窓をリフォームしようと思ったら、まずは新しく入れる窓にどのようなガラスを取り入れるかを考えなければなりません。

窓ガラスと聞くと、通常の無色透明のものを思い浮かべる方も多いですが、現代には実にたくさんの種類のガラスが存在します。

そのため、様々なガラスを目にして何を利用すればよいのか迷ってしまうという方も少なくありません

当然ですが、それぞれのガラスは性能も異なりますし、設置するためのコストも変わってくるため、様々なポイントを考えながらリフォームするガラスを選ぶ必要があります。

それでは、どのタイプのガラスがご自宅に最も合っているのでしょうか。

この記事では、リフォームで利用する窓ガラスの種類や性能などについて紹介していきます。

また、通常の窓のリフォームに関しての費用などについてはこちらの記事で解説しています。

窓をリフォームする際の費用相場と実際に工事する際の3つの注意点

一般ガラスの種類

ガラスにも様々なものがありますが、大きく

  • 一般ガラス
  • 機能ガラス

の2つに分類することができます。

まずは、一般ガラスと呼ばれる

  • フロートガラス
  • 網入りガラス
  • くもりガラス
  • 型板ガラス

について詳しく見ていきましょう。

フロートガラスの特徴

フロートガラスとは、普段私たちが普段最もよく目にする、透明で向こう側が良く見える一般的なガラスのことです。

透明ガラスとも呼ばれることがありますが、このガラスは加工しやすく厚みの種類が豊富だという点が最大のメリットと言えるでしょう。

2ミリのような薄いサイズから、15ミリや20ミリのような分厚いガラスまで売られているため、ご自宅の窓の厚みを変えたいという際にも利用することが可能です。

また、一般的でどこにでもあるガラスということもあり、その設置コストも他のガラスと比べて安く、利用しやすいというのもメリットの1つでしょう。

しかし、どれだけ厚くしても透明であることには変わりがないため、厚みのあるフロートガラスを利用したからと言って向こう側が見えないということにはなりません。

また、後述させていただく様々な機能を持つガラスと比べると、性能が劣ります。

網入りガラスの特徴

網入りガラスは、一般的なガラスに金網を入れたものになり、他にもワイヤー入りガラスや防火ガラスなどと呼ばれたりすることがあります。

ガラスに網が入っているからガラスの強度が高くなると思われがちですが、網入りガラスが強化ガラスというわけではなく、実は案外割れやすくなっています。

また、ガラスに入っている網自体も切れにくいというものではないため、網入りガラスを設置したからと言って、実質上の防犯効果が高まるということはないのです。

網入りガラスに入っている網は、火災の際にガラスが熱で飛び割れてしまうのを防ぐ効果を持っています。

火災時にガラスが割れると、そこから炎が出て隣家に燃え移るなどの二次被害が発生する可能性がありますが、網を入れることで熱に強いガラスができるため、火災の延焼を最小限に抑えます。

実際に、調理に火を利用する飲食店などは、消防法により網入りガラスの使用を義務付けられているなど、防火効果については高い信頼性を誇ります。

そのため、ご家庭で利用する場合は火を利用する可能性の高い場所に導入するのがおすすめです。

くもりガラスの特徴

くもりガラスとは、透明ではなくガラスの向こう側が見えない造りをしているガラスのことを言い、すりガラスやつや消しガラスなどと呼ばれることもあります。

フロートガラスの片側に、金型ブラシなどを擦りつけて表面に細かい傷をつけたりするため、一般的な透明のガラスではなく、くもったようなガラスを造ることができるのです。

つまり、くもりガラスの一辺はデコボコ、もう一辺がツルツルということになりますが、後述する型板ガラスとは異なり、表面を触ってデコボコをはっきり認識できるほどではありません。

しかし他のガラスと比較すると、表面がデコボコになっている分、汚れが付着しやすく、またガラスの奥深くに汚れが入り込んでしまうと、どのような洗剤を利用しても取り除くことができません。

さらに、日光がよく当たる場所にくもりガラスを設置すると、ガラスのマンガンや鉄分が紫外線に反応して黒ずんだり紫がかったりすることもあります。

事前にコーティングや遮熱フィルムを利用することでガラスの日焼けを避けられますが、他のガラスと比べると凹凸がある分外部からの刺激を受けやすいので気を付ける必要があるガラスです。

型板ガラスの特徴

型板ガラスは、上述したくもりガラスと似たような印象を受けるかもしれませんが、こちらはガラスの片面にだけ何らかのデザインを施したロールアウト製法で造られています。

実際に触ると、片面がぼこぼこになっていたりざらざらとした感触を実感することができるはずです。

一般的には、建物の内部と外部とでは外部の刺激を受ける方が汚れが付着しやすいため、そのデコボコの面は室内に向けて設置されることが多いです。

表面がデコボコになっている分、取り入れられた光が拡散されるような形で反射するため、フロートガラスよりも柔らかい明るさを楽しむことが可能です。

また、デコボコになっていることによってガラスの向こう側の景色がぼやけるため

  • トイレ
  • 浴室
  • 玄関

などの外部の視線を避けたい場所に設置されることが多いガラスです。

しかし、そのデコボコの面に水分が直接付着すると外部からも透けて見えやすくなるため、バスルームで使用する際には湿気に気を付けて使うようにしましょう。

それから、一般のガラスと比べると強度が弱いため、例えば風の強い場所に設置すると劣化が進んだりする可能性があるということにも注意したいところです。

機能ガラスの種類

機能ガラスにも様々なものがありますが、

  • 合わせガラス
  • 複層ガラス
  • Low-E複層ガラス

主にこの3つが有名どころです。

合わせガラスの特徴

出典元:YKK AP株式会社

合わせガラスとは、その名の通り2枚のガラスを合わせて造られたガラスのことを指し、その2枚のガラスの間には中間膜というものが挟まれています。

一般的なフロートガラスなどは、ちょっとした刺激を与えるだけですぐに割れてしまう印象がありますが、この合わせガラスは3層が1つのガラスということになるため頑丈です。

具体的には、中間膜には樹脂膜を圧着させているため、ガラス全体が強化されますし、強い衝撃が加えられたとしても破片が飛び散りにくく貫通しにくいため安心できます。

合わせガラスが強い秘密はガラスの間に挟まれた中間膜ということになりますが、この中間膜に様々な機能を持たせることで色んな種類のガラスを造ることが可能です。

例えば後述する防犯ガラス防音ガラスなどにも、合わせガラスが利用されることが多いため、住宅をしっかりと守るという点において合わせガラスの利用は欠かせないといえるでしょう。

複層ガラスの特徴

出典元:YKK AP株式会社

複層ガラスとは

  • 複数枚のガラスを重ねてそのガラスとガラスの間を真空状態にする
  • 乾燥空気やガスなどを封入したものが1つとなったガラス

これらのことを指します。

外部との間に1枚のガラスがあるのと2枚のガラスがあるのとでは物理的に厚さなども変わってくるため、複数枚のガラスを設置すると室内が外気の影響をより受けにくくなります。

それに加えて、複層ガラスはガラスとガラスの間の中間層が密閉されていることもあり、断熱効果や遮音効果などを得ることが可能です。

また、室内と外部の温度の差によって生じる結露を防止する効果もあるため、様々な効果があるということがお分かりいただけるはずです。

実際に、中にはエネルギーの消費量を抑えるために単層ではなく複層ガラスの利用を義務付けている国もあるほどなので、日本では義務付けられていないとはいえ利用してみる価値はあります。

Low-E複層ガラスの特徴

出典元:YKK AP株式会社

上述した複層ガラスの中でも、内部に特殊な金属膜を設置したもののことをLow-E複層ガラスと呼びます。

Low-EとはLow Emissivityのことになり、日本語では低放射と訳されます。

特殊な金属膜を設置することによって、より高い断熱効果や遮熱効果を期待することができるため、室内がより外気の影響を受けにくくなります。

空き巣に効果的な防犯ガラス

窓ガラスをリフォームする理由が、住宅の防犯性を高めるためだというご家庭も多いのではないでしょうか。

特にフロートガラスを利用しているご家庭では、簡単に空き巣にガラスを割られてしまうため、本気で侵入しようとしている空き巣に対しては何の障害にもなりません。

一方で、割りにくい、破られにくいガラスを利用すれば、空き巣も侵入をあきらめる可能性が高くなるため、それだけで防犯性が高くなるはずです。

空き巣の窓破りの手口

まずは、空き巣が窓をどのように突破するのかという方法を紹介していきます。

具体的には、

  • こじ破り
  • 焼き破り
  • 突き破り

と言った方法で窓を割ってそこから侵入します。

こじ破り

一般的な方法の1つですが、窓ガラスとサッシの間にマイナスドライバーなどを差し込み、そのままガラスにひびを入れるといった方法です。

その方法で複数個所にひびを入れればガラスに穴が開くため、そこから手を突っ込んで内側のカギを開け、そのまま侵入されてしまいます。

焼き破り

ガラスは急激な温度差によって簡単に割れてしまいますが、それを利用したのが焼き破りという方法です。

バーナーなどを利用してガラスをあぶり、熱くなったところに冷水をかけることでガラスが割れるため、同様にそこから手を入れて内側のカギを空けます。

突き破り

最も単純なガラス破りの方法の1つになり、物理的にガラスを破壊して窓の内側の鍵を開けることになります。

例えばドライバーやアイスピックなどを用意し、それで鍵の近くのガラスを物理的に穴をあけ、そのまま鍵を開けます。

窓を破らせないガラスとは?

それでは、それぞれの手口に強いガラスとはどのようなものになるのでしょうか。

空き巣の手口 強いガラス
こじ破り 合わせガラス
焼き破り 複層ガラス
突き破り 合わせガラス
 
わかりやすく表でまとめましたが、こじ破りと突き破りには、特殊な中間膜を持つ合わせガラスを利用するとよいでしょう。

割れにくくなっているため、こじ破ろうとしても簡単に穴をあけることができませんし、アイスピックなどを利用しても簡単に貫通させるのが難しいのです。

また、焼き破りには、ガラスとガラスの間が真空状態になっていたり特殊なガスなどが封入されている複層ガラスがおすすめです。

断熱性が高いため、バーナーなどで一部分を炙られても簡単に割れてしまうことがないからです。

そのため、本当に防犯の効果を高めるのであれば、複層ガラスと合わせガラスが組み合わさったガラスを採用するようにしましょう。

もちろん様々な機能の付いたガラスは値も張りますが、それで空き巣の侵入を防げるのであれば安いものなのではないでしょうか。

防犯効果を高めるために、リフォーム業者に相談してみるとよいでしょう。

リフォーム業者の選び方!安心してお願いできる業者の種類とポイント

断熱と防音を考えるガラス選び

窓ガラスに使用するガラスを変えるだけで、断熱性や遮音性を高めることができるため、より快適に暮らせるようになります。

それでは、断熱性や遮音性の機能を持つガラスにはどのようなものがあるのでしょうか。

断熱ガラスにするメリット

断熱ガラスとは、単純に外部の高い温度を内部に入れさせない、逆に内部の温かい温度を外に漏らさないといった効果を持っています。

例えば、寒い時期にフロートガラスの真ん前に行くと、やはりガラスの近くは外の冷たい空気を通すため、どれだけ部屋を暖めていてもそのガラスの周辺には冷たい空気がたまりやすいです。

しかし断熱ガラスを利用すれば外部の温度を巻き込まずに室内の気温が一定に保たれるため、エアコンのききもよくなりますし光熱費を下げることにもつながります。

防音ガラスにするメリット

音に関しては特に気にならないという方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば人通りの多い場所に住居を構えるご家族には防音対策は不可欠です。

同様に、子供が多く大声で叫んだり泣いたりするのが近所迷惑になると感じた場合は、防音ガラスを設置することによって音の漏れを最小限に減らすことができます。

防音ガラスを利用することによって、建物の外部と内部の音をシャットダウンできるため、音が気になるという方は全ての窓に遮音加工を施すことをおすすめいたします。

合わせガラスは断熱効果と遮音効果が期待できる

双方の効果があるガラスとして挙げられるのが、合わせガラスになります。

合わせガラスは2枚のガラスが組み合わさっており、その2枚のガラスの間には中間膜が設置されているため、熱や音などを通しにくいという特徴を持っています。

その中間膜に防音フィルムなどを入れれば本格的な防音ガラスということになりますが、通常の合わせガラスであってもある程度の防音性能があります。

いろいろな種類の窓ガラスの価格相場

それでは最後に、それぞれのガラスの価格を見ていきましょう。

ガラスの厚みやサイズによっても価格が大きく変わりますが、もちろん業者によっても価格差が生じます。

ここでは、一般的なガラスのサイズや厚さで大体の料金の相場をお伝えいたします。

フロートガラス(5ミリ)の料金相場

  90センチ 180センチ
60センチ 4500円 7500円
90センチ 6500円 10000円

網入りガラス(6.8ミリ)の料金相場

  90センチ 180センチ
60センチ 17500円 28000円
90センチ 25000円 35000円

くもりガラス(3ミリ)の料金相場

  90センチ 180センチ
60センチ 5,000円 8,000円
90センチ 7,000円 10,000円

型板ガラス(4ミリ)の料金相場

  90センチ 180センチ
60センチ 4,000円 7,000円
90センチ 6,000円 8,500円

合わせガラス(透明)の料金相場

  90センチ 180センチ
60センチ

9,000円

15,000円
90センチ 13,000円 18,000円

複層ガラスの料金相場

  90センチ 180センチ
60センチ 7,500円 12,000円
90センチ 10,000円 15,000円

Low-E複層ガラスの料金相場

  90センチ 80センチ
60センチ 15,000円 23,000円
90センチ 20,000円 30,000円

より安くガラスを設置するために

ここで紹介させていただいたのは、大まかなガラスのサイズとそれぞれの価格の相場になります。

もちろん設置場所や工事内容などによって、この価格よりも高くなったり、反対に安くなったりすることがあるかもしれません。

どうせ導入するのであれば、やはり少しでも安いほうが良いと考える方は多いはずです。

例えば、

  • 複数個所を同時にリフォームする
  • 全ての窓に同じガラスを利用する

というような方法を取ることで、総合の料金を値引きしてもらえたりすることもあります。

業者との話し合いも重要になってくるため、複数の業者から見積もりを取って、価格や業者の質を見極めて信頼できる業者を選びましょう。

まとめ

たかが窓ですが、実にたくさんの種類があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

今回は、

  • フロートガラス
  • 網入りガラス
  • くもりガラス
  • 型板ガラス
  • 合わせガラス
  • 複層ガラス
  • Low-E複層ガラス

を紹介させていただきました。

しかし、例えば

  • 抗菌ガラス
  • 石英ガラス
  • 電磁波ガラス
  • カラーガラス

などなど、他にも様々な種類のガラスが存在します。

もちろん業者によっては取り扱っていないガラスなどもあるかと思いますが、一般的なご家庭であれば今回詳しく紹介したガラスで十分な効果を得ることができるはずです。

ご自宅のどの場所にどの窓がいいのか、ということを業者に聞きながら、理想的な窓を取り付けていきましょう。