外構工事(エクステリア)を依頼する場合に真っ先に思い浮かぶのは、住宅メーカーや工務店でしょうか?それとも外構・造園などを手掛けている専門業者でしょうか?
外構工事(エクステリア)の依頼先はさまざまですが、専門とする分野も違えば会社の規模もさまざまです。単に知名度があり大きな会社であればよいとも限りません。
この記事では、そんな外構工事業者の選ぶときのポイントを詳しく解説します。
そもそも外構工事はどこに頼めばいい?
外構工事(エクステリア)の依頼先には、大きく分けて2種類あります。
- 一住宅メーカーや工務店
- 外構工事を専門とする業者
まず、それぞれの特徴とメリット、デメリットについて解説します。
住宅メーカー・工務店
建物を新築する場合に、その延長線上で住宅メーカー・工務店に外構工事(エクステリア)を依頼する場合も多いはずです。
住宅メーカーや工務店はいうまでもなく建築工事を専門としており、住宅を建設するときに外構工事も(エクステリア)一緒に受注するケースが多くあります。
住宅メーカー・工務店に依頼するメリット
建物の新築工事と同じ住宅メーカー・工務店に依頼する場合、建物の打合せと外構工事の打合せをまとめて進行できるため「打合せの手間が省ける」というメリットがあります。
また、建物と外構の打合せを同時並行で進めることで、建物と外構の統一感などにも配慮しやすくなります。
さらに、外構に不具合が生じたときにも大手の住宅メーカーであれば、アフターサービスが充実しているので安心感があります。
住宅メーカー・工務店に依頼するデメリット
はっきり言ってしまうと大きなデメリットとしては、住宅メーカー・工務店は住宅建築が専門であって「外構工事の専門業者ではない」という点です。
そのため、住宅メーカー・工務店に外構工事(エクステリア)を依頼し契約を結んでも、実際の外構工事自体は専門の下請業者に丸投げになります。
結局、下請業者の工事価格に住宅メーカーの利益が上乗せされているだけというのが実態です。
これが住宅メーカーに外構工事を依頼する最大のデメリットです。
外構工事(エクステリア)の専門業者
たとえば、「○○エクステリア」や「○○造園」という会社名をよく見かけるはずです。
住宅メーカー・工務店が建物の建築を専門としているのと同じように、外構工事(エクステリア)を専門とする業者も世の中にはたくさんあります。
外構工事(エクステリア)の専門業者に依頼するメリット
住宅メーカー・工務店のように、仕事を下請業者に丸投げして利益だけ上乗せされることがないので一般的には工事代金が安く済むというのが最大のメリットです。
また、外構や造園の設計・施工を専門に手掛けているので外構工事に特化した経験や実績があります。
特に地場の外構工事業者であれば、地元の気候や風土についても熟知しており、立地条件に適合した提案をしてもらえるという利点もあります。
外構工事(エクステリア)の専門業者に依頼するデメリット
建物を新築と並行して外構工事(エクステリア)を準備する場合、建物の打合せは住宅メーカー、外構工事の打合せは外構工事業者と別々する手間が生じるのがデメリットです。
また、一概には言えないことですが、外構工事(エクステリア)の専門業者には総じて零細企業が多いため、外構工事の不具合が判明して補修を頼もうにも、すでに倒産していてアフターサービスが受けられないという場合もあります。
このほか、外構や造園の「設計・監理だけ」を専門に手掛けている業者の場合、デザイン力は高いのですが工事については工事業者に依頼することになるため
- 「外構工事の設計・監理」
- 「外構工事の施工」
の契約を別々に交わす手間が発生します。
番外編として知人に紹介してもらう
知人に外構工事業者を紹介してもらうというルートもあります。
たとえば、その知人が実際に外構工事(エクステリア)を依頼した実績であり、「とてもいい仕事をしてくれたから」という理由であれば、工事業者を紹介してもらうのも悪くありません。
しかし、「知り合いに外構工事業者がいるから」という理由で紹介してもらった場合はどうでしょうか?
紹介者の手前、ちゃんとやってくれると期待したいところですがその保証はありません。
見積もりまでやってもらうとますます断りにくくなります。
また、実際に外構工事(エクステリア)を依頼して施工やサービスに不満があったとしても、紹介者の手前、クレームを言いにくいこともあります。
このように、何かと気を遣う状況に追い込まれかねないので、知り合いに外構工事業者を紹介してもらう場合は、よくよく考えておく必要があります。
外構工事(エクステリア)業者を比較するポイント
外構工事の業界には、住宅メーカー・工務店、外構の専門業者といったプレーヤーが存在することが分かって貰えたと思います。
それでは、その中から1社を選び出すときにどこを見ればよいのか、比較検討のポイントを解説します。
建設業許可があるか
結論からいえば建設業許可がなくても外構工事業を営むことは可能です。
しかし、一定規模以上の外構工事になると建設業許可がなければそもそも工事を受注することさえできません。
また、建設業許可は
- 専門の資格者が社内にいること
- 経営に関する資料を提出すること
で初めて建設業許可が下りるので、会社の技術力、信用力を判断する1つの材料にはなるでしょう。
建設業許可について
建設業法により、請負金額500万円(税込)以上の建設工事を請け負う場合は、建設業許可が必要になります。
建設業許可は専門分野ごとに細分化されていて、以下のとおり、現在は29業種の建設工事の許可があります。
このうち、外構工事に関するものとして
- 「土木工事業」
- 「造園工事業」
という許可があります。。
住宅メーカー・工務店は、外構工事の専門ではないので、造園工事業や土木工事業の許可までは持っていない、という場合も多いのです。
他の建設業の29業種はこちらです。
建設業の29業種
- 土木工事業
- 建築工事業
- 大工工事業
- 左官工事業
- とび・土工工事業
- 石工事業
- 屋根工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- タイル・レンガ工事業
- 鋼構造物工事業
- 鉄筋工事業
- 舗装工事業
- しゅんせつ工事業
- 板金工事業
- ガラス工事業
- 塗装工事業
- 防水工事業
- 内装仕上工事業
- 機械器具設置工事業
- 熱絶縁工事業
- 電気通信工事業
- 造園工事業
- さく井工事業
- 建具工事業
- 水道施設工事業
- 消防施設工事
- 清掃施設工事業
- 解体工事業
大臣許可の方が格上?
建設業の許可には
- 国土交通大臣の「大臣許可」
- 各都道府県知事の「知事許可」
の二種類があります。
この違いは単純で、
- 営業所が2以上の都道府県に所在する場合には「大臣許可」
- 1つの都道府県内にのみ所在する場合は「知事許可」
となります。
つまり、営業所の所在によって決まるもので大臣許可業者の方が技術力が高いとか信用があるというわけではないのです。
社内に造園工事に関する資格者がいるか
先ほど説明したとおり、500万円を超える造園工事を請け負うには建設業許可が必要となります。
しかし、一般的な外構工事であれば500万円を超えるケースはそれほど多くないため、土木工事業や造園工事業の許可がない外構工事業者もあります。
ただし、会社自体に建設業許可がない場合でも土木・造園に関する専門資格がありますので、以下のような資格をもった従業員がいるかどうかも判断基準の一つになります。
造園施工管理技士(国家資格)
公園や道路の緑化工事などにおいて、主任技術者や監理技術者となれる資格です。
造園技能士(国家資格)
庭に関する知識と技能を備えることを証する資格です。
土木施工管理技士(国家資格)
こちらは土木工事のエキスパート資格です。
工事保険に加入しているか
外構工事(エクステリア)では重機を使った土木作業を伴うほか、塀やフェンスの設置工事は近隣との境界線上での作業ですので、多くの事故やトラブルが発生しています。
起こってしまった事故やトラブルは仕方ありませんが、問題はその後の補償です。
万一、近隣に損害を与えてもそれを賠償できる資力があれば問題はありませんが、残念ながら外構工事の専門業者には零細企業も多く、大きな金額になると負担できないおそれがあります。
事故の内容によっては、多額の損害賠償が必要になるため、こうした場合に備えて、保険に入っているか否かが重要なポイントとなります。
対応は丁寧か
外構工事(エクステリア)のトラブルで特に難しいのが近隣クレームです。
塀やフェンスは境界線上に設置するため、両家間で境界線がどこであるかという認識を、事前にしっかりと確認しておく必要があります。
また、住宅が密集している場合、隣地に立ち入らなければ塀やフェンスの設置工事ができない場合もあります。
土地の境界線についてナーバスな方もいるので、このような近隣対応は本来は注文者が行うべきですが実際には外構工事業者に任せるケースが大半です。
ところが、
- 工事前に挨拶に行ってなかった
- 隣地に立ち入る承諾をもらってなかった
- 工事担当者の態度が悪い
などの理由で、かえって炎上させてしまうこともあります。
そもそも、「お隣どうしの問題だから」とクレーム対応に協力してくれないこともあります。
なので、本当に信頼できる業者であるか?見積もりや現地調査のときに様子を見て判断するしかありません。
独自の保証制度があるか
独自の保証制度があり、保証書を発行してくれるか確認しておきましょう。
住宅メーカー・工務店(特に大手)であれば、ほぼ確実に保証制度があります。
一般的に、門扉やフェンス、カーポートなど既成品を設置する工事の場合は引渡しから2年、ブロック塀などの工作物であれば引渡しから5年、植栽は引渡しから1年程度の保証期間が設定されています。
そして、保証期間内に不具合が発生すれば、原則として無償で補修してもらえます。
もちろん、保証の対象となるのは、不具合が著しい場合に限られるため、頼めば何でも直してくれるわけではありませんが、やはり保証があると安心です。
まとめ
住宅メーカー・工務店に依頼するか。専門の外構工事業者に依頼するか。という大きな選択肢がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
外構工事業者の選び方を誤ると、後々まで後悔が続くことになるので、ここで挙げた5つのポイントをもとに、後悔のない業者選びをしてください。