です。
しかし不動産会社を変える場合は手間がかかるため、その分物件を売却できるのが遅れる可能性があるということを覚えておきましょう。
もちろん、不動産会社を変えた途端に内覧希望者が現れてそのまま売れてしまうというようなケースもあるため、一概にそれが悪いと断定することはできません。
しかし、普通に考えれば売れるのが遅れる可能性の方が高くなるため、本当に不動産会社を変えるべきかをよく考えてから判断することをおすすめいたします。
変な噂が流れる可能性がある
不動産業界には当然様々な不動産会社が存在し、それぞれの会社が業績を競い合っていますが、それとは別に業者間の横のつながりも強い業界でもあります。
そのため、例えば利用していた不動産会社に非がないのにいきなり解約を申し出て新しい不動産会社を探すということになると、その情報が他社に漏れる可能性が高いです。
つまり理不尽な解約をした場合は、どこの不動産会社からも扱いにくい顧客と言うレッテルをはられて契約を敬遠されるリスクが出てくるということです。
都内の不動産会社の選択肢が多いような場所で契約をするのであれば、ある程度はこのリスクを下げることができるでしょう。
しかし不動産会社の数が限られているような狭い地域でそのようなことをやってしまうと、噂がすぐに広がって売却活動がしにくくなってしまいます。
契約期間が終わってから更新をしないという選択を取るのであれば全く問題はないですので、このようなことを考えてもやはり契約満了を待ったほうが良いのかもしれません。
不動産会社を変更する際の注意点
それでは最後に、不動産会社を変更する際に気を付けるべき点を紹介させていただきます。
注意点はたくさんありますが、
- できるだけ契約満了を待つ
- 焦ってすぐに選ばない
その中でもこの2つは意識しておきましょう。
できるだけ契約満了を待つ
先ほどからお伝えしている通り、やはり不動産会社を変えるのであればできるだけ契約期間が終わるのを待ったほうが良いでしょう。
一度不信感を持ってしまったら、できるだけ早くその不動産会社の利用をやめたいと感じる方も多いですが、途中解約はこちらにもたくさんのデメリットがあります。
それであれば、残りの数か月を我慢して契約期間が終わってから新しい不動産会社を利用し始めたほうが効率的ですしリスクもありません。
もちろん、不信感を抱く不動産会社を利用している残りの数か月間は、売却活動に身が入らないかもしれません。
しかしその間に、今度は後悔しないように信頼できるような不動産会社を見つけることができれば、結果的にそれが売却成功への近道になる可能性もあります。
どうしても我慢できない場合は仕方がないかもしれませんが、できるのであれば契約満了を待ちましょう。
焦ってすぐに選ばない
自分とは合わない不動産会社を選んでしまった場合は、少しでも早くその会社との関係を断つために、次に契約する会社をすぐに決めてしまう方もいます。
しかし、焦って考えずに選んでしまうと、結局現在の不動産会社との関係の二の舞になってしまうこともあるはずです。
どうせ利用する業者を変えるのであれば、次の不動産会社で売却活動をきちんと終わらせるというつもりで慎重に選ぶことをおすすめいたします。
もちろん良い不動産会社をすぐに見つけるのは困難かもしれません。
しかし、上述したように、契約満了までに時間がある場合は、その時間を利用してじっくりと選ぶことができるのではないでしょうか。
また、一括査定のサイトなどを利用することで信頼できる不動産会社を見つけるというのも方法の1つです。
不動産会社の探し方にも様々な方法が存在するため、ご自身が納得する方法で慎重に選んでいきましょう。
まとめ
紹介したように、現在仲介をしてもらっている不動産会社が嫌だと感じた場合は、すぐにでも契約を取りやめることができないということはありません。
しかし、いったん契約を結んでしまっている以上は、途中解約はこちらにとっても大きなリスクとなりますし、売却活動がしにくくなってしまう可能性は否定できません。
不信感を抱いた不動産会社を使い続けたくないという気持ちもわかりますが、最大でも3ヵ月で媒介契約を終わらせることができます。
そのため、一般的には途中解約はせずにその3ヵ月の残りの期間を我慢し、契約が切れてから改めて新しい不動産会社と契約を結ぶほうが良いでしょう。
その際には、3ヵ月の残りの期間を信頼できそうな不動産会社をじっくりと探したり知人に紹介してもらったりといった期間にあてることで、効率的に売却活動ができるのではないでしょうか。
仲介業者によって売却活動の方法が大きく変わることもあるため、不動産会社を変える場合はどのような業者なのかを見極めて慎重に契約を結ぶことをおすすめいたします。