リフォーム工事を行う前には、事前に現地調査をしてもらい、見積もりを出してもらうことになります。
複数の業者に相見積もりを取ってもらう場合は、別々にそれぞれの業者が対象となる不動産に足を運ぶことになりますが、現地調査でリフォーム業者のスタッフが具体的に何をするのかわからないという方も多いはずです。
リフォームのための現地調査では、建物の設備の確認や採寸、写真撮影などを行うことになります。
基本的にはその時に施主や家族が何かをしなければならないということはありませんが、ただ指をくわえて業者の調査を見ていてはもったいないです。
というのも、現地調査に向けてきちんと準備をすることで、または現地調査中に業者と話をすることで、リフォームの満足度が変わってくる可能性があるからです。
この記事では、現地調査の目的や現地調査ですべきことなどを紹介させていただきます。
現地調査で行う流れを知る
最初に、リフォーム業者のスタッフが現地調査ですべきことを見ていきましょう。
一般的な現地調査で行うことは、
- 設備の確認
- 採寸
- 写真撮影
- ヒアリング
になります。
また、マンションなどの共同住宅をリフォームする場合は、
- 共有部分の確認
- 管理人へのヒアリング
も行うことがあります。
設備の確認
リフォームの現地調査できているわけですから、当然リフォームをする場所の確認をするのですが、それ以外にもその建物の老朽化具合を確認し、希望のリフォームが可能かどうかをチェックします。
具体的には、柱や梁、天井裏や床下などを見て、配線の位置や給排水管の場所、ブレーカーのアンペア数や換気ルートの確保など、その不動産の様々な場所を確認することになります。
設備を確認した結果、希望通りのリフォームが難しいとなった場合は
「別の方法でよいリフォームがないか」
その場所を工事することで希望のリフォームができるのであれば
「どのような工事をすれば実現可能か」
などを確かめます。
採寸
その不動産の簡易図面を確認すれば大体の長さなどは把握できますが、より確実な大きさを求めるために、対象となる部屋中の縦、横、高さの長さなどを計ることになります。
部屋の大きさや天井までの高さだけではなく、ドアの大きさや通路のサイズ、サッシの位置、柱や梁の場所などを全て記録することで、正確な寸法を取ることができます。
また、リフォームする部屋はもちろんですが、リフォームする場所までの搬入経路の広さを確認する必要があります。
採寸は、希望のリフォームプランをぴったりと配置するために必要な工程です。
写真撮影
写真は後々細かい設計をするために必要なるので、リフォームの対象となる場所を中心にたくさんの写真を撮ることになります。
現在の設備の詳細や天井裏の配管、または窓からの眺めや部屋全体の様子などを写真に収めることによって、リフォーム完了後と見比べることができます。
ビフォーアフターでリフォーム前とリフォーム後の違いがはっきりと分かるように、アングルなどにもこだわります。
ヒアリング
施主や家族に対して、具体的にどこをどのように改善したいのか、現在の問題点や不満な点はどこなのかを細かく確認していく工程です。
例えば、漠然とキッチンのリフォームをしたいということでリフォーム業者に現地調査をお願いした方も、ここでその詳細を伝える必要があります。
具体的には
- キッチンが高すぎるのでもう少し低めにしたい
- 収納が少ないので増やしたい
- この大きさの冷蔵庫が入るスペースを作りたい
など、内容が具体的であればあるほど、業者もプランを用意しやすいです。
マンションの共有部分の確認
マンションの場合は2階以上の部屋をリフォームする可能性も高いため、
- リフォームプランをスムーズに搬入できるか
- エレベーターの有無
- 入り口や通路の大きさ
なども確認することになります。
例え室内を確認した結果リフォームが可能だとなったとしても、リフォームに必要な設備がうまく搬入できない場合は、そのリフォームをあきらめるか、別の方法で搬入を考える必要があります。
マンションの管理人へのヒアリング
共同住宅の一部屋をリフォームする場合は、事前に管理組合に工事申請を提出しなければなりません。
例えばこの申請が却下された場合は、例えその部屋の持ち主がリフォームしたいと思っていても工事に着工することができないのです。
しかし、よほどのことがない限り承認が下りるはずですので、ここでは
- 工事申請は工事のどれくらい前までに提出しなければならないのか
- 資材の搬入や搬出に伴って気を付ける点は何か
- 工事の申請に必要な書類は何か
というようなことを確認します。
もちろん現地調査の段階では、施主はまだどの業者に工事をお願いするかということさえ決めていないのですが、業者としては予め工事をするかもしれないということを伝えておいたほうが、その後の手続きがスムーズに進みやすいというメリットがあります。
施主側が現地調査前にすべきことは4つ
現地調査で業者のスタッフが行うことが、大体ご理解いただけたのではないでしょうか。
それでは、次に施主側が現地調査前にしておくべきことをご紹介いたします。
- リフォームの目的を明確にする
- 家族の要望をまとめておく
- 伝えたい内容をメモしておく
- 大体の相場を確認しておく
現地調査前に、最低限これらをこなしておくことで、現地調査の段階から業者と対等に話ができるようになります。
リフォームの目的を明確にする
リフォームをしようと思ったということは、その場所をリフォームしたいと感じる何かがあったはずです。
単純に「リフォームがしたい」と言うだけではなく
- なぜリフォームをしたいのか
- 具体的にどこに不満を持っているのか
ということをまとめておく必要があります。
例えば、汚れたキッチンをきれいにしたいというだけであれば、とりあえずキッチンをリフォームすればそれで不満が解消されるということになります。
しかし、ガスコンロが嫌だからIHクッキングヒーターを取り入れたいというものの場合、単純にキッチンに新しい設備を入れるだけではなく、IHクッキングヒーターを導入しなければなりません。
キッチンに限らずリフォームを考えるきっかけは
- 不満なところがある
- 快適に利用できない
という点であったりする場合が多いです。
それを明確に表すことができれば、 リフォームで綺麗にその不満点が解消されることになるため、結果的にリフォームに満足できるようになるのです。
しかし、その不満点を明確にせぬままリフォームをしてしまうと、結局リフォームをしても満足感が得られず「しなくてもよかった」ということになりかねません。
そうならないためにも、まずはリフォームの目的を明確に持つようにしましょう。
家族の要望をまとめておく
現地調査をお願いする時点で、すでに業者にキッチンのリフォームがしたいというような話をしているかもしれません。
しかし、リフォームしたい場所が一カ所のみというご家庭は珍しく、大抵はご家族のメンバーのそれぞれが建物のどこかに不満を持っている可能性が高いです。
また、一部だけをリフォームするとその部分の新しさが目立ってしまい、それ以外の場所に対する不満も大きくなるため、余裕があるのであれば 一度にリフォームしてしまったほうが良いのです。
そのため、業者に現地調査をしてもらう前に、家族のそれぞれの不満や希望するリフォームをまとめておきましょう。
夫 | 妻 | 子ども | |
---|---|---|---|
要望 | ・自分だけの書斎がほしい ・ビルドインガレージに窓がほしい |
・キッチンを一新したい ・バスタブを大きくしたい |
・自分の部屋がほしい ・トイレにウォッシュレットがほしい |
簡単にであれば上記のような感じになります。
また、ビルドインガレージのどこにどれくらいの大きさのどんなタイプの窓がほしいのか、という具体的な要望があればなお良しでしょう。
もちろんそれぞれに費用がかかりますので、どこのリフォームにいくらかかるのかを調べてもらい、優先順位を付けてリフォームする場所を決めることになります。
どうせリフォームをするのであれば、一気にやってしまった方が費用が安くなることも多いため、業者とも相談してみることをおすすめいたします。
伝えたい内容をメモしておく
現地調査では、担当のスタッフと直接話をする機会があるため、その時に要望をしっかりと伝えられるように具体的な内容をメモに取っておくことをおすすめいたします。
最初に伝えておいたほうが良いのが、こちらの予算や希望の工事期間などですが、その他にもリフォームするにあたって聞いておきたいことは事前にまとめてメモに取っておきましょう。
もちろん当日忘れずに聞けるという方もいらっしゃるかもしれませんが、限られた時間で効率的に質問したりこちらの要望を伝えるためには、事前にメモを残しておいたほうがスムーズです。
また、問題なければその要望などを記載したメモをそのまま業者に渡せるように、コピーを取っておくとよいでしょう。
大体の相場を確認しておく
現地調査に来てもらう前に、イメージしているプランの相場が大体いくらくらいになるのかを確認しておくと、業者と話をしやすくなります。
例えばキッチンのプランの相場を調べる際には、様々なキッチンのリフォーム事例を画像で目にすることになります。
そして、たくさんの事例を見れば、
- このプランの場合は100万円くらいの価格になる
- このプランにすれば70万円で済むためリフォームコストを安く抑えられそうだ
というような知識がついて来るはずです。
もちろんご家庭によって家の造りが異なるため、同じプランを利用しても同じ価格になることはないですが、現地調査の際に気に入ったプランの写真を見せながら話ができると、こちらの要望をより的確に伝えることができるのです。
現地調査中のチェックしたい3つのポイント
それでは最後に、実際に現地調査をしてもらう中で見ておくべきポイントを確認しておきましょう。
- スタッフの対応
- 業者ごとのセールスポイント
- 建材の種類
具体的には、これらのことに注目して現地調査を進めていきましょう。
スタッフの対応
これは、直接話をする中で、または現地調査のふるまいなどを見る中で、どのようなスタッフなのかを確認するという意味を指します。
そのスタッフの態度やマナーなどを見ることによって、その業者の方針やサービスレベルなどの業者の質がわかることもあるからです。
もちろん一スタッフを見るだけで判断などできないという意見もあると思いますが、そのスタッフも業者の代表として現地調査に来ているということを理解しているため、それ相応の対応をとるはずです。
対応を見て微妙だと判断した場合は、その業者の利用を控えてもよいですし、逆にスタッフの対応で選ぶ業者を決めるというのも方法の1つです。
現地調査には、それぞれの業者の見積もり価格を比較できるだけではなく、業者のスタッフと触れ合って業者のことを知ることができるというメリットもあるのです。
業者ごとのセールスポイント
例えば、同じキッチンのリフォームであっても、業者によって価格が変わることは少なくありません。
例えば、どこかの特定のメーカーの製品であれば安く仕入れられるから、トータルのリフォーム代金が大幅に安くなるというようなこともありますし、逆に希望するプランの取り扱いがないため、仕入れ値が高くなるということもあり得ます。
また、業者によってリフォーム後のアフターサービスに力を入れているところもあるため、リフォーム代金だけではなく業者ごとのセールスポイントを比較し、より良い業者を選ぶ基準としましょう。
建材の種類
全く同じ形のプランを採用したとしても、そのプランに利用する建材によってリフォーム価格が大きく変わることがあります。
例えば、すでにこのようなプランにしたいという具体的な例がある場合は、利用する建材の違いによって、どれくらいの価格差が生まれるのかということを確認しておきたいものです。
また、外壁塗装などの場合は、高い塗料の方が耐用年数が長くなったりすることも多いため、高い塗料を利用することでリフォームの間隔を長くすることができます。
このように、長い目で見ると高い素材の方が安くなるということも起こり得るのです。
様々な素材があるため、それぞれの素材を比較し、どうするのが最もコストパフォーマンスが良いのかを見極めましょう。
まとめ
現地調査は、正確なリフォームの見積もりを出してもらうためには欠かせない工程になります。
業者は現地調査で、採寸や写真撮影、それから建物の様々な設備を確認することになりますが、同時に施主に対してもどのようなリフォームにしたいのかというヒアリングを行います。
リフォームを納得できるものにするためには、事前にリフォームに対する様々な情報を集めておき、また現地調査でのスタッフとの話し合いで感じ取ったことも参考にして、最終的に利用する業者を選ぶことをおすすめいたします。
逆に、 何の準備もせずにリフォームをお願いしてしまうと後悔する可能性もあるため、現地調査の段階からリフォームとしっかり向き合うようにしましょう。