高いお金を支払ってエクステリアの工事をしてもらったのに、その工事が手抜きだとわかったらショックですし腹が立ちます。

悪質な業者の場合は手抜き工事をする可能性が高いとイメージできますが、実は優良な業者であっても手抜き工事をしようと思えば簡単にできてしまいます。

手抜き工事の最大の原因は、もちろんその外構工事を行った業者のモラルの欠如によるところが大きいのですが、実はその工事をお願いする施主側にも、多少なりとも責任があるのです

そもそも、手抜き工事という言葉の意味は知っているが、具体的にどのような手法で手抜き工事が行われるのか知らないという方も多いのではないでしょうか。

施主のそのような知識のなさも、業者に簡単に手抜き工事をさせてしまう一因となっているのです。

この記事では、エクステリア工事における代表的な手抜き工事の事例や、手抜き工事が発生する理由、防ぐ方法などを紹介させていただきます。

様々なエクステリアの手抜き工事の事例

住宅の手抜き工事には様々なものが挙げられますが、エクステリアの手抜き工事に限って言うと、やはり工事後も手抜きだと発覚しにくい場所を中心に手抜きが行われることが多いです。

代表的なものとして、

  • ブロック塀の手抜き工事
  • 駐車場の手抜き工事
  • 塗装の手抜き工事

などが挙げられます。

それでは、それぞれの工事の具体的な手抜き方法を紹介していきます。

ブロック塀の手抜き工事

ブロック塀の工事を外構業者にお願いする際には、通常は地上に出ている部分のデザインや高さなどについて打ち合わせをすることがほとんどです。

施主としてはやはり目に見える部分の見栄えが気になりますし、逆に言えばその部分さえきちんと作ってくれるのであれば問題ないと考える方もいらっしゃるくらいです。

しかし、ブロック塀を造る上で最も重要なのは、地上部分よりも目に見えない地下の基礎部分になります。

ブロックを地中から順番に並べるだけでは、横からの衝撃や刺激を受けることですぐに傾いてしまいますが、基礎の部分をコンクリートできちんと固めることで頑丈な塀を完成させることができます。

しかし、コンクリートのコストを削るためにそのステップを省いてそのままブロック塀を積み重ねるといった手抜き工事も存在するのです。

当然そのように作られたブロック塀はすぐに崩れてしまったり、ひびが入って使い物にならなくなってしまうことが多いです。

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駐車場の手抜き工事

駐車場の設置は一見簡単に見えますが、地面をコンクリートで固める場合は、そのコンクリートの厚さによって耐久性が大きく変わってきます。

具体的には、通常はコンクリート舗装の駐車場を設置する際にはそのコンクリートの厚さを10センチ以上にする必要があり、十分な厚さのあるコンクリートであればその分耐久力があるということになります。

しかし、このコンクリートの幅を5センチにすると、当然その分耐久性がなくなってしまい、それがひび割れなどの原因となってしまうのです。

コンクリート塗装の駐車場の主な原料はコンクリートということになりますが、そのコンクリートの厚さを半分にするだけで原料費が半額になってしまう上、地中に埋まっていて完成後は確認することができないため、コンクリートの駐車場は最も手抜きしやすいエクステリアの1つと言えます。

完成後間もないころにひび割れなどが発生するコンクリートの駐車場は、手抜き工事をされた可能性が高いと判断することもできます。

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塗装の手抜き工事

建物の外壁や屋根などを塗装したいという方もいらっしゃれば、最終的に塗装して仕上げるようなエクステリアも存在します。

それらの塗装も手抜き工事の対象となりやすいため、依頼をする際には気を付ける必要があります。

具体的には、通常は2度塗りしなければならないところを1度塗りで終わらせてしまうことによって、1回分の塗料代が浮くことになります。

また、塗料には複数のグレードがあり、基本的にはグレードの高いものほど値段も高ければ耐久性も高いということになりますが、高いグレードの塗料を選んだにもかかわらず安いグレードの塗料が使われるケースも少なくありません。

塗装が終わった後では、1回塗りなのか2回塗りなのかを見た目だけで判断するのは難しいですし、塗料のグレードを完成後に確認するのも基本的には不可能です。

仕上げた後にバレることがない上、結果的に原料費を安く抑えることができるため、エクステリアの塗装にも手抜きが行われることがあるのです。

外構工事で手抜き工事が発生する3つの理由

それでは、手抜き工事を行う業者はどのような理由で手抜きをするのでしょうか。

もちろん業者側にも大きな責任がありますが、実は業者に手抜き工事をさせるようにしているのは施主だというケースも存在します。

当然施主としては意図的に手抜き工事を指示することはないと思いますが、施主の要望が結果として手抜き工事を誘発させている可能性もあるのです。

  • 悪徳業者の利益追及
  • 十分な工期が確保できない
  • 安さを求めすぎる施主側の問題

具体的にはこれらが手抜き工事が行われる原因になるため、それぞれを詳しく見ていきましょう。

悪徳業者の利益追及

外構業者には悪徳業者と呼ばれるところもあり、悪徳業者の多くは違法な工事をすることによって不当な利益を得ています。

手抜き工事も、エクステリアを設置することで高い利益を得るための1つの手法になり、通常と同じ外構工事費用をもらっているにもかかわらず使用する材料を減らすことによって原料費を浮かせ、その差額を利益として得るのです。

これは完全に業者が悪いケースになりますが、その業者に外構工事の依頼をしたのは施主ということになるため、施主にも多少の責任はあると考えることもできます。

逆に言えば、 最初の業者選びの段階できちんとした業者を選ぶことができれば起こらなかった手抜き工事ということになるため、やはり業者選びはエクステリア工事には重要な工程だと言えるでしょう。

十分な工期が確保できない

エクステリアの種類によって必要な工期は変わってきますが、中にはそのエクステリアを設置するための工期を十分に確保できないために手抜き工事が起こってしまうこともあります。

例えば上述したエクステリアの塗装を2回行う場合は、通常は最初に塗った塗料が乾いてから2回目の塗装を行うことになります。

しかし、当然塗料の乾燥にも時間がかかるため、完全に乾くのを待ってから2回目を塗って、それが乾くのを待ってから完成ということになると、1回しか塗らないのと2回塗るのとでは完成までの時間に差ができます。

例えば、業者に1日でも工事を早く終わらせなければならないような理由がある場合は、2回塗る必要があるところを1回で終わらせてしまうこともあります。

また、施主に絶対にこの日までに終わらせてほしいと言われたりした場合は、業者側に時間的な余裕があったとしても、仕方なく手抜き工事をしてしまうケースがあります。

安さを求めすぎる施主側の問題

こちらは、手抜き工事をさせてしまう原因が施主にもあるという一例ですが、少しでも安い工事料金を追求することによって、結果的に手抜き工事をする業者を選んでしまうという可能性があります。

例えば駐車場の設置をする際に、他の複数の業者が200万円で見積もりを出しているにもかかわらず、1社だけが100万円でできると言ってきた場合は、明らかにその業者は何かおかしいと疑うべきです。

先ほど、駐車場に利用するコンクリートの量を半分に減らせばそれだけで材料費が半額になると記載しましたが、見積もりが半額になっている場合は利用するコンクリートの量が少ないのではないかと考えることもできます。

どの工事にも相場というものが存在するため、その相場よりも明らかに安すぎる見積もりを提出してくる業者は、 手抜き工事をしているか後から高額な追加請求をされる、もしくは何らかの不法行為で費用を浮かせている可能性も高いため、気を付ける必要があります

外構工事の手抜き工事を防ぐ3つの方法

様々な手抜き工事の手法があるということがご理解いただけたのではないかと思いますが、それでは逆にどうすれば手抜き工事を防ぐことができるのでしょうか。

もちろん100%とは言えませんが、最後に業者の手抜き工事を防ぐための方法を紹介させていただきます。

  • 工事に対する知識を付ける
  • 工事を自分の目で確認する
  • 信頼できる業者を選ぶ

これらを徹底すれば、手抜き工事をする業者を選ぶ可能性がぐっと減るはずです。

工事に対する知識を付ける

例えば、駐車場を造るときに必要となるコンクリートの厚さなどは、調べなければ知ることがない知識の1つです。

どんなエクステリアの工事であっても手抜き工事をしようと思えばできるものが多いため、まずはご自身が設置しようとしているエクステリアの正しい造り方を認識しておく必要があります

もちろん業者によって設置方法や設置の流れなどが異なることもあると思いますが、一般的な設置方法は似ているはずですので、打ち合わせの段階で

  • 基礎はどのように造るのか
  • どういった流れで最終的にどのように仕上げるか

などしっかりと話しておくことで、業者も手抜きをしにくくなります。

基礎の造り方を実際に図面に書いて残してもらうことによって、納得して工事を任せることができるはずです。

工事を自分の目で確認する

例え打ち合わせの段階で手抜き工事をする可能性が低いと判断できても、実際に工事を始めてから手抜きをしようと思えばいくらでもできてしまいます。

そのため、心配であれば頻繁に工事現場を訪れてご自身の目で確認することをおすすめいたします。

駐車場のコンクリートの厚みは、実際にコンクリートを敷き詰めるところを見ていれば安心できるはずですし、塗料のケースを見れば本当に自分が選んだ塗料が使われているかをその目で確認することができます。

もちろん工事の素人に常に現場をウロウロされては業者のスタッフも気が散って工事ができないため、大体の工事の日程を聞いて、必要だと思う時に顔を出すようにするとよいでしょう。

信頼できる業者を選ぶ

手抜き工事を防ぐために最も重要なのは、 本当に信頼できる業者を選ぶという点です。

例えば、世間的な知名度もあり大手の業者であれば手抜き工事などしないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、施主側に工事の知識がなければどんな業者も手抜きをする可能性があるため一概に信頼できるとは言えません。

業者選びに欠かせないのは、それぞれの業者の担当者と深く話をするということです。

話をする際には、既に施主側も工事をするエクステリアの知識を持っている必要があり、こちらの質問に対する反応などを見て業者がちゃんと工事をやってくれそうか判断することになります。

しっかりとした業者を探すのには時間がかかりますが、最初に見積もりを取ってもらったところが結果的に最も良い業者だったということもあり得るため、まずは複数の業者にコンタクトを取って相見積もりから始めてみるとよいでしょう。

エクステリアの業者の選び方はこちらの記事でも詳しく解説しております。

外構工事(エクステリア)業者を見極めるための失敗しない5つのポイント

まとめ:手抜き工事を防ぐには業者選びが重要です

当たり前のことですが、大金を払ってエクステリアの工事をしてもらうわけですから、手抜き工事は絶対に避けたいという方がほとんどです。

しかし、仕上がり後では手抜き工事をしたかどうかがわからないような部分で手を抜く業者がほとんどですので、既に完成してしまったエクステリアの工事が手抜きだったかどうかを後から判断するのは難しいです。

そのため、 手抜き工事を防ぐためには手抜き工事をしない信頼できる業者にエクステリアの設置をお願いする必要があります

また、設置しようとしているエクステリアの知識を付けることによって、業者に手抜き工事をさせないようにすることもできます。

工事中に施主が現場を見に行くことで手抜きがしにくくなるということもあるため、時間があるのであれば何度か工事現場を見てみるというのも方法の1つです。