これから一戸建てを作る予定のあなた、住宅の中でも特に重要な部分をご存知でしょうか。

それは基礎です。基礎は地盤に力を伝え、家を支える大切な部分です。

家づくりでは間取りを優先して、基礎までは気にしない方も多いです。

しかし、基礎は作り直しが出来ず、施工不良が原因でトラブルが起きやすい部分でもあります。

基礎についてあらかじめ知っておくことは決して損ではありません。

そこで、この記事では住宅を作る上でかかすことができない基礎について、種類から基礎に関するよく疑問にある項目をいくつかピックアップして紹介していきます

業者にまかせておけば良いと考えているかたもいますが、少しでも知識があることで様々なことが質問できたりするので、基本的なことはしっかりとここで学んでみてください。

基礎の種類は?布基礎とベタ基礎どちらがいい?

木造の一戸建ての住宅で採用される基礎の種類は

  • 布基礎
  • ベタ基礎

の2種類です。

それぞれのメリットとデメリットがこちらです。

MEMO

建物の重さが重い鉄筋コンクリート造の一戸建て、地盤が悪い場所(埋立地等)であれば杭基礎が検討されます。

布基礎の特徴やメリット・デメリット

布基礎はベタ基礎よりコストがかからないメリットがあります。

建物の下部全体に基礎が必要なベタ基礎と違い、必要なところのみに基礎をつくる方法だからです。

そのためベタ基礎よりコンクリートと鉄筋が少なく済み、コストがかかりません。

デメリットは地盤支持力(計画地の地盤が家を支える力)が小さいと採用できない点です。

目安は長期許容応力度30KN/㎡。この数値は地盤調査の結果で分かります。

ベタ基礎の特徴やメリット・デメリット

ベタ基礎は建物の重さを分散させるため、地盤支持力が比較的小さくても採用できる点がメリットです。

地盤支持力の目安は長期許容応力度20KN/㎡以上。

また軟弱地盤に向いているほかに、不同沈下に強いメリットも持ち合わせています。

デメリットはコンクリートの使用量が多いので布基礎よりコストがかかります

一戸建てに採用する基礎は状況に応じて決める

前提として地盤によるので一概にいえませんが、

地盤支持力があればコスト面からみても布基礎を採用した方が良い。

ただ、軟弱地盤や不同沈下が気になる場合はベタ基礎を採用することをおすすめします。

液状化しやすい場所に土地を買いたい場合について

東日本大震災以降、よく聞く液状化現象。

これらが起きやすい場所は埋め立て地や大きな河川の近くです。

このような場所を建設地に選んだ場合には、杭基礎や地盤改良も検討する必要があり建築費用は高くなります

大きな地震が起きた場合、液状化現象で家が傾くことも考えられます。

家の傾きは修復できますが、同時にライフラインが寸断されていることもあります。

そのため長期間住めなくなる覚悟も必要です。土地選びの際の参考にしてください。

基礎の工程!現場チェックすべきはこの工程

基礎の施工を施行会社まかせにしてしまい、あとで後悔!なんてことのないように、基礎のつくり方を知っておきましょう。

担当者に施工方法を質問する、現場に見に行ってみたいと言うだけで担当者や現場側の身がしまるはずです。

現場に行ったら迷惑では?と遠慮してはいけません。

あなたの家なので疑問におもうことはどんどん聞いて、現場にも積極的に足を運んでください。

基礎の基本的な工程基準

では、基礎の基本的な工程ですが、主に以下のような流れで基礎工事は行われます。

ステップ①:敷地に地杭を打ち、地縄を出す

設計図面をもとに建物の四隅などに地杭を打ち、地縄を張ります。

建物の配置を確認するためです。この時点であなたに配置を確認してほしいと依頼があることが多いです。

ステップ②:根ぎり

基礎をつくるために、地盤面を所定の深さまで掘ります。

ステップ③:砕石をしき、転圧

根ぎり底に砕石し、転圧して地耐力を確保します。

ステップ④:防湿フィルムを敷く

地面からの湿気が建物内に入らないよう、防湿フィルムを敷きます。

ステップ⑤:捨コンクリートを打設

基礎底面を平にするために打設します。

↓ここからが基礎工事

ステップ➅:基礎部分に鉄筋を配筋

捨コン打設後に鉄筋を配筋します。ここで設計者は配筋が正しく行われているか検査します。

ステップ➆:アンカーボルト、配管スリーブ配置

土台の横ずれや引き抜きを防ぐ、アンカーボルトと排水などのルートを確保するスリーブを設置します。

ステップ➇:底盤にコンクリートを打設

基礎の外周に型枠を設置してコンクリートを流し込みます。

ステップ➈:立ち上がり部にコンクリートを打設

アンカーボルトやスリーブがずれないように気を付けてコンクリートを流し込みます。

現場で見るべきはこの工程

見るべき工程はコンクリートを打設する時です。

この際に気を付けて見るべき点はバイブレーターをかけているか、タンピングを行っているか。

このポイントは抑えておきましょう。

バイブレーターの重要性

コンクリートを型枠内にしっかり行きわたるようにし、固まった後にひび割れが起きることを防ぐ目的で行います。

コンクリートは運搬された状態のままだと余分な水分や気泡が入っているため、それを浮き上がらせて除去することでひび割れを防ぎます。

現場見学に行った際や行く前でもよいので「しっかりとバイブレーターをかけてください」というとやってくれるはずです。

もしも現場に行った時にバイブレーターをかけていることが確認できなかったら担当者に電話してでもお願いしましょう。

タンピングって?

バイブレーターで表面に浮き上がらせた空気や水をタンパーで叩いて取り除きます。

バイブレーターで浮き上がらせただけではダメで、余計な空気や水を除去することも重要です。

型枠を外した後も見るのがおすすめ

コンクリートが型枠内に行きわたっているかどうか、は型枠を外してみないと分からないです。型枠を外す日に見に行ってみましょう。

ここでコンクリートが欠けている場所を見つけた場合、

型枠を外した時に一緒にコンクリートが取れたか、バイブレーター不足で型枠内にコンクリートが行きわたらなかった証拠です

すぐに補修して隠してしまう業者もいるので、気をつけてください。

基礎のカビを防げ!換気の重要性

基礎の種類や工程が分かったら次にしってほしいのが、基礎のカビについて。

基礎にカビが生えるとお部屋の中がカビ臭くなることはもちろんのこと、アレルギーや虫害の原因にもつながります。

ひどい場合には1階のフローリングにカビが生えることも。

工夫をして基礎内のカビ発生を防ぎましょう。

基礎にカビが発生するのはなぜ?

1995年の阪神・淡路大震災以降、住宅の基礎はベタ基礎+基礎パッキン(換気口)の組み合わせで施工されることが増えました。

基礎に四角くあけた換気口が原因で基礎の耐震性が減ってしまうことからこのような方法に切り替えられたと考えられます。

ベタ基礎と基礎パッキンで耐震性は確保されましたが、この工法だと結露しやすいことも課題です。

基礎に使われているコンクリートは一見乾いているように見えますが、建築後1~2年かけてコンクリート内の水分が蒸発していきます。

ここで発生した水分をうまく処理できないと結露し、カビ発生の原因となってしまいます。

基礎のカビを防ぐには?

カビの発生を防ぐためには以下の2つのことに注意しましょう。

施工時は基礎パッキンを塞がないようにする

水切りを先につけてもらい、基礎パッキンをふさがないように気を付けてもらいましょう。

外壁側に貼る透湿防水シートが基礎パッキンにかかったまま水切りを取り付けると、ずっと基礎パッキンがふさがったままで換気ができません。

施工時に注意しておけば、このトラブルは防げます。

住み始めてからは除湿機もおすすめ

基礎パッキンまわりに花壇や、タイヤをおいて基礎パッキンをふさがないようにしましょう。

定期的に床下を確認し、ジメジメしているようならば除湿機を設置することもおすすめします。

基礎の寿命を伸ばすおすすめのポイント

建物を支える基礎は後から作り直しができない部分でもあります。

作る際、住み始めてからも気を配りいつまでも安心して暮らせる安心な住まいづくりをしましょう。

基礎の寿命って何年ぐらい?

基礎の寿命は30年程度、といわれています。

たいていの方は35年の住宅ローンを組むと思いますが、住宅ローンの返済が終わらないうちに基礎の寿命がきてしまうのです

住宅ローンの返済が終わっていないのに建て替えを検討しなければいけなくなることもあるので注意が必要です。

どうして基礎は30年程度しかもたないと言われているのでしょうか。

その理由は基礎に使われている鉄筋に関係があります。

木造住宅の基礎は耐久性を考慮して、鉄筋コンクリートで作られています。

鉄筋コンクリートとはコンクリートのみだと耐久性が少なく、鉄筋のみだと錆びます。

また耐火性がないため、鉄筋とコンクリートでお互いのいいところを補っている構造です。

いわば基礎は鉄筋をコンクリートで保護しているイメージです。この鉄筋が錆びてしまうことで基礎の耐久性は低下してしまいます。

寿命をのばすには「施工時」がカギ

基礎の寿命をのばすには、鉄筋を錆びさせないことがポイントです。

そのためには表面をおおっているコンクリート部分から水の進入を少なくすることが大切です。

施工時に

  • コンクリートの厚みを増やしてもらう
  • コンクリート打設後にコンクリートが急激に乾燥しないように表面養生を行う

など施工時に工夫をしてもらい、コンクリート表面にひび割れが起きないようにしてもらいましょう。

基礎の高さはどうする?高い方が良いって本当?

基礎は高い方がいい!

こんなことを言われたことはないでしょうか?

できれば近年では水害も多いため、基礎は高く施工するのがおすすめと言われています。

ただ、一概に高くしても費用がかかってしまうのも事実なので、本当に高くするかどうかは基礎の高さ基準や災害対策に応じて決めるようにしましょう。

高さは最低30センチ以上

建築基準法の告示(建設省告示第1347号)で、ベタ基礎の立上り部分の高さは地上部分で最低30センチ以上とすると決められています。

立上り部分の高さは地上部分で30cm以上と、立上り部分の厚さは12cm以上と、 基礎の底盤の厚さは12cm以上とすること。

建設省告示第1347号

そのため基礎の高さは最低30センチ以上必要です。

その他に公庫や融資の関係でもっと高さを確保する規定があります。

基礎の高さは取ればとるだけ、防湿面やメンテナンス面では良いのですがバリアフリーを配慮すると、高くすればよいとは一概にいえません。

水害対策も考えよう

近年では、ゲリラ豪雨や台風で河川氾濫など水害が増えています。

床上浸水してしまうと、家財が濡れて大変な被害を被ってしまいます。

近くに川がある地域で、お家づくりをする場合はお金が少しかかりますが基礎の高さを高めにしましょう。

基礎にひびが入る原因をチェック方法

ある日なんとなく基礎に目がとまり、あれ?これってひび割れじゃないの?

ひび割れがあると、鉄筋がさびてしまう!どうしよう!なんてことがあった場合にはこの知識があれば安心です。

基礎のひび割れが起きる原因

基礎のひび割れが起きる原因は6つです。

  • 乾燥収縮
  • 気温変化
  • 不同沈下
  • 地震
  • 施工不良
  • コンクリートの中性化

乾燥収縮

乾燥収縮はコンクリート内の水分が蒸発することによっておきます。

気温変化

コンクリートは夏場の終わりなど、温度が急激に下がる時期に縮む性質があります。これによってひび割れが起きます。

不同沈下

弱い地盤に家を建てた場合、建物の重みに耐えられなくなり基礎が傾くことがあります。その際に不自然な力がかかることでひび割れが起きます。

地震

地震によって基礎にひび割れが起きることもあります。大きな地震のあとは建物の確認とともに基礎にひび割れが起きていないか確認しましょう。

施工不良

コンクリート打設時にしっかりとバイブレーターをかけていない、コンクリート打設後に散水や養生を行わないことが原因でひび割れが起きます。

コンクリートの中性化

時間の経過とともに大気中の二酸化炭素や雨などが原因でコンクリートの強度が低下します。それにより、鉄筋が錆びて膨張することによりひび割れが起きます。

耐震性は大丈夫?

幅0.3mm、深さ4mm以上のひび割れを見つけた場合には耐震性に影響があることが考えられます。

コンクリートの表面だけでなく、鉄筋近くまでひびが入っているため鉄筋が錆びる可能性もあります。

このようなひび割れを発見した場合は、早めに補修を行いましょう。

ひび割れチェック

ひび割れを発見した場合、パッと見てこれは構造クラック!なんてなかなか分からないですよね。

専門家に見てもらうのが一番安心ですが、もちろんお金もかかります。

そこでひび割れを測る「クラックスケール」を使ってひび割れを測ってみましょう。

「クラックスケール」はホームセンターに売っていて、定規のような形状をしています。値段も数百円程度です。

測ってみたひび割れが幅0.3mm、深さ4mm以上であれば補修する必要があります。専門業者に相談しましょう。

まとめ

基礎は住宅で最も大切な部分と言っても過言ではありません。

住宅ローンの返済が終わっていないのに基礎の劣化が激しく、建て替えを検討なんてことのないようにプラン段階から気を付けていく必要がありあます。

プラン時には設計担当者に基礎のコンクリート厚みを増やしてもらう、基礎の高さはこうしたいとあなたの要望を伝えましょう。

そして施工時には、こまめに現場に見学にいきましょう。

特にコンクリート打設時にバイブレーターをきちんとかけているか、確認することをおすすめします。

施工側は施主が見ていると分かれば気を引き締めます。このことはどの工程においても共通しているのでぜひ実践して安心なお家づくりをしましょう。