リフォームにも様々なものがありますが
自宅の部屋の仕切りを取っ払いたい
新しく壁を作ったりして間取りを変更したい
と考える方も多いです。
一般的なリフォームは、部屋の形を変えずにその中をきれいにしたり改良したりするものが一般的です。
しかし、間取りを変えるリフォームでは、同じ建物の中で新しく部屋が生まれたり、逆に複数の部屋が1つになって新しい空間が生まれたりすることになります。
そのため、間取り変更のリフォームは様々なリフォームの中でも大掛かりなものになることが多く、その分コストや期間も多くかかりがちです。
せっかくお金や時間をかけるのであれば、やはり満足できるリフォームにしたいと考える方がほとんどです。
そこでこの記事では、間取りのリフォームをする上で必要な知識や、間取り変更リフォームの種類などについて紹介させていただきます。
間取り変更リフォームの基礎知識
間取りを変更するリフォームは、意外に多く行われるものです。
まずは、そんな間取り変更リフォームの基本的な情報を見ていきましょう。
間取りとは部屋や区分の配置のこと
私たちは普段から間取りという言葉をよく利用しますが、そもそもの間取りと言うのは建物の内部において考えられる部屋や区分の配置と言う意味を持っています。
基本的には、その建物に住む家族にとって
- 最も適した部屋数やその部屋と部屋の配置
- 広さのバランス
などを考えて造られるものですが、家族も年々変化するため時にはその間取りに不都合を感じることもあります。
より快適な生活を送るためには、やはりどこかのタイミングで建物内の間取りを変更していく必要があります。
具体的には、家族構成やライフスタイルに合わせてその都度、建物内の空間に変化を加えるのが理想の間取り造りと言えるでしょう。
しかし、現実的には難しい部分もあるため、何らかの大きなタイミングをきっかけとして間取りのリフォームを考えるご家庭が多いのです。
間取りを変えるタイミング
一般的には、現在住んでいる空間での生活に不都合を感じたり、生活しにくいと思った際に、建物の内部を大きく変更するリフォームが行われます。
例えば、間取りを変えるリフォームを考える大きなタイミングとして
- 出産
- 結婚
- 子供の独立
- 高齢化
などが挙げられます。
または、そういった人生の大きなタイミングに関係なく、
- 家の風通しを良くしたい
- 日光をもっと取り入れたい
- 収納スペースを増やしたい
などなど、様々な要望の上に間取り変更リフォームが成り立つケースも少なくありません。
もちろん間取りのリフォームには多額の資金が必要になることも多いため、数万円のリフォームのように気軽にできるものではないかもしれません。
しかし、このようなタイミング、住宅における要望があるのであれば、生活の快適さを求めるために早い段階で間取りのリフォームを考えるのもよいでしょう。
間取りのリフォームにかかる費用
それでは、間取りのリフォームにはいくらくらい必要になってくるのでしょうか。
中には複数の部屋を巻き込んでの大掛かりなリフォームになるケースもあるため、上述したように気軽に行えるようなものではありません。
もちろん目安にしかなりませんが、間取りを変更するリフォームは安くても50万円程度、高いものは500万円~1000万円くらいするものもあります。
例えば、単純に壁を取っ払って2つの部屋を1つにするだけであれば安く済むケースも多いです。
しかし、それに伴って今まで別々だった部屋を統一させるための装飾リフォームも必要です。
壁の撤去だけであれば30万円程度でできるかもしれませんが、壁紙、天井のクロス、床素材の統一のためのリフォームはそれ以上に多額の資金を必要とします。
小規模なものであれば気軽に行える可能性は高いですが、規模が大きくなればなるほど費用も高くなるため、色々なケースを業者と話し合って価格を出してもらいましょう。
間取り変更リフォームが多い場所
それでは、多くのご家庭ではどのような場所で間取り変更リフォームを行うのでしょうか。
間取り変更のリフォームにも様々なものがありますが、人気の高いものをまとめてみました。
場所 | 目的 | 方法 |
子供部屋 | 子供が成長してそれぞれのプライベート空間を造るため | 1つの大きな空間の間に仕切りを入れる |
リビング | 狭いリビングやダイニングを1つにして大人数で利用する | リビングやキッチン、ダイニングを1つにまとめる |
水回りの設置 | 二世帯住宅の世帯間でのプライバシー保護のため | 新しい空間にトイレや風呂などを設置する |
もちろんご家庭によってリフォームしたい場所は異なりますし、リフォームの目的も大きく違うことがあります。
しかし、一般的なご家庭では、子供の成長をはじめとする家族構成の変化などに伴ってリフォームを行うことが多いようです。
そして、その際にリフォームする場所は決まっていることが多いため、経験豊富な業者を見つけることができればスムーズなリフォームができるでしょう。
間取り変更リフォームの種類
それでは、続いて代表的な間取り変更リフォームの種類について見ていきましょう。
- 2つ以上の部屋を1つの部屋にまとめる
- 1つの部屋を2つ以上の部屋に分ける
- 住居内のレイアウトを変える
間取りのリフォームは、大きくこの3つに分類することができます。
例えば、一戸建ての庭部分に既存の建物とつながる部屋を新規で建てるというのも間取りを変更するリフォームに含まれますが、それも3つ目のレイアウト変更に含めています。
2つ以上の部屋を1つの部屋にまとめる
複数の別々の部屋の間の壁を取り払って、1つの大きな空間を造るための間取り変更リフォームです。
例えば代表的なものが、それぞれが独立していたリビングとダイニングとキッチンを1つにまとめ、大きな1つのリビングダイニングキッチンを造るといったリフォームです。
それまではリビングはリビング、ダイニングはダイニングとしてしか使えなかった部屋が1つの大きなスペースになるため、大人数が一緒に利用することが可能となります。
また、広くなればその分窓も増えることになるため、部屋に入ってくる日光の光も多くなり、部屋全体が明るくなります。
ただし、中には壁を取り除くことによって家全体の強度が落ちてしまうようなケースも存在します。
そういった場合は、補強工事をすることによって間取り変更リフォームが実現することもありますが、補強工事にさらに時間や期間が必要になってきます。
1つの部屋を2つ以上の部屋に分ける
元々それなりに広い空間の間に仕切りを入れて、その空間を2つ以上の部屋に分けてしまうという間取り変更リフォームです。
このタイプのリフォームで最も多い例が、「子供が大きくなったためそれぞれの部屋を造るために、今まで一緒に過ごしていた部屋を半分に分割する」といったものです。
完全に部屋を分断する場合は、それぞれの部屋に専用の出入り口や窓、照明などが必要になってくるため、そういったものも一緒に取り付ける必要があります。
もしくは、部屋と部屋を分けるが完全なプライバシー空間など不要だという場合は
- パーテーションを取り付ける
- しきりに扉を設置する
ということも可能です。
簡易的なものであれば、当然リフォームの工事費用を抑えることができますし、再度部屋を1つにしたいとなったときにも簡単です。
住居内のレイアウトを変える
- 建物内で部屋を新しく増設したい
- 中古物件を購入したから自分の思い通りに全ての部屋の位置や大きさなどを決めたい
という場合も、間取り変更リフォームを行う必要があります。
例えば住宅内の全てのレイアウトを変えたいのであれば、少しずつリフォームを繰り返すよりもスケルトンリフォームをおすすめです。
スケルトンリフォームとは、
「建物内部の壁や床、天井などを全て取り払い、さらにキッチンや浴室などの水回りも撤去し、住宅内部を骨組みだけにしてから間取りを全面改修するリフォームのこと」
を言います。
全てを撤去してそこに新しい素材を加えることになるため、完全に自分だけのオリジナルな間取りを実現できる一方で、多額の費用が必要になってきます。
また、建物の構造によっては100%思い通りの間取りになると言い切ることができません。
後悔しないためにも、まずは建物の構造をよく理解してそれに合った間取り変更プランを選択する必要があります。
建物をいったん丸裸にするため、ついでに弱っている場所の補修工事や耐震補強工事を行えば、リフォームをした後も安心してそこに住み続けることができるでしょう。
構造によってリフォームの難易度が異なる
基本的には、どのような住宅に対しても間取りを変更するリフォームを行うことが可能です。
しかし、その建物の構造によってリフォームの難易度が異なり、それが価格に現れることも少なくありません。
代表的な構造として
- 木造建築
- 鉄骨造
- 鉄筋コンクリート造
などが挙げられます。
最後に、これらの構造の違いで発生する間取り変更リフォームの難易度などを見ていきましょう。
木造建築でリフォームする場合
日本でも昔からよく利用されていた、木材を利用した建物が木造ということになりますが、当然この構造では木材の柱や梁で住宅の骨組みを造っていきます。
また、その建物を強くするために、柱の間などに斜めに取り付ける筋交いと呼ばれる補強部材が使われているため、建物を丈夫に支えることが可能です。
日本の伝統的な工法の1つになるため、基本的にはほとんどのリフォーム会社が木造建築の間取り変更リフォームを行うことができるでしょう。
また、他の構造と比べても間取りを変更するリフォームを行いやすい構造になると言えます。
鉄骨造でリフォームする場合
木造では木材を利用して造られている柱や梁を、鉄骨を使って組み立てる工法になります。
鉄骨造は大きく
- 軽量鉄骨造
- 重量鉄骨造
に分けられます。
軽量鉄骨造の間取り変更リフォーム
一般的な軽量鉄骨造の建物は、その建物に必要な部材を工場で量産し、建築現場で組み立てるといったメーカーごとの独自の工法であることが多いです。
木造と比べると強度も高く高品質だと言われており、メーカーごとに建物の強度をきちんと計算されて造られています。
そのため、例えば建物を支えるための耐久壁を移動させたりするのが難しく、それ故、間取りを大幅に変更するリフォームには向いていない構造だと言えるでしょう。
しかし、だからと言って間取りの変更ができないというわけではないため
- できる部分のみをリフォームする
- 補強工事を行う
といった点を業者と話し合ってみましょう。
重量鉄骨造の間取り変更リフォーム
重量鉄骨を使えば、軽量鉄骨を利用した建物よりも、さらに強度が高く重量のある住宅を造ることができます。
そのため重量鉄骨造の建物は軽量鉄骨造の建物よりも素材が高いというデメリットを持っていますが、間取り変更については比較的自由度が高いと言えます。
ただ、多くの一戸建てでは新築物件の建築コストを抑えるために軽量鉄骨を利用しているため、鉄骨造の場合はまずはどんな鉄骨が利用されているか確認してみましょう。
鉄筋コンクリート造でリフォームする場合
鉄筋コンクリート造は、コンクリートの強さと鉄筋の強さをミックスさせることで、高い耐久性や強度、防火性などを可能とした工法です。
建物の重要な部分である柱や梁、壁などが鉄筋コンクリートでできているため、基本的にはその一部を取り除いたりしても建物の強度が大きく下がるということはないはずです。
しかし、この鉄筋コンクリート造も、大きく
- 壁式構造
- ラーメン構造
などに分けることができます。
壁式構造
柱や梁ではなく、主に壁や床で建物を支える構造です。
壁と床をしっかりと接合させることで高い強度を出すため、その壁を取り除くことで建物全体に大きな負担がかかる可能性もあります。
特に重要な壁を取り除く必要があるリフォームでは、その部分にかかっていた負荷を別の場所で補う必要があるため、補強工事が必要になるケースも多いです。
ラーメン構造
壁式構造とは異なり、主に柱と梁を利用して建物を支える構造です。
そのため、建物の支えとなる柱や梁を残すことができれば基本的にあとは全て取り払っても建物の耐久性が落ちるということは少ないはずです。
よって、鉄筋コンクリート造の中でもラーメン構造のものであれば、間取り変更のリフォームを簡単に行うことができます。
マンションの間取り変更リフォーム
中には、現在住んでいるマンションの間取りを変更するためのリフォームを行いたいと考えるご家庭もあるはずです。
マンションの多くは上述した中の鉄筋コンクリート造になるため、やはりラーメン構造のものであれば同様に気軽に間取り変更を行うことが可能です。
しかし、一方の壁式構造の場合は、壁を取り除くことでマンション全体の構造にトラブルが生じる可能性もあるため、全てが自由に変えられるというわけではありません。
マンションのリフォームでは、そのマンションが独自に定める管理規約にのっとったリフォームが必要になるため、事前に管理組合などに確認する必要があります。
例えば、構造上問題がないのであれば、室内は自由に変更できる可能性が高いですが、ベランダや玄関などの共同部分に当たる箇所は制限がかかることが多いです。
マンションにお住まいの方で間取り変更リフォームを考えていらっしゃるのであれば、まずはどの程度のリフォームが可能かを管理組合に相談してみましょう。
まとめ
部屋の壁紙を交換する、手すりを付けるといったようなリフォームであれば、基本的にリフォーム業者からできないといわれることは少ないはずです。
しかし、間取りを変更するリフォームでは、壁などを取り払うことで建物全体の構造に影響を与えるケースもあるため、自由にリフォームできないこともあります。
ただ、間取り変更のリフォームは意外に良く行われるリフォームの1つになるため、補強工事をするなどの対策を取ることで実現可能なものも多いです。
そのあたりは業者の経験や腕次第ということになりますが、やはり重要な構造に変化を加えることができないケースもあるため、100%自由になるというケースは少ないです。
このように、間取り変更を伴うリフォームには様々な事情が付きまとうため、ご家族でよく話し合い、最も使い勝手が良く実現可能な間取りを考えていきましょう。