解体工事をする際には、まずは複数の解体業者に見積もりを取るのが当たり前になっていますが、最終的に利用する業者以外には断りの連絡を入れる必要があります。
また、既に契約を結んで解体工事に取り掛かる直前に、都合が悪くなってキャンセルしたいとなるケースも存在します。
確実に工事を行うと思っていたとしても、何らかの原因によってやむを得ず工事を取りやめにすることがありますが、一体キャンセルはどのタイミングまで可能なのでしょうか。
また、契約をしてしまった以上、こちらの都合でキャンセルする場合にはキャンセル料や違約金が必要になってくることが多いです。
今回は、そんな解体工事のキャンセルや違約金について紹介していきます。
契約前のキャンセルで気をつけること
解体工事をする前に、複数の業者に連絡をして相見積もりを取るというのは、現代では当たり前の流れになっています。
まだ契約をしていない段階かもしれませんが、実際に利用する業者以外の業者には、使わないという旨を伝える必要があります。
契約前のキャンセルは問題なし
ほとんどの解体業者は、施主が複数の業者に相見積もりを取っているということを理解していますし、見積もりの際に施主からそれぞれの解体業者にその旨を伝えておけば、契約前のキャンセルには理解を示してくれるはずです。
相見積もりの結果はメールや郵送などで届けられることが多いと思いますが、契約前の断りの連絡はこちらからメールや電話で行うようにしましょう。
単純に解体工事をしませんと言うだけではなく、なぜその解体業者を使わないのかという理由も添えておくと相手も納得しやすいです。
例えば
- 他社の方が料金が安かった
- 知り合いから紹介してもらった解体業者を利用することになった
というようなことを伝えれば、ほとんどの業者はそれで了承してくれます。
解体業者は怖いというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、その場合は電話よりもメールで丁寧に断りを入れたほうが良いかもしれません。
相手の手を煩わせたのは間違いない
一般的に工事の見積もりを無料で行うという業者がほとんどかと思いますが、例えこちらからは一銭も支払わなかったとしても、現地までの交通費や現場を見るスタッフの人件費などの実費は確実にかかっています。
もちろんそれが当たり前のサービスだと考える方も多いですが、実際に相手の時間を割いて見積もりをしてもらっているわけですから、きちんとお礼を伝えておくことをおすすめいたします。
例えば
- 業者のスタッフが横柄な態度を取る
- 明らかに悪徳業者だ
というような場合は仕方がないかもしれませんが、ほとんどの業者は一生懸命対応してくれるはずです。
そういった業者にはきちんとお礼を言っておくことによって、お互い気持ちよく関係を終わらせることができるでしょう。
悪徳業者への対応
悪徳業者とは知らずに連絡を入れ、見積もりをしてもらうということがあるかもしれません。
しかし、契約をしていない限りは相手が悪徳業者であったとしても何の問題もありませんし、正式な契約を結んでいませんので費用を請求されるようなこともないはずです。
中には、見積もりが無料と言っているのにもかかわらず、こちらが断りの連絡を入れたらその見積もりにかかった実費を請求しようとしてくるような業者も存在します。
または、実際に利用しようと考えている業者の欠点を述べるなど、嫌な思いをすることもあるかもしれません。
契約をしていない以上こちらには何の落ち度もないので、はっきりと使わないという意思を示しましょう。
しつこい業者への対応
ほとんどの業者は、キャンセルの理由を聞いて納得することが多いはずですが、中には断りの連絡を入れてもなお、契約を結ぼうとしてくるような業者も存在します。
例えば他社の方が料金が安かったという理由に対しては、それよりも料金を下げると言ってきたり、担当者の対応が素晴らしかったからその会社に決めると言ったら、その会社の誹謗中傷を始めたり良い担当者を付けると言ってきたりすることもあります。
もちろん営業行為自体は違法なことではありませんが、あまりにもしつこい場合はこちらも気分を害してしまいますよね?
そういった業者に関しては、考え直すと言って一旦その場を収め、後日すでに他社と契約をしたから断りますという連絡を入れてみましょう。
すでに他社と契約を結んでしまっていると聞けば、その業者もどうしようもないため、基本的にはすんなりと引き下がる可能性が高いです。
契約後のキャンセルは可能?不可能?
見積もりの段階であれば、どんな業者であったとしてもキャンセルすることは可能なはずです。
しかし、利用する業者を1つに絞って契約をしてしまった場合は、若干キャンセルが面倒になるケースが多いです。
キャンセル自体は可能
まず、業者と契約してないとしても仮に契約をしてしまったとしても、もしくは工事がすでに始まっていたとしても、施主がキャンセルを申し出ることはどのタイミングであったとしても可能です。
もちろん状況によっては違約金が発生したりすることになりますが、施主がお願いしている以上、施主の都合でキャンセルをするのはいつでも問題ありません。
しかし、その契約相手である業者の都合も考える必要があるため、まずはキャンセルをするにあたっての話し合いを進め、どうしてもキャンセルするとなった場合は契約の解除をすることになります。
契約を解除する理由は考えておく
契約を取り消したいという理由は様々だと思いますが、大きく
- 完全に施主側の都合によるキャンセル
- 業者の落ち度によるキャンセル
の2つに分類することができます。
例えば、施主の都合が急に悪くなった、もしくは解体工事費用を支払うことができなくなりそうな状況になったというような場合は、基本的には施主の都合によるキャンセルということになります。
しかし、契約をしたとたんに業者の態度が急変して話をすることさえできなくなった、契約後に悪徳業者だと発覚し、できれば契約を解除したいというような場合は、業者の落ち度と判断することもできます。
まずは業者ときちんと話をするのが大切になってきますが、業者の対応などが悪質な場合は、弁護士に相談することも考えましょう。
契約に伴う約款について
解体工事の契約をする際には、そこに約款が記載されているはずですので、キャンセルを考えるのであればまずはその約款を確認することも大切です。
約款の内容が細かく記載されているようであれば、契約のキャンセルについての内容もある可能性があるため、契約を結んだ以上は基本的にはその内容に従うことになります。
ただし、契約書の中には契約解除に関する記述がなかったり、場合によっては約款がないというケースもあります。
その場合は、民法などに基づいて業者と交渉をする必要があります。
キャンセルに伴う違約金
解体工事のキャンセルをする場合は、やはりその違約金が気になるという方も多いのではないでしょうか。
例えば契約をしてすぐに取り消したいとなった場合は、物理的に解体工事は進んでいないことの方が多いですので、その場合もキャンセル料が必要になるのか確認したいという方もいらっしゃるでしょう。
約款を確認すべき
解体業者に契約解除を申し出る前に、まずは契約書の約款を確認してみましょう。
その約款にキャンセルによる違約金が発生するかどうかの記述がある場合は、原則としてその約款に従って手続きを進めていくことになります。
しかし、約款に記述がない、または約款自体が存在しない場合は、キャンセル料や違約金は特に設定がされていないとみなされます。
この場合は、解体業者がその工事に実際にかかった経費の実損分を施主が支払うことが多いです。
逆に言えば、契約を結んでからすぐにキャンセルしたいとなった場合は、まだ着工もしていませんし対象となる解体工事のための準備などもしてないことが多いため、違約金が発生しないことも少なくありません。
ただし、仮に契約直後であったとしても、約款に違約金の記述がある場合は、その損害賠償を請求されることもあるため気を付けましょう。
業者との話し合いが重要
やはり一般的には、契約書の約款に記載されている文言通りに手続きを進めていくことになるのですが、契約解消をした業者が違約金は不要だと言えば施主がそれを支払う必要はありません。
例えば施主やご家族に不幸があってどうしても解体工事をすることができないなどの、やむを得ない理由で工事をキャンセルするケースもあるのではないでしょうか。
そういったご家族の状況を理解してもらえるのであれば、たとえ約款に違約金の記載があったとしても、その請求をしない業者は少なくありません。
しかし、どうしようもないケースであっても約款にしたがって違約金を請求するとなってしまえば、やはり支払う必要が出てきます。
また、既に工事が始まっていたりする場合は、実損分は負担すべきといえるでしょう。
業者の落ち度でキャンセルする場合
例えば、業者の業務怠慢などによって施主が解体工事をキャンセルしたいとなった場合、約款に違約金のことが記載されていたとしても支払い義務が発生しないケースもあります。
実際に裁判を行ってもこちらが有利に話が進むことが多いのですが、やはり裁判をする前には、誰もが納得できるそれなりの証拠を集めなければなりません。
業者に不満があってキャンセルを考える場合は、予め、客観的に業者を見て明らかに業者の落ち度だとわかるような証拠などを集めておくようにしましょう。
また、すぐに契約解除をすると判断するのではなく、まずは慎重に話し合いをすることをおすすめいたします。
キャンセルをしないための契約のタイミング
一旦は契約をしたのにそれをキャンセルしてしまうとなると、業者に迷惑をかけることになりますし、こちらも違約金などの無駄なお金を支払うことになります。
そのため、やはり解体工事をするとなったら、できるだけキャンセルしないようにするのが良いのです。
それでは、どのタイミングで契約を結べばキャンセルせずにうまく工事を進められるのでしょうか。
納得する条件を探す
契約をする前には、様々な解体業者とやり取りをすることになりますが、契約をするにあたって施主は様々な条件を提示することになります。
第一に考えられるのは、やはり工事の金額であることが多いですが、その他にも担当となるスタッフとのコミュニケーションや自分の思い通りの範囲を工事してくれるかということなども重要なポイントとなります。
それらの全てに納得ができれば安心して契約をすることができるのではないかと思いますが、逆に施主の考える条件から外れてしまっている場合は、契約後に不満を感じる可能性もあります。
十分な時間がないと難しいかもしれませんが、まずはそれぞれの業者との話を進めて、納得のいくところを見つけましょう。
不安点はなくしておく
解体工事を行う点で最も重要なポイントの1つとして挙げられるのは、工事前に全ての疑問点を解消しておくということです。
中には今までに何度も解体工事を行った経験があるという方もいらっしゃるかもしれませんが、恐らくほとんどの方が初めての解体工事を行うことになります。
初めての依頼でわからない点や不安になる点は多いと思いますが、まずはそういったところを全てなくしてから契約をするのが大切になってきます。
やはり初めに気になるのが、見積もりの価格から追加料金が発生するのかという部分だという方も多いですし、契約後にどのような行動を取ればよいのか、工事はいつ終わるのか、などなど、わからない点を挙げればきりがないかもしれません。
しかし、わからないまま契約をしてしまい、契約後に思っていたのと全然違ったとなるのは避けるべきですので、契約後に不満を感じないように不安な点は全て聞いておくようにしましょう。
そうすることによって、契約後のキャンセルを避けることができるはずです。
工事日ギリギリの契約は費用が高くなるかも
例えば8月1日に解体工事を始めたい場合は、7月や6月くらいには業者を決めて、その業者と工事前の打ち合わせなどをしておきたいものです。
業者を決めるということは契約を結ぶということでもありますが、そんなに早く契約をしてしまうからキャンセルが出てしまうんだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、しっかりと話を詰めた上で7月末くらいに契約を結べば、十分に納得して業者を選ぶことができますし、キャンセルをすることがないかもしれません。
しかし、工事をする直前で契約を結ぶと、業者側のスケジュールが空いていなかったりする関係で解体工事自体が高額になってしまう可能性もあります。
また長期的に見ても、廃棄物の処分スペースの不足などが原因で、今後は処分費用が徐々に上がり、それに伴って解体費用が値上がりすることも考えられます。
反対に言えば、前もって契約をしておけば工事費用も安く済む可能性が高いです。
こう言ったこともあるため、完全に納得して工事を始めたいのであれば、業者選びはかなり前から行っておいたほうが良いかもしれません。
最後に
正式な契約を結ぶ前であれば、基本的には解体工事自体を取りやめることが可能ですし、工事のキャンセルをしても全く問題はありません。
しかし、いったん契約を結んでしまうと契約解消に伴って違約金やキャンセル料が発生する可能性もあります。
確かに違約金は発生しますが、契約後であってもキャンセルができないというようなことはありませんので、やむを得ない場合はキャンセルをすることが可能です。
キャンセルをせざるを得ないが、できるだけ違約金を払いたくないという方がほとんどかと思いますが、契約書の約款に納得して契約を結んだ以上は、その約款に従う必要があるのです。
ただし、契約前に確認した条件と違うなどの解体業者の落ち度によってキャンセルを考える場合は、違約金も発生しないケースがあるため、まずは弁護士などに相談してみるのもよいでしょう。
しかし、やはりキャンセルしないに越したことはないため、契約前にきちんと納得し、不安な部分を解消したうえでサインをすることをおすすめいたします。