解体工事を行う際には、ご近所トラブルに細心の注意を支払う必要があります。

なので、事前にきちんと挨拶回りをして騒音や粉塵が発生するということを伝えておく方は多いです。

しかし、例えば解体する建物が長期間空き家となっていた場合は、解体工事によって害虫が周りの家に侵入する可能性も高いため、できればその旨も伝えておいたほうが良いでしょう。

空き家は人間が普通に生活をする家と比べると害虫が発生しやすいため、その空き家を解体することによって住み着いていた害虫たちが住処を追われ、近隣の建物に逃げ込むのです。

例えば家の出入り口を完全に閉めて害虫が入り込む隙間をなくしたり、または解体工事が終わったら一度駆除を行ってもらうなどしたほうが良いでしょう。

しかし、解体工事をする前にその建物の害虫駆除をしてしまえば、周りに虫が拡散するリスクも大きく減少します。

そこで、この記事では空き家に住み着く様々な害虫やその理由、害虫駆除の方法やコストなどについて紹介していきます。

空き家に生息する害虫が引き起こす被害

害虫と聞いて、ゴキブリを思い浮かべる方もいらっしゃれば、ネズミを想像される方もいらっしゃいます。

家庭に住み着く可能性の高い害虫として、

  • ゴキブリ
  • シロアリ
  • ネズミ

などが挙げられます。

まずは、それぞれの害虫が引き起こす被害について見ていきましょう。

ゴキブリが引き起こす被害

ゴキブリがいたからと言って、特に噛まれたり刺されたりするわけではありませんが、やはり見た目が気持ち悪いと感じる方がほとんどです。

実際に衛生的に汚いというイメージが大きいですし、何より大量のゴキブリを見てしまうと精神的に大きな被害を受けることになります。

一般的にはゴキブリはエサとなるものを探し求めて家から家へと移動を続けますが、人のいない空き家は敵がいないため巣を作りやすいですし、卵を安心して植え付けることができます。

そのため、空き家ではゴキブリが大量発生し、そのゴキブリが周りの住宅にエサを求めて移動することになります。

ゴキブリが巣を作っている場合は、解体と同時に近隣の住宅に逃げこむことになります。

シロアリが引き起こす被害

シロアリは木材を食べると言われていますが、その中でも特に湿気の多い木材はシロアリの大好物になります。

空き家の建材となっている木材は湿っていることも多いため、空き家はシロアリが好んで生息する場所の1つと言えます。

木材の中でも、土台や柱などの家の耐震性や耐久性に影響を及ぼすような場所を食べられてしまうと、建物全体の強度が一気に低下するため、中にはシロアリによって倒壊してしまうような空き家も存在します

しかし、基本的にシロアリはゴキブリのように増殖を繰り返して移動をするという習性がないため、仮に空き家があったとしてもそこから他人の家に移動するということはめったにありません。

ただし解体工事を行う場合は、それまで根城としていた場所がなくなるため、それに伴って近隣に拡散する可能性はあります。

蜂が引き起こす被害

蜂は巣を作り、その巣に近づく人間をはじめとする外敵を攻撃する習性を持っています。

蜂が増えやすいのは夏から秋にかけてになりますが、やはり外敵のいない場所に巣を作ることが多いため、誰も住んでいない空き家は格好の標的となります。

空き家の場合は蜂の巣ができても気づかれないことが多いため、そのままどんどんと大きくなって近隣の住民にも大きな被害をもたらす可能性があります。

解体工事をする際に大きなハチの巣を発見した場合は、当然そのままでは工事をすることができないため、事前に専門の業者に駆除してもらうことをおすすめいたします。

ネズミが引き起こす被害

ネズミはゴキブリと同じく衛生的に悪い動物とみなされていますし、実際に様々な菌を持っている上に身体も大きいため、見るだけで気持ちが悪いと感じる方も少なくありません。

空き家であればネズミは最大の天敵である人間に駆除されるという心配がないため、安心して空き家を根城にするネズミも多いです。

しかし空き家にいるばかりではエサとなる食料がないため、そこを拠点にして近隣の住宅に侵入したり、ゴミ捨て場などに現れて残飯を食い散らかしたりします

ゴキブリなどとは異なり哺乳類となるため、もし空き家の中でネズミが大量に死んだりすると、家から悪臭が発生し、そこからさらなる害虫が生まれることも珍しくはありません。

解体工事の際にはいち早く近隣の建物などに逃げ込むため、こちらも解体工事前に駆除しておくべき害虫と言えます。

空き家に害虫が集まる3つの原因

それでは、害虫が空き家に集まってしまう理由は何なのでしょうか。

先ほども少し述べさせていただきましたが、ここではもう少し具体的に原因をはっきりとさせていきます。

  • 天敵がいない
  • 水道管の乾燥
  • 高湿気

この3つが主な理由です。

天敵がいない

例えば、普段生活している家にゴキブリが出た場合は、そのゴキブリを何とかして倒そうとする方が多いのではないでしょうか。

人が生活している家にもハエや蚊などの害虫が日常的に発生しがちですが、そういった害虫を見つけたらそのまま放置をせずに何らかの方法で追い払おうとする方のほうが多いです。

そのため、全ての害虫において共通の天敵として挙げられるのが人間なのです。

しかし、空き家にはその天敵となる人間がいないため、安心してそれぞれの巣を作って生活をすることができてしまうのです。

水道管の乾燥

空き家を管理するにあたって、きちんと戸締りをして虫が入らないように対策を取っているという方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、どれだけ戸や窓を閉め切っていたとしても、下水道を閉じるということまではしないのではないでしょうか。

長期的に水を使っていないと、当然水道管は乾燥して干上がることになりますが、水がない水道管は様々な害虫の侵入経路となってしまうのです。

普通であれば水が流れていて通ることのできない下水から虫が上がってくることがきっかけで害虫が発生し、様々な被害を受けることになります。

高湿気

普段生活している家では、日常的に玄関の扉を開けたり窓を開け閉めしたりすることになりますが、それらをすることで家の中に風が通って湿気の発生を防いでいます。

しかし、人が全く出入りしていない空き家には風が通るということもないですし換気をすることもないため、空気がこもって建物内の湿気が高くなります。

そうなると建材となっている木材にもカビが発生し、それが原因でシロアリが住み着いてしまうことも少なくありません。

湿気による木材の腐敗は建物の耐震性を弱めますが、シロアリが住み着くとさらに食害が発生するため、長期的に空き家を放置しておくと倒壊のリスクも生まれるのです。

解体工事前に害虫駆除を行う費用コストと流れ

空き家には、害虫が住み着く原因がたくさん詰まっているということをご理解いただけたのではないでしょうか。

そのため、長期間放置されていた空き家ほど解体工事前に害虫駆除をしたほうが良いのです。

それでは、害虫駆除はどのように行うものなのでしょうか。

害虫駆除の流れ

害虫によって利用する薬剤などは異なるため、まずはどのような害虫が生息しているのかという生息調査から始めることになります。

そして、生息調査によって住み着いている害虫を見定め、その害虫ごとの駆除プランを作成していきます。

プランが固まったら、それにのっとって薬物を散布したり物理的な駆除行為を実地します。

  1. 生息調査を実施する
  2. 駆除プランを作る
  3. 害虫駆除をする

簡単にまとめると、このような流れになります。

害虫駆除のコスト

最も気になるのは、やはりその駆除費用だという方も多いのではないでしょうか。

害虫駆除の料金は一律というわけではなく、

  • 駆除する害虫の種類
  • 駆除範囲

などによって変わってきます。

当然広い家のほうが駆除すべき範囲が広い可能性が高いため、解体予定の建物が大きければ大きいほど駆除費用も高額になりがちです。

また、一般的にはゴキブリよりもネズミの駆除料金の方が高かったり、同じ蜂でもスズメバチよりアシナガバチの方が高いなど様々です。

害虫ごとの駆除費用の目安

下に害虫ごとの駆除費用をまとめてみました。

なお、一般的な住宅である80平米ほどに対する駆除費用の相場となります。

害虫 料金相場
ゴキブリ 15000円~35000円
ネズミ 30000円~150000円
ミツバチ、スズメバチ 25000円~50000円
アシナガバチ 50000円~
シロアリ 10000円前後/坪

例えば住んでいる家に対して害虫駆除を依頼する場合は、年間契約などをすることで月々の駆除料金を安く抑えることも可能です。

しかし、解体工事前の害虫駆除は1回のみである可能性が高いため、年間契約と比べるとやはり若干割高です。

ただ、様々な種類の害虫駆除を同時に行うのであればその分安くしてくれる業者があるかもしれません。

隣家が解体作業をする際には害虫対策をしたほうがいい

解体工事をすることで害虫が大量に発生する可能性があるため、家の隣で解体工事をするということがわかったら、害虫が入ってこないような対策を取ったほうが良いかもしれません。

害虫の中でもゴキブリやネズミは動きが素早く行動も早いため、早い段階で逃げ込んでくる可能性もあります。

それでは、害虫に入り込まれないような対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

害虫が発生しにくい環境を作る

どこの家にも害虫は必ず存在するはずですが、もちろん害虫が集まりやすい家もあれば集まりにくい家も存在します。

害虫が発生しやすい家の特徴として、

  • キッチンの油汚れがそのままになっている
  • 段ボールなどが室内に放置されている
  • 飲食物が置いたままになっている
  • 排水溝にたまった髪の毛や垢汚れなどを掃除していない
  • エクステリアや室内に植木や観葉植物がある
  • 玉葱などを常温保存している

などが挙げられます。

まずは掃除を徹底して害虫が来ても素通りされるような状態を作っておけば、そのまま害虫がそこに居座るという可能性は少なくなります。

反対に、害虫が好む環境を作り出しているご家庭では様々な害虫が解体工事に伴ってやってくるリスクがあるため、少なくとも解体工事中は建物をきれいに保っておくことをおすすめいたします。

害虫撃退グッズの設置

既に設置しているというご家庭も多いかもしれませんが、スーパーなどにも害虫対策の様々なアイテムが売られているためそれらを設置しておくというのも方法の1つです。

具体的には、敷地の周りや侵入されそうな場所の周りなどに置いておくとより効果的です。

また、どこの家にも通気口などの隙間があるかと思いますが、解体工事中はそのようなところからも害虫が侵入する可能性があるため、その間だけでもふさいでおくことをおすすめいたします。

まとめ:害虫駆除は解体前に行おう!

中には虫が平気だという方もいらっしゃるかもしれませんが、一般的にはやはり害虫と呼ばれる種類の虫は毛嫌いされる傾向にあります。

長期的に空き家になっている建物には様々な害虫が住み着いている可能性も高く、その建物をそのまま解体してしまうと、それに伴って近隣の住宅に引っ越しをする害虫も少なくありません。

解体工事の主なトラブルは、やはり騒音や粉塵などの実際に感じることに対してであることが多いですが、害虫の引っ越しもトラブルになる可能性があります。

周りの方々に迷惑をかけないためにも、 解体工事前に害虫駆除をしてきれいな状態で取り壊してもらうことをおすすめいたします

そうすることによって建物内の害虫は死滅するため、害虫によるトラブルを避けることができます。

また、家の近くで解体工事を行うという挨拶回りをもらった方は、反対に害虫に侵入されないように対策を取っておきましょう。