解体工事には様々なトラブルがありますが、やはり最も避けたいものが隣人とのトラブルです。

特に、解体工事をした後に新しく家を建ててその土地に住み続けるという方は、新居が立つ前から近所の方々との仲がぎくしゃくしてしまう可能性もあります。

やはりご近所トラブルを避けるために、事前に挨拶をしたりと最善の注意を払うという方が多いのではないかと思いますが、工事の振動などが原因で隣家のエクステリアを壊してしまい、それがトラブルにつながるケースも存在します。

もちろん施主には何の落ち度もありませんが、施主が頼んだ解体業者の工事によってエクステリアの一部が傷つくことになるため、全く知らんふりをすることもできないはずです。

それでは、このようなトラブルが発生してしまった場合はどのように対処するべきなのでしょうか。

今回は、解体工事によって隣家を傷つけてしまった際に取るべき行動を紹介していきます。

隣人との話し合いはしっかりとする

建物やエクステリアの一部を解体工事によって壊された隣人は、施主に相談してくることがあります。

もちろん大切な建物を壊されたわけですから、中には怒りをあらわにするケースもあるはずです。

真摯に対応するべき

相手も大人ですので、例えばブロック塀にひびが入ったからと言って、いきなり殴りこんでくるようなことはないはずです。

大抵は、冷静に話をしに来ることが多いはずですが、場合によっては怒り口調で話を持ってくる可能性もあります。

工事自体は解体業者がやったことですので、施主にもわからないことは多いと思いますが、だからと言って関係ないという素振りは見せるべきではありません

施主がお願いした業者によってトラブルが発生した場合は、施主にも関係がないことではないですので、まずはきちんと話を聞くことをおすすめいたします。

そうすることによって、そのトラブルの拡大を防ぐことができるはずです。

隣人と業者の話し合い

通常は、隣人の方も工事をお願いした施主に連絡を入れることになるはずですが、中には直接、解体中の業者に話をしに行く方もいらっしゃいます。

解体工事をお願いしている以上、施主はその場にいないことの方が多いため、やはり隣人からしても解体業者にすぐにクレームを入れたほうが話が早いと考えがちです。

隣人からのクレームに対して、業者がその場を収めてくれる場合は問題ないかもしれませんが、スタッフの対応次第では隣人の怒りに火をつけてしまう可能性もあります。

また、業者によってはそのクレームを施主に伝えなかったりするところもあるようですが、工事をお願いした施主の知らないところでトラブルが進んでしまうのは問題です。

何かが発生したらまずは施主に伝えてほしいというようなことを、隣人や業者の双方に伝えておくとよいでしょう。

対象の隣人へのお詫び

一般的には、解体工事で隣家の一部を壊してしまった場合は、業者が全て対応してくれるはずです。

その対応については業者と隣人との間で話し合いが進められることもありますが、施主もトラブルを早期解決するためにお詫びをした方が良いでしょう。

解体工事の途中でそういったクレームを入れられた場合は、工事がいったん中断することも多いです。

工事の中断が長引くとその後のスケジュールに響くこともあるため、施主としては一刻も早く工事を再開したいはずです。

できるだけ早く工事を終わらせるためには当然隣人の理解が必要ですので、お詫びをするとの同時に、工事が終わるまで再度協力してほしいという旨を伝えましょう。

なるべく気を使うべき

無事に工事を再開できたからといって、その後はずっと知らんふりというのもあまり印象が良くありません。

解体工事によって一度トラブルになっている以上、再びトラブルにならないという保証はどこにもありませんので、お詫びをした後もその隣人の方を気にかけるようにしましょう。

そうすることによって丁寧な印象を持ってもらえますし、再度トラブルが発生しそうになったとしても工事の中断にまで発展する可能性が低くなります。

クレームに対してきちんと対応すればそれだけ早く工事を終わらせることができますが、クレームを無視すると一向に工事が終わらなくなることもあるため、やはり丁寧な対応を心がけることをおすすめいたします。

隣人にしてもらうこと

それでは、解体工事によって住居を傷つけられた隣人には、どのような行動をとってもらうべきなのでしょうか。

挨拶回りのときなどに、両隣や裏の家の方に伝えておくと、もしもの時の対応がスムーズに住みます。

まずは施主に話をする

解体工事は解体業者によって行われることになるため、建物を傷つけられた隣人もその張本人である業者のスタッフに伝えたほうが早いと感じるかもしれません。

しかし、それによって施主とその隣人の関係、または業者と施主、業者と隣人の関係が悪くなってしまう可能性もあります。

例えば、ブロック塀にひびが入ったと認識した際には、まずは施主にその旨を伝えてもらうようにしましょう。

施主はそれを業者に伝え、その後に初めて業者と隣人が話をするという流れが望ましいと言えます。

対象の建物の写真を撮る

ブロック塀が壊れた場合は、その壊れた部分を写真に収めてもらう必要があります。

その際には、できれば解体工事前に撮影したブロック塀の写真も一緒に提出してもらうことができれば、解体工事によって壊されたのが確実だと納得することができます。

しかし、ブロック塀の写真など頻繁に取るようなものではないですので、やはり解体工事直前の写真を撮っているというケースは少ないです。

例え写真があったとしても、それがあまりにも古い場合は、客観的に見ても解体工事によって破壊されたと判断するのは難しいです。

心配な場合は、解体工事前に施主の方から傷つきそうな場所の写真を撮らせてもらうように頼むのも方法の1つですが、そこまでするのは神経質すぎると感じる方もいらっしゃるかもしれません。

例えば、隣人は解体工事で壊されたと主張しているのに対して、解体業者がその証拠がないと言い張ってしまうと、隣人と施主との関係も悪くなるため、できれば施主も証拠を集めるのに動いたほうが良いでしょう。

解体業者への報告

隣人から施主にクレームが入ったら、今度は施主から解体業者にその話を通し、そこで初めて隣人と解体業者が直接話をすることになります。

もちろん施主からそういった報告が入ったら、業者としても隣人を無視することはできないはずですので、実際に工事で壊されたと主張する場所を確認し、修繕費用などの話をすることになります。

その場に施主もいたほうが良いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのあたりの話は施主には関係のないことですので、隣人と業者との間で話し合ってもらうのもよいでしょう。

なお、施主が依頼した解体業者が建物を破壊した場合、責任を持つのは当然解体業者になり、施主が賠償しなければならないというようなことはないため安心してください。

第三者への相談も検討する

大抵は、上記までの流れでこの話は無事に終わりますし、クレームも収まるはずです。

通常の業者は保険に加入していますので、その保険から補修費用を支払うことになり、これで一件落着です。

しかし、中には保険に加入していない業者も存在しますし、仮に加入していたとしても補修に応じようとしない業者もいます。

そういった場合は、当人同士がどれだけ話し合っても先に進まないため、できれば弁護士に相談してもらうようにしましょう。

弁護士が間に入ることによって公平な判断をすることができますし、両者も納得できるのではないでしょうか。

解体工事に関係なく建物が傷ついていた場合

工事によって建物やエクステリアが傷ついた場合は、業者が真摯に対応しなければなりません。

しかし、中には明らかに解体工事とは関係なく傷がついていたのに、その傷を解体工事のせいだと訴えかけてくるケースもあるようです。

そういった場合は、どのような対応をするべきなのでしょうか。

一旦話をすべて聞く

間違った主張をしてくる隣人は、大きく故意に嘘をついているパターンと本当に解体工事のせいだと思い込んでいるパターンの2つに分けることができます。

例えば、解体工事によってずっと建てられていた建物がなくなったことで、初めて隣人が元々あった傷に気が付くという可能性もあります。

もしそうであれば、状況的に解体工事によって壊されたと判断してしまう気持ちは十分にわかりますが、だからと言ってその主張をはねのけるだけではその後の関係も悪くなってしまいます。

まずは相手の主張をしっかりと聞き、それを解体業者に伝えるようにしましょう。

解体業者の反応について

隣人の主張が合っているか違っているかはさておき、その傷に対して解体業者が責任を認めているのであれば全く問題はありません。

その後は隣人と業者との話し合いでトラブルが解決しますが、問題は業者側も責任がないと回答した場合です。

両者の主張が真逆の場合は、その後も話し合いに決着が尽きませんし、感情的になってしまうケースも珍しくはありません。

きちんとした解体業者であれば、責任がないという証拠を集めたり、証言をもとにして交渉を進めてくれるはずです。

しかし、業者が頼りなさそうな場合は、施主が業者の代わりにトラブルの解決に努めるようにしましょう。

証拠があればすぐに解決する

先ほど述べた、工事前と工事後の写真があれば、それが証拠となってトラブルがすぐに解決してしまいます。

しかし、逆に証拠がない場合は解体業者が損害を与えたと証明することができないため、結果的に解体業者に補修工事をお願いすることが難しいです。

そうなってしまった場合、解体業者を除いて施主と隣人との話し合いになり、施主がその補修工事の支払いを負担しいなければならなくなる可能性も出てきます。

もちろん双方にとって後味が悪いですので、トラブルになる可能性がある場合は、やはり工事前にきちんと対策を取っておくことをおすすめいたします。

近所トラブルを防ぐために

それでは、そういったトラブルを防ぐためには、どのような対策を取るべきなのでしょうか。

もちろん解体業者の対応も重要ですが、その解体業者を選ぶのは施主になるため、やはり最終的には施主がしっかりと対策を取るべきなのです。

事前の写真撮影について

解体工事が原因で最も影響を受けやすい部分は、やはりブロック塀やフェンスなどの工事現場に近いエクステリアになります。

例えばお隣さんが神経質な方であったり、エクステリアが老朽化しているような場合は、工事前に写真を撮らせてもらうようにしましょう。

お互いが納得した上で写真撮影をしておけば、当然相手側も嘘の主張をしてくることがないでしょうし、仮に何かトラブルがあったとしても、写真という証拠を持っておけば安心です。

写真によって解体工事が原因だとなった場合はすっきりとした気持ちで解体業者にそれを伝えることができますし、例えば弁護士などを使う必要が出てきたとしても、トラブルがすぐに解決します。

業者選びにも注意

例えば、解体工事でブロック塀が壊れたというのが明らかな場合であっても、業者によってはそれを認めないようなところも存在します。

もちろん最も悪いのは解体業者ということになりますが、その解体業者を選んだのは他ならぬ施主の責任です。

だからと言って施主が代わりに責任を負うというのはまた違いますが、その前にそういった業者を選ばないような努力が必要になってきます。

具体的には、そのようなトラブルが発生したとしてもきちんと責任を取ってくれる優良業者を利用するべきなのです。

そのためには、やはり解体工事前に相見積もりを行い、問題ない業者を選択するようにしましょう。

もちろんパッと見ただけでは優良業者なのか悪徳業者なのかわからないと思われる方も多いと思いますが、相見積をする中でスタッフの対応などをよく見てみれば、ある程度の判断はできるのではないかと思います。

または、絶対に悪徳業者がいない安心できるサービスを利用するというのも方法の1つです。

悪徳業者の見抜き方については、こちらも参照くださいませ。

解体工事の悪徳業者を見抜く方法とトラブルが起きたときの対処法

最後に

施主には責任がないとはいえ、隣人にとっては施主のお願いした解体工事によって発生した問題ということになります。

もちろん解体工事によって発生した傷などの補修工事を施主が負担するというようなことは、基本的にはあってはならないことですが、自分の家の工事によって他人に迷惑をかけたのは事実です。

申し訳ないという気持ちを持つのは重要ですし、場合によってはそのトラブルが大きくならないように業者と隣人の間に入ってうまく場を収める必要が出てくるかもしれません。

トラブルさえ避けることができれば解体工事は無事完了しますので、なるべく問題が発生しないように予防し、問題が起こっても冷静に対応するようにしましょう。