キッチンで調理をする際に、最も体が触れる場所がワークトップと呼ばれるところになります。
ワークトップとは、実際に包丁で何かを切ったり、下ごしらえなどをする際の作業を行うための、キッチンのメインともいえるカウンター部分のことです。
ワークトップにはステンレスや天然石などをはじめとする様々な素材が使われていますが、当然その素材によって使い勝手が大きく変わってきます。
キッチンのタイプによっても異なりますが、ワークトップのみを取り外しできるものもあれば、シンクやその下の収納部分とワンセットになっているタイプも存在します。
調理に直接かかわる部分になりますし、キッチンのインテリアを左右する場所でもあるため、リフォームの際にはワークトップにこだわりたいという方も少なくありません。
この記事では、そんなワークトップに使われる素材の特徴や、リフォームをする際に知っておきたい基本的な情報などを紹介させていただきます。
ワークトップリフォームに知っておきたい知識
まずはワークトップをリフォームする際に知っておくべき情報を紹介していきます。
ここでは、
- ワークトップ選びで見るべき点
- ワークトップの高さ
- ワークトップのリフォームに必要な費用
を見ていきましょう。
ワークトップ選びで見るべき点
ワークトップは、キッチンでも頻繁に利用する場所の1つになるため、やはり耐熱性や耐久性、耐水性などを考慮して選びたいものです。
例えば、うっかり調理に使っていた鍋を置いてしまう可能性が高い方は、耐熱性に乏しいメラミンなどは避けるべきです。
同様に、ワークトップが水や調味料で濡れる可能性が高い場合は、天然石などの水分がしみ込みやすい素材は避け、サッと拭けば汚れが簡単に取れるものの方が好ましいと言えます。
調理方法や調理中の癖などは実際に調理をする方によって大きく異なるため、ご家庭で調理担当の方の性格なども考慮して選べるとよいでしょう。
ワークトップの高さ
調理台の高さは、料理の効率を大きく変える要因の1つでもありますし、低すぎたりした場合は調理をする方の腰に負担がかかるなどのデメリットを発生させます。
ワークトップのみを交換する場合であっても、その高さを調節できる可能性があります。
現在のキッチンに高すぎる、または低すぎると不満を持っている場合は、一緒に高さを調節してもらいましょう。
一般的には、
身長÷2+5センチ
がワークトップの理想の高さだと言われています。
例えば160センチの方の場合は、ワークトップの高さを85センチにすればちょうどよい高さで調理を楽しむことができるということになります。
しかし、個人の腰や背骨の曲がり具合などによっても理想の高さは数センチ変わってくるため、実際にそれぞれの高さを比較して選べるのであれば、高さを体験してからのほうが良いでしょう。
ワークトップのリフォームに必要な費用
ワークトップのリフォームをする際には、やはりその費用が最も気になるという方も少なくないはずです。
それでは、ワークトップを交換するにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
キッチンの造りによって費用が異なる
ワークトップのリフォームは、工事をしようとするキッチンの造りによって価格が大きく変わってきます。
具体的には、
- ワークトップのみを取り外せるキッチン
- ワークトップを取り外せないキッチン
で費用が変わってきます。
ワークトップのみを取り外せるキッチン
例えば一部のシステムキッチンはワークトップとシンクのみを取り外して交換することが可能なため、その場合はワークトップ本体の価格と工事費用のみで済みます。
もちろんその取りつける素材によって費用は大きく変わってきますが、5万円~20万円程度で交換することが可能です。
ワークトップを取り外せないキッチン
ワークトップのみを交換したいのに、キッチンの造りによってはそれができないものもあり、そういったタイプをリフォームする場合はキッチンを全て取り換える必要があります。
安ければ20万円~30万円程度でキッチン台を丸々取り換えることも可能ですが、どうせキッチン台を変えるのであればキッチン全体をリフォームしようという話になることも多いです。
キッチン全体をリフォームすると100万円以上かかるケースも珍しくはないですので、ワークトップのみの変更ができない場合はどのようなリフォームにすべきかをご家族で話し合いましょう。
ワークトップの素材
次にに、ワークトップの素材について紹介させていただきます。
実に様々な素材が考えられますが、代表的な素材として
- ステンレス
- タイル
- メラミン
- 人工大理石
- 天然石
が挙げられます。
ステンレスの特徴
ステンレスは、昔から利用されてきた代表的なワークトップの素材の1つ。
例えば、レストランなどを見ると厨房はステンレスでできているところが多いため、それだけ調理に適している素材だということがわかります。
調理をすると必ず水で汚れたり油汚れが付着したりしますが、ステンレスであればサッとふき取るだけで汚れを取り除くことができるため、日々のお手入れが非常に楽です。
また、その素材のにおいが付着したり、色が付着してシミになったりと言ったこともないため、安心して利用することが可能です。
しかし、やはり見た目が悪いというのが大きなデメリットになるため、他にインテリア性の高いものがあるということもあり、ステンレスを敬遠する方も少なくありません。
ただし、安く導入できるという点やメンテナンス性が高いところから、やはりステンレスのワークトップが最も良いと考える方もいらっしゃいます。
ステンレスのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・安価で設置でき、水や熱、においなどに強い |
・家庭に導入する際にはオシャレさに欠ける |
タイルの特徴
タイルも、ステンレスと並んで人気の高いワークトップの素材です。。
ステンレスとは異なり様々なデザインを取り入れることができるため、タイルを利用してオシャレなキッチンを造ることが可能です。
タイルはオシャレなワークトップとしてはおすすめの素材ですし、安くリフォームできるため予算を抑えたいというご家庭にもぴったりです。
お風呂場などにも利用される素材ですので、当然水に強いですし、調理の熱にも耐えられる耐熱性を持っているため、安心して料理を行うことができるでしょう。
しかし、お風呂場のタイルもそのつなぎ目が汚れやすいように、キッチンのタイルも目地に汚れが入り込むと、それを取り除くのが大変です。
調理をする度にタイルをきれいにふき取り、つなぎ目に入り込んだ汚れは塩素系漂白剤などを利用して落とすことで、キッチンを常に清潔に保てるはずです。
タイルのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・耐熱性や耐水性が強く低価格 |
・衝撃の強さによっては割れることがある |
メラミンの特徴
キッチンのワークトップにおけるメラミンと言うのは、メラミン化粧版を合板に張り付けたもののことを指します。
タイルのようにつなぎ目がないため、見た目がすっきりとして綺麗なキッチンを造り上げることが可能です。
メラミンの中でも、キッチンのワークトップに最も適しているものが、高圧メラミン材と呼ばれる強い圧力をかけて加工したものになります。
高圧メラミン材は、表面が硬い仕上がりになるため衝撃にも強いですし、濃い色の調味料などをこぼしても汚れが付着しにくくサッと拭けばきれいになるというメリットを持ちます。
つなぎ目がないため、素材と素材の間から水が漏れるというようなこともないですし、一面を拭くことができることからメンテナンスも非常に楽です。
ただし熱に弱いというデメリットもあり、例えば火にかけていた鍋をそのままワークトップに置いてしまうと変色したりするリスクもあるため、使い方に気を付ける必要があります。
メラミンのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・水に強く汚れにくいためメンテナンスが楽 |
・熱に弱い |
人工大理石の特徴
人工大理石には大理石という名前がついていますが、一般的にはアクリル樹脂やポリエステル樹脂を利用した人工の素材になります。
アクリル製に比べるとポリエステル製の方が安いですが、汚れが落ちにくかったり耐久性が低かったりするため、現在の主流となっているのはアクリル製のワークトップです。
料理好きな方の中には、キッチンには天然石を導入してオシャレな空間で調理をしたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、天然石は非常に高価なものになるため、その代わりに人工大理石を導入するという方も少なくありません。
実際に天然石よりも低価格で設置することができますし、天然石とは異なり汚れや水に強いというメリットもあるため、こちらの方が調理には現実的かもしれません。
なお、人工大理石には人造大理石と呼ばれる、大理石を粉砕して樹脂などで固めたものもあり、こちらは利用されている石などによって価格が変わってきます。
様々な種類があるため、見た目だけではなく性能などにも目を向けてベストなものを選びましょう。
人工大理石のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・色やデザインが豊富で高級感があるため個性を演出できる |
・価格が若干高い |
天然石の特徴
天然石は、キッチンのワークトップだけではなく、住居のあらゆる場所に利用することのできる素材になります。
しかし、素材自体が非常に高価ですしメンテナンスもしにくいというデメリットがあるため、メリットとデメリットを考えて導入を判断する必要があります。
綺麗な天然石を利用したワークトップは、キッチンに華を持たせることでき、重厚感のあるぬくもりを感じられる空間を造り上げることができます。
調理が好きな方の憧れともいえる天然石のワークトップですが、その反面デメリットも多く確認できるため取り扱いに気を付けなければなりません。
例えば、ワークトップに使用される天然石は、基本的に外国から輸入されることになるため、その重さから輸送費が非常に高額になり、それがリフォーム費用に反映されます。
また、天然石は割れやすく多孔質であることが多いため、水や汚れなどが簡単にしみこみますし、一度しみ込んだ汚れはそのままくっついて取れません。
世界を見渡しても全く同じデザインのワークトップがないというのは大きなメリットですが、日々のメンテナンスが必要になってくるためお手入れに気を使いましょう。
天然石のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
・天然石ならではの重厚感を持たせることができる |
・導入コストが非常に高い |
ワークトップの素材まとめ
代表的な5つの素材を紹介してきましたが、それぞれの特徴をまとめてみましょう。
耐衝撃性 | 耐熱性 | お手入れのしやすさ | オシャレ度 | 価格 | |
ステンレス | 高い | 高い | しやすい | 低い | 安い |
タイル | 普通 | 高い | しにくい | 高い | 比較的安い |
メラミン | 低い | 低い | しやすい | 高い | 安い |
人工大理石 | 高い | 低い | しやすい | 高い | やや高い |
天然石 | 低い | 高い | しにくい | 高い | 高い |
やはりステンレスは価格も安くメンテナンスも楽だということがわかりますが、デザイン性に欠けるため高い人気があると言い切ることはできません。
その他の素材は使い方次第ではオシャレなキッチンを実現することが可能ですが、その他の部分で大きなデメリットを持つ素材も存在します。
特に設置費用はワークトップのリフォームでも重要な部分になるため、予算を考えてお気に入りの素材を見つけていきましょう。
素材ごとの価格の目安
それでは、素材ごとでどれくらいの価格の差が出るのでしょうか。
ステンレス
最も定番で安く設置できるワークトップとしてステンレスが挙げられますが、素材の価格だけで言えば3万円くらいからでも探すことができるはずです。
ただし、取り外しや設置などで別途工事費用がかかるため、安くても5万円くらいを目安にしておくと安心です。
もちろん高額なステンレスも存在するため、ステンレスは一概に安いと決めつけるのではなく、商品ごとの特徴や価格を把握することをおすすめいたします。
タイル
タイルは大きさの種類も多いですが、通常は1枚いくらという計算ではなく、1平方メートル当たりの料金で計算することになります。
その際には、やはりタイルが細かかったり作業が大変だったりする方がリフォーム代金が高くなります。
一般的には1平米あたりで5000円~15000円くらいを見ておきましょう。
メラミン
こちらもステンレスと並んで比較的安い素材になりますが、その形状やデザインなどによって価格が大きく変わることもあります。
安いものであれば、こちらも5万円程度で工事をすることができるはずですが、古いワークトップの素材などによって総合価格が変わってくる可能性もあります。
種類が豊富だということもあり、ご家庭に設置できるタイプが簡単に見つかると思いますので、まずはメラミンを探してみるのもよいでしょう。
人工大理石
人工大理石にも複数の種類があるため、比較的安いと感じるものもあれば、反対に高いと感じるものもあるはずです。
しかし、安いものであれば10万円程度で購入することが可能ですので、ステンレスやメラミンなどが嫌だという方は人工大理石を選択するのも方法の1つです。
もちろん人工大理石には高価なものも存在するため、様々な商品の特徴やメリットなどを理解したうえで、ご家庭にあったワークトップを選ぶようにしましょう。
天然石
天然石の中には、安価なものもあれは高価なものも存在しますので、一概に価格をお伝えすることはできません。
しかし、安いものであれば20万円程度から設置できるものも存在します。
珍しい天然石などを利用する場合は、運搬費や設置費だけではなく、素材の価格だけでも高額になることが多いため、まずは専門の業者に聞いてみましょう。
最後に
ワークトップのみを変えるだけでも、キッチン全体の雰囲気が大きく変わります。
また、ワークトップによってお手入れがしやすいものもあれば、しにくいものもあるため、ワークトップをリフォームするだけで調理の効率が変わる可能性もあります。
素材によって導入価格が異なりますし、パッと見た感じも違うため、どうしても価格と見た目でワークトップを選んでしまう方もいらっしゃいます。
しかし、毎日の調理に関わる部分ですので、性能もきちんと確認してどのような素材にするかを決めたいものです。
業者によって取り扱っている素材が異なることも多いため、複数の業者で見積もりを取って、素材ごとの特徴や価格をはっきりとさせてから納得できるものを選びましょう。