解体工事をする際には、できるだけ業者が暇な時期を狙うことによって、解体費用を抑えられる可能性があります。
例えば、毎年3月辺りは最も引っ越しの多いシーズンと言われているため、その時期に引っ越しを頼むと業者に支払う料金が高くなりがちです。
同様に、ゴールデンウイークやお盆などの連休に旅行に行こうと思うと、普段の数倍の価格を支払わなければならないことが多いです。
どの業界にも繁忙期と閑散期があり、一般的には繁忙期にそのサービスを利用するとお金がかかり、反対に閑散期を狙うと安く済ませることができます。
しかし、実際に解体業界に繁忙期や閑散期が存在するのでしょうか。
今回は、解体作業を依頼する時期と避けるべき時期などを紹介しています。
建設業界の繁忙期と閑散期
みんなが休みになる連休に旅行が高くなるというのは理解できますが、はたして解体作業にはこれが当てはまるのでしょうか。
普通に考えて、一堂に解体工事をしたくなるような時期が存在するとは考えにくいです。
繁忙期と閑散期はタイミングを見る
業者の営業方法や地域などによって異なりますが、結論から言うとこの時期に解体工事を依頼すれば確実に安くなるというような時期はありません。
一般的には、2月や9月が暇になると言われたり、4月からの数か月が安くなりがちだと言われることがありますが、その情報を持っている方々が一斉に工事を依頼すると、その時期がピークということになるため料金が高くなります。
ゴールデンウイークなどの旅行は、多くの方が休みになるということがわかっているため確実に値上がりする傾向にありますが、解体工事のタイミングは人によって大きく変わってくるため、繁忙期と閑散期を判断するのが難しいのです。
解体工事前には業者に見積もりを出してもらうことになるかと思いますが、その際にはできるだけ暇そうな業者を選ぶことで少しでも工事が安くなる可能性もあります。
暇な時期は安くなる
例えば8月に解体工事をやりたいという方が10人いるのに対し、9月に取り壊したいという方が3人しかいない場合は、明らかに8月よりも9月の方が解体費用が安くなります。
もちろん業者の規模によって依頼数は変わってくるかと思いますが、10軒の解体工事を依頼されたら忙しくてキャパぎりぎりという業者であっても、月の工事が3件しか入っていない場合は、値段を下げてでも受注したいと考えるのが普通です。
要するに、暇な時期は値段が安くなりやすいということになります。
ただし、先ほどの旅行の例とは異なり、その暇になりやすい時期、反対に忙しい時期を特定しにくいというのが解体工事なのです。
例えば、向こう1年のどこかで解体工事をするつもりだが、いつでもいいから最も安い時期に行ってほしいというような依頼をすれば、業者も閑散期にその工事を実行するはずです。
そうすれば、必然的にピーク時に発注をするよりも解体費用が安くなる可能性が高くなります。
安く工事を行うには余裕を持って
少しでも解体工事を安くしたいのであれば、できるだけ余裕を持って工事の日取りを決められるようにしておきましょう。
例えば、来月中に必ず解体をしなければならないというようなケースは、解体工事費用が高くなる傾向にあります。
今月と来月の業者の予約がすでにたくさん入っている場合は繁忙期の料金が適用されることになりますし、急な依頼に対して料金を高く設定する業者も存在するからです。
中には、相続などによって急にその建物を解体しなければならないというような場合もあるかと思います。
そういった場合は致し方ないかもしれませんが、いつか解体しようと考えている建物があるのであれば、計画的に考えて早めに行動することで、少しでも解体費用を安く抑えることができるはずです。
廃棄物処分も変わる
施主が業者に支払う解体工事費用の中でも、高い割合を占めるのが廃棄物の処理費用になります。
産業廃棄物の処理場が忙しい時期に解体工事をお願いすると、必然的に解体工事の料金が高くなってしまいますが、逆に処理場の閑散期を狙えば解体費用が安くなる可能性があります。
廃棄物の分別と解体費用
解体業者が忙しい時期に工事を依頼してしまうと、工事で発生した廃棄物を、分別なしでそのまま処理場に送ってしまうケースもあります。
逆に時間があれば、木材なら木材、コンクリートならコンクリートといった感じで、廃棄物をそれぞれの種類に分けて分別することになります。
きちんと分別がされていれば、リサイクルにも回しやすいですし、処理場のスタッフが手作業で分別する手間も省けるため、その分引き取り価格が安くなる傾向にあります。
しかし分別がなされていなければ、処理場のスタッフが分別することになるか、もしくはそのままリユースされずに埋め立て処理として片づけられるため、処理場に支払う費用が高くなります。
その処理場へ支払うお金も当然施主がまとめて支払うことになりますので、結果的に解体費用が割高になりがちです。
ピーク時の人件費について
解体業界が忙しい時期には、そこで働くスタッフが休みを返上して休日出勤することもあります。
同様に、処理場での仕事が人手不足によって回らないというような場合は、処理場のスタッフも休日出勤をすることになります。
どのような仕事であっても、基本的には休日出勤のスタッフには普段よりも高い給料が支払われることになりますが、これは解体業者や廃棄物の処理業者にも同じことが当てはまります。
忙しい時期を選んでしまうと単純な処理コストだけではなく、追加で支払われる人件費も負担しなければならない可能性がある、ということも覚えておきましょう。
処理場への運搬費の高騰
処理場のスタッフがフル稼働で働いたとしても、廃棄物の量がその処理場の容量を超えていては、そこで処理をすることができなくなってしまいます。
本来ならば近場の処理場に廃棄物を運んでいた業者も、そこが使えないとなると遠方の他の処理場に運搬しなければならなくなるため、その運搬費が高くついてしまうことがあります。
廃棄物の処理場は広大な面積を所有しているというイメージが強いですが、忙しい時期には実際に受け入れ拒否をする処理場も存在します。
例えば、消費税が上がるタイミングなどは解体工事を行う人が一気に増えますが、それは処理場の忙しさに直結するため、結果的に消費税の引き上げ導入後よりも解体費用が高くなってしまう可能性があります。
避けるべき時期とは?
様々な要因が重なって、解体工事費用が高くなるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
しかし、いまいち繁忙期と閑散期がよくわからないという方も多いはずです。
実際に、需要によって繁忙期と閑散期は変わってくるため一概には言えないのですが、避けるべき時期をお伝えすることは可能です。
年度末は忙しい可能性が高い
解体工事を行っている業者は、依頼主の全てが一戸建ての住宅を持つ施主のみというわけではありません。
公共事業などを行っている業者も多いのですが、その公共事業は年度末が追い込み時期になるため、その時期に忙しくなる業者も少なくありません。
具体的には、3月辺りは解体業界が忙しいと言われているため、この時期に依頼すると解体工事も高くなる可能性があります。
しかし、逆にその追い込み時期を過ぎてしまえば一気に手が空く業者もあるため、4月以降が狙い目だと考える方もいらっしゃいます。
ただし、そういった考えを持つ方が多くなれば、必然的に4月以降もピーク時が続くということになるため、時期の判断は難しいところがあります。
積雪時期はお金がかかる
雪がほとんど降らなかったり、降ったとしてもあまり積もらないというような場合は、解体工事にほとんど影響がありません。
しかし、積雪地域で解体作業が必要な場合は、できるだけ雪の降る寒いシーズンに工事を依頼するのは避けるべきでしょう。
雪が積もると解体作業がスムーズにできないため、作業前に毎日のように雪かきを行わなければならなくなることもあります。
ひどい場合は、解体予定の建物が雪で埋もれてしまって作業に大きな支障をきたすこともあります。
施主が工事前の早朝に除雪作業をするというのであれば話は別ですが、解体業者にお願いする場合は、当然時間も手間もかかるため、その分料金が上乗せされるのです。
このような事情があるため、雪が積もる地域の冬場の解体工事は確実に割高になります。
時期を選べるのであれば、雪が積もらない温かい時期にお願いするとよいでしょう。
台風が多いと高くなる可能性も
解体工事は、多少の雨や風があったとしても気にせず続行することになります。
しかし、あまりにも雨が強いと足場が悪くて滑りやすくなりますし、強風が続くと足場が壊れてしまうこともあるため、スタッフの安全を考えて工事を一時的にストップすることになります。
例えば大型台風が来ると、解体作業はその台風が通り過ぎるまで行われません。
時期によっては、毎週のように大きな台風が来ることもあるため、そうなってしまうと解体工事が長期的にできなくなってしまうのです。
工事がストップしていたとしても、そこで働くスタッフの人件費はかかってしまいますし、結果的に工期を延長することになるため、その分の費用が追加でかかってしまいます。
天候を考えるのは難しいかもしれませんが、台風が来やすい時期は大体決まっているため、なるべく台風が来ないシーズンを選ぶようにしましょう。
最後に
解体工事をする期間が限定されるのであれば、繁忙期や閑散期を選択するということができないかと思います。
しかし、時間に余裕があるのであれば、できるだけ解体費用が安くなる時期を選ぶことによって、コストを大きく削減できる可能性があります。
ただし、ピーク時期がはっきりとしている業界と比べると、解体業界の繁忙期と閑散期をはっきりと分けることは難しいです。
もちろんできるだけ避けたほうが良い時期というのはあるのですが、逆にこの時期であれば解体工事が安いと断定することができないのです。
解体する時期にこだわらない、むしろ安い時期に解体してほしいとお考えなのであれば、業者が最も安い料金を提示できる時期を待って解体工事をスタートすることをおすすめいたします。
業者の都合に合わせることができるのであれば、その業者の閑散期を狙って解体工事ができるため、結果的に解体費用を安くすることができるのではないでしょうか。