相続などにより、いきなり空き家を管理することになって困っているという方も多いようです。
特に遠くにある空き家は放置されがちですし、空き家は劣化が激しいので不動産としての価値がどんどんと下がっていきます。
将来使わないことが決まっているのであれば、早い段階で売却することをおすすめいたします。
しかし、恐らくほとんどの方が不動産の売買をしたことがないのではないでしょうか。
今回は、空き家売却までの流れや、空き家を少しでも早く売る方法などについて紹介しています。
空き家売却までのシンプルな流れ
まずは空き家を売却する流れについて紹介します。
いきなり自分のものになった空き家は、どのようなフローで売ることができるのでしょうか。
①市場調査と物件の査定
最初にやるのは、「お持ちの空き家がいくらくらいで売却可能なのか」という査定額の確認です。
査定では実際に不動産を見てもらうことになるため、事前に家財の整理や建物全体の清掃を行っておくことをおすすめいたします。
たくさんの不動産会社があるので、不動産の売却に力を入れているところを数件ピックアップして複数に査定を依頼するとよいでしょう。
複数の会社に査定額を出してもらえば、大体の価値という物がわかるはずです。
不動産会社に言われた額をそのまま鵜呑みにしてしまわないために、近所に築年数や広さなどが似ている物件があれば、いくらで売りに出されているかなどを確認しておくのも方法の1つです。
②業者と売却価格の決定
査定でいくつかの不動産会社の担当者と話をする中で、信頼できそうな業者を見つけることができたら、その会社と話を進めていくことになります。
業者を選ぶ際に、単純に査定額が高いから選択するという方もいらっしゃいますが、実際の売却実績や担当者の知識、話しやすさなども考慮に入れたほうが良いです。
査定額が高かったとしても、実際にその額で売りに出して売れるという保証はありませんし、困ったときにすぐに相談できるような担当者のほうがうまくやっていけるのではないかと思います。
業者を決めたら一緒に実際の売り出し価格を決めていきますが、担当者の話を参考にしながらちょうどよい価格を付けることになります。
相場よりも高いとなかなか売れませんし、逆に安すぎても損してしまいますので、相場も確認しながら決めるようにしてください。
③買い手との交渉から引き渡し
順調にいけば、購入希望者から問い合わせがあり売却価格などの話し合いを始めることになります。
買い手からすると少しでも安い方が良いため、一般的には値引き交渉が行われることが多いです。
せっかくの購入希望者ですので「安くなっても売ってしまいたい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、後々後悔しないためにもできるだけ元々の売却価格に近い額で売れる方法を選ぶようにしましょう。
最終的な額が確定して交渉成立となったら、契約書をはじめとする様々な書類を作成し、最後に鍵を渡して無事売却が完了となります。
契約書などは不動産会社がすべてサポートしてくれるはずですので、内容をしっかりと確認してサインするようにしてください。
資産価値の確認と売却価格の決定
空き家を売りたいとなったら、いくらで売るのかという売却希望価格を決めなければなりません。
しかし、その売却価格はどのように決めればよいのでしょうか。
住宅の評価方法について
不動産会社による査定で、空き家の価値が何となくわかるのではないかと思います。
業者による査定では、様々な項目を考慮して最終的な査定額が出されることになります。
その建物の大きさや土地面積、築年数といった基本的なことから、立地や周辺の環境、または駅やバス停までの距離などの立地要因となるものが基準となります。
さらに
- 周りの騒音や振動
- 建物からの景色
- 景観といった環境要因
- 建物にリフォームが施されているか
- 保全状態はどうなのか
といったところまで見られることになります。
相場を確認する前に
全く同じ年にほぼ同じ場所に建てられた同じ大きさの中古物件が、全く違う価格で売りに出されることもあります。
もちろん建物内部の劣化具合やリフォームの有無などによって価格が変わってくることがありますが、その家の持ち主の意見も価格に反映されています。
例えば、持ち主が「安くてもいいから早く売ってしまいたい」という場合は安く売りに出されることもありますし、反対にできるだけ高く売りたい場合は高めの値段設定を設けているはずです。
売却価格を設定する際に、同じような条件の物件を見つけて参考にするという方法もありますが、それはあくまで「参考」になるだけです。
値段から売り主の事情まではわかりませんので、不動産会社の意見も取り入れつつ上手に設定するようにしましょう。
売却価格の設定について
実際の売却価格は、複数の会社に見て出してもらった査定額や相場から決めることになります。
例えば最低額が2000万円だった場合、通常はその2000万円よりも少し高い2200万円や、高くても2500万円などに売却価格を設定することが多いようです。
この価格で売れればラッキー、という値段になりますが、あまり高くすると問い合わせが減ってしまうので高くしすぎるのも考え物です。
査定額が2000万円ですので、仮に売却希望価格を2300万円で出していて交渉となった際に2100万円まで下がったとしても問題はありません。
逆に、空き家がなかなか売れない場合は査定額以下の料金を提示せざるを得ないこともあります。
少し値下げをして売れなかったら再度値下げ、ということにもなりかねないため、最低でもいくらで売りたいという値段を事前に設定しておいたほうがよいでしょう。
この場合だと「査定額が2000万だけど最低でも1700万円以上で売りたい」というように決めておけば、ずるずると価格を下げることはなくなります。
ただし、不動産は年がたつほど劣化が進み必然的に価値が下がってしまうため、何年も売れないような物件は最終的に値下げすることになってしまうので注意が必要です。
空き家売却のタイミング
空き家は放置し続けると劣化が進み資産価値が下がっていきます。
そのため、売れるのであればできるだけ早い段階で売ってしまうに越したことはありません。
しかし、闇雲に売却しようとするよりも、タイミングを見計らって売りに出すと高く売れたりすぐに売れたりすることがあります。
最も需要が高まるのはいつ?
1年の中で見ると、日本では4月と9月が引っ越しシーズンになります。
特に、仕事だけではなく子供の新学期が始まるなどの関係で、4月は1年で最も人の移動が激しい時期になります。
そして空き家をはじめとする居住用の不動産は、年初めから3月にかけて最も高値で取引されることとなります。
そのため、例えば年末くらいに売却を考えているのであれば、この時期に合わせて売り出しを開始すると高く売れることが予想できます。
逆に、4月を越してから売り出しを開始しても、なかなか売れなかったり安くしか売れなかったりすることが多いです。
築年数と売却価格
空き家がまだ建てられてそんなに時が経過していないのであれば、早めに売るのがおすすめです。
特に、築15年以上の空き家は修繕費用などが必要な場合が多いため、それが売値にも大きく影響してくるからです。
新築で建てられてから築10年~15年くらいまでは価値がそんなに下がりませんが、16年目以降になるとガクッと安くなってしまうことも少なくありません。
その後も少しずつ価値が下がり続けていきますので、築15年~25年の空き家を所有している場合は早めに売りに出すことをおすすめいたします。
26年以上経過している場合は、実質建物の価値がなくなり土地の価格で取引されることが多いため、急いで売る必要はありません。
売却に必要な不動産会社の選び方
続いて、空き家を売却するのに欠かせない不動産会社を選ぶ基本を見ていきます。
どのような会社を選べば空き家を早く売ることができるのでしょうか。
業者の実績ややる気をチェック
まずは、不動産業界にも様々な業種があります。
主に賃貸仲介、売買仲介、分譲開発など様々ですが、例えば大手の業者であっても分譲開発の分野で実績を残していて売買の仲介にはあまり力を入れていないというところも存在します。
そのため、大手だから大丈夫という考えは捨て、不動産売買の実績がある会社を選択するのが正しいです。
また、古くからある会社だから安心だという意見もありますが、逆に新しい会社のほうが売り上げを伸ばすために高いモチベーションで接してくれることも多いです。
偏見で会社を選ぶのではなく、まずは様々な会社の人間と話をしてみてから決める方法をおすすめいたします。
避けるべき不動産会社
様々な会社の担当者と話をする中で、何となくフィーリングが合わないし話が通じないというような人と出会うこともあるかもしれません。
実は、そのフィーリングも空き家の売却には欠かせない要素の一つです。
担当者の中には、こちらの話を全く聞かず自分の考えを押し付けてくる人がいるのも事実です。
そういった不動産会社を利用した場合、例え売れたとしてもあまりよい思いをすることはないのではないかと思います。
逆に、こちらの話を親身になって聞いてくれる担当者や、こちらが理解できるまでしっかりと話をしてくれる担当者はおすすめできます。
空き家の売却と一口で言っても色々な方法がありますし、業者ごとに売却戦略は異なるでしょう。
そのため、色々な担当者と話をして納得できる業者を選ぶことで、気持ちよく売却の手続きを進めることができるはずです。
空き家を早く買ってもらうためのコツ
不動産会社の広告などを見て購入希望者が空き家を見に来たとしても、なかなかその先の購入に至らないケースも少なくありません。
最後に、お持ちの空き家を少しでも早く売るためのコツを紹介させていただきます。
空き家の見た目をよくする
先ほども少し記述しましたが、空き家を売却するにあたって、まずは不動産がどのように査定されているのかを知っておいたほうが良いです。
査定額は、立地や周辺の環境、そしてその建物自体の要素が組み合わさって計算されることになります。
立地や周辺の環境は所有者の努力ではどうにもなりませんので、建物自体の要素のレベルを高めることで不動産の価値を上げることができます。
とはいっても築年数などはどうにもならないため、実際に購入希望者が来られた際に見た目がきれいだと思わせる努力をすることになります。
見た目がきれいになればそれが査定額に影響することもありますし、実際に建物を目にした購入希望者に良い印象を与えることができるからです。
具体的には、徹底した掃除で室内を清潔に保ったり照明を明るくして室内の雰囲気をよくするだけでも、建物に対する印象がだいぶ変わってきます。
見た目がきれいなほど好印象
当たり前のことかもしれませんが、これから自分が住むかもしれない家はできるだけきれいな方が良いはずです。
写真では綺麗に見せられていたとしても、細部が汚れていると購入希望者が幻滅してしまう可能性もあります。
汚れの中でも特に気になるのは、やはりお風呂やキッチンなどの水回りになるのではないでしょうか。
長い月日を経てこびりついた汚れはなかなか落ちることがないため、思い切って専門のクリーニング業者の利用してみるのも方法の1つです。
数万円で綺麗にしてくれますし、その数万円で数千万円の空き家の売却が早く決まるのであればメリットが大きいです。
空き家の手入れ方法に関してはこちらの記事「空き家の手入れ方法|実行するだけで住宅が長持ちする効果的なやり方」も参考にしてみてください。
明るさは早期売却のための意外な要素
建物の外見が良かったとしても、玄関に入った瞬間に暗いと思われてしまったら、購入希望者はその空き家の購入を再考してしまうかもしれません。
暗い方が高級感があっていいという方もいらっしゃいますが、内覧では隅々までしっかりと見てもらうために明るい照明を利用したほうがいいのです。
最初の印象で「この家は暗い」となってしまうと、後々思い出したときに「あの家は暗いからちょっと」となってしまう可能性も出てきます。
明るい日差しの差し込むような部屋であれば、部屋の印象を明るく見せることができるかもしれませんが、内覧の時間帯や天候次第では部屋の明るさは照明頼りとなってしまいます。
逆に言えば照明を明るいものに変えるだけで室内が明るくなり印象もよくなるため、内覧の予定が入ったら照明をチェックして明るいものに取り換えましょう。
それだけでよい印象を与えて早期売却につながるかもしれません。
最後に
恐らく今まで不動産を売ったことがない、という方がほとんどだと思いますので、空き家の売却は初めての経験になる方が多いのではないでしょうか。
しかし、その空き家はご自身の持ち物ですし、少しでも高く売るために早く売るためにはある程度の知識は必要になってきます。
今回で空き家を売却するための基本的な知識や流れはご理解いただけたのではないかと思います。
あとは、良い不動産会社を探して協力し合って売却を完了させることになりますが、その不動産会社を見つけるのが大変だと言われることが多いです。
納得できる売却をするためにも、まずは最初の不動産会社探しのステップに時間をかけてよい担当者を見つけるようにするとよいでしょう。