相続などでいきなり空き家を手に入れたとしても、基本的には放置されることが多いです。

既に都会に住んでおり、空き家のために田舎に戻ることなど考えられないという方もいらっしゃれば、そもそも空き家をどう処理すればいいのかわからないという方もいます。

しかし、誰も住んでいない建物であっても資産としてカウントされるため、毎年の固定資産税は支払い続けなけばなりません。

また、老朽化によって他人に危険が及ぶこともありますし、例えば壁が崩れて他人を傷つけた場合はその空き家のオーナーが補償しなければなりません。

放置された空き家が多くなってきていますが、このような理由から、そもそも放置にメリットはないのです。

空き家が多い今だからこそ、空き家ビジネスを考えていくべきなのです。

この記事ではそんな空き家を活用したビジネスをいくつか紹介していきます。

放置しておくよりは何らかのビジネスをしたほうがお得

空き家の放置によって、メリットが発生することはありません。

逆に、放置され続けた空き家には様々なトラブルが発生します。

代表的な2つの空き家の問題

まずは、空き家に関する代表的な問題を2つ見ていきましょう。

建物の劣化と資産価値の低下

人が住んでいない家と比べると、空き家は劣化が激しく、すぐに悪くなってしまうこともあります。

日本は湿気が多いため、人の出入りしない通気性のない住宅はダメになりやすいのです。

老朽化した家に住むのは危険ですし、何より建物としての価値も下がってしまいます。

特に長年放置された空き家は、雑草が生い茂り、害虫が繁殖し、雨漏りが起こり、カビが発生し、といったトラブルが起こりやすいです。

いざ建物を売却しようとしても売れないことが多いですし、修繕にも多額の費用がかかることになります。

経済的な問題の発生

空き家という建物と土地を抱えている以上、固定資産税は支払い続けることになります。

放置している場合は、全くお金を生み出さない不要だと思っているものに対して、税金を納めていることになるのです。

また、老朽化した空き家の中には、税金の特例を受けられず通常の6倍の固定資産税を支払わなければならなくなる建物も存在します。

さらに、税金だけではなく定期的に管理するための費用や、空き家が遠くにある場合はそこまでの交通費など、様々なお金が必要になってきます。

空き家を活用するメリット

最もポピュラーな空き家活用方法として、そのまま賃貸として貸し出してしまうというものが挙げられます。

極端な話、例えその空き家を100円で貸していたとしても、放置するよりはメリットがあります

人が住んでいれば建物はきちんと管理されますし、通気性悪化などによる建物の劣化も防げるからです。

人がいるだけで野良犬や野良猫、害虫を遠ざけることができますし、空き家で増加している空き巣や放火の被害も未然に防ぐことが可能になります。

もちろん、築年数による資産価値の低下は免れませんが、建物に人がいることで上記のデメリットが自然になくなるのです。

そして、中には手にいれた空き家をうまく活用してビジネスを成功させている方もいます。

空き家ビジネスが成功すれば、さらに多くのメリットが得られます。

ここからは、代表的な空き家ビジネスについてみていきましょう。

コワーキングスペースとしての活用は需要が高い

最近は様々なところにコワーキングスペースが作られており、特に若いノマドワーカーが頻繁に活用しています。

空き家を放置しているのであれば、このようなコワーキングスペースとして活用するのも方法の1つです。

コワーキングスペースのビジネスモデル

単純にスペースを貸し出すというスタイルのビジネスですので、空き家をそのまま利用することも可能です。

部屋数の多い空き家であれば、プライベートルームをいくつも貸し出すことができるため収益を見込むことも可能です。

しかし、最初にコワーキングスペースとして活用するためのリフォームを加えたほうが、利用者のリピート率も上がることが予想できます。

部屋貸しで都度お金を取るモデルもありますし、月間会員制にしてフリースペースを使い放題というモデルも存在します。

また、家の中でちょっとしたドリンクを販売したり自動販売機を置くだけでも、プラスの収益を見込めるでしょう。

スペースの活用は老若男女問わない

コワーキングスペースと聞くと、若いフリーランスの人間が使うものというイメージもあります。

そのため、例えば高齢者が多い田舎でコワーキングスペースなど成功しないと思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、地方は地方で高齢者が気軽に立ち寄ることのできる公共の場所として活用することが可能です。

実際に、そのようなスペースがない地域で空き家をコワーキングスペースとして活用することができれば、高齢者に人気のスポットになる可能性もあるかと思います。

シェアハウスとして大きな家賃収入をゲット

空き家を活用する方法の1つとして、シェアハウスビジネスが挙げられます。

一軒家を丸々賃貸物件として貸すのもよいのですが、シェアハウスとしての利用はメリットもあります。

家賃収入が多くなる

例えば田舎の大きな一軒家を1家族に貸した場合、田舎なので家賃が3万円しか取れないとしましょう。

しかし、大きな部屋が10部屋あってそれを月5000円で10人の個人に貸した場合は、最大の家賃は5万円ということになります。

もちろんそんなに部屋がないという場合も多いでしょうし、そんなに住民が集まるわけがないという考えもあります。

しかし、もし空き家がシェアハウスとしての収益が見込める場所に建てられている場合、シェアハウスようにリフォームしてビジネスを始めたほうが良いかもしれません。

特に単身者が多いが、単身用に一軒家を貸し出すには大きすぎるといった地域なのであれば、シェアハウスとしての活用もおすすめです。

シェアハウスのデメリット

高い収益性の見込めるシェアハウスですが、当然デメリットも発生します。

例えば、世帯が増えれば増えるほど管理が大変になるという点です。

1世帯に貸し出し1世帯が家賃を払わなかった場合はそこに催促するのみですが、10世帯中5世帯が滞納した場合は催促先が5倍になるわけです。

また、様々な人が住むことになるため、入居者同士のトラブルが発生する可能性もあります。

例えば仲の良い友人同士がコミュニティー感覚で利用して、生じた問題も自分たちで解決してくれるというのが理想ですが、なかなかうまくいかないケースも多いです。

賃貸として利用する場合、シェアハウスのメリットとデメリットも考慮してみましょう。

民泊利用の観光客に活用してもらう

空き家の活用方法として最近注目を集めているのが、民泊としての利用です。

特に外国人観光客の多い地域では、貸す方も借りる方にもメリットが大きいとして、大きな収益を上げている建物も存在します。

利用者が多ければ大きな収入になる

通常の賃貸やシェアハウスなどとして活用する場合は、基本的に家賃という形で借主から月に一回決められた額を納めてもらうことになります。

収入は安定していますが、1ヶ月の家賃を月の日数で割ってみると、1日あたりの収益は多くないはずです。

しかし民泊として活用した場合、1日あたりの収益はかなり大きくなるのではないでしょうか。

もちろん、より高い収益を得るには毎日人が入っていることが前提となりますし、時期によって収益が全くなくなってしまうことも考えられます。

しかし、観光客の中にはホテルよりも安く、そこそこきれいな部屋に泊まれるのであれば是非使ってみたい、と考える人も多いのです。

英語が使えるのであれば、日本人だけでなく海外からの観光客もターゲットにすることで大きな収入を得ることも期待できます。

民泊のデメリット

利用者の中には、部屋を汚して帰ったり大量のゴミを捨てて帰る人がいるのも事実です。

民泊のオーナーとして、当然そういった後片付けや部屋の掃除などをしなければなりません。

面倒な場合はハウスクリーニングを利用するという手もありますが、毎回使っていては出費がかさんで元も子もありません。

さらに、近くに住んでいない場合は鍵の受け渡しなどの問題も出てくるので、空き家が遠くにあるのであれば現実的でないかもしれません。

解体して土地を活用するパターン!更地のメリット・デメリット

空き家をそのまま利用、もしくはリフォームしてビジネスに活用する代表的な方法を紹介してきました。

しかし、利用価値が高いと判断した場合は解体して更地を使うのもおすすめです。

ただ、建物の解体も視野に入れている場合は、事前に更地のメリットとデメリットを考えておきましょう。

更地にするメリット

老朽化などにより建物をそのまま使えない状況で、さらにリフォーム代が解体費用を大きく上回る場合などは更地にせざるを得ないかもしれません。

実際に、建てられてから長年経過している住宅には住宅としての資産価値がなくなるため、壊して活用するか、もしくは新しく建て直したほうがメリットが大きいです。

古い住宅であっても、そのまま住むことのできる物件は多いです。

しかし、ボロボロになりすぎて自分でも住みたくないし借り手、買い手がつくことがないと考えられる物件は、更地にして活用したり売却したりしたほうが良いかもしれません。

更地にした時のデメリット

リフォームにもお金は必要ですが、解体するのにもそれなりの費用がかかります。

建物の大きさにもよりますが、相場として100万円~300万円くらいはかかるため、一時的な出費が大きくなります。

また、住居用の建物があった土地として固定資産税が安くなっていたのですが、更地になった場合はその特例が受けられないため毎年収める税金が高くなります

更地は活用次第

最も簡単に始められるのは、やはり駐車場としての活用です。

その他にも、場所によっては資材置き場として利用したり自動販売機の設置で大きな収益を得ていたりと、様々な活用方法が考えられます。

また、更地として活用するだけではなく、いったんきれいになった土地の上に新しい建物を建てて運用するという方法もおすすめです。

一戸建てだけでなく、アパートやトランクルームなどをはじめとした色々な方法があるため、その土地の需要を考えて最良の活用法を選択するとよいでしょう。

最後に

空き家は活用次第で収益を生みますが、空き家の放置は逆に家計を圧迫するデメリットにしかなりません

面倒だから、よくわからないから、といった理由で空き家を放置し続けている方も多いですが、非常にもったいないことをしているということがお分かりいただけたのではないかと思います。

その土地や周りの状況によって活用方法は大きく異なるため、一概にこの方法が良い、とここでお伝えすることは難しいです。

空き家やその土地を活用する場合は、専門家も交えてどのように運用していくのが良いかを話し合うのがおすすめです。

何にしても空き家の放置は何も生み出さないため、早い段階で活用、または売却という考えにシフトしていきましょう。