料理をするのが好きな方ほど、キッチン台の前にいることが多くなりがちですが、キッチン台の高さがあっていないと調理効率が落ちるということはご存知でしょうか。
例えば、デスクワークで机と椅子の高さが身長にあっていない場合は、無理に前かがみになったりして首や腰に負担がかかります。
調理は基本的には立って行うものになりますが、同様にキッチンが高すぎたり低すぎたりして無理な体勢が続くと、そこに負担がかかり体を傷めてしまう可能性があるのです。
また、無理な姿勢から包丁を利用していると、力が思うように伝わらないため、無駄に力を入れなければならなかったりする可能性もあります。
力の入らない状態で硬い具材を切る場合は、手元が滑って手を切ってしまうリスクも生まれてしまいます。
この記事では、そんなキッチン台の高さに対する考え方と、高さを変えるリフォームについて紹介していきます。
目次
キッチンの高さが合わないことによるデメリット
冒頭でもお話しましたが、キッチンの高さが身長と合っていないことによって様々なデメリットが生じます。
その中でも代表的なデメリットとして挙げられるのが、
- 力を入れにくい
- 腰が痛くなる
の2点です。
力を入れにくい
人間は何らかの行動をとる際に、適切な姿勢というものがあります。
スポーツの場面ではそれが顕著に現れますが、例えばゴルフで全身の力をインパクトのタイミングでボールに伝えることができれば、ボールの飛距離も伸びます。
しかし、全身の力をうまく伝えることができない場合は、飛距離も伸びませんし変な体勢のフォームでそれを続ければ体を壊してしまう可能性出てきます。
ゴルフの場合はクラブとボールを使うだけですので、練習次第で力の入れ方を学習することが可能です。
しかし、キッチンで料理をする場合は、キッチン台に合わせて姿勢を作らなければならないため、慣れや努力などでどうにかなるものではありません。
例えば良い姿勢で包丁を扱うことができれば、手元に必要な力を最小限に抑えることが可能です。
しかし、包丁を持つ姿勢が悪ければ、身体の別の部分に力を入れてバランスを取らなければなりません。
つまり、ご自身の身長にあっていないキッチン台では力がいれにくいということになり、そういった方が身長に合ったキッチン台で調理をしたら普段よりも包丁が楽に扱えるようになるはずです。
もちろん、料理は包丁を使って具材を着るだけではなく、叩いたり削ったり混ぜたりといった様々な作業が必要です。
キッチン台のサイズを調節できれば、全ての調理全体の効率を上げることが可能なのです。
腰が痛くなる
間違った体勢で調理を続けることで、腰痛を訴える方も少なくありません。
特に身長に対して低すぎるキッチン台では必要以上に腰を曲げなければならないため、上半身を支えるために腰に大きな負担がかかります。
例えば1日の調理時間が10分などであれば、腰にかかる負担を大きくとらえる必要はないかもしれません。
しかし、上述した通り、身長に合っていないキッチン台での調理は効率を大幅に低下させるため、料理に時間がかかる可能性も高いです。
毎日のように長時間の無理な体勢を取り続けることによって、少しずつですが確実に腰に負担をかけていることになるのです。
そして、ある日いきなり腰痛となって症状に現れるのですが、そのキッチン台の高さが当たり前だと思っている方は、まさか料理で腰痛が発生するとは考えません。
腰痛の中、さらに無理をして調理を続けると、その腰の痛みはますます悪化してしまうことになるのです。
キッチン台の高さがあっていない場合は、遅かれ早かれ腰を悪くする恐れがあるため、早めに高さに対する対策を取ることをおすすめいたします。
キッチンの高さの基準や計算方法
それでは、キッチン台はどれくらいの高さにするべきなのでしょうか。
続いて、慎重に合ったキッチン台の高さの選び方を見ていきましょう。
キッチン台の高さと身長の関係
キッチンの高さは、身長に合わせて選ぶ必要があります。
具体的には、
- 身長÷2+5センチ
という計算方法に基づいてキッチンの高さを決めることが多いです。
例えば、身長160センチの方の場合は、
- 160÷2+5センチ=85
となるので、キッチン台の高さの目安は85センチです。
身長ごとによるキッチン台の高さを細かく見てみましょう。
身長 | キッチン台の高さ |
150センチ | 80センチ |
155センチ | 82.5センチ |
160センチ | 85センチ |
165センチ | 87.5センチ |
170センチ | 90センチ |
175センチ | 92.5センチ |
180センチ | 95センチ |
最近は男性の中にもキッチンに立たれる方が多いため、一応180センチまで記載しました。
しかし、基本的には「身長160センチの方のキッチン台の高さが85センチで、後は身長が5センチ変わるごとにキッチン台の高さが2.5センチ変わる」と考えてもらえば問題ありません。
市販されているキッチン台の高さ
メーカーによって様々な高さのキッチン台をそろえているところもありますが、基本的にはキッチン台は
- 80センチ
- 85センチ
- 90センチ
のものが主流となります。
もちろんこれよりも低いキッチン台も存在しますし、高いキッチン台も存在します。
また、数センチ程度であれば、後述するリフォームをせずに高さを解決する方法で何とかなるケースも多いため、興味があれば試してみるのもよいでしょう。
誰の身長を基準にすべきか
例えば一人暮らしでキッチンも自分しか使わないという場合は、そのキッチンの高さを1人の身長に合わせてリフォームすれば問題ありません。
しかし、ご家族の中には身長150センチの方もいれば、170センチの方もいるというご家庭も少なくないはずです。
家族の人数が増えれば増えるほど身長に開きが出る可能性も高くなるため、それらすべての方の身長にあったキッチンを造るのは物理的に不可能です。
その場合は、やはりキッチンに立つ可能性が最も高い方の身長に合わせることをおすすめいたします。
キッチンに立つのは女性の方が多いですが、市販されているキッチンの高さで多いのが80センチ、85センチ、90センチと言うのも、やはり女性に合わせた造りになっているというのが理由です。
一般的な日本人女性であれば身長が150センチ~170センチに収まるため、基本的にはこの3種類の高さで解決できると考えられているのです。
しかし、80センチと90センチとでは大きな差になるため、家族の中で最もよくキッチンを利用する方の身長を考えて選ぶようにしましょう。
キッチンのリフォームをしないでキッチンの高さを解決する方法
若干キッチンが低い気がする、反対に高い感じがするという場合は、無理にリフォームしても後悔するかもしれない、と考える方も少なくありません。
実は、リフォームをせずしてキッチンの高さを身長に合わせることも可能です。
リフォームになかなか踏み切れないという方は、まずはキッチンが高すぎる場合、低すぎる場合のそれぞれの対処法を試してみましょう。
キッチンが高い場合
身長に対してキッチン台が高いと感じる場合は、キッチンを低くするのではなくご自身の身長をキッチン台に合うように伸ばしましょう。
具体的には、
- キッチン専用の厚底靴を履く
- キッチンマットを複数枚重ねる
- 踏み台を設置する
これらをすることで数センチの誤差は全く気にならなくなるはずです。
キッチン専用の厚底靴を履く
かかとの部分が上がっている靴ではなく、足全体が同じ高さの厚底靴をはくことによって、安定して調理をすることが可能になります。
1センチや2センチで問題ない場合は、少し厚めのスリッパを履けばそれだけで高さの違いを実感することができるのではないでしょうか。
最も簡単な方法ですが、あまりにも靴が高くなりすぎるとバランスが悪くなるため、他の方法と併用して使いましょう。
キッチンマットを複数枚重ねる
キッチンマットを1枚敷くだけで、数ミリの厚さを出すことができます。
ご自宅にキッチンマットやバスマットなどが余っている場合は、それらのマットを数枚重ねて敷くことで数センチ程度の高さを調節することができるはずです。
ただし、マットの大きさをそろえなければ、不自然な段差ができてしまったり斜めになってしまったりするため、料理に集中できなくなることもあります。
本格的に高さをそろえるのであれば、同じ大きさのマットを複数枚利用するとよいでしょう。
踏み台を設置する
キッチン台に踏み台を導入することによって、高さを調節することが可能になります。
ただし、踏み台の大きさによってはバランスを崩してしまうリスクがあるため、極端なことを言えば、キッチン台の前にすのこなどを敷いて高さを合わせるなどするとよいでしょう。
しかし、高すぎると逆にキッチン台が低く感じられるため、微妙な高さを調節するのが難しいかもしれません。
キッチンが低い場合
キッチンが高い場合は床部分の高さを合わせるだけなので、何となく簡単に対処できる気もします。
それでは、逆にキッチンが低いと感じた場合はどうすればよいのでしょうか。
こちらにもいくつかの対策方法がありますが、
- 調理台の高さを上げる
- 足を広げて高さを調節する
- 椅子を使う
などが代表的な方法です。
調理台の高さを上げる
1つ目の方法は、物理的に調理台の高さを高くしてしまうというものです。
例えば調理台全体に厚さ5センチの板を敷けば、それだけでちょうどいい調理台になる可能性もあります。
ただし、その板の素材が木材のような水に弱いものの場合は、劣化も早いですし調理に悪影響を与えてしまう可能性もあります。
ステンレス製の板などを利用すれば、いったん設置してしまえばそのまま使い続けることができるためおすすめです。
しかし、取り付け型のガスコンロであればステンレスの板を敷いた上に設置することができますが、キッチン台とくっついているIHクッキングヒーターなどの場合はこの方法が使えません。
足を広げて高さを調節する
もっと簡単に対処できる方法として挙げられるのが、足を開いて立つというものです。
足をまっすぐにして立つよりも、足を左右に広げて立った方が、当然上半身の位置は下に来るため、足の幅を変えるだけで気軽に低さ問題をクリアすることが可能です。
ただし、足元が狭いとこの方法を使うことができないため、台所の足元をきれいに片づけておく必要があります。
椅子を使う
立って調理するのが低すぎる場合は、思い切って椅子に座って調理するというパターンも存在します。
座れば当然立っているときよりも低くなりますし、立った状態で上半身が前かがみになることを考えると、腰への負担も少なくなります。
しかし、キッチン台に対して真正面に座ると膝がぶつかるため、足を左右どちらかに曲げて作業をする、もしくは足を大きく開いて作業をしなければなりません。
キッチンの高さを変える2つのリフォーム方法
それでは最後に、キッチン台の高さをリフォームによって変更する2つの方法を紹介させていただきます。
- キッチン全体をリフォーム
- 既存のキッチンをそのままリフォームできる
キッチン台の高さを変えるためには、これらのどちらかの方法を利用するのが一般的です。
キッチン全体をリフォーム
これは単純に、ご自身にあった高さの既製品を見つけてそれをキッチンに取り付けてもらうという方法です。
例えば身長150センチの女性が90センチのキッチンを使うのは明らかに高すぎるため、80センチのキッチンを新しく購入してリフォームするというようなことになります。
既製品であればそのままきれいにセットすることができますし、自分の身長に合わせて高さを選ぶことができるため綺麗にリフォームが完了するでしょう。
先ほどもお伝えしましたが、一般的なキッチン台の高さは80センチ、85センチ、90センチの3種類であることが多いです。
しかし、これよりも高いものや低いものも存在しますし、またメーカーによっては82.5センチ、87.5センチなどの細かい高さのものもあるため一度見てみるとよいでしょう。
既存のキッチンをそのままリフォームできる
現在使っているキッチン台を、そのまま使うというリフォームも可能です。
例えばキッチン台が低すぎる場合は、いったんそのキッチン台を取り外して、土台を高くしてからその上にキッチン台を置けば問題ありません。
しかしキッチン台が高すぎる場合は、キッチン台以外の場所を高くする、もしくはキッチン台が設置されている部分の床のみを低くするなどの対応が必要になります。
周りの床に対してキッチン台が低くなりすぎると、引き出しや開き扉があかなくなってしまう可能性も高いため、高すぎるキッチン台に対してこの方法はあまりおすすめできません。
キッチン台の高さを選ぶうえでの注意点
ご自身にあったキッチン台の高さを調べるために、ショールームなどに出かけるという方も多いのではないでしょうか。
ショールームによって異なりますが、靴を履いたまま室内を見ることのできるタイプのところも少なくありません。
例えばヒールを履いた状態でキッチン台に立つのと、スリッパをはいた状態で立つのとでは、当然感覚が大きく変わってきます。
自宅で普段調理をする際に履くスリッパなどの高さになるべく近い履物を履いていくことで、普段の感覚で高さを選ぶことができるはずです。
まとめ:まずはできる調整から始める!
何となく調理しづらいと感じる場合は、キッチンの高さが身長にあっていないということも考えられます。
高すぎるキッチンを利用すると、キッチン台の上のものを自由に動かせなかったり、包丁を握る手に力が入らなかったりします。
反対にキッチンが低すぎると、どうしても常にかがんだ状態を維持しなければならないため、腰に大きな負担を与えることになります。
しかし、今回紹介したように、リフォームをせずにキッチン台の高さを調節する方法もあるため、まずはそれを試してみると言うのも方法の1つです。
きちんとしたキッチンで調理をしたいという場合は、リフォーム業者に相談をしてキッチンの高さを調節してもらうのもよいでしょう。
無理やり新しいキッチン台を購入しなくても高さを調節できる方法があるため、予算も考えてお得な方を選ぶことをおすすめいたします。