ひと昔前までは、家の周りをきちんとしたブロック塀で囲うご家庭も多かったのですが、最近はセミクローズ外構の人気も高く、フェンスを利用するご家庭が増えてきています。
フェンスには単純に目隠しをするという効果の他にも、防犯の効果やエクステリアをオシャレにするといった役割があります。
しかし、設置するフェンスの高さによってそれぞれの効果が変わってきますし、逆に何を基準にしてフェンスを設置するかということを決めることでフェンスの高さをある程度判断することができます。
フェンスを設置する際には、やはり素材や色などを考える方も多いですが、それとともに どれくらいの高さのフェンスを建てるのかというのも重要なポイントの1つとなります。
今回は、フェンスの様々な役割や設置のポイント、それからフェンスの高さに対する考え方について紹介させていただきます。
代表的なフェンスの役割
それでは、フェンスにはどのような役割があるのかですが、
- 家族のプライバシーの保護
- 防犯対策
- 見た目をよくする
これらが主なフェンスの役割になります。
正確には、隣家との境界線をはっきりと分けるなどの役割も果たしますが、ここではこの3つについて見ていきましょう。
家族のプライバシーの保護
フェンスには敷地をはっきりとさせる役割も存在しますが、敷地の外部からの視線を遮るといった効果も存在します。
外から内部を見えなくするためにはブロック塀を利用するという方法もありますが、ブロック塀は完全に何も見えなくしてしまう造りになるため
- 家の中から外が見えずに圧迫感を感じる
- 空き巣がブロック塀の内部に入ってしまうと全体が死角になってしまう
といったデメリットがあります。
完全に視線を遮ることなく、適度にプライバシーを保つことができるエクステリアがフェンスになるのです。
プライバシーを重視するフェンスとしては、視線を遮る部分の多いウッドフェンスなどが適していると言えますが、それなりの高さがないと上から覗きこまれてしまうこともあります。
日本人の平均的な身長が男性で170センチ程度になるため、プライバシーを保護するためにフェンスを設置するのであれば、180センチ程度の高さのものを取り付けることをおすすめいたします。
なお、あまりにも高すぎると、ブロック塀同様、内部からの圧迫感を感じることになるため、高ければよいというわけでもありません。
防犯対策
空き巣や侵入者を敷地内に入れないためにフェンスを取り付けたいという方もいらっしゃると思いますが、防犯のためのフェンスは、プライバシーを保護するケースとは逆にできるだけ見晴らしのよいモノにする必要があります。
背の高いフェンスにすることで、侵入者が簡単に侵入するのを防ぐことができると考えがちですが、逆に言えば外からの視線が見えなくなってしまうと死角ができてしまう可能性があります。
低めのフェンスにすれば、外からも中の様子を見ることができるため、死角ができるということもありません。
侵入者は人の目を気にするため、外から丸見えのところではなかなか仕事がしにくいのです。
ただし、いくらフェンスに死角がなかったとしても、バルコニーやベランダなどが壁になっているご自宅では、その中に入り込まれてしまうことでやはり死角ができてしまうため、フェンスだけではなくそれらも見晴らしのよい形状にリフォームされることをおすすめいたします。
また、フェンスにも様々なタイプがあり、中には侵入者がよじ登ることのできないようなものも存在します。
例えば足をかけるためのスペースがないタイプや、フェンスの上部が尖っていてまたぐのが困難なタイプを選ぶと、より防犯効果を高めることができます。
見た目をよくする
上記のような機能面でフェンスを選ぶという方も多いですが、やはりエクステリアの一部としてオシャレなフェンスにしたいと考える方も少なくありません。
確かに、どうせフェンスを設置するのであればできるだけ建物や他のエクステリアと調和するようなものを採用するに越したことはありません。
例えば、フェンスだけではなく生け垣を利用することによって、プライバシーの保護、防犯面にも対応したオシャレなエクステリアを手に入れることができます。
実際にフェンスのみで自宅の周りを囲んでしまうと、何となく寂しい感じになってしまうことも少なくないため、緑を取り入れてエクステリアを明るくしてみましょう。
なお、 防犯効果をより高めるためにトゲのある植物を選んだり、プライバシーをより重視するために密度の高い生け垣を取り付けるというのも方法の1つです。
フェンスの高さは目的によって異なる
先ほどすでに軽く述べましたが、フェンスの高さは設置する目的によって変える必要があります。
逆に言えば、フェンスを設置するのであればこの高さにすべきだ、というような基準は存在しません。
フェンスの高さの考え方
フェンスを設置する際には、色やデザイン、素材だけではなく高さについても目を向ける必要があります。
一般的に市販されているようなフェンスは、大体180センチ程度になっていることが多く、これは先ほど紹介したフェンスの役割の中ではプライバシーの保護を目的とした高さになっています。
しかし、 フェンスの下にブロック塀を設置することによってそれよりも高いフェンスを設置することは可能ですし、逆にそのフェンスを短く取り付けることも可能です。
目的 | フェンスの高さ | 理由 |
プライバシーの保護 | 180センチ程度 | 日本人男性の平均身長が170センチ程度 |
防犯目的 | 150センチ以下 | 小柄な女性でも覗くことができる |
上述したことを簡単にまとめてみましたが、これはフェンスの高さに対する基本的な知識です。
フェンスを設置する際には、何のためにどこに取り付けるのかということを考えて高さを決めることになります。
もう一度フェンスを取り付けようとなったきっかけを思い出しながら、フェンスの高さを決めていきましょう。
敷地内からの高さではなく道路からの高さを意識する
目隠しのためにフェンスを取り付けるのであれば、やはり180センチ程度にするのが良いのではないかと思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、単純に180センチを取り付けてしまうと、今度は外から見た時に非常に高さのあるフェンスになってしまう可能性があります。
家の前の道路と敷地の間に高低差がある場合は、その高さも考えてフェンスの高さを合わせることになります。
既に道路に対して敷地内が50センチ高い場合は、その敷地内に180センチのフェンスを取り付けることで、外から見た場合には230センチのフェンスが建っていることになります。
道路から見た時に180センチ程度になっていればそれで問題ありませんので、この場合は180センチではなく130センチのフェンスを取り付けることでちょうどよくなります。
家から見た時に130センチであれば、フェンスを取り付けることによって極端に家からの風景が変わるということもないため圧迫感が少なくなります。
また、 利用するフェンスの量も少なくなることで、その分設置費用安くなるため、一石二鳥と言えるのかもしれません。
視線元を考えた高さのフェンスを
道路からの視線を防ぎたいだけなのであれば、上述した方法でフェンスを設置すればよいでしょう。
しかし、視線の元が全て前の道路からというわけではありませんし、場合によってはもっと高い場所から家を覗かれるようなことがあるかもしれません。
極端な話をすると、その道路の向こう側にタワーマンションが建っている場合は、フェンスの高さを10メートルにしても高層階から自宅が覗かれてしまうかもしれません。
さすがにタワーマンションに対応するフェンスはありませんが、例えばお向かいの2階部分から自宅が覗かれるのが気になるという場合は、数メートルのフェンスを設置することが可能です。
しかし、数メートルのフェンスは間近で見ると非常に圧迫感がありますし、また素材によっては風の影響を受けて事故につながる恐れもあるため、デメリットも大きいということを覚えておきましょう。
極端に高くしないのであれば、例えば庭に木を植えてその葉で視線を遮るのも方法の1つです。
フェンスを設置する際の4つのポイント
それでは、実際にフェンスを設置する際のポイントを見ていきましょう。
- フェンスの高さ
- 隣の敷地を意識
- フェンスの素材
- フェンスの形状
これらを考えて実際に取り付けるフェンスを決めていきます。
フェンスの高さ
何度も記載していますが、フェンスを設置するに至った原因を考えて、それに合わせてフェンスの高さを決めていくことになります。
- プライバシーを保護するのであれば高め
- 防犯効果を考えるのであれば低め
のフェンスを利用するのが一般的です。
ただし、フェンスにも様々な形状があり、高いものにしても見晴らしがよい素材は存在するため、一概に高ければそれがプライバシーの保護につながるとは言えません。
設置をする際には、目的を業者に伝えてフェンスの高さを相談してみましょう。
隣接する敷地を意識
例えば家の正面が人通りの多い道の場合は、やはり目隠しを意識したフェンスを設置したほうが良いです。
反対に、人通りが少ない場合は空き巣などの被害に遭う可能性も高くなるため、防犯性を意識したフェンスの方がおすすめです。
もちろん家の周りを全てフェンスで囲わなければならないという決まりはありませんし、場所によってはフェンスの高さやデザインを場所によって変えるというのも方法の1つです。
ただし、複数のフェンスを組み合わせる場合はデザインの調和が難しくなるため、見た目も考えるのであれば、やはりある程度は統一したほうが良いでしょう。
フェンスの素材
一口にフェンスと言っても、実に様々な素材が存在します。
- アルミ
- スチール
- 木材
- 樹脂
代表的な素材はこれらになりますが、それぞれにメリットとデメリットがあるため、一概にどの素材が優れていると言い切ることはできません。
やはり目的に合わせて素材を選ぶという方もいらっしゃいますが、建物との見た目の相性なども重要なポイントの1つになるため、デザインも考えて素材を選んでみましょう。
フェンスの素材の詳細については、フェンスに関する記事も参考にしてみてください。
フェンスの形状
素材だけではなく、形状にも様々なものがあります。
以下に代表的なフェンスの形状と特徴をまとめました。
メッシュフェンス
外部からの侵入を防いだり境界をはっきりさせるなどの目的で利用されるフェンス。
メッシュのためプライバシーの保護には向いていない。
縦格子・横格子タイプ
素材を縦や横に並べて造られるフェンス。
縦格子にした場合は、縦に並べられる素材の隙間の幅や素材の太さなどによってフェンスのイメージが大きく変わり、目隠しの度合いも異なってくる。
ルーバータイプ
ルーバーとは羽板のことになり、斜めに羽板を並べることによって外からの視界を遮ることのできるフェンス。
視界をなくしつつ通気性にも優れている。
まとめ:フェンスはデザイン性だけではなく機能面も考えて高さを決めていく
フェンスを設置する際には、デザイン性だけではなく機能面も考えて高さを決めていく必要があります。
空き巣に入られないようにするためにフェンスを取り付けるのであれば、やはりある程度は見晴らしのいい素材を利用したり、フェンスを低めに設置するのが良いでしょう。
しかし、外からの視線が気になるという理由でフェンスを設置する場合は、反対に背の高い見晴らしの悪いものを取り入れるべきです。
どうしてもフェンスの色や素材、形などにこだわりがちですが、どのようなフェンスを設置する際にも設置高さは決めなければなりません。
フェンス導入の動機や実際の使い勝手などを考え、取り付ける高さを判断していきましょう。