解体工事をする際には、やはり解体業者にお願いするというイメージを持つ方が多いのではないかと思います。

しかし、ハウスメーカーの中には解体工事を請け負っているところもありますし、名の知れた有名なハウスメーカーであれば安心してお願いできると考える方も少なくありません。

実際に解体工事を依頼するとなった場合、解体業者とハウスメーカーのどちらが良いのでしょうか。

どちらにもメリットがありますしデメリットがあるため、一概にどちらが良いと言及することはできません。

しかし、それぞれの特徴を知ることによって、実際に自分が解体工事をするとなった場合に、どちらに頼んだ方が得なのかがわかるはずです。

今回は、ハウスメーカーと解体業者に解体工事を頼んだ際の特徴や、きちんとした業者の見分け方などについて紹介していきます。

ハウスメーカー利用のメリットとデメリット

ハウスメーカーに解体工事を依頼するということは、その建物を解体した後に新しく建物を建てる可能性が高いのではないかと思います。

その前提でハウスメーカーに解体工事を利用したメリットとデメリットを紹介していきます。

ハウスメーカーの利点

まずは、ハウスメーカーに解体工事を依頼した場合のメリットです。

安心して解体工事を任せられる

自分で解体業者を探して解体工事を依頼する場合は、きちんとした業者を選ぶことができなければ様々なトラブルが発生する可能性があります。

解体業者がそのトラブルをしっかりと解決してくれるのであればまだ良いのですが、中には工事自体がストップしてしまったり追加で多額の請求が来たりといった問題に発展するケースもあります。

ハウスメーカーに解体工事を依頼すれば、基本的にはトラブルが発生したとしても責任を持って対応してくれますので、施主がトラブルに対して何かしなければならないということは少ないはずです。

そういった理由から、安心して工事を任せることができるのではないでしょうか。

解体から建築までの流れがスムーズ

古い建物を解体する際には解体業者を利用し、新しく住宅を建てる際には工務店などにお願いするというような、複数の業者に工事を依頼することを分離発注といいます。

この場合は、施主が直接解体業者や工務店とやり取りをして、自分で工事のスケジュールを作っていくことになります。

スケジュール管理が得意な方であれば問題ないですが、それぞれの業者とのやり取りが面倒だという方も多いです。

また、解体工事の日程がずれてしまったら、その後の工務店の仕事にもずれが生じるなどのトラブルが発生する可能性もあります。

一方のハウスメーカーに依頼した場合は、解体から新築物件の建設までの全てを引き受けてくれますので、当然やり取りはハウスメーカー1社のみということになりますし、工期のずれなどのトラブルに悩む必要もなくなります。

窓口を1つにすることですべてがスムーズにいきますので、ハウスメーカーに解体工事を依頼したほうが楽だと言えるでしょう。

悪徳業者に当たることがない

特に認知度の高いハウスメーカーであれば、つながっている解体業者も安心できるしっかりとした業者である可能性が高いです。

自分で解体業者を探す際には、場合によっては悪徳業者に工事をお願いする羽目になってしまうことがあります。

悪徳業者に解体工事をお願いすると、法外な解体費用を請求されたり、不法投棄などのトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

その点、ハウスメーカーが用意する解体業者は施主も安心して利用することができますし、何か発生しても基本的には全てハウスメーカーが責任を取ってくれるはずなので心強いです。

ハウスメーカーの欠点

解体工事にハウスメーカーを利用するにあたって、精神的なデメリットはほぼないと言ってもよいでしょう。

きちんと責任を持ってくれるという安心感がありますし、解体後に新しく家を建てる場合はスケジュール管理もきちんとやってくれるため、よりメリットが大きくなります。

それでは、ハウスメーカーのデメリットとは何なのでしょうか。

解体費用が高い

ハウスメーカーに解体工事をやってもらうということは、実際にはそのハウスメーカーが提携している解体業者に解体工事をやってもらうということです。

というのも、ハウスメーカーは自分たちで解体工事をすることができないため、その下請けとなる解体業者に工事を依頼することになるのです。

しかし、解体業者の取り分となる解体費用のみを顧客からもらっていては、ハウスメーカーの利益が全く出ないことになります。

そのため、施主は解体業者に支払う費用の他に、ハウスメーカーの利益となる紹介手数料をまとめてハウスメーカーに支払う必要があるのです。

もちろん、請求書にはハウスメーカーのマージンというような記載はないと思いますが、実際に同じ解体業者に直接お願いするよりも高くなります。

ハウスメーカーに支払う額はいくら?

ハウスメーカーにもよりますが、解体工事をハウスメーカーにお願いした場合には、実際に必要な解体工事費用に15%~30%くらいの手数料が上乗せされて請求されることになります。

例えば実際に解体工事に必要な金額が100万円だった場合、施主は解体業者に115万円~130万円支払うことになるのです。

100万円と130万円とでは大きな違いになりますので、あまりにも高すぎると思われた方も多いのではないでしょうか。

もちろん、人によっては安心をお金で買うのだから、これくらいの差は仕方がないと考える方もいらっしゃるのかもしれません。

しかし、少しでも解体費用を安くしたいと考えるのであれば、直接解体業者にお願いしたほうがお得と言えます。

こちらの要望がうまく伝わらないケースもある

ハウスメーカーのもう1つのデメリットとして挙げられるのが、解体業者と直接やり取りするわけではないので、意思疎通がうまくいかない場合があるという点です。

人によっては、建物は解体するけどブロック塀は残しておいてほしい、こっちの木は取り除いてほしいけどこの木はそのままにして欲しい、という感じでお願いする場合もあるはずです。

自分で直接お願いした解体業者であれば、そういった要望も直接解体業者に伝えることが可能です。

しかしハウスメーカーを通した場合は、窓口はそのハウスメーカー1つになってしまうため、解体業者に直接オーダーすることができないのです。

さらに言えば、施主と直接コンタクトを取っているハウスメーカーの担当者が、そのまま解体業者と直接連絡を取っているとも限りません。

そのため、こちらの要望が複数の人を介して業者に伝わる可能性もあります。

間に人が入るほど情報が正確に伝わりにくくなるため、何も知らない解体業者が要望通りに解体してくれないリスクもあります。

実際に、ハウスメーカーを利用してトラブルになるケースはこのような場合が多いです。

解体業者の直接利用

それぞれに良い点と悪い点がありますが、やはり価格が重要だという方が多いのではないでしょうか。

実際に、自分で良い解体業者を見つけることができれば、あらゆる面でメリットが大きいといえるでしょう。

解体業者を利用したほうが安い

解体業者に解体作業を直接お願いした場合は、ハウスメーカーに支払わなければならない数十%の手数料がかからないため、明らかに安くなります。

良い業者を探すのが大変だったり、その後の段取りなども自分できちんと管理しなければならないといったデメリットがあるかもしれません。

しかし、それで数十万円安くなるのであればそちらの方が良いという方も多いはずです。

もちろんハウスメーカーに依頼したとしても、場合によっては料金の値下げなどに応じてくれることがあるかもしれませんが、数十万円の値引きはさすがに無理であることが多いため、少しでも安い方が良い場合は解体業者を利用しましょう。

悪徳業者の存在について

解体業者に直接お願いをする際に最も気を付けなければいけないのが、悪徳業者を選ばないようにするという点です。

初めは他社と比べても格安の料金を提示していた業者が、工事の途中で高額な追加料金を請求してくるということも考えられます。

また、明らかに安すぎる料金を出してきた業者に依頼したら、実は廃棄物を不法投棄していたというような話を聞くこともあります。

数は少ないとしても、このような悪徳業者は確実に存在するため、やはり自分の力で解体業者を見つけるというのには、多少なりともリスクが付きまとうということも覚えておきましょう。

しかし、きちんとした業者の見分け方を知っていれば、悪徳業者を選んでしまう可能性は大きく減少します。

解体工事の悪徳業者を見抜く方法とトラブルが起きたときの対処法

優良業者の見分け方

それでは最後に、きちんとした業者を見分ける方法を紹介しておきます。

絶対に相見積もりを取る

解体業者を利用する際には、最初に見積もりを出した業者をそのまま選んでしまう方も少なくありません。

しかし、複数の業者に見積もりを出してみないと、そもそもその業者が提示している料金が適正価格なのかどうかがわかりませんし、悪徳業者が優良業者かの区別もつかないはずです。

複数の業者に相見積もりをすることによって、料金を比較できるだけではなく、どの業者の方が対応が良かったか、信用できそうか、というような比較対象ができるため、選択肢が広がります。

少なくとも3社くらいに見積もりを取ってもらうことによって、消去法で最も良い業者を選ぶことができますので、それだけでも悪徳業者を選んでしまう可能性は低くなります。

しかし、時間があるのであれば、より多くの解体業者に見積もりを取ってもらうようにするとよいでしょう。

解体工事の見積書でチェックしたい5つの項目と適正な値引きについて

料金のみで判断しない

ハウスメーカーではなく解体業者に直接お願いする時点で、ハウスメーカーの安心感よりも安い価格設定の方がメリットが大きいと考えている方がほとんどなのではないかと思います。

実際に解体業者に見積もりを出してみると、高い料金を提示する業者もあれば、安すぎる料金を提示する業者も存在します。

例えば、5社に見積もりを取って3社が100万円前後、1社が130万円、残りの1社が50万円だった場合、50万円を選ぶのはやめておくべきです。

3社が100万円前後の見積もりを出している時点で、その建物の解体費用の相場は100万円ということになり、安すぎる料金には裏があるからです。

かといって、130万円と提示している業者は高いから安心というわけではなく、値引き交渉の結果80万円くらいに下がったりしたら逆に怪しいです。

大幅な値下げは、最初にぼったくりの料金を提示している業者ということになるため、こちらも気持ちよく利用することができません。

最初に相場前後の価格を提示してきた業者の中で、一番対応が良いところや親身に相談に乗ってくれるようなところを選択すると、業者選びの失敗が減るはずです。

最後に

料金は気にしないから安心して解体工事を行いたいという方は、解体業者に直接依頼をするよりもハウスメーカーにすべて任せてしまった方が良いかもしれません。

一方で、多少は面倒でもできるだけ安い方が良いという方や、悪徳業者を選ばない自信があるというような方は、解体業者に直接依頼したほうがメリットが大きいでです。

今回紹介したように、どちらを選んでもメリットがありますしデメリットがあります。

しかし、悪徳業者の選び方さえ押さえておけば、ハウスメーカーよりも解体業者の方が使い勝手が良いと言えます。

時間がたっぷりあるのであれば、たくさんの解体業者に見積もりを出してもらいましょう。

多くの業者と知り合えば、よい良い業者を選ぶことができるはずですので、よりお得により安全に解体工事をすることができるのではないでしょうか。